IP電話とは?スマホで使う方法、メリット・デメリットを解説
「IP電話」という言葉を聞いたことはあるけど、スマホ・携帯電話や固定電話との違いが分からない方も多いのではないでしょうか。IP電話とは、インターネット回線を利用して音声通話ができるサービスのこと。従来の電話にはないメリットも多くあります。
本記事では、IP電話の基礎知識からメリット・デメリットまで解説。スマホや携帯電話でも利用できるおすすめIP電話も紹介しますので、IP電話の導入を検討している企業担当者はぜひ参考にしてください。
- IP電話とは
- 携帯・スマホの電話とIP電話の違い
- IP電話をスマホで使うメリット
- IP電話をスマホで使うデメリット
- IP電話サービスの選び方
- 【比較表】スマホで使えるIP電話サービス
- スマホでも使える!ビジネス向けIP電話4選
- まとめ:スマホ・携帯電話でも使えるIP電話をビジネスに活用しましょう
IP電話とは
IP電話の「IP」とはInternet Protocol(インターネットプロトコル)の略称で、IP電話とはインターネット回線を利用して音声通話を行う電話サービスです。インターネットではパケットと呼ばれる通信技術を用いてデータを送信しており、IP電話でも同様の技術で音声をデジタル化し通話相手のもとに届けています。
IP電話は、固定電話機(IP電話機)に加え、パソコンやスマホでも利用できるサービスが多く、利便性に優れています。また、従来の電話回線(アナログ回線やISDN回線)と比較して、初期費用・基本料金・通話料金が安く抑えられるため、ビジネスでも幅広く活用されています。
IP電話には種類があり、「050型」「0AB-J型」「電話番号不要型」の3つに分けられます。ここからは、各IP電話について簡単に解説します。
050型IP電話
050型は、電話番号の先頭3桁が「050」から始まるタイプのIP電話です。電話番号に地域情報は含まれないため、設置場所に関わらず利用できます。
一方で、接続品質や安定品質などに厳格な基準が設けられていないので、環境によっては通話品質が悪くなる可能性がある点はデメリットです。また、電話番号はインターネットプロバイダーに依存するため、プロバイダーを乗り換える場合は、電話番号も変更しなければなりません。
0AB-J型IP電話
0AB-J型は、一般の固定電話回線と同じ「0AB-J番号」を用いるタイプのIP電話です。固定電話を使っている方がIP電話に切り替えた場合でも、同じ番号を使い続けられます。
050型と比較すると品質条項が細かく規定されており、高いレベルでクリアすることが求められています。そのため、固定電話並みの品質や安定性がある点が一番のメリットです。一方でデメリットは、高い品質を維持するために、050型IP電話と比較してコストがかかる点にあります。
電話番号不要型
電話番号不要型は利便性の高さから急速に普及しているIP電話で、文字通り、電話番号を必要としません。有名なサービスに、LINEやSkype、Zoom、Messengerなどがあります。
一番のメリットは、電話料金が無料な点です。また、スマートフォンや携帯電話からも利用できる点もメリットと言えます。デメリットは、同じアプリを利用している人同士でしか通話ができない点です。
携帯・スマホの電話とIP電話の違い
携帯・スマホの電話とIP電話の違いを表にまとめました。
| 項目 | IP電話 | 携帯電話 | スマートフォン (キャリア通話) |
|---|---|---|---|
| 利用回線 | インターネット回線 | 携帯電話網(LTE/4G) | 携帯電話網(LTE/4G, 5G) |
| 音声伝送方式 | パケット交換 (VoIP) | パケット交換 (VoLTE) | パケット交換 (VoLTE) |
| 回線品質 | インターネット回線の速度や遅延等に左右される | VoLTEは比較的高品質・安定 | VoLTEは比較的高品質・安定 |
携帯やスマホの電話とIP電話は、利用する回線と音声を送受信する仕組みに主な違いがあります。
IP電話はインターネット回線を利用し、音声をデータに変換してやり取りする仕組みです。他のインターネットデータと同様に伝送しますが、音声データを優先して伝送する場合もあります。インターネット回線が混雑していたり、通信速度が遅かったりすると通話品質に影響が出ます。
