タレントマネジメントシステムの導入失敗事例から学ぶ成功のコツ
人材マネジメントを効果的に実施・運用するためのシステムが「タレントマネジメントシステム」です。本記事では、タレントマネジメントシステムの導入を検討している方に向けて、失敗する理由や失敗事例をご紹介した上で、成功させるためにポイントや選び方について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
- タレントマネジメントはなぜ失敗するのか?
- タレントマネジメントに失敗する3つの理由
- タレントマネジメントシステムの導入失敗事例
- タレントマネジメントを成功させるには
- タレントマネジメントを成功させる3つのポイント
- 正しいタレントマネジメントシステムの選び方
- まとめ:タレントマネジメントの成功には適切なシステム運用が必須!
タレントマネジメントはなぜ失敗するのか?
タレントマネジメントに失敗してしまう根本的な原因として、「タレントマネジメントの概念を理解しないまま実施してしまう」ということが挙げられます。
日本では、そもそも従業員一人ひとりが持つ資質や能力を経営資源として捉えて管理する「タレントマネジメント」の概念そのものが、社会的に見て未だに浸透しきっていないと言えるでしょう。
一方で、一般企業でも導入しやすいタレントマネジメントシステムも数多くリリースされているため、タレントマネジメントに関する理解が薄いまま導入してしまう会社が多いのも事実。システムを使いこなすことによって効果的なタレントマネジメントを実現できますが、まずはタレントマネジメントに関する知識が必要だと言えます。
以下では、タレントマネジメントを理解するために、まずは失敗してしまう3つの理由について確認していきましょう。
タレントマネジメントに失敗する3つの理由
ここからは、タレントマネジメントに失敗してしまう3つの理由について解説します。ひとつずつ、詳しく確認していきましょう。
①目的が明確にされていない・曖昧なまま
失敗する第一の理由として、まずは「目的が明確にされていない・曖昧なまま」という理由を挙げられるでしょう。「なぜ自社にタレントマネジメントシステムを導入するのか?」「タレントマネジメントを実施することで解決したい課題や達成したい目的は何か?」といった内容を明確にしないまま推し進めてしまうと、実施後の振り返りや効果確認なども難しくなってしまいます。
また、会社として求めている人物像が曖昧なままだと、タレントマネジメントを行っても思うような結果を得られない可能性が高いです。現場と管理職・経営層との齟齬も生じてしまうでしょう。
②データをうまく活用できていない
「データをうまく活用できていない」という失敗も少なくありません。具体的な内容としては、「データの数が足りない」「データを一元管理できていない」「社内で情報共有できていない」などの例を挙げられるでしょう。
まず、そもそも収集しているデータの数が足りないと、当然ですが分析などには活かせません。また、データが複数の場所に保存されており、一元管理できていない場合も、人材情報を軸とするタレントマネジメントの効果を十分に受けられないでしょう。
もちろん、データを活用するには社内でスムーズに共有できる体制が整っていなければなりません。以上の3点をまず踏まえておくことが重要です。
③適切なシステムを導入できていない
「適切なシステムを導入できていない」というのも、失敗する大きな原因です。冒頭で、現在は一般企業が導入しやすいタレントマネジメントシステムが多く、システムを使いこなすことによって効果的なタレントマネジメントを実現できるとお伝えしました。しかし、「適切なタレントマネジメントシステム」は企業規模や業種、業態によってそれぞれ異なります。
また、人事管理システムと人事評価システムの違いを理解できていないまま、不適切なシステムを導入してしまうというケースも少なくありません。状況によっては、タレントマネジメントシステムではない別のシステムの方が適切な場合もあります。
まずはタレントマネジメントの概念を理解した上で、自社が達成したい目的や解決したい課題をしっかりと洗い出した上でシステムを選定・導入することが大切です。
タレントマネジメントシステムの導入失敗事例
ここからは、タレントマネジメントシステムの導入に関する5つの失敗事例をご紹介します。事前に失敗事例から原因を学び、導入を成功させましょう。ひとつずつ詳しく説明していきます。
①社員からの理解を得られなかった
