経費精算システムの失敗例からみる原因と対策
この記事では、経費精算システムの導入における失敗例とその原因・対策について詳しく解説します。経費精算システムの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 経費精算システムとは
- 電子帳簿保存法による経費精算の変化
- 経費精算システムの主な機能
- 担当者別にみる経費精算システムのメリット
- 経費精算システム導入の失敗例
- 経費精算システム導入で失敗しないためのポイント
- まとめ
経費精算システムとは
経費精算システムとは、企業において経費の精算を効率的に行うと同時に、経費精算の履歴をわかりやすく管理するためのシステムです。経費精算システムが普及する前は、紙ベースで経費精算や管理を行うことが一般的でした。
しかし、紙ベースでは「記入漏れやミスがあるたびに記入者に差し戻す必要がある」「どこまで申請が通っているのかわかりづらい」「履歴の管理が大変」など、さまざまなデメリットがあります。経費精算システムは、これらのデメリットを解消できるさまざまな機能が搭載されたシステムです。
経費精算システムの導入目的
経費精算システムを導入する主な目的は、やはり「業務効率化」でしょう。経費精算システムに限ったことではありませんが、多くの場合、このような業務システムは効率化を図るために開発されています。もちろん、「社内改革」「ペーパーレス化の一環」として利用している企業も少なくありません。いずれにしても、導入前と比較すると大きな変化をもたらします。
経費精算システムを導入すべき理由
経費精算システムを導入すべき理由としては、前述したように「経費精算にまつわる業務を大幅に効率化できる」点が挙げられます。とくに、これまでは経費精算システムを導入したことがなく、紙で経費精算を行っていたという会社の場合は、経費精算システムを導入することでまさに改革とも言えるほどの変化が生まれるでしょう。
しかし、経費精算システムを導入することによってさまざまなメリットを得られる一方で、デメリットや導入失敗例があるのも事実です。それらについては、記事の後半で詳しく解説していきます。
電子帳簿保存法による経費精算の変化
2021年7月に「電子帳簿保存法」が改正されました(2022年1月施行)。電子帳簿保存法とは、パソコンを使用して作成する税金や経費などの書類の保存方法に関する法律です。
電子帳簿保存法は1998年に施行され、その後社会環境の変化などにともない何度も改正を重ねています。2021年7月の改正では、「書類が期限内に入力されていることが証明できる場合はタイムスタンプの付与が必要なくなる」「検索機能の要件が取引年月日・取引金額・取引先名称に限定(緩和)される」などの変更があったほか、スキャナ保存のタイムスタンプ付与期限も従来の3営業日以内から最長で約2ヵ月以内までに緩和されました。
経費精算に関しては、以下の要件が証明できない場合、タイムスタンプが必要になります。
- 特定の時刻にその電子データが存在していたこと
- 特定の時刻移行、そのデータが改ざんされていないこと
このほかにも、改正(緩和)されたとはいえ注意が必要な内容も少なくありません。改正後の電子帳簿保存法にのっとってすぐに「経費精算システムを導入してすべてペーパーレス化しよう!」とはいかないでしょう。「一定期間は領収書やレシートを取っておく」などのルールを設けた運用が求められます。
関連記事:電子帳簿保存法に対応した経費精算システム
経費精算システムの主な機能
ここからは、経費精算システムの主な機能について解説します。経費精算システムに搭載されている主な機能については、以下のようなものが一般的です。
- 領収書、レシートの読み取り機能(OCR)
- 申請、承認ワークフロー機能
- 仮払い機能
- 入力時のアラート表示機能
- 振込データやクレジットカードとの連携機能
- 他システム(会計ソフトなど)との連携機能
- 経費の内訳確認、分析機能
- セキュリティ機能(二重パスワード、IPアドレス制限、操作ログ管理など)
申請者・承認者はもちろん、経理担当者や経営者にとって便利な機能が数多く搭載されています。以下からは、担当者ごとに得られるそれぞれのメリットについて確認していきましょう。
担当者別にみる経費精算システムのメリット
経費精算システムは、従業員にさまざまなメリットを与えます。ここでは経費精算システムの導入によって得られるメリットを、システムに触れる機会が多い従業員ごとに見ていきましょう。
申請者にとってのメリット
申請者にとってのメリットは、やはり経費精算の申請が楽になる点でしょう。フォーマットにしたがって項目を埋めていくだけで申請が完了するため、手書きで行うよりもスムーズです。項目によっては選択式にすることで、さらに効率化できます。
