健康管理システムとは?メリットや比較ポイントを解説
健康管理システムとは、従業員の健康に関する情報をシステム上で一元管理できるITツールのことです。健康状態を適切に管理することによって、従業員が心身ともに健康な状態で仕事に従事できれば、企業全体の労働生産性の向上につながります。
適切な健康管理は企業にとって重要ですが、従業員の数が増えれば増えるほど、人事労務担当者の負担は増大します。「健康管理業務をもっと効率化したい」とお考えの企業におすすめなのが健康管理システムです。
この記事では、健康管理システムの主な機能や導入メリット、製品の比較ポイントなど、健康管理システムについて詳しく解説します。健康管理の効率化を図りたい企業担当者はぜひ参考にしてください。
- 健康管理システムとは
- 健康管理システムと健康診断システムの違い
- 健康管理システムの機能
- 健康管理システムのメリット
- 健康管理システムのデリット
- 健康管理システムの費用相場
- 健康管理システムを比較・検討する際のポイント
- まとめ:システム導入で効率的な健康マネジメントを
健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康に関するすべての情報を管理できるシステムです。これまで紙やExcelなどで管理してきた従業員の健康に関する膨大なデータをすべてオンライン上で一元管理できるため、健康管理業務の業務効率化が可能となります。
また、データ管理だけではなく、健康診断の予約やストレスチェックの通知など従業員の健康管理にまつわる事務作業もシステム上で完結できます。2015年から年1回のストレスチェックが義務化されるなど、国が「健康経営」を推奨していることもあり、健康管理システムを導入する企業は年々増えています。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。
健康管理システムと健康診断システムの違い
健康管理システムと混同されがちなITツールに健康診断システムがありますが、利用対象者が異なります。健康診断システムは医療機関向けのITツールです。診察業務のほか、健康診断の予約から受診者の結果入力、各企業や健康保険組合への請求書発行、精密検査対象者へのフォローなど健康診断にまつわる幅広い業務をサポートする機能を搭載しています。
一方で、本記事で紹介している健康管理システムは、企業側が従業員の健康に関する情報を一元管理できるツールのことです。健康診断の予約機能や結果の管理機能、ストレスチェックの実施機能、労働基準監督署に提出する書類の作成機能などが主な機能となります。このように、健康管理システムと健康診断システムは名前はよく似ていますが、利用対象者が異なるツールです。
健康管理システムの機能
健康管理システムの主な機能は以下の通りです。
- 健康診断の予約・結果の管理
- ストレスチェック
- 労働基準監督署向け書類作成機能
- 産業医との連携機能
健康診断の予約・結果の管理
健康管理システムには、健康診断の予約をシステム上で行える機能があります。従業員が自ら健康診断の予約を取ることが可能なため、人事労務担当者が日程調整をする手間を省くことができ、業務負担軽減につながります。また、受診漏れや再検査への受診勧奨を自動的にメールでリマインドしてくれる機能も搭載されています。
さらに、膨大な健康情報を蓄積できる機能も搭載。蓄積されたデータから従業員の健康状態を分析し、健康リスクが高い対象者を自動的にピックアップすることも可能です。
ストレスチェック
健康管理システムには、ストレスチェックを受けられる機能もあります。2015年から従業員50人以上の企業に対して、ストレスチェックを実施することが義務化されました。健康管理システムでは、いつでもストレスチェックを受けることが可能です。健康診断の結果と合わせて確認することで、従業員が現在、どのくらいのストレスを抱えていて、健康状態にどう影響しているのかを把握できます。
労働基準監督署向け書類作成機能
従業員の健康診断終了後には、その結果を労働基準監督署に提出しなければなりません。健康管理システムには、入力した健康データをもとに、提出用の書類・報告書を自動で出力してくれる機能があります。健康管理システムを導入することで、書類作成の手間を削減できるだけではなく、入力・転記ミスといったヒューマンエラーの削減にもつながります。
産業医との連携機能
健康管理システムのなかには、健康診断やストレスチェックの結果をもとに、産業医への相談が必要な従業員を自動的にピックアップする機能を持つシステムもあります。また、システムから従業員本人が産業医との面談予約を取ることも可能です。産業医への面談のハードルが下げられるだけではなく、人事労務担当者の業務負担の軽減にもつながります。産業医との面談結果の記録はシステム上で一元管理できるため、従業員の健康状態のちょっとした変化にも迅速に対応できます。
以上、健康管理システムについての基本情報をお伝えしました。健康管理システムの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツ(当サイト)をご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合った健康管理システム(最大6社)をご案内可能です。
