IVRの自作方法とは?そのリスクと最近主流のクラウド型IVR3選
社内の要件に合わせた自由なカスタマイズを目的に、IVR(自動音声応答システム)の自作を検討していませんか?その高いカスタマイズ性というメリットがある一方で、高い開発コストや専門知識、運用面のセキュリティリスクといったデメリットも存在します。
本記事では、IVRを自作する方法から、メリット・デメリットまで多角的に解説。その上で、自作における課題を解決できる「クラウド型IVR」をご紹介します。IVRの導入方法で迷っている担当者は、ぜひ本記事で自社に最適な選択肢を見つけてください。
- IVR(自動音声応答システム)とは?基本と仕組みを解説
- IVRを自作する2つの方法
- IVRを自作するメリットと3大デメリット
- 自作のデメリットを解消する「クラウド型IVR」とは
- 【比較表】簡単導入できるクラウド型IVR
- 簡単導入!おすすめのクラウド型IVR3選
- クラウド型IVR選びで失敗しないための比較ポイント
- まとめ:IVR導入は「自作」より「システム利用」が現実的な選択
IVR(自動音声応答システム)とは?基本と仕組みを解説
IVRとは、「Interactive Voice Response」の略称で、日本語では「自動音声応答システム」と言います。その名の通り、顧客からの電話に対し、あらかじめ録音された音声ガイダンスで自動的に応答し、顧客のプッシュ操作(ダイヤルキーの入力)に応じて、適切な情報を提供したり、担当部署へ電話を振り分けたりするシステムです。
身近な例では、コールセンターに電話した際の「ご用件に応じて番号を押してください。新規お申し込みの方は1を、ご契約内容の確認は2を…」といった自動音声案内が、まさにIVRの代表的な機能です。
IVRの主な役割は、電話応対の初期対応(一次受け)を自動化することで、以下のような効果が期待できます。
- 業務効率の向上:よくある質問への自動回答や、用件に応じた適切な部署への直接振り分けにより、オペレーターの対応件数と時間を削減
- 顧客満足度の向上:24時間365日、顧客を待たせることなく即時対応が可能。また、用件と関係のない部署につながってしまう「たらい回し」を防ぎ、スムーズな問題解決を支援
- 機会損失の防止:営業時間外や休日でも注文や予約を自動で受け付けることができ、ビジネスチャンスを逃さない
- 人件費の削減:電話応対に必要な人員を最適化し、コスト削減に貢献
PBXとIVRの違い
IVRと関連する言葉に「PBX」がありますが、その役割は全く異なります。
PBX(構内交換機)は、社内の内線や外部との電話回線を制御する「電話システムの土台」となる機器です。一方のIVRは、その土台の上で自動音声案内を行う「案内専門のソフトウェア」にあたります。
従来、IVRは高価なPBXに付随する追加機能の一つとして提供されることがほとんどでした。しかし、近年の技術革新により、PBXとは独立して導入・利用できるようになっています。
IVRを自作する2つの方法
IVRは自作することも可能で、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- オンプレミス型PBXをカスタマイズする
- APIを利用する
オンプレミス型PBXをカスタマイズする
一つ目は、自社内にサーバーや交換機を設置する「オンプレミス型」のPBXを基盤として、IVR機能を独自に構築・カスタマイズする方法。オープンソースのPBXソフトウェアを利用し、その設定ファイルを記述・変更することで、独自の音声フローを組み上げていきます。
この方法は、既存の電話設備やネットワーク環境を最大限に活用できるでしょう。
APIを利用する
二つ目は、CPaaS(Communications Platform as a Service)ベンダーが提供するAPIを利用して、IVRアプリケーションを自作する方法。APIとは「Application Programming Interface」の略で、ソフトウェア同士が機能や情報を連携させるための窓口のようなものです。
この方法では、ベンダーが用意した電話の発着信や音声再生といった機能を部品のように組み合わせ、プログラミングによって独自のIVRを構築。PBXの知識に加え、Webアプリケーション開発に関するプログラミングスキルが求められますが、オンプレミス型よりも柔軟で拡張性の高いシステムを構築できるでしょう。
IVRを自作するメリットと3大デメリット
独自の要件を実現できるIVRの自作ですが、その裏にはリスクも潜んでいます。ここでは、メリットと代表的な3つのデメリットを解説します。
- メリット:理論上は自由なカスタマイズが可能
- デメリット1:高額な初期投資と見えにくい運用コスト
- デメリット2:高度な専門知識と長期的な開発期間
- デメリット3:属人化とセキュリティリスクという運用面の課題
メリット:理論上は自由なカスタマイズが可能
自作IVRの最大のメリットは、そのカスタマイズ性の高さ。例えば、以下のような特殊な要件を実現できる可能性があります。
- 自社独自の顧客管理システム(CRM)や基幹システムとの複雑なデータ連携
- 業界特有の専門的で多岐にわたる分岐シナリオ
- 独自の音声認識・合成エンジンとの連携
もちろん、こうしたメリットは魅力的ですが、その実現には相応のコストや専門知識が求められる点も考慮しなければなりません。
デメリット1:高額な初期投資と見えにくい運用コスト
IVRを自作する場合、コスト面は大きな課題となるでしょう。その内訳は、開発時に発生する「初期費用」と、運用を続けるための「ランニングコスト」の2つがあります。
初期費用には、サーバーやネットワーク機器の購入費や、開発を担うエンジニアの人件費が含まれます。これらはプロジェクトの規模次第で、数百万円から数千万円規模になることも珍しくありません。