また、入力ミスがあった際には、その場でエラーアラートがポップアップされるなど、事前にミスを防ぐための機能を搭載しているシステムがほとんどです「差し戻しを受けて入力し直す」という手間がなくなるのもうれしいポイントでしょう。
承認者にとってのメリット
承認者にとってのメリットとしては「経費精算申請の承認漏れがなくなる」「承認作業をスムーズに行えるようになる」といった点を挙げられます。
承認作業が必要な経費精算申請は一覧で確認できますし、万が一承認漏れがあった場合には、メールやシステムアラートなどで通知されるシステムがほとんどです。
また、「内容を確認したらチェックを入れて一括で承認作業を行う」という流れで作業できるシステムも多いため、手作業よりも効率的に承認作業を実施できます。
経理担当者にとってのメリット
経理担当者にとっては、「項目の入力漏れが無くなり、差し戻しや確認作業の手間が減る」「会計ソフトや金融機関との連携で会計業務がスムーズになる」などのメリットを得られます。
項目の入力漏れに関しては、先述したようにアラートが出る経費精算システムがほとんど。申請者にとってのメリットは、経理担当者にとってのメリットだとも言えます。
また、多くの経費精算システムは会計ソフトと連携できる上、振込データの自動作成も可能。申請・承認が完了したあとの経費精算データの帳簿付けや振り込み作業などもスムーズに行えます。
経営者にとってのメリット
経営者にとってのメリットは、「人件費の削減」「生産性の向上」「経費使用状況の見える化」などが挙げられるでしょう。経費精算システムの導入による業務の大幅な効率化は、人件費の削減、そして生産性の向上につながります。
また、どのジャンルの経費がどの程度使用されているかをひと目で確認できるようになるため、「どこにお金を使いすぎているのか?」「コストカットすべき部分はどこか?」といったことがわかりやすくなるのも、経費精算システムを導入するメリットだと言えるでしょう。
経費精算システム導入の失敗例
ここからは、経費精算システムを導入する際によくある失敗例について解説します。導入を成功させるためにも、事前に失敗例を確認しておきましょう。
狙った効果を得られなかった
まずは、経費精算システムを導入しても狙ったような効果を得られなかった失敗について解説します。具体的には「想定とは違って業務効率化にいたらなかった」「申請ミスが思ったよりも減らなかった」などの失敗が考えられますが、すでに経費精算システムを選定する時点で問題が発生している可能性が高いです。
経費精算システムを選ぶ際は、搭載されている機能をきちんと確認することが重要。十分に機能面を確認せずに導入してしまうと、「期待している効果を満たせるような機能が搭載されていなかった」「想定していた使い方ができなかった」などという問題が発生してしまいます。
多機能という理由で選んでしまった
次に、経費精算システムを多機能という理由だけで選んでしまった失敗例について解説します。「機能がたくさん搭載されているので、とりあえずこれを導入すれば良いだろう」という考えで経費精算システムを選んでしまうと、機能を使いこなせずに困る可能性が高いです。
なぜなら、自社に最適な経費精算システムを選ぶには、事前に必要な機能を把握しなければならないからです。システムに搭載されている機能に最初から頼ってしまうと、結局自社にとって必要なものがわからず、不適切なツールに無駄なコストをかけるという結果にもなりかねません。
「経費精算システムを導入する具体的な目的は何なのか?」「その目的を達成するためにはどのような機能が必要なのか?」ということをまずは明確にしましょう。
→経費精算システムの選び方・比較(別記事)
予想以上にコストがかかってしまった
予想していた以上にコストがかかってしまった場合は、料金体系をしっかり把握していなかったことが原因である可能性が高いです。一般的なクラウド型の経費精算システムを例にすると、導入にかかる料金としては、以下のようなものが考えられます。
- 初期費用
- 月額料金
- オプション料金
ただし、初期費用がかからない経費精算システムも少なくありません。月額料金体系も「ユーザーIDひとりあたり◯円」「月額◯円(人数無制限)」など、システムによって異なります。
また、必要な機能がオプションとして提供されている場合は、月額料金に加えてオプション料金も必要となるため、予算をオーバーしてしまうことも。経費精算システムを導入する際は、料金体系やオプション内容などの金額面をしっかりと確認しておくことが大切です。
