IP電話の上手な使い方を徹底解説
「LINE」や「Skype」などといった無料の通話アプリケーションが身近になったこともあり、これまでよりも広く浸透しているのがIP電話です。LINEの無料通話、iPhoneのFaceTimeなどを使用したことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、IP電話が活用されているのはプライベートのみだけではありません。ビジネスで利用することにより、さらなる真価を発揮するとも言えます。
そこで今回は、ビジネスにおけるIP電話の使い方を徹底解説。IP電話とはどのような仕組みなのか、IP電話を導入するメリット・デメリットも紹介していくので、IP電話を導入しようかお悩みの場合にはぜひ参考になさってください。
IP電話とは
IP電話とは、IP=Internet Protocol:インターネットプロトコルと呼ばれる通信方式を用いた電話サービスです。簡単に説明すれば、インターネット回線を利用した通話方法と言えます。
IP電話と一口に言っても種類はさまざまで、主流として多くの法人で活用されているのが「050(ゼロ・ゴー・ゼロ)型」です。「050-XXXX-XXXX」という11ケタの電話番号が割り当てらるIP電話で、プロバイダーごとに電話番号が指定されます。
「0AB-J(ゼロ・エイ・ビー・ジェイ)型」と呼ばれるIP電話の場合、03などから始まる一般的な電話番号と同様に、10桁の番号が割り当てられます。通話品質に関する規定が厳しいのが特徴です。
その他にも、法人ではあまり使用するシーンが少ないかもしれませんが、「LINE」や「Skype」などに代表される電話番号不要型のIP電話も提供されています。
IP電話の仕組み
一般的な通話の場合、基地局を経由して音声が届けられるという仕組みを採用しています。しかし、IP電話の仕組みは大きく異なるもの。メールの受送信と同様に、音声がデジタル化され送られます。最終的に相手のもとに届いた際には、デジタル化されていた音声を復元することによって、一般的な音声通話と変わらぬ通話品質を保つことができるのです。
詳しい仕組みとしては、以下の通りです。
まずはじめに音声データのデジタル化が行われ、データを送信するパケット(データがさらに分割された、小さなまとまりの単位)の長さを、パケット化専用のプロトコルに従って決めたのち、音声データがパケット化されます。
続いて、相手のアドレスをはじめとする転送に必要な制御情報が、パケット化された音声データに付与されます。この時点でやっと音声パケットが完成となり、相手のもとに届けられます。
また、音声データのパケット化を行う際には「シグナリング(呼制御)」という事前処理が行われるのも重要なポイントです。シグナリングで通話相手のIPアドレスやポート番号を割り出し、音声データを送り合うためのセッションが確保されたのち、パケット化が行われます。
IP回線の種類
IP電話と一口に言っても、主流となっている050型をはじめいくつかの種類があることを説明しましたが、IP電話を行う際に利用されるIP回線の種類もさまざまです。
IP回線は、大きく以下の4つに分類されます。
・ADSL
・光回線
・高速モバイル通信
・CATV
それぞれの違いや特徴、メリット・デメリットについて、1つずつ確認していきましょう。
ADSL
ADSLとは、固定電話回線の高周波帯域、つまりは従来の電話回線を使用する仕組みのインターネット回線です。データ受信時の通信速度は速い一方で、送信時には遅くなるのが特徴の1つ。また、通信距離によっては速度が落ちてしまうことがデメリットです。
すでに利用している固定電話回線を使用できることから、回線を持っている場合には導入費用を安く抑えられるのがメリットでしたが、その他の回線が続々と登場していく中でユーザー数は徐々に減少。すでにサービスの廃止が決定しており、NTT東日本が提供している「レッツ・ADSL」は2023年1月末で終了予定。ソフトパンクが提供している「Yahoo! BB ADSL」は、2020年3月より一部地域から順次終了していき、2024年3月末で完全にサービス終了となります。
光回線
光回線は、光ファイバーを利用して音声データの送受信を行える仕組みのインターネット回線です。光ファイバーとは、名前からも推測できる通り「光を通す繊維」のこと。ガラスやプラスチックなどで作られており、回線のみならず商業施設などの装飾にも使用されるものです。
光ファイバーを利用する光回線の場合、電磁波の影響を受けないのが大きなメリット。回線が常に安定した状態なので、いきなり通信速度が遅くなる、動作が重くなるなどといった心配がありません。
しかし、もしもオフィスに光回線が通っていない場合には、新たに回線を引き込むための工事を行う必要があります。その場合、初期費用がかかってしまうのがデメリットでしょう。
高速モバイル通信
高速モバイル通信とは、ADSLや光回線とは仕組みが異なり、無線で利用することのできる通信です。例えば、ドコモやau、ソフトバンクなどの各社が提供している5G回線があげられるでしょう。その他、ポケットWi-Fiやモバイルルーターのような配線なしで利用できる回線も高速モバイル通信に分類されます。
大きなメリットとしてあげられるのは、無線で利用することができるため、工事を行う必要がないということ。回線を開通させる必要がないため、契約し機器が手に入った時点ですぐに利用を開始できます。
しかし、有線のインターネット回線に比べると通信速度が安定せず、周囲の影響を大きく受けてしまうのが大きなデメリットでしょう。
CATV
CATV回線は、名前の通りケーブルテレビの回線を利用するインターネット回線です。それぞれのサービス提供会社によって料金プランやサービス内容がさまざまで、電話のみならずセキュリティサポートを提供している場合も少なくありません。
しかし、高速モバイル通信と同様に周囲の環境による影響を受けやすいのが大きなデメリット。それぞれのサービスが地域密着型の場合も多く、引っ越してしまうと利用できない恐れもあるため注意しましょう。
IP電話の上手な使い方とは
