ビジネスチャットとは?機能や導入事例を徹底解説
時差出勤、テレワークなどさまざまな働き方が当たり前となっている昨今、業界を問わずニーズが高まっているのがビジネスチャットツールです。業務に関するやりとりをメールよりも気軽に行えるだけでなく、タスク管理やファイル管理もできるなど、ビジネスの効率化に役立つのが何よりものメリット。
しかし、どのようなものか詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、ビジネスチャットツールの導入メリット、機能、活用事例を紹介します。
- ビジネスチャットとは
- ビジネスチャットを導入するメリット
- ビジネスチャットの機能を解説
- ビジネスチャットの導入形態
- ビジネスチャットの費用相場
- ビジネスチャットの活用事例
- ビジネスチャットの選定ポイント
- まとめ:実際にビジネスチャットを比較してみよう
ビジネスチャットとは
「ビジネスチャットツールと言っても、普通のチャットツールを何が違うの?」と思う方も多いかもしれません。ビジネスチャットツールと一般的なチャットツールでは何が異なるのでしょうか。まず第一に「ビジネスにおける業務効率化に役立つ機能があるかどうか」という点が挙げられます。
一般的なチャットツールの場合、1対1やグループでの会話、画像や動画のやりとりなどは可能です。しかし、過去にやりとりされたファイルは期限とともにいつの間にか削除されていることが多いでしょう。
一方ビジネスチャットツールの場合、ファイル管理機能も備わっていることが多く、画像や動画のみならずWordやExcelなどのファイルを送受信でき、管理することが可能です。また、それぞれのマイページでは個別のタスク管理も行えるなど、ビジネスに役立つ機能が多く搭載されています。
ビジネスチャットを導入するメリット
ビジネスチャットは、導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。1つずつ確認していきましょう。まずはじめに、社内のコミュニケーションのハードルが下がることが大きなメリットとしてあげられます。わざわざ長文のメールを作成する必要もなく、気軽にメッセージのやりとりが行えるためコミュニケーションがスムーズになるでしょう。複数人によるグループチャットも行えることに加え、ビデオ通話も行えるため、webミーティングを開催できるものも存在します。
加えて、タスク管理やファイル管理ができることや、セキュリティ対策がしっかりしているシステムが多いという点はビジネスチャットならではの強み。各種プライベート用チャットツールよりも高水準のセキュリティ環境が整えられており、金融機関と同レベルの安全性のもとで使用することができるものも。
業務の効率化を叶えるさまざまな機能をセキュアな環境で使えるため、テレワークにも大いに役立つと言えるでしょう。
ビジネスチャットの機能を解説
ビジネスチャットツールを導入するメリットなどを紹介してきましたが、ビジネスチャットツールと一口に言っても、それぞれのツールによって機能はさまざま。きちんと社内で機能要件を定めてからでないと、選定がスムーズにいきません。この後紹介していく機能の数々を参考にして、要件を1つずつ定めていくことをおすすめします。
具体的にはどのような機能が搭載されているのか、さらにはオプション的機能にはどのようなものがあるのかもあわせてチェックしていきましょう。
ビジネスチャットの代表的な機能
はじめに、多くのビジネスチャットツールに備わっている基本的な機能についてチェックしていきましょう。
グループチャット機能
グループチャット機能では、社内ユーザーのみで構成されたチャットルームを作成できる一方で、社外ユーザーも含めたチャットルームを作成できる場合もあります。社外のデザイナーやエンジニアなどともスムーズに情報をシェアできるでしょう。
タスク管理機能
タスク管理機能では、個人でタスク管理を行えるのみならず、タスクの共有も行うことができます。そのため、チーム全体でプロジェクトの進捗を管理することもでき、うっかりタスクをやり忘れてしまうという対応漏れを防ぐことも可能です。
ファイル共有機能・検索機能
ファイル共有・検索機能では、Microsoft Office系のファイル各種をはじめ、画像や動画などのデータファイルもアップロード・管理が可能。ビジネスチャットツール上でwebミーティングをしているという場合でも、ファイルを共有することができます。
