ルート営業に求められるものとは?顧客管理のコツも紹介
ルート営業は既存顧客との関係性を強化し、売上単価をアップさせるために重要な営業方法です。一方で現代の日本では通販サイトの普及などにより価格競争が激化し、製品原価の削減が求められていることから、一部の事業ではルート営業の必要性が疑問視されている部分もあります。
そこで今回は、現代のルート営業に求められているものは何か、業種別の必要性やメリット・デメリットなどを紹介します。またルート営業のマネジメントを行う上で重要となってくる顧客管理をどう効率的に行うか、改善はどのように行うべきかなどのコツなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
- ルート営業とは
- ルート営業と新規営業と深耕営業の違い
- ルート営業のメリット・デメリット
- 業種別にみるルート営業の必要性
- ルート営業に向いている人の特徴
- ルート営業における顧客管理のポイント
- ルート営業で大切なポイント
- まとめ
ルート営業とは
ルート営業とは、取引先の企業を巡回し、商談に持ち込むタイミングを見つける営業手法です。日本では「御用聞き」として江戸時代からあった方法であり、顧客との接点を得たあとに、商品を受注するまで定期的に訪問することで需要の掘り起こし作業を行います。
基本的には既存顧客の売上単価をアップさせるための活動で、食品や製薬、衣料品などのメーカー、メーカー小売、卸売業などがよく活用しています。
ルート営業の仕組み
ルート営業は基本的にターゲットの絞り込み・活動量・商談の質の組み合わせで行われます。ターゲティングは、ポテンシャルの高いターゲットを見つけ出すこと。活動量は、適切な頻度での訪問や状況提供を行うこと。商談の質は、顧客ニーズを理解した上で相手の気持ちを動かすメッセージを送ることで、これらがどれだけできるかで商談の成功が決まります。
マネジメントは顧客管理がメインであり、正しいターゲットに正しい回数、高いクオリティでアプローチするための分析が必要となります。
ルート営業と新規営業と深耕営業の違い
営業の方法にはルート営業のほかにも、新規営業や深耕営業などの手法があります。ではルート営業と新規営業・深耕営業にはどのような違いがあるのでしょうか?新規営業との主な違いは顧客との関係性が挙げられ、深耕営業はほぼ同様の営業方法と言えます。
では次の項目で新規営業と深耕営業の特徴を紹介すると共に、ルート営業とどのように違うのかについて詳しく紹介します。
新規営業の特徴
新規営業は新しい顧客を獲得するための営業方法で、まず顧客との接点をつくることが重要です。テレアポや飛び込み営業のように、営業担当者が直接動くことで初回のアポイントを取り付けることもあれば、マーケディング部門が獲得したリードを引き継ぐ形で初回アポイントを取ることもあります。そのあと取り付けたアポイントでヒアリングや提案などを行い、受注に繋げることが主な仕事です。
深耕営業の特徴
深耕営業は既存顧客に対し、そのときそのタイミングに合わせて新たなニーズを聞き出し、取引を増やしていく営業手法のことです。主な活動は既存客のフォローによる関係性の強化と、それによる取引の拡大であり、顧客に対する理解と細やかなフォローが重要となります。顧客ごとのカルテを作成することも多く、顧客が何を必要としているかを見極め適切な提案ができるように情報を蓄積していきます。
ルート営業と新規営業と深耕営業の違い
まずルート営業と新規営業の違いとして挙げられるのは、顧客との関係性の違いです。ルート営業は基本的に既存の顧客を相手に営業するのに対し、新規営業ではこれまで知らなかった人を相手にするため接し方も異なります。新規開拓では一から関係性を築きますが、ルート営業では既に築かれた関係性を最大化させるための行動を行います。
また新規営業ではアポイント数などでノルマが課せられることもありますが、ルート営業は行動目標を掲げて活動する場合が多いことも特徴です。
ルート営業のメリット・デメリット
次にルート営業のメリットとデメリットを紹介します。メリットは活動が成果に繋がりやすいこと、デメリットとしては事務処理の多さやモチベーションの低下が挙げられます。では詳しく見ていきましょう。