携帯電話・スマホ(キャリア通話)は、携帯会社の電波を使います。音声をデータ化してデータ通信網で音声通話を実現する設計で、いずれも電波状況が悪いと音声が途切れやすいです。
IP電話をスマホで使うメリット
IP電話をスマホで使うことで、固定電話や携帯電話、スマホのキャリア通話では得られないメリットがあります。
通話料を抑えられる
IP電話を活用すると、毎月の通話料を抑えられます。 同一IP電話サービス同士であれば通話料がかからず、頻繁に連絡を取り合う相手がいてもコストを気にせず済みます。
また、固定電話あての通話料もIP電話は安いです。一般の固定電話の通話料は3分9.35円、携帯電話やスマホの通話料は、大手キャリアで30秒22円程度かかりますが、IP電話は3分8円程度です。外部の固定電話にかける機会が多い企業も通話コストの大幅な見直しが期待できるでしょう。
電話する場所に制約がない
IP電話をスマホで利用すれば、通話場所の制約が少なくなります。固定電話では必要になる固定電話機や配線が不要になるため、オフィスのデスク配置やレイアウト変更が容易です。フリーアドレスのような柔軟なオフィス環境にも対応しやすくなります。
また、外出先や自宅から会社の電話番号で発着信できるため、個人も働く場所に縛られず多様なワークスタイルを効果的にサポートします。
業務用の電話番号が手に入る
社員が業務用の電話番号を取得できる点も、IP電話をスマホで利用するメリット。普段使っている個人のスマホにIP電話アプリを入れるだけで、会社の業務連絡に使う電話として機能するようになります。
特に重要なのは、業務用と私用の電話番号を明確に区別できる点です。個人の電話番号を仕事で開示する必要がなくなるため、社員のプライバシーを保護し、公私混同を防ぐことにもつながります。企業と社員の双方にとって利便性の高い仕組みと言えるでしょう。
コミュニケーション手段が広がる
スマートフォンでIP電話を利用すると、コミュニケーション手段の幅が大きく広がります。
固定電話や携帯電話は主に音声通話に限られています。それに対し、IP電話はインターネット回線を基盤とするため、同じ基盤上でビデオ会議、チャット、ファイル共有といった多様なデータ通信も可能です。
これにより、状況や目的に合わせて最適なコミュニケーション手段を選択でき、業務の効率化や、より柔軟で円滑な情報伝達が期待できるでしょう。
IP電話の導入を検討中の方は、ぜひPRONIアイミツSaaSをご活用ください。アイミツSaaSでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったIP電話(最大6サービス)をご案内可能です。1社1社に問い合わせる手間・ツール選びの時間を大幅に節約できるため、ぜひ一度お試しください。
IP電話をスマホで使うデメリット
固定電話や携帯電話・キャリア通話のスマホならできることでも、IP電話ではできないこともあります。ここでは、IP電話をスマホで使うデメリットを紹介します。
発信できない番号がある
050型や電話番号不要型のIP電話は、119番(消防署)や110番(警察署)といった緊急発信番号にはかけられません。なぜなら、IP電話サービスはインターネット回線を利用しているため、発信者の正確な位置情報の取得が困難であるためです。消防や警察に電話をする場合は、最寄りの消防署や交番の電話番号にかけましょう。
また、フリーダイヤルにも一部のサービスを除いてかけられません。これは、フリーダイヤルは専用の電話回線向けのサービスであり、IP電話はインターネット回線を利用しているためです。フリーダイヤルにかける必要がある場合は、固定電話やスマホのキャリア通話を利用しましょう。
インターネット環境によって通話品質の安定性が変わる
IP電話の通話品質はインターネット回線の環境に依存するため、快適な通話を行うには、一定以上の通信速度の回線が必要です。すでにインターネット環境が整っている場合は問題ありませんが、これからインターネット環境を構築する場合は、その費用がかかってしまう点もデメリットになるでしょう。
IP電話サービスの選び方
ここからは、スマホに適したIP電話サービスの選び方を紹介します。
初期費用・月額料金が予算に合うか
IP電話は固定回線より費用を抑えた導入が可能なのがメリットですが、料金プランは各社さまざまです。利用する人数によって料金が変動するプランや、月額料金を抑えて使った分だけ通話料を支払う従量課金制プランなど、多種多様なプランが用意されています。