まずは、「社員からの理解を得られなかった」場合の失敗事例についてご紹介しましょう。タレントマネジメントシステムは、言うまでもなく業務用のシステムです。会社の従業員が利用・活用するものですから、導入や運用に関する理解を得られなければ成功は難しいと言えます。
前述したとおり、効果的なタレントマネジメントにはさまざまなデータが必要です。もちろん、データを集めるには社員の協力が欠かせません。データを活用するためにも、「社員が利用しやすいシステムを導入する」「導入にあたって社員の希望をヒアリングする」というポイントは抑えておく必要があります。
②システムを導入するだけで効果を得られると思った
「システムを導入するだけで効果を得られると思った」という失敗事例も多いです。当たり前のことですが、タレントマネジメントシステムを導入するだけでは、タレントマネジメントに関する効果を得ることはできません。導入したシステムを自社の課題や目標に沿って運用することで、はじめてその効果を発揮できます。
タレントマネジメントシステムを活用するには、まずタレントマネジメントの概要やシステムに搭載されている機能をしっかりと把握することが大切です。さらに、収集したデータの分析や、施策を実施した結果を業務改善に反映させなければいけません。「システムを導入したら終わり」ではなく、むしろそこからがはじまりだということを理解しましょう。
③人材の何を可視化したいのかが不明確
「人材の何を可視化したいのかが不明確」という失敗事例も挙げられます。タレントマネジメントの主な目的は、従業員が持つ能力やスキルを把握した上で、業務上の配置や育成に活用すること。
まずは従業員の能力を可視化する必要があるのですが、ここで問題になるのが「どのような能力やスキルを可視化すべきか?」という点です。必要な項目は、自社がどのような人材を求めているかによって異なるため、事前に洗い出しておかなければなりません。
自社で重要視される能力やスキルなどを把握・整理せず、やみくもにデータを集めて運用を開始してしまっては、言うまでもなく思うような効果を得られずに終わってしまうでしょう。
④データの更新頻度が低い
「データの更新頻度が低い」という理由による失敗事例も数多くあります。ここまで繰り返しお伝えしているとおり、タレントマネジメントを成功させるにポイントは「データ」です。データが古いままでは、施策を実施したとしても、現状に即した対応とは言えず、結果的に失敗に終わってしまう可能性があります。
収集したデータは溜め込むだけではなく、常に最新の状態に更新するよう注意しましょう。必要な情報をリアルタイムで同期することで一元管理できるシステムや、入力をスムーズに行えるツールを導入するのも効果的です。
⑤分析結果を実務に反映できていない
「分析結果を実務に反映できていない」というのも、よくある失敗事例です。くどいようですが、タレントマネジメントにはデータの活用が欠かせません。収集したデータを分析し、業務に活かすことによって、はじめて人材マネジメントの効果を発揮します。データを収集しただけで満足していては、何の結果も得ることができません。
入社までの経歴や保有資格、業界経験の有無など、従業員に関するデータを多角的に収集した上で分析を行い、「業界経験のある従業員を経験者向けのプロジェクトに配置」「社員育成経験のある従業員をマネージャーに配置」するなど、しっかりと実務に反映させましょう。
タレントマネジメントを成功させるには
タレントマネジメントの失敗事例を把握したところで、タレントマネジメントを成功させるためのコツをお伝えしましょう。
タレントマネジメントを成功させるには、「ポイントを踏まえながら、従業員と会社の双方にとってメリットとなる方法でタレントマネジメントを実行する」ことが大切です。成功させるための具体的なポイントに関しては後述しますが、大前提としては、やはり「従業員と会社のためにタレントマネジメントを行う」という意識を持つことが非常に重要だと言えます。
従業員一人ひとりの能力やスキルを把握していても、従業員を駒のように扱う会社では当然ですが、その能力を存分に発揮させることは不可能です。「どの従業員も働きやすく、よりよい会社にするためにタレントマネジメントを導入する」という意識を忘れないようにしましょう。
タレントマネジメントを成功させる3つのポイント
ここまで、タレントマネジメントに失敗する理由や具体的な事例についてご紹介してきましたが、成功させるにはどのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか?以下からは、タレントマネジメントを成功させるためのポイントについて確認していきましょう。
