電子契約で収入印紙がいらない理由は?
取引先との契約には紙の契約書に収入印紙を添付することが一般的でした。しかし、近年は収入印紙がいらない契約方法も増えています。その理由は、インターネットの普及による電子契約の増加です。
また、電子契約をさらに簡潔で効率的に行うための電子契約システムも普及しています。電子契約を導入すれば紙の契約が不要となるため、これまで収入印紙として納めていた印紙税が不要になります。紙の契約書ではなく電子契約にすることでなぜ税金が不要になるのかがよくわからないという方もいるでしょう。
この記事では、電子契約で収入印紙がいらなくなる理由を法律の観点も含めて解説していきます。紙での契約に不便さを感じていた方はもちろん、電子契約を導入したいと考えている方も参考にしてください。
別記事「電子契約システムの価格相場・料金比較」では、電子契約システム利用にあたってかかる費用を解説しています。あわせてご覧ください。
- 印紙税とは?
- 収入印紙とは?
- 電子契約で収入印紙が不要な理由を解説
- 電子契約システムを導入するメリット
- 電子契約システムを選ぶポイント
- おすすめ電子契約システム5選
- 【まとめ】収入印紙が不必要となる電子契約システムを導入してはいかがですか?
印紙税とは?
印紙税とは、契約書・領収書などの課税文書にかかる税金のことを指します。国に対しての支払いが印紙税法によって定められており、万が一手続きを忘れてしまうと脱税になってしまうため注意が必要です。
印紙税を納付しなかった場合、過怠税が課され規程の印紙税に加え、2倍の額を追加で納付しなければいけません。金銭的な負担が増すだけでなく手続きも煩雑になってしまうため、まずは印紙税の概要をしっかり抑えておく必要があるでしょう。
印紙税が必要な場面
印紙税が必要な書面は、「課税文書」です。代表的な課税文書として、不動産の譲渡等の契約書、請負に係る契約書、継続的取引の基本となる契約書、金銭または有価証券の受取書などが挙げられます。その他、国税庁が示す「課税物件表」に記載されている文書には印紙税がかかるため、チェックしておきましょう。
印紙税の税額
印紙税は主に契約書に必要となる税金ですが、印紙税の税額は契約文書の種類や契約金額、種別などによって細かく設定されています。また契約金額の詳細が明記されていない場合でも、想定できる金額に応じた印紙税が必要なこともあるため注意が必要です。
印紙税の納付方法
印紙税の納付方法は複数ありますが、代表的なものとして収入印紙の貼付が挙げられます。収入印紙は法務局や郵便局で購入できるほか、コンビニエンスストアや金券ショップでの取り扱いもあるため手軽に入手可能です。少ない手間で納付でき、最も簡単な方法だと言えるでしょう。
収入印紙とは?
収入印紙とは、国に対して税金を支払うために使用される証書で、大き目の切手サイズに近い貼付型の証紙です。印紙税を支払った証明書として活用でき、印紙税以外にも登録免許税や手数料を支払うシーンで活用されることもあります。似ている言葉として「収入証紙」が挙げられますが、こちらは地方公共団体への支払いをするためのものです。収入証紙はあくまでも国への支払いであるため、用途が異なるものとして混同せず覚えておく必要があります。
収入印紙の貼付方法
収入印紙において、貼り付け欄がある場合は枠内に貼り付け、無い場合の貼り付け場所に指定はありません。契約書の表紙や領収書の表面など、誰が見てもわかる位置に収入印紙を貼付しましょう。再利用を防ぐために消印を押します。
収入印紙を貼り忘れたらどうなるか
必要な書類にもかかわらず、収入印紙を貼り忘れてしまった場合、本来必要な印紙税に加えて2倍の金額を納付する必要があります。また、悪質かつ意図的なものであると認められた場合は、重加算税が課される場合もあるため注意が必要です。一方で、税務調査前に収入証紙の貼付漏れを自主的に申告した場合、ペナルティが軽減される場合もあります。
電子契約で収入印紙が不要な理由を解説
電子契約については、収入印紙を貼付する必要がありません。なぜなら印紙が必要になるのは、書面による契約文書のみだからです。そのため、電子メールに添付したPDFファイルやFAXによる契約書の取り替わしも、書面での契約文書を作成したことに該当しないため、収入印紙は必要ありません。
電子契約を導入することで収入印紙を別途購入する必要がなく、コストダウンを実現しやすくなるでしょう。ここではもう少し深掘りして、国税庁による電子契約と収入印紙の見解について解説します。
印紙税に関する国税庁による見解
電子契約では本当に収入印紙が必要ないのかを不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。国税庁のホームページには、電子契約に加えてPDFファイルや電子メールによる契約でも課税文書には当たらないという見解が記載されています。電子契約書類は「課税文書」ではなく、非課税だと考えて良いでしょう。ただし、電子メールを送信したあとに、現物の文書を送付する場合などは課税文書となり、収入印紙による印紙税が課されるため注意が必要です。
印紙税に関する国会答弁
国会答弁においても、電子契約と印紙税に関する同様の回答がされています。
「請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。 また、ファクシミリや電子メールを受信した貸付人がプリントアウトした文書は、コピーした文書と同様のものと認められることから、課税文書としては取り扱われません。」(引用:国税庁)
