モチベーション管理システムとは?導入するメリット・デメリットを解説
テレワークの導入が進んだことに伴い、従業員の働き方は変化しています。多様な働き方ができるようになった一方で、同僚・上司とのコミュニケーションが希薄になったり、企業文化・組織理念が浸透しにくいといった傾向もあります。
現在、「従業員のモチベーションが低下している」「離職率上昇が原因で、職場の雰囲気が悪い」といった課題を抱える企業も多いでしょう。
そのような企業におすすめなのがモチベーション管理システムです。本記事では、モチベーション管理システムとは何か、メリット・デメリット、選ぶポイントを解説します。企業の人事担当者はぜひ参考にしてください。
- モチベーション管理システムとは
- モチベーション管理の必要性
- モチベーション管理システムの主な機能
- モチベーション管理システムのメリット
- モチベーション管理システム導入のデメリット
- 【目的別】モチベーション管理ツールの選び方
- まとめ:エンゲージメントを高めてより良い組織を構築しよう
- よくある質問
モチベーション管理システムとは
モチベーション管理システムとは、組織アンケートやパルスサーベイを通じて従業員のモチベーション状態を把握し、組織の課題を分析できるツールです。1on1やキャリア面談の記録を管理する機能を搭載したシステムであれば、上司と部下のコミュニケーションを促し、認識齟齬や勘違いによるモチベーション低下を防ぐことができます。
また、メンバー間で感謝・賞賛を伝えられるユニークな機能を搭載したシステムもあります。リモートワークが一般化し、社員間のコミュニケーションが希薄になっている今だからこそ、細かなフォローによって良好な職場環境を維持する取り組みが必要です。
社員のモチベーション管理に必要なこと
職場に企業理念を浸透させ、社員のモチベーションを上げるには、ハード・ソフトの両側面からのアプローチが重要とされています。
ハードアプローチとは、評価制度や人材戦略など目に見える形で組織に変更をかけ、モチベーション向上を図る施策を指します。企業全体としてどのような組織を目指しているのかが明確になり、適正評価によってモチベーションが上がる可能性があります。
一方、ソフトアプローチとは、職場の雰囲気や、同僚・上司との関係性など、目に見えない部分を改善する施策です。働き方に不満を抱える社員が多い職場、心理的安全性がない状態の職場では離職のリスクが高まります。アンケートやサーベイで個々人の本音を引き出し、組織体制の改善につなげることで社員のモチベーションアップを図ることが重要です。
モチベーション管理システムは、主に「ソフトアプローチ」に対応したシステムといえます。人事評価制度など「ハードアプローチ」にフォーカスした施策を実施したい企業には人事評価システムや人事管理システムがおすすめです。→人事評価システムについて詳しくはこちら(別記事)
モチベーション管理の必要性
社員のモチベーション管理を行う理由は、「離職率の上昇を防ぎたい」「より心理的安全性が高い組織を作りたい」など、企業によってさまざまです。中でも多くの企業が目指すのは、モチベーション向上により業績が上がることでしょう。
エンゲージメントと業績の関係について、株式会社リンクアンドモチベーションは2017年に統計調査を実施しています。この調査では、従業員のエンゲージメントスコアが高いほど売上・純利益の伸びが安定しやすいという結果が得られました。
出典:株式会社リンクアンドモチベーション「従業員エンゲージメントとキャリア充足度」に関する研究結果(2022年5月)
「従業員エンゲージメント」の向上は”営業利益率や労働生産性”に、主観的な「キャリア充足度」の向上は”年収や役職”に、それぞれプラスの影響があることが明らかになった。
また「従業員エンゲージメント」と「キャリア充足度」の間には相関関係があることも示唆された。
企業には「従業員エンゲージメント」と「キャリア充足度」双方へのアプローチが求められる。
上記の結果から、業績を向上させるためには社員のモチベーション管理が必要であることが分かります。リモートワーク化などによって社員の心情が見えづらい今だからこそ、モチベーション管理の方法を見直し、適切な制度設計を行う必要があるでしょう。
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モチベーション管理システムの主な機能
モチベーション管理システムに搭載されている主な機能を紹介します。
組織アンケート・パルスサーベイ
組織アンケートやパスルサーベイの機能は、モチベーション管理システムの主要機能です。全社員に対して、数分から数十分で完了する簡単なサーベイを定期的に実施することで、組織状態やモチベーションを可視化。企業が今抱える組織課題を把握することができます。
データ分析機能