また、IP電話同士の通話は無料ですが、その他の回線との通話には費用がかかります。IP電話の導入前には、自社の費用や導入の規模など精査してから、必要に応じたプランを比較して契約するのが良いでしょう。参考までに、初期費用、月額料金、通話料の相場をまとめました。
| 費用項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 初期費用 | 無料~数万円程 |
| 月額料金(基本料金) | 1番号ごと500円~数千円程 |
| 通話料 | 固定電話への発信:3分あたり8円程 携帯電話への発信:1分あたり16~20円程 |
通話品質が良いか
IP電話の音質は、インターネット回線の速度や安定性に影響を受けることはもちろんのこと、サービス提供者が利用するコーデック(音声圧縮・変換方式)、品質管理体制等によっても左右されます。コストだけで判断してしまうと、期待する通話品質が得られない可能性があるので注意が必要です。
導入前にトライアルをして実際の音質を確認したり、音質に関する評判を聞いたりすることで、音質の良いサービスを選びましょう。
ビジネスに必要な機能を搭載しているか
IP電話はサービスによって搭載する機能が異なります。留守番電話機能、通話録音、転送機能など、業務に必要な機能を搭載しているかを確認しましょう。
また、企業によっては電話対応業務に必要な機能が揃っている、クラウドPBX(従来のオフィスで設置されていたPBXの機能を、クラウドサーバー上で提供するサービス)のような電話サービスを選ぶことで、業務効率を向上できます。
以下は、IP電話とクラウドPBXの搭載機能の比較表です。
| 主な機能 | IP電話 | クラウドPBX |
|---|---|---|
| 発信・着信 留守番電話 |
○ | ○ |
| 通話の保留 | ○ | ○ |
| 通話の録音 | △ | ○ |
| システム連携 | △ | ○ |
| IVR(自動音声応答) | × | ○ |
| ネットFAX | × | △ |
一般的には、上記のように搭載機能が異なります。「コストを抑えて事業用の電話番号を導入したい」「高度な機能は不要で、基本的な通話ができれば十分」といった、手軽にシンプルな電話環境を整えたい企業にはIP電話が向いています。一方、「通話を録音してデータで残したい」「自動音声応答を利用して効率化を図りたい」といった、高度な機能も利用したい企業にはクラウドPBXの導入がおすすめです。
電話対応に必要な機能を搭載しつつ、価格を抑えたクラウドPBXも複数ありますので以下の記事も参考にしてサービスを比較してみてください。
企業がIP電話に求める機能とは
PRONIアイミツSaaS(当社)が2025年5月~9月に実施した調査によると、IP電話の導入を検討している企業の約7割が、欲しい機能が明確になっていることが分かりました。その中でも特に求められている機能(複数回答可)のトップは、「スマホ対応(55.6%)」です。
電話の基本機能である「転送機能(30.0%)」「留守電機能(27.9%)」を差し置いてのこの結果は、 「場所や時間に縛られずに会社の電話を取れること」がもはや特別な要求ではなく、ビジネスにおける電話の基本的な条件になったことを示唆しています。
【比較表】スマホで使えるIP電話サービス
以下に、実際にスマホで利用可能なIP電話サービスをまとめました。料金や利用できる番号を一目で確認できるので、サービス選びの参考にしてください。
| サービス名 | 料金 | 利用できる番号 |
|---|---|---|
| MiiTel | 初期費用:無料 月額料金:5,980円/ID |
050 / 03 / 06 / 0120 / 0800 等 |
| pickupon | 初期費用:無料 月額料金:6,000円/ID |
050 / 080 / 0120 |
| Dialpad | 初期費用:要問合せ 月額料金:1,000円/ユーザー |
050 / 03 / 06 等 |
| 03plus | 初期費用:5,000円(税抜) 月額料金:1,280円(税抜)/基本ID+契約番号 |
050 / 03 / 06 等 |
「MiiTel」や「pickupon」は、初期費用が無料で0120番号を利用できるので、フリーダイヤルを利用したい企業にとって有力な選択肢になります。「Dialpad」や「03plus」は、月額料金1,000円台という安さで東京03や大阪06といった市外局番を使えます。