電子契約システムを導入するメリット
続いて、電子契約システムを導入するメリットを解説していきます。印紙税が不要になるほか、それ以外の面でもメリットがある契約方法です。それぞれのメリットを比較・検討し、自社にとってメリットがあるかどうかを考えていきましょう。
契約締結までの期間を短縮
電子契約システムを導入することで、契約締結までの期間を大幅に短縮できます。契約書などの文書そのものがいつでもどこでも作成できるようになるだけでなく、管理者の承認を得たり、本社のリーガルチェックを経由したりするなどのワークフローも電子契約システム内で完結できます。そのため情報の一元管理がしやすく、進捗状況が可視化しやすくなるでしょう。結果として、締結までの事務手続きがシームレスに進み、期間短縮へとつながります。
収入印紙などのコスト削減
電子契約システムの場合、作成した文書は課税文書に該当しません。印紙税の課税対象とはならないため、収入印紙を貼付する必要がないのです。契約のたびに収入印紙を用意する手間がなくなり、コスト削減に大きく貢献するでしょう。
まずは、経理部と連携しながら、現在年間でどれくらいの印紙代が発生しているか、把握してみることをおすすめします。そのうち契約書にかかる収入印紙代がいくらかをリストアップし、電子契約を導入した場合のコストダウンを試算してみましょう。
また、システム導入によりコストを大幅に削減できるのは個人事業主やフリーランスにとっても大きなメリットです。
契約書管理の効率化
電子契約システムの導入により、煩わしい紙媒体の契約書管理から解放されるというメリットもあります。毎回紙で印刷や、ファイリングによる穴開け、Excel等でのファイルの保管場所記録など、幅広い事務処理を削減できるでしょう。多くの電子契約システムには、番号管理機能や検索機能がついているため、内容を参照したいときの呼び出しできます。また大量の段ボールを保管する倉庫費用や事務処理に充てる人員の給与も、同時にカット可能です。
下記記事では、電子契約システムのメリットに加え、デメリットも詳しく解説しています。システム導入前にぜひご覧ください。
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電子契約システムを選ぶポイント
ここでは、電子契約システムを選定する際のポイントを紹介します。電子契約システムの選び方やポイントを理解しておくことで、安心してシステムを導入できるでしょう。多数あるシステムを比較・検討する際に役立ててください。
提供形態はクラウドかオンプレどちらがいいか
電子契約システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類存在します。クラウド型システムの場合、インターネット上のサーバーで提供されているシステムであるため、インターネットを介して利用可能です。社内サーバーに依存しないため、異なる支店に勤務する社員や在宅勤務社員がいても作業しやすいことが利点です。
一方で、オンプレミス型システムの場合、自社内にサーバーを置いて環境を構築する必要があります。その分自社用にカスタマイズしやすく、セキュリティレベルも高くしやすいことが利点です。
法的に正当な契約ができるか
電子契約書の作成・締結ができるという最低限の機能だけでなく、法的に正当な締結・管理ができるかが重要です。特に電子署名法や電子帳簿保存法に適応しているかが挙げられます。
例えば電子帳簿保存法では、一定の保存要件を満たす書類のみ電子データでの保存が認められており、この条件を満たさない場合、電子契約をしても紙で印刷して保存する必要があります。このような二度手間が発生しないよう、最初から電子帳簿保存法に対応しているシステムにすることが必要です。
セキュリティ対策は十分か
セキュリティ対策についても、十分検討しておきましょう。利便性ばかり考えてシステムを導入した場合、契約書だけでなく顧客情報・社外秘情報・機密情報などの情報漏洩リスクがあります。責任の所在について問われるだけでなく、社内外から大きな批判を浴び、会社全体の社会的信用を失うことにつながりかねません。システムのセキュリティレベルをチェックするとともに、的確な社員教育を並行して行いながら対策をしていきましょう。
以下の記事では電子契約システムの選び方・比較方法をより詳しく解説したうえで、おすすめのサービスを紹介しています。サービスの選定前にぜひご覧ください。
電子契約システムの導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツ(当サイト)をご活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合った電子契約システム(最大6社)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
おすすめ電子契約システム5選
最後に、おすすめの電子契約システムを紹介します。解説してきたポイントを確認して、自社に合ったシステムを選定していきましょう。複数の電子契約システムを比較することで、業務効率を改善と対策を行うことが可能です。
クラウドサイン
-
料金
月10,000円 -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
1人