ルート営業のメリット
ルート営業のメリットは、新規営業よりも営業活動が成果に繋がりやすいこと、また目標売上の管理がしやすいことが挙げられます。
新規営業は活動が成果に繋がらないことも多く、ノルマ達成に対するプレッシャーからストレスにさらされることも多くあります。しかしルート営業は知らない相手との関係を築く必要もなく、活動が成果に直結しやすいためストレスも少なくてすむでしょう。また目標売上の管理もしやすいことから、目標に対して実績ブレが少ないこともメリットです。
ルート営業のデメリット
ルート営業のデメリットは、事務処理の多さ、モチベーションの低下が挙げられます。
まずルート営業は活動すればするほど発注頻度が多くなるため事務処理作業が増加し、担当者の負担が大きくなります。また安定した売上成績が見込まれるということは業務内容のマンネリ化を招くため、自分自身の成長を感じられなくなり、モチベーションの低下にも繋がるでしょう。長期間ルート営業に配置するとさぼりや転職を考え始めることもあるため注意が必要です。
業種別にみるルート営業の必要性
ここまで紹介したように、ルート営業にもデメリットは存在するため改めて自社にルート営業が必要なのかを確認し、今後の方針を検討することが大切です。そこで次により具体的なイメージができるよう、業種別でルート営業の必要性について分析します。
業種によってもルート営業の必要性や重要度は異なってくるため、自社の該当する業種ではどのようなケースが考えられるかチェックしてみましょう。
消費者向け事業
まずルート営業の必要性について、改めて見直しが必要なのがこの消費者向けの事業です。現在の日本において、消費者は製品の水準に一定以上のものを求めますが、一方で値段の情報はネット上で簡単に比較できるようになっています。
このように通販サイトの隆盛により価格競争が激化し、製品原価の削減の必要に迫られている今、企業においてルート営業がどこまで必要なのか改めて議論を行うことが大切です。
法人向け事業
法人向けの事業においては、一度繋がりができれば比較的長期継続ビジネスになることも多く、顧客単体の売り上げも消費者より高額になりやすいことが特徴です。また企業で抱えている既存顧客の数も多いため、ルート営業を続けることで安定した売り上げの確保と規模の拡大が期待できるでしょう。
逆にルート営業を廃止すると既存顧客を失う可能性もあるため、ルート営業自体を無くすことは難しいと考えられます。
オフィス向け消費財
オフィス向けの消費財は法人向けの事業ではありますが、近年はネット通販などで商品を購入する企業も増えています。つまり法人向け事業ではあるものの、消費者向け事業と同様の傾向があるということです。
しかしネット通販を選択するかどうかは顧客の手にゆだねられており、いまだに営業担当者を通じて商品を購入している企業も多くいるため、即座にルート営業を廃止することは大きなリスクも伴うことになるでしょう。
サブスクリプション
サブスクリプションは元々ルート営業を必要としない取引形態であり、ネット上での契約が前提となった取引が主体です。法人向けにサブスクリプションサービスを展開している場合もありますが、複雑な交渉が必要となるため、ルート営業よりもプロジェクトチームとして対応することも多くなっています。
とはいえ人間でないと満たせない顧客の欲求もあるため、付加価値をつけてルート営業を強化することも可能です。
ルート営業に向いている人の特徴
では自社でルート営業を強化するとして、どのような人物をルート営業に配置すればいいのでしょうか?ルート営業に向いている人の特徴としては、温厚で几帳面な性格であり調和を重んじること、またスキルとしてはヒアリング力やクレームへの対応力、提案力などを持っている人が考えられます。
ではなぜこのような人たちがルート営業に向いているのか、次の項目で詳しい内容を見ていきましょう。
向いている性格の特徴
まずルート営業に向いている性格としては、万人に好かれるような温厚さを持ち、几帳面でケアレスミスが少ない人が適任です。
新規開拓の場合は多少アクが強く、ガンガン前に出るような性格の方が向いていますが、ルート営業では顧客との関係を良好に保つことが重要であるため、調和を重んじる性格が有効に働きます。また業務内容が同じことの繰り返しになるため、単調な作業を繰り返し続けられる人物であることも重要となります。
