テレワークで労務管理はどう変わる?おすすめツールや事例も紹介
柔軟な働き方が増えつつある昨今、オフィスに出勤せずとも業務を進められるテレワークを取り入れる企業が急増しています。しかしテレワークを行うと、「出退勤に関する管理はどうするの?」「テレワークにおいても、労働基準法は適用されるの?」などとさまざまな疑問が浮上しがちです。
そこで今回は、テレワーク中における労務管理はどう行うべきなのか、テレワーク中の労務管理ツール導入事例などをまとめて紹介していきます。
- そもそも労務管理とは
- テレワークとは
- テレワーク中の労務管理とは
- テレワーク導入後の労務管理のポイント
- 【事例紹介】テレワーク中の労務管理はツールの導入もおすすめ
- まとめ:テレワーク中も適切な労務管理で会社全体の生産性を向上しよう
そもそも労務管理とは
はじめに、そもそも労務管理とは何なのかを確認していきましょう。労務管理における労務とは、従業員の給与や社会保険などに関する業務のこと。つまり、会社全体の労働状況をはじめ、労働環境や福利厚生に問題がないよう管理することが労務管理です。
具体的な業務としてあげられるのは、従業員の勤怠管理や勤怠データに基づく給与計算、社会保険をはじめとする入退社に伴う手続きなど。企業規模が大きい・小さいに関わらず必ず必要となる業務であるため、非常に重要度が高いと言えるでしょう。労務管理がきちんと徹底されていることは、すなわち従業員の働きやすい環境が構築されていると言っても過言ではありません。
テレワークとは
続いて、「テレワーク」とは何なのかも確認しておきましょう。
テレワークとは、離れたところを意味する「tele 」と働くことを意味する「work」をあわせた造語です。コンピューターやアプリケーションなどを活用し、オフィスに出社せずとも離れたところから勤務する働き方のことを指します。
テレワークは大きく4つに分けることができ、在宅勤務・サテライト/コワーキング、モバイルワーク、ワーケーションがあります。もっともメジャーなのが自宅を就業場所とする在宅勤務です。在宅勤務では、交通費・通勤時間を削減できるため、時間を有効活用できるだけでなく身体的・経済的負担も抑えられます。
テレワーク中の労務管理とは
それでは「テレワーク中の労務管理」とはどういうことなのでしょうか。
単純に考えれば、「自宅やコワーキングスペースなど、オフィスにいない従業員たちの労働環境や福利厚生、安全衛生面の管理などを行う」ことになりますが、オフィスにいない従業員たちの労務管理をどう行うのか?と疑問に思う人も多いでしょう。実際のところ、具体的にはどのように進めていくべきなのでしょうか。
厚生労働省もQ&Aやガイドラインを提示
テレワーク中の労務管理に不安がある、不明点があるという場合には、厚生労働省が提示しているQ&Aやガイドラインを参考にしてみましょう。
「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」では、労働時間の管理における注意点、休憩時間の扱い方などが説明されているため、テレワークの導入時に大いに役立つはずです。
「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」では、「テレワーク中の業績評価はどう行えばいいの?」などといった一度は疑問に思うポイントに答えてくれているため、あわせて参考にしましょう。
テレワーク導入後の労務管理のポイント
ここからは、テレワークを導入した際にどのように労務管理を行っていくべきなのか、「業務内容・労働時間を把握する」「テレワーク中の社員と適切なコミュニケーションを取る」「テレワークにおける規程を作成する」の3つのポイントに絞って紹介していきます。
業務内容・労働時間を把握する
はじめに、業務内容や労働時間を把握することについてです。テレワーク中、従業員がどのような業務に当たったのか、さらにはいつ始業していつ終業したのかが分からないと適切な労務管理が行えません。
業務内容や労働時間を把握するためには、「テレワーク中でも問題なく使用できるクラウド型の勤怠管理システムを導入する」、「従業員には1日の終わりにその日行った業務に関するタスク報告・日報などをチャットやメールで送信してもらう」など、何時から何時までの間働き、何をしていたのかがきちんと分かるシステムを作る必要があります。
テレワーク中であっても適切に人事評価を行うためにも、労働状況の確認は徹底して行いましょう。
テレワーク中の社員と適切なコミュニケーションを取る
次に、テレワーク中の社員と適切にコミュニケーションを取る点についてです。
テレワーク中は直接顔を合わせる機会が激減してしまうことから、どうしてもコミュニケーションを取る機会が減ってしまうもの。その場合、業務を進めるにあたって不便なことが起こる場合もあるでしょう。従業員同士のつながりも希薄になっていき、思うようにチームワークが発揮されないかもしれません。
そのような事態を未然に防ぐためにも、もしもビシネスチャットツールを導入していないのであれば導入する、より気軽に交流できるようにしたいなら社内SNSを取り入れてみるなど、コミュニケーションが盛んになるよう対策をとっておくべきです。
テレワークにおける規程を作成する
最後は、テレワークにおける規定をきちんと作成する点についてです。