健康管理システムのメリット
健康管理システムのメリットをまとめると、次の5点に集約できます。
- 健康管理に関する事務負担軽減
- 法改正への迅速な対応
- 従業員へのフォローアップが可能になる
- 従業員の離職・休職を防げる
- 健康経営優良法人認定制度に対応できる
健康管理に関する事務負担軽減
管理業務と一口に言っても、数多くの業務を行わなければならず、煩雑で複雑な業務も少なくありません。たとえば、紙ベースで提出される健康診断の結果をデータとして入力する業務や、労働基準監督署へ提出する報告書の作成業務、残業時間の記録・管理業務、産業医との面談結果を記録・管理する業務など、数多くの業務を行う必要があり、担当者に負担がかかります。健康管理システムを導入する最大のメリットは、このような健康管理の業務負担を軽減できる点です。
法改正への迅速な対応
毎年のように行われる健康管理に関する法改正に対応しやすくなる点も、健康管理システムの導入メリットです。近年では働き方改革の影響もあって、労働におけるさまざまな法律が制定され、改正も複数に及んでいます。従業員を雇用する企業は、法改正にも速やかに対応しなければなりませんが、改正内容によって対応しなければならない内容は異なります。
健康管理システムでは働き方に関する法改正に対応しているのはもちろん、今後、法改正が行われた場合にもシステムが自動的にアップデートされるため、制度改正の前後で焦る必要はありません。
従業員へのフォローアップが可能になる
健康管理システムを導入することで、一人ひとりの従業員の健康状態を抜け漏れなく把握できるようになります。健康状態を可視化できるようになり、健康診断で異常が見つかった従業員に対して専門医への受診を勧めるなど、適切なフォローアップ体制を構築可能です。
また、健康データはシステム上に蓄積される仕組みで、医療機関への受診の推奨や産業医への面談の必要性の有無など、データを用いて判断できる点も健康管理システムの導入メリットです。
従業員の離職・休職を防げる
従業員の勤怠データと健康データを照合することにより、働き方が健康状態にどう影響するのかを発見しやすくなります。たとえば、所定を上回る残業時間や休日出勤が健康状態にどのように悪影響を及ぼすのかなどを把握することが可能です。働き方の問題点を把握し、労働環境を改善することで、従業員の離職や休職を防止できます。
健康経営優良法人認定制度に対応できる
健康管理システムを導入し、労働環境を改善することで、健康経営優良法人の認定を受けられる可能性があります。健康経営優良法人とは、日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業を顕彰する制度です。健康経営優良法人に認定されるには、従業員の健康診断の受診(受診率100%)など、一定の基準を満たさなければなりません。
健康経営優良法人に認定されると、取引先や金融機関、エンドユーザーなどから社会的な高い評価を得られます。結果的に、新規採用における応募者の増加や自社のサービス・商品の評価の向上も期待できます。
以上、健康管理システムのメリットをくわしく解説しました。別記事「おすすめ健康管理システム紹介」では、2024年最新比較でおすすめのツールを紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
健康管理システムのデリット
健康管理システムには数多くのメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。デメリットも把握したうえで、健康管理システムを導入するかを検討しましょう。
- 導入目的を明確にしなければ使いこなせない
- 柔軟な運用がしにくいことがある
導入目的を明確にしなければ使いこなせない
さまざまな健康管理システムがリリースされており、製品ごとに機能やできることが異なります。そのため、まずは導入目的を明確にし、目的に合った機能を搭載している製品を選ぶことが重要です。
「健康診断の受診率を上げたい」「残業時間を抑制させたい」といった導入目的を明確にしないまま導入してしまうと、せっかくの機能を使いこなせなかったり社内にシステム利用が浸透せず、健康経営に役立てられないこともあります。
下記の記事では、他社の事例を詳しく紹介しています。健康管理システム選びに失敗したくない人事担当者はぜひ合わせてご覧ください。
柔軟な運用がしにくいことがある
すでに自社独自の産業保健活動や運用方法がある場合には、健康管理システムと併用して使いづらいといったデメリットがある点には注意しましょう。健康管理システムの現在の主流はクラウド型ですが、カスタマイズ性が低く、柔軟な運用がしづらい点がクラウド型の難点です。製品によっては、自社の産業保健活動や運用方法に対応できないケースもあります。
自社独自の産業保健活動や運用方法がある場合は、設定の変更・カスタマイズ・オプションなどの対応で、「やりたいことが実現できるシステムであるかどうか」をチェックしたうえで、導入する製品を選定しましょう。
健康管理システムの費用相場
健康管理システムは、ベンダーが用意したクラウド上でデータを管理する「クラウド型」と、自社に構築したサーバーでデータを管理する「オンプレミス型」に分かれます。このようなタイプによって費用相場が異なります。また機能数によっても料金が左右される点はあらかじめ押さえておきましょう。
