新人教育はどのように行う?目的や教育する際に意識すべきこと
新入社員に新人教育を行う企業は多いでしょう。新人教育の目的は新入社員を戦力として育てることですが、実は会社や既存の社員にとってもメリットがあります。
この記事では、新人教育の目的やメリット、カリキュラムに取り入れるべき内容などを詳しく紹介します。また、新人教育を行う際に意識すべきポイントも併せて解説するため、ぜひ参考にしてください。
まず押さえておきたい新人教育の目的
新人教育の目的は、新入社員を戦力として育てることです。新人教育には集合研修やOJTなどさまざまな形態がありますが、いずれも目的は同じです。
特に、学生から社会人になったばかりの新卒社員の場合、すぐに戦力として責任の伴う業務を任されるケースは多くありません。会社に貢献できるようになるためには、ビジネスマナーから実際の業務に関連する事柄まで教えるべきことが数多くあるためです。企業によっては新人教育に数ヵ月から1年程度かけることもあります。
新人教育をすることで得られるメリット
新人教育のメリットは、新入社員を会社に貢献する戦力として育てられることだけではありません。新人教育は手間がかかると思う方もいるかもしれませんが、実は新人教育を行うことが会社や既存の社員にとってもよい影響を与えます。ここでは、新人教育をすることによって得られる2つのメリットを紹介します。
教育担当者のスキルアップが期待できる
新人教育のメリットとして見逃せないのが、教育担当者となる社員のスキルアップも期待できることです。教育担当者は、人に教えることで業務に関する理解が深まるでしょう。ほかにも、新人教育を通じて教育担当者はアウトプット力が養われたり、責任感が増したりする傾向があります。
また、新入社員はモチベーションが高い状態で入社する傾向にあるため、業務に慣れてマンネリ化しつつある社員にはよい刺激になると考えられます。若手から活力をもらったり自分が新入社員だったころを思い出したりして、教育担当者だけでなく周囲の社員のやる気が上がる場合もあるかもしれません。
新人教育を通して新入社員が戦力として育つだけでなく、既存の社員も成長する効果を期待できるでしょう。
新入社員の離職率低下につながる可能性がある
丁寧な新人教育を行うことで、新入社員の離職率を下げられる可能性があるのもメリットです。特に新卒で採用した社員は、社会人となることに大きな不安を持って入社してくることが考えられます。しっかりとした教育を行うことは不安を和らげ、社員を大切にする会社だというメッセージを送ることにも繋がるでしょう。先輩社員がサポートする体制を整えることで、新入社員に安心感を与えます。
また、研修を通じて新入社員に達成しやすい業務を割り振り、成長を実感してもらうことも大切です。研修期間中に、小さな課題を乗り越える体験を繰り返すことで、社員はやりがいを感じやすくなります。新入社員に、成長できる環境を会社が与えてくれていると感じてもらえれば、その分離職率の低下にも繋がるでしょう。
新人教育で取り入れたい内容
新人教育を実施するにあたり、過不足のない教育カリキュラムを組むのは意外と難しいものです。ここでは、新人教育で重点的に取り入れたい内容を3つ紹介します。
内容1:ビジネスマナー
名刺交換や電話応対などのビジネスマナーは、新人教育で優先的に取り入れたい内容です。最初に社会人としての基礎的な知識を身につけさせることで、スムーズに業務に取りかかれるでしょう。
また、ビジネスマナーには取引先などの社外の人や上司・先輩に対する接し方、ビジネス書類の書き方やコンプライアンス意識なども含まれます。新人研修では幅広くビジネスマナーについて教えるのが望ましいでしょう。
なお、内容によってOJT形式で実際の業務を通して学ぶほうが効率的なケースや、集合研修のほうが伝えやすいケースがあります。そのため、状況や内容に合わせて教育方法を変えることが大切です。
内容2:事業内容
会社の事業内容の把握も、新人研修に取り入れておくべき内容の1つです。事業内容や経営理念を学ぶことで、会社への帰属意識も高まることが期待できます。また、営業で社外の人と会う機会があれば、会社について質問されることもあるため、事業内容の把握は大切です。