スマホでも使える!ビジネス向けIP電話4選
ここからは、スマホや携帯電話でも使えるIP電話の中でも、おすすめのサービスを紹介します。
MiiTel
「MiiTel」は、900社以上の導入実績と2万人以上の利用者を誇るIP電話サービスです。ソフトウェアやデータベースの開発を行うRevCommが開発・運用を手掛けています。
一番のおすすめポイントは、機能が充実している点。IP電話とコールセンターの運用に不可欠なCTIシステムが融合しているサービスで、自動音声機能や顧客からの入電の順番を管理する機能も標準搭載しています。IP電話を導入したい方はもちろん、コールセンターを運用したい方にもおすすめのサービスです。
そのほかの機能も充実しており、すべての電話内容を自動録音する機能や電話内容を文字起こしする機能も搭載。さらに、専用のアプリをスマートフォンにインストールするだけで、スマートフォンからもIP電話を利用できます。
主な機能
pickupon
「pickupon」は、IP電話サービスやメディア運営を行っているpickupon株式会社が提供しています。スマートフォンでIP電話を利用できるサービスです。
おすすめポイントは、AIが通話内容を自動的に記録・入力すること。SFAやCRMに連携させることも可能なため、システムへの入力の手間が省け、入力漏れも防止します。業務の効率化によって、導入企業のなかには、アポイントメント供給数を2.5倍に伸ばした企業や新規顧客獲得数を1.5倍に伸ばした企業もあるほどです。
導入コストが低い点も魅力です。初期費用は無料、月額利用料は1IDにつき6,000円から導入できます。
主な機能
Dialpad
「Dialpad」は、全世界で6万以上の会社で導入されているIP電話サービスです。クラウド型のシステムやサービスを提供するDialpad Japanが開発・運用を手掛けています。
IP電話による音声通話はもちろん、ビデオ通話機能やメッセージ機能、グループチャット機能などが標準搭載されているため、企業が必要とするあらゆるコミュニケーションを一元化できる点がおすすめ。「チャットで説明を行っていたけれど、音声通話に切り替えたい」といった場合でも、別のシステムを立ち上げる必要はありません。
クラウド型のサービスのため、電話機は必要なく、スマートフォンやパソコンなど、さまざまなデバイスから通話が可能です。Office365やSalesforceといった、ビジネスで利用する多くのシステムとも連携ができます。
03plus
「03plus(ゼロサンプラス)」は、株式会社グラントンが提供しているIP電話。ユーザー数10万以上、継続率97%と信頼性が高いサービスです。
おすすめポイントは、月額1,280円(税抜)~というコストの低さと、最短10分で導入可能な点。コストを抑えつつスピーディーに導入したい企業は特に便利でしょう。通話は、社内グループ間なら内線・外線問わず無料でできるだけでなく、専用アプリを利用すればスマートフォンから固定電話番号での発着信が可能。
電話番号は、03(東京)や06(大阪)、072(大阪府の一部など)といった主要市外局番に対応しており、取得した番号は複数人で共有できます。低価格ながら、自動転送、FAX送受信、電話帳共有など多くの便利機能が標準装備されている点も強み。これらの機能を活用し、業務効率化に貢献するIP電話サービスです。
主な機能
おすすめの法人向けIP電話サービスは、以下の記事でもご紹介しています。合わせてご覧ください。
まとめ:スマホ・携帯電話でも使えるIP電話をビジネスに活用しましょう
IP電話と固定電話のメリット・デメリットを把握し、自社の業務内容を精査した上で、IP電話を導入するかを判断することが重要です。IP電話には、050型、0AB-J型、電話番号不要型の3種類があります。3種類のうち、どの形態が最も合っているかについても考慮しましょう。
数あるIP電話サービスを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツSaaSを活用ください。アイミツSaaSでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったIP電話サービスが分かる診断(無料)ができます。
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