「高機能なら使いやすい」は思い込みだった。2度目の勤怠管理システム選びで「完璧」を諦めた理由

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勤怠管理システム導入の検討
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「システムさえ導入すれば勤怠管理は楽になるはず」。そう信じて導入したのに、正しい労働時間が算出できない、ワークフロー(承認フロー)が機能していない……そんな経験はありませんか?

IT系中小企業であるA社も、かつて同じ悩みを抱え、システムの入れ替えを経験した企業のひとつです。

そこで今回は、システムの運用で苦労し、そこから立て直しを図ったA社の人事・労務担当者(以下:Iさん)へ取材を行い、その実体験をまとめました2度目、3度目のシステム選びで判断に迷われている方の、足元を照らすヒントとなれば幸いです。

「システムはあるのに正しさが担保できない」ことへのストレス

Iさんが勤怠管理システムの入れ替えを検討したきっかけは、当時のシステムが「稼働はしているものの、中身が整っていない」状態だったことにあります。

具体的には以下の課題がありました。

勤怠管理システムに感じていた課題

  • 設定の複雑化による仕様把握の困難
    組織変更や運用ルールの変更を繰り返したことでシステム設定が複雑になり、設定内容が実態と乖離していた。
  • 承認ワークフローの停滞と処理遅延
    ワークフロー設定の不備により承認ルートが不明確になり、月次締め処理がスムーズに進まなかった。
  • データの不正確さと手作業の常態化
    システム上の数値への疑念から、毎回検証と修正作業に追われ、本来システムが担うべき集計業務を人がカバーせざるを得なかった。

こうした状況下で、自信を持って「正しい」と言える勤怠データの管理を諦めざるを得ないことは、Iさんにとって大きなストレスでした。自社に合った設定と運用があって初めて、システムは意味を持つのです。

入れ替えて実感した「正しく回る」安心感

現場の混乱を解消するために、Iさんはシステムの入れ替えを決意しました。その際、最優先事項として掲げたのが、混乱の元となっていた「ワークフローの正常化」です。「申請・承認ルートを正しく通ったデータだけが確定する」ことが、当時のシステム選びにおける絶対条件でした。

元々利用していたシステムは設定の自由度が低く、頻繁に行われる組織変更への対応が難しい状況でした。そこで次に選んだのは、対照的に「複雑な組織変更にも対応できる柔軟性」を持つシステムです。Iさんが過去に利用経験があり、「組織の実態に合わせて承認ルートを細かくカスタマイズできる」と考えて導入を進めました。

システム入れ替えにより生まれた安心感
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新しいシステムへの移行により、課題だったワークフローの混乱は解消され、適切な承認ルートを経て勤怠データが確定する仕組みが整いました。これにより、以前のようにデータの整合性に不安を抱えたり、確認作業で業務が停滞したりする問題から解放され、精神的な負担も大きく減らすことができたとのことです。

「高機能=使いやすい」という誤算

しかし、運用を続けるうちに、このシステム最大の特長であるはずの「高い柔軟性」が、新たな課題へと転じてしまいました

柔軟であることは大きなメリットですが、裏を返せば「融通が利きすぎる」ということでもあります。例えば、設定の自由度が高すぎるゆえに、本来は管理者だけが操作すべき項目まで、従業員画面で変更できてしまう箇所がありました。「ここは触らないように」とマニュアルで注意喚起をしても、システム側で完全に制限できない以上、誤操作によるトラブルはなくなりません。

さらに、「入力の手間」という課題も残されていました。現在は勤怠管理システムとPCログの連携ができていないため、従業員は別々に入力しなければなりません。二度入力する手間は、従業員にとって小さくない負担です。また、手動での入力項目が多いほど、実際の労働時間とのズレや入力ミスも誘発しやすくなります。

「高機能であれば、自社にとっても使いやすいはず」。そう思い込んでいたものの、機能の豊富さがかえって現場の迷いや誤操作を招く要因になり得ることや、多機能でも自社の運用に必要な機能が揃っていなければ手作業の負担は解消されないことに、Iさんは運用を通じて気づかされたそうです。

「完璧」を求めないと決めた、再入れ替えの選定基準

運用を経て新たな課題は見つかりましたが、それでもIさんはシステムの入れ替えを「成功」だったと捉えています。なぜなら、当時「絶対に外せない運用」であった「ワークフローの正常化」という最重要課題は解決できたからです。

「全ての願いが叶う完璧なシステムは存在しない」と割り切って、当時の最優先事項(柔軟性)を叶えられるシステムを選んだからこそ、致命的な課題から抜け出すことができました。

その成功体験を糧に、Iさんは現在、さらなる業務効率化を目指して「2度目の入れ替え」を検討しています。

今回の最大の目的は、前章で挙げた「従業員の負担」を極限まで下げることです。 前回の導入では「柔軟性」を最重視しましたが、今回はPCログやチャットツールとの「連携のスムーズさ」を最優先に選定を進めています。

組織のフェーズが変われば、求める「合格ライン」も変わります。機能の豊富さよりも、システム連携による自動化で入力そのものをなくすことこそが、今の自社に必要な「新しい合格ライン」だとIさんは判断しました。

目的を明確にし、完璧を諦める
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数々の課題と改善を経験したIさんが、これからシステムを選ぶ方に向けて伝えたいのが、次の言葉です。

「導入の目的を明確にすること。そして、何を諦めるかを決めること」

どのシステムにも一長一短があります。機能の多さや画面の見た目(UI)に目を奪われると、本来解決したかった「目的」や、自社にとって「絶対に外せない運用」を見失いがちです。

  • 今のシステムで一番解決したい課題は何か?
  • そのために、あえて「何かを諦める」という選択ができるか?

この2つを整理することが、失敗しないシステム選びの第一歩です。

「すべてを解決するシステム」を探して疲れ果ててしまう前に、まずは自社にとっての「合格ライン」がどこにあるのか、整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

もしその整理に迷ったときは、社内だけで抱え込まず、外部の視点を借りて考えてみるのも一つの方法です。

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