さらに、配属後には社内の他部署とコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。新人研修を通じて、会社がどのような仕組みで動いているのかを把握しておくことで、他部署との連携が円滑に進みます。
そのほか、将来のキャリアパスを考える上でも会社の事業内容を把握しておくことは大切と言えるでしょう。
内容3:配属後に行う業務
新人研修後、新人がスムーズに仕事に取りかかれるように、研修の中で担当する業務についてあらかじめ伝えておくことが大切です。業務について知らされていない場合、新入社員が研修と実務のギャップに戸惑ってしまう可能性があります。
一方で、新入社員の人数や集合研修などの事情で、配属後の業務について個別で伝えるのが難しいこともあるかもしれません。その場合、可能な限り配属される予定の部署の業務紹介を、研修に盛り込むことをおすすめします。そうすることで、新入社員の不安を取り除けるでしょう。
新人教育を行う際に意識すべきこと
新人教育で大切なのはカリキュラムだけではありません。教育方法によって、会社への帰属意識やモチベーションに影響が出ることが考えられます。ここでは、新人教育の効果をより発揮させるために意識したいポイントを4つ紹介します。
マニュアルを用意する
まず、新人教育を行う前に、研修内容や業務の手順などをまとめたマニュアルを用意しましょう。新入社員が研修後に見返しながら一人で学習できるだけでなく、将来的に業務担当者の変更があった場合でも、引き継ぎをスムーズに進められます。マニュアルは一度作成すれば、翌年度以降も繰り返し使えるため便利です。
また、新人教育においては必ずしも教育経験が多い人や、教えるのが上手な人が教育担当者になるとは限りません。そのため、教えるべきポイントを網羅したマニュアルを作成しておくことで、担当者による教育内容のバラつきを防げるのもメリットです。
なお、マニュアルにはテキストだけではなく、図なども積極的に取り入れてみましょう。内容によっては、文章で説明するよりも理解しやすくなります。
リラックスできる雰囲気づくりをする
基本的に新入社員はモチベーションが高い一方で、社会人生活を送ることに大きな不安を抱えていることも考えられます。そのため、新人研修ではできるだけリラックスした雰囲気づくりを心がけることが大切です。緊張をほぐすことで、新入社員も本来の力を発揮しやすくなるでしょう。
威圧的な態度や雰囲気では新入社員を萎縮させてしまいますが、リラックスできる雰囲気だとコミュニケーションの活性化に繋がります。研修中だけでなく配属後も、分からないことがあれば先輩社員や上司に相談しやすい環境をつくりましょう。
同期や先輩社員、上司とのコミュニケーションが円滑になることで、業務をスムーズに進められるようになったり、離職率が下がったりする効果も期待できます。
業務の意味や目的から説明する
配属後、新入社員に業務を教える際は、できるだけ丁寧に業務の意味や目的を説明するようにしてみてください。どのような作業であっても、目的が分からなければ仕事にやりがいを感じられません。新入社員が与えられる業務は比較的単純で難易度が低いものが多いため、なおさらやりがいを感じにくいことも考えられます。
自分の仕事の意味や目的が分からずやりがいを見出せないと、新入社員のモチベーションは下がってしまうでしょう。新人研修では、なぜその業務を行っているのか、その業務を行うことで最終的にどのような結果が得られるかなどを詳しく伝えてみましょう。
与えられた業務は単純だとしても、その業務を通じてほかの社員や会社に貢献できていることが理解できれば、新入社員はやりがいを感じやすくなるでしょう。
一人ひとりの特徴や強みを把握する
同じ会社に入社した新入社員であっても、人によって特徴や強みは異なります。価値観や性格も人それぞれであるため、ある人にとっては効果的だった指導方法も、ほかの人にとっては合わない可能性もあることを押さえておきましょう。
また、一人ひとりの状況や価値観を理解せずに画一的な対応をすることで、新入社員が会社から大切にされていないと感じてしまう恐れもあります。モチベーションの低下にも繋がりかねないため注意が必要です。