ビデオ通話/音声通話機能
テキストによるチャットのみならず、ビデオ通話や音声通話も行うことができます。チャット同様複数人でのコミュニケーションが可能なので、チームのメンバーでwebミーティングを行うといった使い方ももちろん可能です。Zoomなどをはじめとする外部のWeb会議サービスと連携できるものもあります。
カレンダー機能
カレンダー機能が搭載されているため、自分自身のスケジュールを確認できることはもちろんのこと、メンバーのスケジュール確認や、会議のスケジューリングを行うこともスムーズになるでしょう。管理職の場合、部下のスケジュールをハンドリングすることも容易になります。
ツールによってサポートされている機能
ここからは、標準搭載されていない場合もありますが、ビジネスチャットツールによってはサポートされている機能について紹介していきます。
メッセージの既読・未読機能
ビジネスチャットツールによっては、メッセージの既読・未読を確認することができます。スムーズなワークフローを実現したい時など、早急な連絡確認や返信が必要なシーンはさまざま。メッセージを読んだのかどうかを確認できると非常に便利でしょう。
アンケート機能
アンケート機能が搭載されているビジネスチャットツールであれば、従業員1人ひとりの声を聞くこともでき、今後どのような施策を展開していくのかに役立てることができます。従業員の意見を聞こうと思っても、紙のアンケートを用いる場合には作成や配布、集計に手間がかかってしまうもの。利便性をふまえると、デジタルの方が効率的でしょう。
外部システム連携機能
ビジネスチャットツールによっては、外部システムとの連携も可能です。なかでもSFAやCRMなどと連携した場合には、チャット内でやりとりされたデータをそのままシステムの顧客情報に落とし込み、営業活動に有効活用することもできるでしょう。
その他にも、勤怠管理システムと連携して出退勤の打刻をチャットツール内で行えることも多いようです。APIで気軽に連携できる場合が多いため、連携のハードルが高くないということも心強いでしょう。
ユーザー管理機能
管理者アカウントがユーザーの追加・削除や利用状況などの管理を行うことも可能です。また、従業員によって権限を細かに設定できるものも少なくありません。一般的なチャットツールよりも、セキュリティ面を考慮した使い方ができるでしょう。
メンション機能
複数人が登録されているグループチャットの場合、特定の人に対するメッセージがわかりづらいもの。複数人いる中で特定の人にあてたメッセージを送信したい場合には、メンション機能を用いることで分かりやすい会話を行えるでしょう。
画面共有機能
ビジネスチャットツールはWeb会議ツールとしても利用できると先に説明しましたが、会議中に画面共有を行うことができるものもあります。見せたい資料やページなどを共有しながらミーティングを行うことが可能です。
AI分析機能
AI分析機能が搭載されているビジネスチャットツールの場合、ユーザーの発言内容やログイン状況などを抽出し、モチベーションの高低チェックや個性分析などに活用することができます。
従業員のモチベーションが下がっているという分析結果が出た場合には、素早くアプローチすることがで業務効率の向上や退職防止につなげることができるでしょう。
ビジネスチャットの導入形態
ここまでビジネスチャットツールで利用できる機能について紹介してきましたが、実際に導入する場合にはどのような形態を選べるのかもチェックしておきましょう。
クラウド型
現在、ビジネスチャットツールの主流と言っても過言ではないのがクラウド型です。わざわざサーバーの構築などから行う必要がないため、最短即日で利用を開始できるなどスピード感が魅力。初期構築費用がかからないことから、イニシャルコストが抑えられるのも大きなメリットです。月々の利用料金も比較的リーズナブルなので、費用面が気になるという場合でも導入しやすいのではないでしょうか。
オンプレミス・パッケージ型
オンプレミス型やパッケージ型のビジネスチャットツールの場合、社内のサーバー上に構築する必要があるため導入までに時間がかかってしまいますが、その分クラウド上の危険にデータが晒されることがないため、非常にセキュアな環境で使用できるのが大きなメリットです。最初に構築費用がかかってしまうものの、カスタマイズ性も高まることから、自社に合わせたビジネスチャットツールを導入したい場合にもぴったりでしょう。