営業手法として必要なスキル
営業に必要なスキルとしては聞く力が最も重要であり、そのほかクレームへの対応力や提案力などもあるといいでしょう。
ルート営業の場合は、現在の取引を維持しながら徐々にその規模を拡大する守りの力が必要です。そのため相手の意見をすべて受け入れ高い共感を示しつつ、顧客が今何を必要としているか、また今後何が必要になるかを的確に把握する力が重要となります。
くわえてニーズを理解した上で的確な提案ができれば売り上げのアップに期待できるでしょう。
ルート営業における顧客管理のポイント
前述したようにルート営業のマネジメントは顧客管理が基本であり、これを分析・改善することで売り上げアップを狙うことが可能です。そこで次に、どのように顧客管理を行えばスムーズにルート営業活動が行え、売り上げに繋げられるかについて詳しく紹介します。
ポイントとなるのはデータの可視化・システムの活用・社員の意識改革です。では次の項目で詳しく見ていきましょう。
営業データの分析・改善を可視化
まずルート営業の状況を分析・改善するには現状をデータで可視化する必要があります。顧客を訪問した際の商談内容の入力や、報告書の作成は継続して行っていくと膨大なデータになるため、必要な情報を探し出すのも一苦労となります。そんなときに役立つのがSFA(営業支援システム)で、顧客管理・案件管理・レポート作成などを一元管理し、データを可視化できます。営業活動の効率化も図れるため、課題の発見や収益率アップもしやすくなるでしょう。
CRMを活用する
CRMとは顧客管理システムのことで、顧客の氏名や住所、年齢などの基本的な情報や、購入した商品の履歴や問い合わせ履歴なども一元管理できます。顧客管理を手作業で行うとヒューマンエラーの可能性はゼロにできませんが、これをシステム化することでリスクを回避することが可能です。
また情報の共有もしやすく作業時間も削減できるため業務効率をアップできるなど、導入によりさまざまな効果が期待できます。
関連記事:CRMとは?仕組みから使い方・CRM施策までわかりやすく解説
組織構造だけでなく社員の意識を変えて取り組む
特にSFAやCRMなどの新しいシステムを導入する場合は、組織構造を変えるだけでなく従業員の意識を変えることも重要です。これらのシステムを実際に利用するのは従業員であり、社内にシステムが定着しなければ効果を最大限に発揮することはできません。
そのため説明会の場を設けることなどにより、組織全員がルート営業を改善するための意識の方向性をそろえられるよう取り組みを行いましょう。
ルート営業で大切なポイント
ルート営業で大切なポイントは、多角的な視点・情報共有・改善案実行の徹底です。まず現状改善のため分析を行う場合、原因は複数の要因が重なっていることが多いと頭に置きましょう。そのため多角的な視点をもって複数のデータから原状の分析を行うことが大切。分析システムなどを活用しさまざまな観点から現状を切り取ってください。
またこの分析した結果は部内で周知を徹底することも重要です。メールなどで一斉送信した場合読み飛ばされる可能性などもあるため、直接会って話し、必要であれば繰り返し伝え内容を頭に入れてもらいます。またこれを実行した結果どのような効果があったかも報告してもらい、その結果をまとめてまた情報共有することでルート営業は改善していくでしょう。
まとめ
本記事では、ルート営業の基本的な知識や新規営業などとの違いを紹介すると共に、メリット・デメリットやルート営業に大切なポイントなどを解説しました。ルート営業は新規営業ほど大幅な売り上げアップは期待できないものの、顧客管理をうまく行えば十分成果を出すことが可能です。
また、顧客管理を効率的に行うためにはシステム化が欠かせません。既存顧客の管理にはCRM(顧客管理システム)、新規開拓の営業にはSFA(営業支援システム)がおすすめです。
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関連記事:おすすめSFAを徹底解説
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