「電話が鳴ると、仕事が止まる」月に30時間も奪われていた“人による対応”を手放しリソースを創出するまで
オフィスの電話が鳴る。その瞬間、チーム全員の手が一瞬止まる。「誰が出る?」という無言の空気が流れる。 結局、いつものように責任感の強いあなたが受話器を取る――。
中小企業の現場でよく見る光景です。実はこれ、私たちPRONIの現場でも起きていたことでした。
「お客様かもしれないから、出ないわけにはいかない」 そう思って対応していた電話の正体が、実は営業電話だったとしたらどうでしょうか。
今回は、私たちが実際に直面した「代表電話対応」という課題と、それをIVR(自動音声応答システム)で解決するまでの道のりをご紹介します。 これは単なるツール導入の話ではありません。「なんとなく続けてきた業務」を「仕組み」で断ち切り、本来注力すべき時間をどう守るかという、構造改革の記録です。
- 「ただ電話に出るだけ」が、なぜ組織を疲弊させるのか
- 「個人の頑張り」では解決できない理由
- 運用から構造へ。「門番」を置くという決断
- IVR導入後、失われた30時間が「攻めの時間」に変わった
- 「今の業務のどこに無理がきているか」を整理することが改善の一歩目
「ただ電話に出るだけ」が、なぜ組織を疲弊させるのか
私たちのインサイドセールス部門(内勤営業)では、以前まで「顧客専用番号」に加え、「代表番号」の対応も一手に引き受けていました。 「営業部門は電話に慣れているし、顧客対応と一緒に代表電話も受けられるだろう」 当初はそんな想定で運用していましたが、蓋を開けてみると、現場は小さなストレスの蓄積で疲弊していたのです。
実際に調査してみると、代表電話について驚くべき数字が浮かび上がってきました。
- 1ヶ月の入電数:300件強
- 内訳:約9割が営業電話、ステークホルダーはわずか1割
- 失われた時間:月間約30時間(1件5分換算)
毎日代表電話宛てに10本前後の着信があり、そのたびに業務が中断されます。しかも、そのほとんどが自社には不要な売り込みです。
さらに問題だったのは、「用件と担当者のミスマッチ」でした。 当然ながら、代表電話には管理部門(総務や人事)宛ての連絡が入ります。しかし、最初に受けるのはインサイドセールス部門です。回答はできず、またシステム上の制約で電話の転送ができないため、要件をヒアリングして社内チャットで連携する。「ただ取り次ぐ」簡単な作業が、実際には営業担当の思考を分断し、管理部門の業務リズムも乱していたのです。
「個人の頑張り」では解決できない理由
「新人を電話番にすればいい」
「営業電話なら、すぐに切ればいい」
そう思われるかもしれません。しかし実際には、個人のスキルや役割分担だけでは解決しません。なぜなら、電話対応は「鳴ったら誰かが出る」という習慣によって、仕事の流れそのものを中断させる仕組みになっていたからです。
電話対応を特定の個人に押し付ければ、その人の本来の業務(私たちの場合はお客様への提案活動)が止まります。かといって専用担当者を置けば、人件費がかかります。「誰かが頑張って対応する」という運用でカバーしようとする限り、この「月30時間の損失」は会社のどこかに必ず発生し続けるのです。
これは個人のやる気の問題ではなく、「不要な入り口が開けっ放しになっている」という構造の問題でした。
運用から構造へ。「門番」を置くという決断
そこで私たちは、「人間」で運用するのではなく、「構造」から変えることにしました。 具体的には、IVR(自動音声応答システム)を導入し、人間が出る前にシステムという「門番」を通す仕組みに変えたのです。
これにより、電話の流れは以下のように変わりました。
- 導入前(運用): 電話が鳴る → 全員の手が止まる → 誰かが出る → 営業電話なら断り、担当者がいれば伝言する。
- 導入後(構造): 電話が鳴る → IVRが応答 → 営業電話は自動音声のみで終了、必要な電話だけ担当者が対応する。同時に、IVRの応答内容は自動でテキスト化し通知する。
解決策としてIVRを導入することは決めていましたが、重要だったのは「どのツールを選ぶか」です。私たちは知名度だけで選ばず、徹底的に「コストの発生構造」を比較しました。
多くのサービスを検討する中で見えてきたのは、「月額利用料は安くても、転送通話料が従量課金で発生する」という落とし穴です。私たちの現場では月300件以上の入電があるため、転送費用が積み重なれば、当初のコスト削減効果が薄れてしまいます。また、現場の状況に合わせて柔軟に設定を変えられる「運用の自由度」も必須条件でした。
比較の結果、私たちが選んだのは以下の2点を満たすツールです。
- 転送費用などの追加コストがかからない、シンプルな料金体系であること
- 完全自動化だけでなく、必要に応じて有人対応へ切り替えられる柔軟性があること
「有名なツールだから安心」と思考停止せず、自社の呼量(コールの数)と運用フローに照らし合わせて、最もROI(費用対効果)が高いツールを合理的に選択しました。
IVR導入後、失われた30時間が「攻めの時間」に変わった
この「門番」を設置した結果、効果は劇的でした。
- 月30時間の工数削減に成功(丸3日分の業務時間に相当)
- 「電話対応」というブラックボックスの解消(誰がどんな用件で電話してきたかが可視化された)
- 心理的負担の軽減(不要な営業電話をいちいち断るストレスがゼロに)
特に大きかったのは、インサイドセールス部門が本来の業務である「お客様への提案」に集中できる時間を確保できたことです。
「電話対応を自動化するなんて、手抜きではないか」 当初はそんな罪悪感も少しありましたが、今では「不要な対応を減らすことこそが、本当にお客様へ向き合うための第一歩だ」と確信しています。
「今の業務のどこに無理がきているか」を整理することが改善の一歩目
「うちはIT担当もいないし、そんな設定できるか不安だ」
そう感じている方も多いかもしれません。しかし、今回私たちが変えたのは、難しい技術ではなく「電話の受け方」というルールだけです。
大切なのは、「どんなツールを入れるか」の前に、「今の業務のどこに無理がきているか」を整理すること。社内の人間だけで議論していると、どうしても「今までのやり方」に引っ張られてしまいます。
もし、オフィスの電話が鳴るたびに「またか……」とため息をついているなら、それはもう現場の頑張りで解決すべき問題ではありません。「いきなり導入」ではなく、まずは「現状の整理」から。社内の常識にとらわれない第三者の視点を入れることも、解決への近道になるはずです。
【編集部より:次のステップ】あなたの会社で「本当はやらなくていいはずなのに、習慣でやっている電話業務」はありませんか?まずはその業務に「月に何時間使っているか」をざっくり計算してみてください。その数字を直視することが、改革の第一歩になります。
IVR(自動音声応答システム)のおすすめ記事
IVR(自動音声応答システム)の新着記事
IVR(自動音声応答システム)のランキング
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!