→経費精算システムの料金相場(別記事)
他システムとの連携が取れていなかった
他システムとの連携に問題を抱える失敗も少なくありません。先にお伝えしたとおり、経費精算システムの中には会計ソフトや金融機関、クレジットカードなどの他システムと連携できるものも多く存在します。
ただし、連携できるものは経費精算システムによってそれぞれ異なるのも事実です。「他システムと連携させながら経費精算システムを活用していきたい」という方は、自社で使用している既存のシステムと連携可能かどうかを、導入前にしっかりと確認しておきましょう。
社内から反対の声が上がる
最後に、「社内から反対の声が上がる」という失敗について解説します。社内ですでに浸透しているフローを変更することは、従業員に少なからず負担を与える行為だと言えるでしょう。そのため、たとえシステムの導入によって業務効率化などの多くのメリットを得られるとしても、導入に反対する声が出てくる可能性はあり得ます。
経費精算システムに限らず言えることですが、新たなシステムを導入する前には、従業員への周知だけでなく、使い勝手などをあらかじめ確認しておくことが非常に大事です。
経費精算システム導入で失敗しないためのポイント
導入に失敗してしまうケースを確認したところで、ここからは経費精算システムの導入に成功するための具体的なポイントを解説します。以下でひとつずつ確認していきましょう。
課題と目的を明確にする
まず、「課題と目的を明確にする」ことが大切なポイントとして挙げられます。
- 経費精算において、解決したい課題はどのようなものか?
- 経費精算システムを導入する目的は何なのか?
上記のような内容をはっきりさせておくことで、経費精算システムの導入に失敗する可能性をぐっと下げられるでしょう。課題と目的を明確化させることで、必要な機能やスペックなどがおのずと絞られてくるためです。
「多機能」「格安」といったわかりやすいアピールポイントには踊らされずに、「自社ではどのような目的を達成したいのか」「解決したい課題はなんなのか」を重視しながらシステムを選定していくと良いでしょう。
企業規模などに合った製品を選ぶ
「提供形態が自社に合っている製品を選ぶ」というのも大切なポイントです。現在、経費精算システムにはさまざまなものが存在しているため、事業規模によって適切なシステムが異なります。
また、「インストール型(オンプレミス型)」「クラウド型」などの提供形態があり、複数の選択肢から選べるシステムも少なくありません。提供形態によって初期費用やランニングコストが異なるため、自社の企業規模や環境に合った製品を選ぶことが、失敗しないためのポイントだと言えます。
事前に無料トライアルを活用する
「事前に無料トライアルを活用する」ことも、大切なポイントとして挙げられます。なぜなら、どんなに良いシステムでも、実際に使ってみなければ自社に合うかどうかはわからないからです。多くの経費精算システムでは無料トライアル期間(試用期間)が用意されており、トライアル期間中はすべての機能が製品版と同様に使用できるサービスも少なくありません。
無料トライアルを利用する際は、期間内にしっかりと機能面や使い勝手について確認しておくことが重要です。以下のような点が満たされているかどうかを意識しながら試用しましょう。
- 自社の課題が解決できる製品か?
- 自社の目的を達成できる製品か?
- 自社の企業規模や業種、業態に合った製品か?
- 従業員(申請者・承認者・経理担当者・経営者)にとっての使いやすさはどうか?
- セキュリティ対策は万全か?
- 操作方法のQ&Aなどサポート体制は整っているか?
社内への浸透を徹底する
最後に、「社内への浸透を徹底する」というのも大切なポイントです。せっかくシステムを導入しても、従業員に活用されないようでは意味がありません。事前に「どのような機能を持った経費精算システムが必要か」「現在の経費精算における課題はなんなのか」など、社員にヒアリングを行いながら条件を洗い出すのもおすすめです。
一部の人間だけで導入を決定し、直前になってからアナウンスを行う場合は、内部からの反発が出てくるかもしれません。早い段階から、新たなシステムを導入するという空気を社内に広めるようにしましょう。
まとめ
ここまで経費精算システムの概要や導入における失敗、失敗を回避するためのポイントなどをご紹介してきました。経費精算システムを導入する際は、まず自社の課題や導入する目的を明確にしておく必要があります。そして、社内の協力を得ながら実際にトライアルを利用して機能面や使い勝手について確認するのも大事です。
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