教育する際はできるだけ一人ひとりとコミュニケーションを取り、新入社員の個性や強み、目標を把握することを心がけましょう。多少話しただけでは相手の価値観を知るのは難しいため、定期的に個別面談を設けてコミュニケーションの機会を積極的に取ることが大切です。
各社員に合う教育とフィードバックを心がける
一人ひとりの特徴や強みを把握できたら、各自に合う教育やフィードバックを行うことを心がけましょう。価値観は人それぞれであるため、1つの会社で長期的に働きたい人もいれば、必要なスキルを身につけて独立したいと考えている社員もいるかもしれません。
また、難しい課題に挑戦することでモチベーションが上がる社員もいれば、簡単な作業でも慎重に進めたい社員もいます。成長ペースが早い・遅いも人それぞれです。
つい自分の価値観や自分が新人だったころと比べてしまいがちですが、新人教育では新入社員の特徴や強みを尊重し、適した対応をすることが大切です。そうすることで結果的に新入社員の成長が早まり、1日でも早く頼もしい戦力として業務を任せられるでしょう。
なお、新入社員に合わせた教育方法として、eラーニングを活用する選択肢もあります。
新人教育に適したeラーニングシステムの選び方については、別記事「社員教育向けeラーニングシステム」でも解説していますので、合わせてご覧ください。
新人教育をする際に気を付けるべき注意点
新人教育では少しの工夫で効果が高まる可能性がある一方で、何気ない発言が気付かないうちに新入社員の意欲をそいでしまうこともあります。教育担当者や先輩社員など周囲の発言や態度がきっかけとなり、最悪の場合、早期離職に繋がってしまうことがあるかもしれません。続いては、新人教育をする際に気を付けるべき注意点を3つ紹介します。
教育時の態度や言葉遣いに注意する
新人教育時の態度や言葉遣いには十分注意しましょう。冗談のつもりで言ったことや場を和ませるつもりで言ったことでも、新入社員からはよく思われないことも考えられます。誤解されたり不快にさせたりする恐れがある態度や言葉遣いは、避けるほうが無難です。
新入社員のミスなどを指摘する際は、特段の注意が必要です。「なぜいつも失敗するのか」「能力がない」など、相手を根本的に責める言い方は避けましょう。このような発言は、新入社員を傷付け萎縮させてしまいます。また失敗するのではないかと緊張して本来の力が出せなくなってしまったり、叱られるのを恐れて本当のことが言えなくなったりするかもしれません。
理解が悪いことを新人の責任にしない
新入社員が同じことを何度も質問したり同じミスを繰り返したりすると、つい責めたくなってしまうかもしれませんが、理解が悪いことを新人のせいにしないよう注意しましょう。「新人の理解が悪い」と責めても、状況がよくなる可能性は期待できません。
教育した内容を新入社員がよく理解できていない場合、自分の教え方に問題がなかったかどうかを考えてみる必要があります。もしかすると教え方が適していないのかもしれません。例えば集合研修で理解できない場合は、OJTの活用やマニュアル使用する方法を試してみましょう。コミュニケーションを取りながら、新入社員の特性に合った教え方を見つけることが大切です。
専門用語や社内用語などを多用しない
業務に慣れている社員は、気付かないうちに専門用語や社内用語などを多用してしまうことがあります。一方で入社したばかりの新入社員は、業界用語や社内用語を理解できないのが当然であることを忘れないようにしましょう。
先輩社員や上司など目上の人に遠慮して、新入社員は用語の意味が分からなくてもその場で質問できないこともあります。しかし、そのために新人教育の効果が下がってしまうのは避けなければなりません。専門用語や社内用語はできるだけ使わないように注意し、使う場合は意味も教えるなどの気遣いが必要です。
自分が新入社員だったときも専門用語や社内用語は理解できなかったことを思い出し、新入社員に寄り添って新人教育を進めていきましょう。
まとめ
新人教育は、できるだけ早く新入社員に戦力になってもらうことが目的ですが、既存の社員のスキルアップや新入社員の早期離職防止の効果もあります。これらの効果を期待して、近年でではオンライン研修を取り入れる企業も増えてきました。
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