①企業課題をきちんと言語化する
まず第一に、「企業課題をきちんと言語化する」ということが大切です。「タレントマネジメントに失敗する3つの理由」でもお伝えしましたが、タレントマネジメントを行う目的が明確にされていない、または曖昧なままでは良い結果を得ることはできません。
自社における「タレントマネジメントによって解決したい課題」を明確に言語化することが最大のポイントです。
また、自社の課題を抽出している際に、タレントマネジメント以外の方法が適していることに気づく可能性もあります。タレントマネジメントはあくまでもただの手法であり、優先すべきは自社の目的だという意識を持つためにも、課題の言語化は欠かせません。
②既存のシステムやデータを整備する
「既存のシステムやデータを整備する」ことも、タレントマネジメントを成功させる上では大事なポイントです。
タレントマネジメントシステムには、人事管理システムなどの既存システムと連携できるものも数多くあります。システムの連携を行うことによって、「効率的にデータを収集できる」「分析したデータを他システムでも活用できる」など、さまざまなメリットを得られるでしょう。
このように、既存のシステムやデータをタレントマネジメントで活用する場合は、まずデータやシステムの整備を行わなければなりません。データが古いままや、間違っているとなどの問題がある場合は、システムを連携させたとしても、効果を得られないばかりか、トラブルが起きる可能性も。タレントマネジメントシステムを導入する場合はとくに、既存のシステムやデータの整備を事前に行っておくことが大切だと言えるでしょう。
③風通しの良い職場環境をつくる
最後に、「風通しの良い職場環境をつくる」という重要なポイントについて説明していきましょう。
タレントマネジメントにおいて得られる主な効果は、人材情報の活用によって 適切な業務配置や育成を実現できることです。保有資格などの基本情報以外にも、従業員の適性などをデータとして保存し、活用するタレントマネジメントシステムも多く存在します。
今までお伝えしてきたとおり、タレントマネジメントを成功させるには、社員の個人情報を詳細に集めなければなりません。しかし、「上司の判断が偏っている」「人事評価の運用が属人化・ブラックボックス化している」というような状況では、適切なデータは集まりません。結果的にタレントマネジメントに失敗してしまう可能性が高くなるでしょう。
施策を成功させるためにも、日頃から風通しの良い職場環境を整備するよう心がけることが大切です。逆に、「タレントマネジメントシステムの運用は、オープンな職場環境の醸成につながる」とも言えるかもしれません。
正しいタレントマネジメントシステムの選び方
効果的な人材活用には、「タレントマネジメントシステム」が欠かせません。本記事でお伝えしてきた内容の振り返りとなりますが、タレントマネジメントシステムを選ぶ際には以下のポイントに注意する必要があります。
- 自社に規模に合ったシステムか
- 導入するならクラウド型か、オンプレミス型か
- 機能やサービス内容は自社の希望に沿っているか
- 従業員にとって扱いやすいシステムか
- 既存システムと連携できるか
機能やサービス内容に関しては、「評価や進捗管理に特化しているか」「人材配置計画や分析が可能か」などが判断材料となるでしょう。自社の課題に合わせて選びましょう。また、導入・運用費用が予算や目的に見合っているかなど、コスト面ももちろん重要です。サポート面やセキュリティ体制に安心できるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
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まとめ:タレントマネジメントの成功には適切なシステム運用が必須!
社員に関するさまざまなデータを分析し、活用するタレントマネジメントの成功には、適切なシステム運用が必須だと言えます。そして、自社に最適なシステムを導入するには、事前に条件を洗い出した上で、複数のサービスを比較・検討する必要があるでしょう。
とはいえ、数あるタレントマネジメントシステムを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったツールが分かる診断(無料)ができます。
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