ここからは、IP電話の使い方について紹介していきます。有効的な使い方を知っておくことにより、ビジネスにおいても非常に役立つでしょう。
仕事用とプライベート用で番号を分ける
IP電話の上手な使い方としてはじめにあげられるのが、仕事用とプライベート用とで番号を分けるという方法です。
IP電話サービスを利用することによって、1つの端末に2つの電話番号を割り当てることもできます。そのため、プライベートで使用する番号はもともとキャリアから割り当てられていた電話番号、一方仕事で使用する電話番号はIP電話サービスで割り当てられている電話番号と使い分けることも可能です。
自分の番号はあまり知られたくないという場合のみならず、電話番号を得るために新たな通話機器を導入したくないという場合にも役立つでしょう。
通話料金節約に利用する
IP電話の上手な使い方として2つ目にあげられるのが、通話料金の節約に活用するということです。
IP電話の場合、一般的な固定電話に比べて通話料金がリーズナブルなのが特徴のため、通話料金を抑えたいという場合にはIP電話を使用しない手はありません。
同じプロバイダへのIP電話であれば通話料は無料となるだけでなく、プロバイダが異なる場合や固定電話・携帯電話への発信、さらには海外との通話であっても従来の回線に比べると低価格なので、仕事上通話料金が高くなりがちという場合にはIP電話を活用しましょう。
固定電話や090番号はサイトに登録したくない
IP電話の上手な使い方として3つ目にあげられるのが、固定電話や090番号などの大事な電話番号を気安く使用したくないという場合にIP電話を使用するという方法です。
仕事上では、クラウドサービスなどに登録をしなければならないことも多いでしょう。しかし、登録した内容は常に情報流出のリスクと隣り合わせであることも事実です。その点を考慮し、各種サービスやwebサイトに番号を登録したくないという方も少なくありません。
IP電話サービスを利用していれば、もう1つの電話番号として使うことができるため、サービス登録時などに代わりに入力することができます。
IP電話のメリット
ここまで、IP電話の仕組みや使い方について紹介してきました。IP電話についてあまり知らなかったという方も、大方把握できたのではないでしょうか。
仕組みや使い方などが分かったところで、IP電話を導入するメリットとデメリットを紹介していきます。
スピーディに導入できる
IP電話を導入するメリットとしてはじめにあげられるのが、一般的な固定電話回線に比べて、スピーディに導入できるということです。
一般的な固定電話回線の場合、電話加入権を購入しなければ電話番号が割り当てられません。オフィスに導入する場合には配線工事も行う必要があり、時間・費用ともにかかってしまいます。
一方IP電話サービスの場合、サービスを契約するだけで電話番号が割り当てられるため、電話加入権を購入する必要はありません。
通話の音声品質が高く、安定している
IP電話を導入するメリットとして2つ目にあげられるのが、通話の音声品質が高く、安定しているということです。
「インターネット回線を使用するとなると、通話品質が低そう」「音声にノイズが入ったりしないの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、その心配はいりません。現在はIP電話サービスであっても固定電話回線と変わらぬ通話音質で利用でき、ビジネスにおける利用であっても問題なく活用することができます。
しかし、利用する環境のインターネット通信状況が悪いという場合には、音声に乱れが生じてしまうので注意しましょう。
システムとの連携がしやすくなる
IP電話を導入するメリットとして3つ目にあげられるのが、システムとの連携がしやすくなるということです。
固定電話回線の場合には、他のシステムと連携させることは難しいもの。しかしIP電話であれば、サービスにもよりますが外部システムとも連携させることが可能です。
また、PCと連携できるものも少なくありません。その場合、PCの画面上で顧客情報を確認しながら電話することもできるでしょう。
IP電話のデメリット
ここからは、IP電話を導入するデメリットを3つ紹介していきます。
050番号は緊急電話やフリーダイヤルに発信できない
IP電話を導入するデメリットとしてはじめにあげられるのが、050番号は緊急電話やフリーダイヤルに発信できないということです。
110や119、さらには0120から始まるフリーダイヤルには発信することができないため、基本的に緊急時には利用できないと考えておきましょう。
ちなみに、050番号のみならずLINEやSkype、Facebookメッセンジャーのような電話番号を持たないIP電話も緊急電話やフリーダイヤルには対応していないため、注意が必要です。
インターネット回線の速度に影響をうける
IP電話を導入するデメリットとして2つ目にあげられるのが、インターネット回線の速度に影響を受けやすいということです。
IP電話の通話品質レベルは改善されていますが、インターネット回線に依存せざるを得ない通信方式であるため、インターネットがつながりづらい環境の場合にはIP電話を利用できません。
もしもビジネスで利用する場合には、着信者・発信者ともにインターネット環境が整っている場所で利用しなければ、なかなか話が聞き取りづらいということもあるでしょう。
停電時には使用不可
IP電話を導入するデメリットとして3つ目にあげられるのが、停電時には使用できないということです。
インターネット回線を利用する通信方式のため、万が一停電などが起こり電力の供給がなくなった場合、Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器への電力の供給ももちろんなくなってしまうため、自ずとIP電話も使用できなくなってしまいます。
まとめ
今回は、IP電話の仕組みや使い方、メリット・デメリットなどを紹介してきました。導入を検討している方は、参考にした上でサービスの選定をしてみましょう。
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