クラウド型健康管理システムの費用相場
費用項目 | クラウド型健康管理システムの費用相場 |
---|---|
初期費用 | 10万円~100万円程 |
月額料金 | 1ユーザーあたり200円~1,000円程 |
クラウド型の健康管理システムの初期費用の相場は、10万円~100万円程です。費用相場に開きがあるのは、利用する人数や搭載する機能によって料金が大きく変動するからです。従業員数が多い場合や搭載する機能が多い場合は、料金も高くなります。
月額料金の相場は、1ユーザーあたり200円~1,000円程です。大半の健康管理システムでは、月額料金にサポート費用も含まれています。また、外部システムとの連携など、オプションの有無によっても月額料金は変動します。
オンプレミス型健康管理システムの費用相場
費用項目 | オンプレミス型健康管理システムの費用相場 |
---|---|
初期費用 | 100万円~300万円程 |
月額料金 | 30万円程 |
オンプレミス型健康管理システムの初期費用の相場は100万円か~300万円程と、クラウド型と比較して高額です。初期費用には、システムパッケージ購入費用、サーバー設置費用、サーバー構築費用、サーバーへのインストール費用などが含まれます。オンプレミス型はカスタマイズ性が高いのがメリットですが、初期費用が高く、メンテナンスも自社で行わなければなりません。
ランニングコストの費用相場は、月額30万円程です。システム会社への保守費用、サーバー費用、運用のためのエンジニアの人件費などが含まれます。オンプレミス型のランニングコストは従業員数に関係なく固定のため、従業員数が多い大企業におすすめです。
健康管理システムを比較・検討する際のポイント
健康管理システムを比較・検討する際のポイントは以下の通りです。
- 健康管理システムの費用相場を知っておく
- 自社に合ったシステムか
- 自社の社員数に対応しているか
- セキュリティ対策は万全か
- サポートは充実しているか
健康管理システムの費用相場を知っておく
まずは、健康管理システムの費用相場を確認しましょう。費用相場をあらかじめ確認しておくことで、相場と乖離したような高額料金のサービスを選んでしまうことを避けられます。費用相場を比較する際には、クラウド型、オンプレミス型で相場が大きく異なる点も事前に理解しておきましょう。
自社に合ったシステムか
自社に課題がある場合、その課題を解決できる機能を搭載しているかも重要なポイントです。たとえば、健康診断の受診率の低さに課題があるのであれば、受診勧奨メールの一斉送信機能など、受診率向上に役立つ機能を搭載しているサービスがおすすめです。
さらに、使いやすく操作性が良いシステムは、業務効率の向上に直結します。多くの健康管理システムでは、無料トライアル期間を用意しているので、実際に従業員に使ってもらい、より使いやすいシステムを選定しましょう。
自社の社員数に対応しているか
健康管理システムは、数千人の健康データを管理できるような大企業向けのものと、数十人など小規模のデータ管理に適したものに分かれます。自社の社員数に対応している健康管理システムを選ぶことがポイントです。
セキュリティ対策は万全か
セキュリティ対策が万全かどうかは、健康管理システムを選ぶうえで重要なポイントです。健康情報のデータは個人情報です。万が一、ハッキングなどにより従業員の健康データが漏洩してしまうと、従業員に大きな迷惑をかけるだけではなく、会社への信頼も失われてしまいます。
閲覧制限機能があるか、プライバシーマーク(Pマーク)やISMS認証を取得しているか、二段階認証に対応しているかなどがチェックポイントになります。
サポートは充実しているか
健康管理システムを長く使い続けるうえで重要となってくるのが、サポート体制です。サポート体制が充実していないサービスを選んでしまうと、何か問題が生じたときに解決できず、使い続けることが難しくなります。サポートの対応時間や対応体制(電話、メール、オンラインチャット)を事前に確認しましょう。
以上、健康管理システムの選び方をくわしく解説しました。おさえるべき比較ポイントが複数あり、実際に多くのサービスを比較するのは大変です。システム選びを失敗したくない場合には、市場シェアが大きい人気のツールを選ぶのもおすすめ。詳細は下記の記事をご覧ください。
まとめ:システム導入で効率的な健康マネジメントを
2015年から従業員数50人以上の企業に対してストレスチェックが義務付けられるなど、これまで従業員個人に任されていた健康管理は、今や企業が行わなければならない業務の一つとなりました。また、従業員が健康な状態を維持し、仕事で高いパフォーマンスを発揮することは、より高品質な商品やサービスの提供にもつながります。従業員の健康を効率的にマネジメントしたいとお考えなら、健康管理システムの導入がおすすめです。
とはいえ、健康管理システムは数多くのサービスがリリースされているため、「どのサービスを選べばいいか分からない」とお悩みの方もいるでしょう。導入するサービス選びに困った方は、ぜひPRONIアイミツにご相談ください。ニーズや課題、ご予算をお伺いしたうえで、最適な健康管理システム(最大6社)をご紹介します。
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