クラウドサインは、弁護士ドットコムが提供する電子契約システムです。弁護士監修のシステムとして有名であり、国内シェアNo.1のクラウド型のサービスとして成長してきました。弁護士監修で電子署名法にも準拠しているため、法律関連でも安心して利用可能です。大企業・自治体での導入実績も多く、市場認知度・契約送信件数・有料導入企業数共に高い水準を保っています。契約締結を1週間から1日に短縮できた事例もあるため、契約短縮で高い効果を期待できるでしょう。
- 契約書のアクセスコード設定機能
- 本人確認書類による認証
- タイムスタンプ機能
- 電子サイン機能(立会人型)
- 契約書の一括送付
- 電子文書の送付承認設定機能
- 契約ステータスの管理機能
- 契約進捗のリマインド機能
- 契約期限のアラート機能
- 文書管理用フォルダの作成機能
電子印鑑GMOサイン
-
料金
月8,800円 -
初期費用
なし
-
最低利用期間
1ヵ月
-
最低利用人数
なし
電子印鑑GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングスが提供する電子契約システムです。導入企業数が31万社を突破したサービスであり、多くの会社のペーパーレス・ハンコレスに貢献しています。
権限管理や閲覧制限などの管理機能が豊富であるため、管理体制の構築や強化を目指している方におすすめ。約2,000人との契約締結を1回で完了できるなどルーティン化した大量の業務契約・雇用契約に強く、事務作業に充てる時間の大幅削減が実現可能です。
- 契約書のアクセスコード設定機能
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- タイムスタンプ機能
- 電子署名機能(当事者型)
- 電子サイン機能(立会人型)
- 契約書の一括送付
- 署名依頼のSMS送信機能
- 電子文書の送付承認設定機能
- 契約ステータスの管理機能
- 契約進捗のリマインド機能
-
料金
月1,100円 -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
ドキュサインは、ドキュサイン・ジャパンが提供する電子契約システムです。電子契約が当たり前になりつつあるアメリカを本拠地とする会社であり、既に100万社以上の組織・団体に導入されています。
日本の法律に対応していることはもちろん、契約ワークフローの自動化や、レビュー・承認機能の付与など、多彩な機能が備わっていることが特徴です。契約プロセス全体を可視化しながら一元管理したい会社にとって、相性の良いシステムです。
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- 契約ステータスの管理機能
- 契約進捗のリマインド機能
- 契約期限のアラート機能
-
料金
月10,000円/ -
初期費用
なし
-
最低利用期間
なし
-
最低利用人数
なし
BtoBプラットフォーム契約書は、インフォマートが提供する電子契約システムです。取引先は完全無料で利用できるため、取引相手にも電子契約を推進しやすくなっています。最大5社間契約に対応しているなど幅が広く、1つのプロジェクトに複数の会社が携わることの多い業態に向いています。
過去に紙でやり取りしていた契約書をクラウドにデータ移行できるなど、一元管理しやすいことも魅力だと言えるでしょう。事前に「締結中」「期限切れ」などステータスを設定しておけば、リスト上で状態が可視化されることもメリットです。
- タイムスタンプ機能
- 電子署名機能(当事者型)
- 契約書の一括送付
- 電子文書の送付承認設定機能
- 契約ステータスの管理機能
- 契約期限のアラート機能
- 電子文書の検索機能
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- 電子文書の閲覧権限設定機能
- クラウド(SaaS)
NINJA SIGN
NINJA SIGNは、freeeが提供する電子契約システムです。使いやすさNo.1を掲げており、システムに詳しくない担当者であっても直感的に操作できるUX/UIであることが特徴。契約書の作成・締結・管理までワンストップで管理できるほか、NDAや業務委託など「よくある契約」のテンプレートを記憶できるため、抜群の作業環境を実感できます。
有効期限のリマインド機能をオンにしておけば、システムを毎回参照せずともポップアップでのアラートが可能。「うっかり期限切れ」のリスクも低減しやすくなるでしょう。
以上、おすすめの電子契約システムを紹介しました。PRONIアイミツでは、さまざまな条件で電子契約システムを比較できます。導入実績のある業界・企業規模・使いたい機能などで絞り込み、あなたの会社に最適なサービスを探してみてください。
→電子契約システムのランキングはこちら
【まとめ】収入印紙が不必要となる電子契約システムを導入してはいかがですか?
電子契約と収入印紙の関係から、電子契約システムの導入メリットまでをまとめていきました。電子契約システムを導入することにより、作業効率や生産性が向上するだけでなく、収入印紙が不要になるなど、コスト面での効果も期待できます。情報漏洩リスクに関する知識をつけておくことで、大きなメリットを得られるでしょう。
SaaS比較サイト「PRONIアイミツ」では、電子契約システムの比較・検討をサポートしています。今後、DX化の促進を検討している方は、自社に合ったサービスを比較して見つけていきましょう。
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