ビジネスチャットの費用相場
それでは、ビジネスチャットツールを導入する際にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。クラウド型とオンプレミス・パッケージ型に分けてチェックしていきましょう。
クラウド型の相場
クラウド型で導入する場合は、1ユーザーあたりの従量課金制、定額課金制といった2つの料金形態が用意されている場合が多いです。1ユーザーあたりの従量課金制の場合には、1ユーザーあたり500円〜が相場。ユーザー数が多くなりそうという場合には、ボリュームディスカウントが多少なりとも適用されるものを選んでおくといいかもしれません。
一方定額課金制の場合は非常に費用のばらつきが多いですが、どのツールももっともリーズナブルなプランで9,000円〜が多いようです。
オンプレミス・パッケージ型の相場
オンプレミス型やパッケージ型の場合、クラウド型と違って月額料金や年額料金を支払う形ではありません。しかし、システム構築費用として初期費用がかかります。契約内容や搭載された機能などにも大きく左右されますが、相場としては30〜100万円ほどとされています。イニシャルコストとしてまとまった額が必要となるものの、ランニングコストは抑えられるでしょう。
詳しい相場情報はこちら
ビジネスチャットツールの導入にかかる費用についてより詳しく知りたいという場合には、ぜひこちらの記事から詳細な相場情報を確認してみましょう。
ビジネスチャットの活用事例
ここからは、ビジネスチャットツールを実際に導入した会社がどのように活用しているのか、具体的にみていきましょう。今回は、「Talknote」・「Chatwork」・「Tocaro」のそれぞれ3つを導入した企業について紹介していきます。
医療法人永原診療会
診療所や訪問介護ステーションなどを複数拠点展開している永原診療会。拠点が増えていくことによってそれぞれのスタッフの勤務時間もバラバラとなっていき、毎朝の朝礼に勤務するメンバーが顔を揃える機会も減っていました。そのため、コミュニケーションを取ることや情報共有が困難になっていたと言います。
そこで社内SNSツールを導入しようと検討し始め、さまざまなツールを試したものの、選定に難航。そのような中、ビジネスチャットツールの「Talknote」は非常に使いやすいと感じたそうです。導入後はスタッフの意識が変わりコミュニケーションが増加。情報交換を行うことによって業務の質も上がり、全体的に残業が減ったと言います。
GMOインターネット株式会社
インターネットインフラ事業やインターネット広告メディア事業など、さまざまな事業を展開しているGMOインターネット。昨今の社会の流れから在宅勤務を取り入れた柔軟な働き方を採用したものの、コミュニケーションの減少によりいくつかの課題が浮き彫りになっていました。在宅勤務として1人で仕事をこなしていくことによって、疲労やストレスなどが生じてしまうと懸念されていたのです。
しかし、以前から活用していたビジネスチャットツール「Chatwork」を引き続き利用することにより、情報共有や収集は変わらずスムーズに。離れていても気軽にコミュニケーションを取れるため、リアルに近い会話の雰囲気がチャット上で再現され、コミュニケーション不足を防ぐことができていると言います。
西日本電信電話株式会社
NTTの基盤的研究開発成果、さらにはグループ会社などの技術を活かして実用化開発や応用研究を行っている西日本電信電話 研究開発センタ。フレックスタイム制や在宅勤務などを取り入れた柔軟な働き方を採用していく中で、コミュニケーションの課題が浮上したことをきっかけに、ビジネスチャットツールの導入を検討しました。
その結果、クラウド・オンプレミスの2つから導入方法を選択でき、セキュリティ面が非常に優れているチャットツール「Tocaro」を導入。チャットログや操作ログなどをしっかり管理できることに加え、要望を伝えると柔軟な対応が見られ、機能の追加などを行ってもらえる誠実な点も高評価と言います。
Tocaroを導入してからは、対面でのコミュニケーションが減ってもTocaro上で十分に補完できているとともに、タスク管理なども行えることによって生産性の向上にも役立っているようです。