モチベーション管理システムでは、サーベイ・アンケート結果を集計し、分析する機能があります。部署ごとの分析だけでなく、年齢、性別、雇用形態などさまざまな軸で分析可能で、属性ごとの課題を抽出できます。また、これまで人事担当者が手動でやっていた集計分析作業が自動化されるため業務効率化も図れます。
1on1やキャリア面談記録
モチベーション管理システムのなかには、1on1やキャリア面談の記録を残せるものもあります。具体的には、 面談の日時・場所を設定し、その面談での内容を記録できる機能を利用できます。また、目標設定画面で今期の目標を設定し、面談で進捗を確認する使い方も可能です。定期的に1on1を実施することでコミュニケーション不足の解消を図れます。
感謝・賞賛を伝えられる機能
モチベーション管理システムのなかには、感謝・賞賛を伝えられる機能を搭載したものもあります。具体的には、システム上で感謝のポイントやサンクスカードを送ることができ、感謝・賞賛というポジティブなコミュニケーションを可視化。ポイントを景品に変えることができるシステムもあり、企業の感謝・賞賛文化を促進します。これによってエンゲージメントの向上、チーム連携の強化が期待できます。
モチベーション管理システムのメリット
モチベーション管理システムを導入するメリットとしては、次の3つが挙げられます。
アンケートやパルスサーベイを通じて社員の本音を引き出せる
モチベーション管理システムでアンケート・パルスサーベイを実施することで、普段の会話では引き出せない社員の本音を把握できる点がメリットです。社員の現在の状態や悩み、課題を把握し、適切な対策を立てることで、より強い企業組織をつくることができるでしょう。
アンケートやパルスサーベイの効果を最大化するには、継続的に実施することが重要です。継続的にデータを収集することで、組織内の変化を把握できるようになります。また、社員への業務負担を最小限に抑えるために、質問内容や選択肢を明確に設定し、回答者に負担をかけずに真摯な回答を促すことも重要です。
サーベイの結果を分析し、企業組織全体の課題を把握できる
全社員のサーベイの結果を分析することで、現状、企業組織全体で何が大きな課題となっているかを把握できる点がメリットです。これによって優先的に対応すべき課題が分かり、効果的な改善策を立案することができます。
たとえば、ある部署のサーベイ結果が他の部署よりも明らかに悪い場合、その部署の仕事の進め方や目標設定、メンバー1人ひとりのパフォーマンスなどを確認することで、原因を特定し対策を打てます。
離職率の改善や、適切な人材配置を図れる
モチベーション管理システムを導入することで、従業員のエンゲージメント、意見や不満、能力や適性を把握できる点がメリットです。エンゲージメントを向上させる効果的なコミュニケーションを図ることで従業員の満足度が向上し、離職率の改善が期待できます。
また、サーベイのデータ分析によって各従業員の能力や適性を把握できれば、企業は人材を最適なポジションに配置することが容易となり、生産性向上が期待できます。
モチベーション管理システム導入のデメリット
多くのメリットがあるモチベーション管理システムですが、一方でデメリットもあるため注意が必要です。
組織アンケートをただ実施するだけでは効果がない
組織アンケートは、企業組織の課題を改善して社員のモチベーションを向上させるための手段に過ぎません。「組織アンケートを実施すること」自体が目的にすり替わってしまい、ただ実施しただけで終わってしまえば効果はないでしょう。
さらには、アンケートを実施しただけで具体的な改善が見られない場合、従業員のモチベーション低下や信頼の喪失につながる恐れもあります。そのため、組織アンケート実施後の分析、施策の立案、実行までを運用フローに組み込むことが重要です。
ツール導入に費用が発生する
ツール導入の際に無視できないコストが発生する点は、モチベーション管理システム導入におけるデメリットです。発生する費用項目としては、初期費用と月額料金があります。月額料金は1人あたり300円~500円程が相場で、初期費用については公開していないサービスがほとんどです。
そのため、モチベーション管理システムを選ぶ際は、複数社の相見積もりを行い、費用対効果が高いサービスを選定することがポイント。人事担当者の業務負荷を軽減したり、離職率を改善できるツールなら、ツール導入による人的コスト削減効果が期待できます。→モチベーション管理システムの費用相場はこちら(別記事)
【目的別】モチベーション管理ツールの選び方
目的に合った機能を搭載しているツールを導入しなければ、思った通りの効果が得られず失敗に終わってしまいます。以下では、目的別にモチベーション管理ツールの選び方を解説しますので、ぜひ選定の参考にしてください。
目的①:離職率が上がっており、早急に改善したい