テレワークという状況は、一般的な勤務方法とは大きく異なるため、さまざまな面でルールの見直しを行わなければなりません。例えば、テレワーク中の人事評価はどう行うのか、環境を整備するためのIT通信機器の購入などはどこが負担するのかなど、さまざまな疑問点を1つずつ解消し、テレワークにおける規定を作成しておきましょう。
もしも就業規則をどう作成していけば分からないという場合には、厚生労働省が提示している「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」を参考にしてみるのも1つの手段です。
【事例紹介】テレワーク中の労務管理はツールの導入もおすすめ
「従業員の労働状況をよりスムーズに管理したい」、「テレワーク中における入退社の管理もより効率的に行いたい」という場合には、テレワーク中に便利な業務管理ツールや労務管理ツールを導入してみるのも非常におすすめです。
以下では、人気の業務管理ツール・労務管理ツールの具体的な導入事例を紹介していくので、テレワーク中にツールを活用したい場合にはぜひ参考にしてください。
ツール導入事例1:業務管理ツール「MITERAS 仕事可視化」
パーソルプロセス&テクノロジーが提供しているMITERAS 仕事可視化は、その名前からも分かるとおり従業員の仕事状況や作業内容などを見える化できる業務管理ツールです。MITERAS 仕事可視化の導入事例ページ (パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 https://www.persol-pt.co.jp/miteras/work-visible/case/persol1.html 参照)によると、「従業員から申告されている勤務時間と、実際に働いた勤務時間は整合しているのだろうか?」という点をより適切に把握するために、MITERAS 仕事可視化を導入しました。
ツールの導入後は、リアルタイムで仕事状況を把握できることにより、従業員一人ひとりの働き方の傾向が分かるように。残業が多くなりそうであれば様子を伺うなど、コミュニケーションを積極的に取ることでサービス残業を防ぎ、時間内に仕事を終えるという意識が根付いていったと言います。
ツール導入事例2:業務管理ツール「Qasee」
不動産業を中心に展開しているエヌアセット。Qaseeの導入事例ページ (株式会社エヌアセット https://voice.qasee.jp/113/ 参照)によると、増えていく残業が課題となっていたため、その解決のために業務可視化ツールを導入していました。当時導入していたサービスでは、従業員の操作ログを1つずつ確認しなければならず、その作業に時間がかかることに悩まされていたとのことです。
そこでより実用的で活用できるだけでなく、自動で比較分析まで行ってくれるようなツールを探していたところ、業務可視化ツールのQaseeを導入することに決めました。
導入後は、何に時間がかかってしまっているのか、効率化するべき部分はどこかなどを簡単に分析でき、業務効率の改善につなげられたと言います。
ツール導入事例3:労務管理ツール「SmartHR」
ファッション雑貨・キャラクター雑貨のショップ「サンキューマート」を運営しているエルソニック。SmartHRの導入事例ページ (エルソニック株式会社https://smarthr.jp/case/elsonic/ 参照)によると、店舗が拡大していくにつれ従業員はどんどん増加し、年末調整時には1人で400人以上に対し紙を配布・回収しなければならなかったことから、システムの導入を決断しました。
SmartHRを選んだ理由は、直感的に操作できる分かりやすさから。さらには営業担当者のきめ細やかな対応も魅力だったと言います。
導入後は、これまでよりも約2,000枚の書類を削減。オンラインで人事労務業務を進められることで、いつでもどこでも作業でき、テレワークにも問題なく対応可能となったとのことです。
ツール導入事例4:労務管理ツール「ジョブカン 労務HR」
デジタルトランスフォーマーションの推進を軸に160以上もの商材を取り扱っているWiz。ジョブカン 労務HRの導入事例ページ (株式会社Wiz https://lms.jobcan.ne.jp/case/wiz4/ 参照)によると、入社手続きは必ず来社する必要があるだけなく、1人に1時間半もの時間をかけており、フローが多すぎることから人事労務システムの導入を検討していました。
テレワークで対応できるようにクラウド型の人事労務システムを探した結果、ジョブカン 労務HRを導入。いつでもどこでもクラウド上で手続きを進められるようになっただけでなく、地方や海外も含めて遠隔地にいる人も採用しやすくなったことが非常に助かっていると言います。
まとめ:テレワーク中も適切な労務管理で会社全体の生産性を向上しよう
テレワーク中における労務管理の方法やツールの導入に関して紹介してきました。業務管理ツールや労務管理ツール、さらにはコミュニケーションをサポートするビジネスチャットなどまであわせて導入すれば、テレワーク中であっても適切に労務管理を行えます。
テレワークを導入するにあたってツールも活用したいという場合には、ぜひ「おすすめの労務管理システム15選」もあわせてご覧ください。
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