名刺管理システム導入で作業効率は上がるの?本当に良いサービスの見分け方
ある調べによると、ビジネスパーソンは名刺探しに1年で20.5時間費やしているそうです。それほど名刺を探すことによるタイムロスは大きく、長期的な視野で見たときに生産性を下げる要因となります。
つまり、名刺を探す時間を削減するだけで、単純計算でおよそ2-3日分は多くの仕事ができるようになるわけです。「あの名刺はどこにあったっけ」「あの取引先の住所はどこだった?」と悩む時間を大幅にカットすることが可能になり、本来取り組みたい業務に集中しやすいでしょう。
連絡先をあらかじめデータ化しておけば、先方へのメールや電話もしやすくなるところも魅力といえるでしょう。数多い名刺データの中から必要な名刺を素早く確実に見つけ出すことは、ビジネスをスピーディに進める上で重要です。
この記事では、名刺の整理や活用に役立つ名刺管理システムについて、「どのようなことができるのか」「導入に際して、どのようなポイントに着目すればいいのか」などを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 名刺管理システムとは?
名刺管理システムは、日々のビジネスシーンで得た名刺をデータ化し管理するものです。基本的な仕組みは、次のようになっています。
1. スキャナーやスマホ・タブレットのカメラ機能で名刺情報を取り込む
2. 取り込んだ名刺情報をOCR機能やオペレーターによる手作業などでデータ化
3. 名刺情報をPCやスマホ・タブレットのアプリを使いデータベース化し管理
このようにしてリスト化した名刺の情報を、社内で一括管理・共有することで営業資産として有効活用できる可能性が広がります。名刺を単に整理するだけではなく、一元管理することで名刺情報を効果的に活用していくこと。これが、名刺管理システムに求められているメインテーマといえるでしょう。
そもそも導入の目的は?
あなたはなぜ名刺管理システムの導入を考えているのでしょうか?
個人で導入する場合の目的は、名刺整理の手間を省きたい、保管が大変といったことが多いでしょう。
一方、組織で導入する場合は、個人で導入する目的に加えて、集まった名刺情報を共有したいといったことが加わります。
目的が違えば、適した名刺管理システムも変わります。何のために名刺管理システムを導入したいのか、具体的な選定作業に入る前に必ず確認しておきましょう。
2. 名刺管理システム選びのポイント
数多くの名刺管理システムが提供されていますが、機能・サービス内容はそれぞれ異なります。導入の際にはニーズを明確し、それにマッチしたシステムを選ぶことが重要です。
ここでは、失敗しない名刺管理システム選びのポイントを整理していきます。
2-1. 個人編
まずは「個人」で名刺管理システムを選ぶ際のポイントについてみていきましょう。
大量のデータの管理・分類
名刺ファイルや名刺ボックスを使ってアナログ管理をしている人は、名刺交換した順か、もしくは氏名や会社名の五十音順に名刺を並べているのではないでしょうか。名刺の枚数が多くなってくると、名刺を並べ直すだけでも大変な手間と時間がかかってしまいます。
そこで最初の名刺管理システム選びのポイントは、大量の名刺の情報を効率よく入力できるものであることです。入力した名刺データを、グルーピングしたり分類したりできる名刺管理アプリ機能も必要です。
検索機能が備わっているものを使えば、名刺を探す手間は大幅に削減されるはずです。複雑な検索をしたい場合には、名刺管理システムごとの検索機能を詳細に確認しましょう。
名刺交換した相手との連絡手段
名刺を探す主な目的は、名刺交換した相手の連絡先を知るためでしょう。連絡先が見つかれば、次にメールや電話で連絡という流れに繋がります。こういったときに名刺管理システムにメールやメッセージなどのコミュニケーション機能が付いているととても便利です。
特に一度名刺を交換しただけの顧客と親密になるための方法には答えが無いので、誰しもが悩むポイントかもしれません。突然電話する・メールを送る・ましてや訪問するというのもハードルが高いでしょう。ビジネス感が前面にでてしまうような直接的なアプローチから始めるより、もう少し当たりが柔らかめなオフラインでのやり取りをした方が効果的なこともあるでしょう。
気軽にコミュニケーションがとれるLINEの「メッセージ機能」のようなシステムを活用できるなら重い印象を与えることなく、たわいのない会話から始められるかもしれませんね。
メモ機能
面談・商談・交渉がうまくいっているときには、だいたいメインテーマとは外れた雑談でも話が弾んでいるケースが多いはず。雑談はビジネスコミュニケーションの上でも大きなチカラを発揮する要素です。かといって面談時にプライベートな質問ばかりするのも、露骨な感じが出てしまいます。
会話の中で相手の家族構成・住まい・趣味などのプライベート情報を逃さずその時の記憶を書き残せる「メモ機能」は他愛のない会話を展開するために必須の機能になるでしょう。
名刺情報+面談内容・ビジネス以外のプライベート情報などを一括管理できる名刺管理機能をフル活用するうえでも、「メモ機能」は次のビジネスへの武器になりえる重要機能といえるでしょう。
2-2. 組織編
一方、「組織」で名刺管理システムを活用したい場合には、どのような機能やサービスが必要となるのでしょうか。
リードナーチャリングの第一歩
「リードナーチャリング」とは、直訳すると「見込み客を育成する」こと。たとえば名刺交換しただけの相手を「有望な」見込み顧客へと育成するという、近年注目されているマーケティング手法です。見込み顧客が求めているであろう情報を提供して自社の商品やサービスに関心を持ってもらい、購入、契約へつなげるのが狙いです。
名刺管理システムを導入することで、リードナーチャリングを行うための第一歩を踏み出すことができます。なぜなら社内に散在していた見込み顧客の情報を一元管理できるようになるからです。どのような見込み顧客がいるのかを社内で共有できれば、提供する情報やサービスの戦略を練ることができます。