ビジネスチャットの選定ポイント
最後に、ビジネスチャットツールを選ぶ際にどのようなポイントをチェックするべきか確認していきましょう。
目的と機能要件をマッチさせる
ビジネスチャットツールを選定する際に注意しておきたいポイントとしてはじめにあげられるのが、目的と機能要件をきちんとマッチさせるということです。
当然ながら、自社が必要としている機能をきちんとまとめておき、そのニーズにマッチしたものを選ばなければなりません。機能が多ければ多いほどいいと思うかもしれませんが、使用しない機能ばかり搭載されていては費用の無駄となってしまうため、必要な機能に絞って選定するべきでしょう。どのような社員でも問題なく使いこなせそうかどうかもきちんと確認しておくべきです。
コストと利用規模のバランスを取る
ビジネスチャットツールを選定する際に注意しておきたいポイントとして2つ目にあげられるのが、コストと利用規模のバランスをきちんと取るということです。
搭載されている機能と費用は見合っているのか、導入料金はリーズナブルでも将来的な拡張も見込めるのかなど、長期にわたって使用することも踏まえて選定することをおすすめします。
また、それぞれのビジネスチャットツールによって標準搭載の機能とオプション対応の機能の線引きが違うため、標準料金でどこまで利用できるのかをきちんと確認しておきましょう。
トライアルを活用する
ビジネスチャットツールを選定する際に注意しておきたいポイントとして3つ目にあげられるのが、トライアルを活用するということです。
どのビジネスチャットツールも数週間ほどの無料トライアルを提供しているため、本格導入の前に使いやすさを確かめておきましょう。その際、社内の運用ルールもあらかじめ考えておくと安心かもしれません。
また、チャットツールの使いやすさだけでなく、サポート体制がどれほど充実しているのかも確認しておけば、万が一のトラブルの場合に安心できるかどうかも判断できるでしょう。
システム連携の可否
ビジネスチャットツールを選定する際に注意しておきたいポイントとして4つ目にあげられるのが、システム連携が行えるかどうかです。
例えば現在利用している勤怠管理システムとも連携できるという場合には、ビジネスチャットツール上でメッセージを送信するだけで、出退勤の打刻を行えることもあります。これまでに社内に設置した打刻機や専用パソコンからのみ打刻していたという場合には、効率化が進むでしょう。
その他にもSFAやCRMなど、連携できると便利なシステムはさまざま。すでに利用している、あるいは今後導入を検討をしているシステムと照らし合わせ、連携に対応しているかどうか確かめておきましょう。
セキュリティレベル
ビジネスチャットツールを選定する際に注意しておきたいポイントとして5つ目にあげられるのが、セキュリティレベルに問題はないかというポイントです。
基本的にビジネスチャットツールは、一般的なチャットツールよりもセキュリティ面に優れており、安心して利用することができます。金融機関レベルのセキュリティレベルを誇るものも少なくありません。しかし、セキュアな環境で利用できるのかというポイントだけでなく、操作ログ・チャットログはきちんと管理できるのか、ログインは2段階認証かなどといったセキュリティを強化する機能面も確認しておきましょう。
また、ビジネスチャットツールの導入後には、社員に対し情報セキュリティに関する研修や教育を行うなどのアプローチも取っておくとより安心できるかもしれません。
まとめ:実際にビジネスチャットを比較してみよう
今回は、ビジネスチャットツールを導入するメリットや代表的な機能、実際の活用事例などを紹介してきました。
テレワークや時差出勤、フリーアドレス制などさまざまな働き方が取り入れられている昨今、対面できる機会が減少していることから、コミュニケーションに関する課題はどうしても浮上してしまいます。
しかしビジネスチャットツールを導入すれば、まるでリアルのような気軽さでコミュニケーションを取ることが可能。タスク管理機能やファイル管理機能などとあわせて利用することにより、業務の効率化や生産性の向上を期待できるでしょう。
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