また、運用開始後も「見えにくいコスト」が継続的に発生する点も見逃せないポイント。例えば、サーバーの電気代やシステムの定期的なメンテナンス、障害発生時の対応にかかる人件費などが挙げられます。
デメリット2:高度な専門知識と長期的な開発期間
IVRの自作を進める上で、電話網に関する知識(PBX、SIPプロトコルなど)とWebアプリケーション開発、これら異なる分野のスキルが同時に必要です。その両方を兼ね備えた人材を確保することは容易ではないでしょう。
また、開発期間の長期化も見逃せないポイント。要件定義から設計、開発、テスト、導入までの一連の工程には、数ヶ月以上の期間が必要になることも珍しくありません。変化の速い現代のビジネス環境において、この開発期間が機会損失につながる可能性も十分に考えられます。
デメリット3:属人化とセキュリティリスクという運用面の課題
運用面では、システムの「属人化」が課題となります。開発担当者に知識やノウハウが集中し、その担当者が異動や退職をすると、他の誰も仕様を把握できない「ブラックボックス化」に陥ってしまうリスクがあるためです。この状態では、簡単なシナリオの変更さえ難しくなり、重大な障害が発生した際には事業継続に影響を及ぼす可能性も考えられるでしょう。
また、セキュリティ対策をすべて自社の責任で担う必要がある点も、注意が必要です。IPA(情報処理推進機構)が発表する「情報セキュリティ10大脅威」でも、システムの脆弱性を狙った攻撃やランサムウェアによる被害は常に上位に挙げられています。自作の場合、こうした脅威に対してセキュリティパッチの適用や脆弱性診断などを、自社で継続的に行っていく必要があります。
参考:独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2025」
自作のデメリットを解消する「クラウド型IVR」とは
自作のデメリットを解消し、多くの企業にとって現実的な選択肢となるのが、専門のベンダーが提供する「クラウド型IVR」です。
以下ではそのメリットを紹介します。
- 低コスト・短期間で導入可能
- 専門知識不要で直感的な操作
- 万全なセキュリティと手厚いサポート
低コスト・短期間で導入可能
クラウド型IVRの最大の魅力は、その導入の手軽さです。自作のように高額なサーバー購入や開発人件費といった初期投資はほとんどかからず、月額数千円から数万円程度の利用料金で始められるサービスもあります。
導入までのスピードも早く、Webサイトから申し込み、ブラウザ上の管理画面で必要な設定を行えば、数日で利用を開始できることも少なくありません。このように、ビジネス環境の変化へ迅速に対応できることも、クラウド型IVRの強みと言えるでしょう。
専門知識不要で直感的な操作
自作と異なり、クラウド型IVRはプログラミングや電話網に関する専門知識は必要ありません。音声フローの作成をドラッグ&ドロップなどの視覚的な操作で行えるようになっており、誰でも簡単に自動応答のシナリオを構築・変更可能です。
万全なセキュリティと手厚いサポート
セキュリティ面の安心感が高いことも、クラウド型IVRの大きなメリット。システムのアップデートや脆弱性への対応は、すべて提供事業者が行います。そのため、自社でセキュリティ対策を行わなくても、常に最新で安全なシステムを利用可能です。
また、導入のサポート体制が整っている点も、安心して利用できるポイントです。初期設定や受電後フローの設計などで、専門スタッフによる支援が受けられます。IVRの導入が初めてでも利用開始までスムーズに進むでしょう。
クラウド型IVRの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツをご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったクラウド型IVR(最大6サービス)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
【比較表】簡単導入できるクラウド型IVR
ここからは実際に、簡単に導入できるクラウド型IVRを比較します。料金や導入実績数を比較した表をご覧ください。
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料金 月 3,317 円〜 初期費用 0円
(他3プラン)
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料金 月 2,980 円 初期費用 0円
(他4プラン)
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料金 月 30,000 円~ 初期費用 15,000円~ |
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導入実績社数 累計アカウント数30,000件 |
導入実績社数 100社 |
導入実績社数 情報なし |
月額料金3,317円(税込)〜という安さで、多くの機能を利用できる点が特徴です。電話分岐ルール設定や音声案内、音声録音のような基本的な機能から、電話転送、SMS送信、自動文字起こし、多言語対応など、業務の効率化を強力にサポートする機能まで用意しています。
あらゆるシーンで電話業務を効率化したいとお考えの企業に、おすすめのサービスです。
※2024年2月期_クラウド型IVRシステムにおける市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構 / 調査期間:2024年1月16日~2024年2月2日
対応している言語は40言語あり、日本語、英語、中国語、韓国語と幅広く、海外の顧客が多い企業にとってもおすすめのIVRと言えるでしょう。