見込み顧客の情報とステータスを把握しやすくなるような名刺管理システムを選べば、マーケティングの改善も期待できそうです。
社内での情報共有
名刺管理システムの大きな特徴は、個人が集めた顧客情報を全社的に共有し、人脈を可視化できることです。各社員が培った人脈は企業にとって重要な資産になりえます。しかし情報共有が上手くいかず、活かしきれていないという企業は少なくありません。日々増える人脈を常に報告し合うのは手間がかかりすぎます。
名刺管理システムを活用して築いた「人脈データベース」は個人で効率的に名刺管理ができるだけでなく、社内で閲覧・更新が可能で、会社全体としての人脈への発展が期待できます。
たとえば、内勤のスタッフが持つ人脈を営業に活かしたり、営業先のダブルブッキングを防いだり、連絡先情報をもとに年賀状を配布したりなどの対応も簡単に行えるようになります。
データ重複対策
社内で名刺を集めたとときに頭を悩ませるのが、名刺データの重複対策。つまり同じ相手の複数名刺の「名寄せ」です。名刺管理システムを選ぶとき、できるだけ「名寄せ」をお任せでやってくれる機能があると便利です。
自動名寄せ機能があるものでも、正しい名寄せが行われたのか確認する必要はあります。そのためには、自動(あるいは運営会社での手動)での名寄せ機能に加えて、どのように名寄せしたのか確認しやすい名刺管理システムを選びましょう。
セキュリティ
個人情報の漏洩を避けるために、企業では個人情報保護や管理には細心の注意を図っています。セキュリティ面で万全な対策が施されているかどうかは、名刺管理システムを導入するうえで大きな検討要因になるでしょう。
現在、組織による名刺管理システム利用では外部連携して活用されるシーンが増えてきています。パブリッククラウドを利用するようであれば特に、データの送受信の暗号化対策・ログイン認証の二重化などのセキュリティ機能は必須です。
オペレーターによる名刺データの手入力は名刺情報精度を上げるためには効果的ですが、オペレーション面でのセキュリティ対策状況はチェックすべきポイントです。「Sansan」「アルテマブルー」などの名刺管理システムでは、名刺情報全体ではなくパーツに分けた情報をオペレーターにデータ化させる対策をとることで情報漏えいを防いでいます。
3. 名刺管理システムの便利なプラスα機能
名刺管理システムは、ほかにも業務を便利にするプラスαの機能があるものが多数あります。もちろん、機能が多ければ多いほど優秀なシステムというわけではありません。しかし名刺管理の目的によっては、これだけは外せないといった機能もあると思います。そんなときに確認したいポイントをご紹介します。
名刺情報のオペレーターによる手入力
名刺管理システムによっては、運営会社のオペレーターが名刺情報を手入力してくれるサービスがあります。たとえば、「Sansan」が同サービスを提供しています。
ほかにも「メイシー」のように、名刺そのものを運営会社に配送すると、オペレーターが手入力してくれるサービスもあります。
非効率的な気もしますが、いずれのサービスも名刺情報を「正確に」入力するための手段として手入力を行なっています。名刺情報は正確に入力されなければ、活用することができません。入力される名刺データの正確性を求める場合は、オペレーターが手入力をしてくれる名刺管理システムは有力な選択肢となるでしょう。
SFA/CRMとの連携
名刺管理システムを活用して築きあげた「人脈データベース」をSFA/CRMと連携させれば、データを営業活動にも活用することができます。データベースを利用することで、顧客や組織における営業活動のカバー範囲が把握でき、同一顧客への重複営業を避けることもできるでしょう。営業先についての情報共有にも役立ちます。担当営業の異動や退職の際の引き継ぎにも便利です。
このような連携による相乗効果を狙うならば、名刺管理システムがどのSFA/CRMサービスと連携できるかといった点や連携時の使い心地を確認することは必須です。
あるいは、「ホットプロファイル」「CAMCARD BUSINESS」といった、名刺管理とSFAやCRMが一体化したシステムを選択するという手もあります。
CSV形式でのデータ出力
名刺管理システムと他システムとの間で直接連携する機能がない場合も、名刺管理システムからデータをCSV形式で出力できる機能があるサービスがあります。CSV形式で名刺データが出力できれば、Excelに取り込んで顧客リストを作ったりなど、データの加工の自由度が高まります。名刺や人脈データを幅広く活用したい場合、CSV形式でのデータ出力機能は必須といえるでしょう。
情報変更・更新の通知
「Eight」などの名刺管理システムでは、顧客側で登録している名刺情報が変更されると、社内で保有している名刺情報も連動して自動的に変更されます。
実際に名刺交換を改めてやらなくても自動情報更新してくれる機能を持つ名刺管理システムでは、更新があったときに通知してくれるサービスもあります。
顧客や見込み顧客の情報が変わるタイミングは、昇進か転職の場合が多く、ビジネスチャンスかもしれません。せっかくのタイミングを逃さないために、情報更新を通知してくれる機能があるとよいでしょう。
4. まとめ
まとめると
・名刺管理システム導入で作業効率が上がる
・作業効率を上げるために、名刺管理の目的に合った名刺管理アプリを選ぶ必要がある
・個人情報を扱うため、名刺管理アプリ選びはセキュリティ面も考慮して慎重に
多くの名刺管理システムは、無料お試し期間を設けています。いくつかの名刺管理システムをピックアップして、無料のお試し期間を使い、ここでご紹介したポイントで評価してみましょう。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!