離職率の上昇に悩んでいる企業の場合、まずは離職につながる根本原因を追究することが必要です。そのため、従業員に対して定期的なアンケート調査を実施できるモチベーション管理ツールを選びましょう。
株式会社リクルートが提供する「Geppo(ゲッポウ)」は、全国就業実態調査(JPSED)をもとに退職・休職の要因を導き出し、設問を設計しており、退職原因を突き止めたい企業におすすめです。また、株式会社リンクアンドモチベーションが提供する「モチベーションクラウド」は、20年以上のコンサルティングノウハウを持つコンサルタントが、組織変革までサポートしてくれます。
目的②:従業員のモチベーション管理業務の手間を無くしたい
人事担当者の業務負担を軽減するためにシステム化を行う場合、サーベイ実施だけでなく、その周辺業務まで対応したモチベーション管理ツールを選ぶのがおすすめです。具体的には下記のような機能があると人事管理全般の業務を効率化できます。
- データ分析機能
- 1on1、面談機能
- 目標設定機能
- 自社の人材データベースを連携する機能
- 健康管理、ストレスチェック
これらの機能を搭載したツールを導入することで、モチベーション管理業務の手間を無くしながら、組織全体として活力ある状態を実現できます。
目的③:社員の生産性向上・業績向上を目指したい場合
社員のモチベーション管理を行うことで会社全体の生産性向上・業績向上を目指したい場合は、生産性などの従業員の状態を可視化すること・データ分析によって最適な施策を実施することが重要です。そのためには、組織アンケートやサーベイによる主観的な情報収集だけでなく、従業員の生産性など客観的な数値も含めて一元化できるプラットフォームが必要です。
また、高度なデータ分析機能も必要でしょう。たとえば「モチベーションクラウド」には、過去のサーベイと比較して自社の組織がどのように変化したかを分析できる機能や、同業他社と自社のエンゲージメントスコアを比較する機能があります。また、「HRBrain」にはテキストマイニングで課題を発見できる機能があります。
以上、モチベーション管理システムを選ぶ際、目的別に重視すべきポイントを解説しました。別記事「モチベーション管理システムを徹底比較」では、2024年最新のおすすめサービスを詳しく紹介していますので併せてご覧ください。
まとめ:エンゲージメントを高めてより良い組織を構築しよう
従業員のエンゲージメントを高めることは、離職率の改善だけでなく、生産性向上・業績向上にもつながります。社内メンバーが相互に信頼し合い、より良い組織を構築するためにもモチベーション管理ツールの導入・活用がおすすめです。
とはいえ、数あるモチベーション管理ツールを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったツールが分かる診断(無料)ができます。
よくある質問
モチベーション管理について、よくある質問に答えます。
モチベーション管理とタレントマネジメントの違いは?
「モチベーション管理システム」と似たツールとして「タレントマネジメントシステム」がありますが、両者は目的が異なります。モチベーション管理システムとは、従業員の状態や組織の課題を把握するためにサーベイを実施するシステムです。
一方で、タレントマネジメントシステムは、従業員が持つタレント情報(能力・知見・経験)を一元管理し、個人と組織のパフォーマンス最大化を目指すシステムです。タレント情報をもとに人材配置を考えることで適材適所を実現できます。
パルスサーベイ(Pulse Survey)とは?
パルスサーベイ(Pulse Survey)とは、従業員の心身の健康状態・仕事の満足度を把握するためのアンケート調査です。Pulseとは「脈拍」の意味で、脈拍のように短期間・継続的にアンケート調査を実施することで社員のモチベーションやエンゲージメントの変化を捉えることができます。
モチベーション管理システムはどんな企業におすすめ?
モチベーション管理システムは、「組織規模を大きくしていきたい」と考えている中小企業や、「優秀な人材を逃したくない」という大企業におすすめです。中小企業が組織規模を大きくする段階では、それまでの企業文化が継承されない・新旧メンバー間でのコミュニケーションが上手くいかない、といった課題が生まれます。そのため、定期的なサーベイや1on1によって従業員の意見を掬い取ることが大切です。
大企業においては、従業員数が多いがゆえに1人ひとりの心身の状態、仕事への不満を認識するのが難しいでしょう。従業員の意見を把握できなかったために「優秀な人材が多数退職してしまった」という事態にならないよう、システム導入でモチベーションを管理することが必要です。
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