できるかぎり顧客が自己解決できるようにサポートすることで、コールセンターの負担を軽減し、業務効率を向上させます。WebページのUI・UXは柔軟に設計可能で、企業のブランドイメージに合わせたカスタマイズができる点もおすすめのポイントです。
簡単導入!おすすめのクラウド型IVR3選
ここでは実際に、簡単に導入できるおすすめのクラウド型IVRを紹介します。
IVRy
「IVRy(アイブリー)」は、株式会社IVRyが提供するクラウド型IVR。導入アカウント数は3万件で、「電話DXクラウド」と「電話業務効率化クラウド」の導入シェアNo.1(※)を獲得している、ユーザー満足度の高いサービス。
月額料金3,317円(税込)〜という安さで、多くの機能を利用できる点が特徴です。電話分岐ルール設定や音声案内、音声録音のような基本的な機能から、電話転送、SMS送信、自動文字起こし、多言語対応など、業務の効率化を強力にサポートする機能まで用意しています。
あらゆるシーンで電話業務を効率化したいとお考えの企業に、おすすめのサービスです。
※2024年2月期_クラウド型IVRシステムにおける市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構 / 調査期間:2024年1月16日~2024年2月2日
主な機能
DXでんわ
「DXでんわ」は、メディアリンク株式会社が提供するクラウド型IVR。他社と比較してコストが安い点がおすすめポイントです。初期費用は無料、月額料金11,440円で音声ガイダンス転送だけでなく、文字起こし、SMS自動送信機能、多言語対応などを利用できます。
対応している言語は40言語あり、日本語、英語、中国語、韓国語と幅広く、海外の顧客が多い企業にとってもおすすめのIVRと言えるでしょう。
主な機能
モバイルウェブ ビジュアルIVR
「モバイルウェブ ビジュアルIVR」は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供するクラウド型IVR。自動音声ガイダンスをWebページで可視化したシステムです。顧客からの問い合わせに対し、SMSを使ってWebに誘導し、顧客が自己解決できる環境を提供します。
できるかぎり顧客が自己解決できるようにサポートすることで、コールセンターの負担を軽減し、業務効率を向上させます。WebページのUI・UXは柔軟に設計可能で、企業のブランドイメージに合わせたカスタマイズができる点もおすすめのポイントです。
クラウド型IVRの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツをご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったクラウド型IVR(最大6サービス)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
クラウド型IVR選びで失敗しないための比較ポイント
数多くのクラウド型IVRの中から自社に最適なサービスを選ぶために、以下の4つの比較ポイントを総合的に評価し、検討を進めていきましょう。
- 料金体系
- 操作性とシナリオ変更の容易さ
- サポート体制の充実度
料金体系
料金体系を比較する際は、初期費用や月額料金だけでなく、「通話料」まで確認することが重要。特に、着信時や転送時に発生する料金や、その課金単位(秒単位か分単位か)は事業者によって異なるため、注意しましょう。
月間の想定利用量をもとにトータルコストをシミュレーションすると、より正確な費用感を把握できます。一見、月額料金が安く見えても、通話料を含めると結果的に割高になるケースもあるため、総合的な視点での比較がおすすめです。
操作性とシナリオ変更の容易さ
IVRは導入して終わりではなく、運用していく中でシナリオの変更や追加が発生します。例えば、「キャンペーン期間中だけ特別な案内を追加したい」「部署の編成変更に伴い、転送先を変更したい」といったニーズに、いかに迅速かつ柔軟に対応できるかが重要。
こうした変更を自社の担当者が簡単に行えるかは、運用のしやすさを左右する大切なポイントです。多くのサービスでは無料トライアルが用意されているため、実際に管理画面を操作し、シナリオ設定のしやすさを試しましょう。
サポート体制の充実度
提供事業者のサポート体制も重要な判断基準です。どのような手段(電話、メール、チャットなど)で、どのような(フロー設計、電話業務へのアドバイスなど)サポートを受けられるのかを確認します。
特に初めてIVRを導入する企業にとっては、手厚いサポート体制が整っているサービスを選ぶことで、安心して運用を開始し、システムの価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
まとめ:IVR導入は「自作」より「システム利用」が現実的な選択
本記事では、IVRの自作のメリット・デメリットから、クラウド型IVRの特徴やおすすめサービスまで解説しました。
IVRの自作は、カスタマイズ性のメリットはあるものの、コストや開発期間、運用、セキュリティといったあらゆる面で高いハードルを伴います。そのため、ほとんどの企業にとっては、クラウド型IVRを利用することがおすすめと言えるでしょう。
これからIVRの導入を検討される場合は、ぜひ本記事でご紹介した「クラウド型IVRの比較ポイント」を参考に、複数のサービスを比較検討してみてください。
数あるクラウド型IVRを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったクラウド型IVRが分かる診断(無料)ができます。
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