コールセンターのAI導入事例5選|AI活用のメリットも解説
顧客からの電話に対応するコールセンターや営業で架電を行う企業の多くは、業務効率化を図るためにコールセンターシステムの導入を進めています。昨今ではAIの発達に伴って、コールセンターシステムにもAIを活用する動きが多く見られています。
本記事では、コールセンターシステムのAI導入事例や、AI導入の際のメリット・デメリットを紹介します。電話対応を効率化し、生産性を高めたいコールセンター管理者はぜひご覧ください。
- コールセンターのAI導入事例5選
- コールセンターにAIを導入するメリット
- コールセンターにAIを導入するデメリット
- コールセンターシステムで活用されるAIの種類
- まとめ:AI導入事例を参考に、課題解決できるコールセンターシステムを選ぼう
コールセンターのAI導入事例5選
近年、顧客対応の効率化と品質向上を目指し、多くの企業がコールセンター業務にAIを導入しています。問い合わせ対応の自動化やチャットボットによる24時間体制のサポート、さらにはオペレーターの業務支援など、多岐にわたる用途でAIが活用されています。まずは、コールセンターにおけるAI活用の具体例として、成果が上がっている5つの導入事例を紹介します。それぞれのケースで、どのような課題が解決され、どのような効果が得られたのかを詳しく見ていきましょう。
AIによる集荷依頼の電話応対を導入した事例
物流業を営む企業(従業員数165,420人)では、電話での集荷依頼対応の効率化が課題でした。従来の有人対応では、特に繁忙期に長い待ち時間が発生し、顧客満足度にも影響が出ていました。解決策として、顧客からの集荷依頼のお電話を対象とし、自動音声のAIオペレータが対応するサービスが導入され、集荷依頼の受付業務を担うようになりました。顧客が簡単な指示に従って回答するだけで手続きが完了し、特殊な依頼がある場合は有人対応に切り替わる仕組みで、利便性が向上しました。
参照:クロネコヤマト公式サイト
このようにシステムが自動音声で案内を行うツールは「電話自動音声応答システム(IVR)」とも呼ばれます。このツールについて興味がある方は、ぜひ下記の記事もご覧ください。
コールセンターに声紋認証AIを導入した事例
ある保険会社(従業員数4,874人)は、コールセンターで年間150万件を超える入電があり、そのたびに本人確認を行うため、顧客やオペレーターに負担がかかっているという課題に直面していました。これに対応するため、声紋認証システムを導入し、顧客の声紋を使って迅速な本人確認が可能になりました。このシステムは、コールセンターに顧客のうち希望者を対象に所定のフレーズを声紋として登録し、2 回目以降の入電時に声紋照合を行うことで、本人確認を省略する仕組みです。これにより、確認にかかる時間が大幅に短縮され、利便性が向上しました。今後は、声紋認証の活用範囲をさらに拡大し、顧客体験の改善と運用効率の向上を目指しています。
参照:アフラック公式サイト
音声認識AIでオペレーターの応対品質が向上した事例
ある不動産会社(従業員数3,853人)では、コールセンター業務の品質と効率化が課題となっていました。そこで通話モニタリングができる音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite3」を導入。通話内容がリアルタイムで文字化され、電話の中で必ず案内しなければいけない必須ワードやNGワード監視するなどの機能により、応対品質が標準化されました。また、FAQ機能によりオペレーターの支援が強化されました。今後、顧客満足度の向上や効率化に向けた更なる分析とシステムの最適化が進められる見込みです。
参照:レオパレス21公式サイト
コールセンターにおける顧客満足度・業務効率の向上を目指したいなら、コールセンターシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。下記の記事では、コールセンターシステムの機能やメリット・デメリットを解説しています。
AIが問い合わせ内容を判断して応対スピードが向上した事例
あるガス会社(従業員数3,190人)では、コールセンターの業務が複雑化し、顧客対応に時間がかかるという課題がありました。そこでAI音声認識ツール「AI Powered Knowledge Sharing」(提供元:アクセンチュア株式会社)を導入。問い合わせ内容をAIが自動で解析し、社内に蓄積している膨大なデータから適切な情報を即座に表示できる仕組みを整えました。これによりオペレーターの応答時間が大幅に短縮され、顧客満足度も向上しています。今後はAIの精度向上や無人受付の導入を進め、さらなる効率化とサービス強化を目指します。
参照:東京ガス公式サイト
AIによるFAQ構築により作業工数を3分の2程度に削減した事例
ダイレクトマーケティングBPO事業を展開する企業(従業員数1,241名)では、コールセンター業務の効率化とFAQの整備に課題を抱えていました。これに対し、テキスト解析AIを用いたFAQ構築サービスを導入し、顧客対応データから自動的にFAQを作成するシステムを構築しました。このAIソリューションにより、対応履歴を効率的に活用できるようになり、3分の2程度の作業工数削減に成功しました。
ユーザーが自身の疑問を迅速に解決できる「FAQシステム」に興味があれば、あわせて下記の記事をご覧ください。FAQシステムのメリットや比較方法、おすすめのツールを紹介しています。
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コールセンターにAIを導入するメリット
コールセンターにAIを導入することで、顧客対応業務が大幅に効率化され、顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減が期待できます。ここでは、具体的にコールセンターシステムを導入するメリットを解説します。
オペレーターの負担を軽減できる
コールセンターシステムには、オペレーターの業務を支援するさまざまな機能が搭載されています。自動音声機能(IVR)やチャットボットなどの自動化機能が備わっているため、顧客の問い合わせを自動で適切な部署に振分けたり、一般的な質問に即座に対応したりすることが可能です。これにより、オペレーターは複雑な問い合わせやフォローアップのみに集中できるため、対応の質が向上し、業務の負担が軽減されます。
顧客満足度の向上に期待できる
システムを導入することで、ACDやCTIの機能を活用したスムーズな電話対応が実現します。例えば、顧客が問い合わせをした際、最適なオペレーターに自動で振分けられ、迅速に問題解決が進むため、顧客の待ち時間が短縮されます。これにより、顧客はストレスなくサービスを受けられるため、顧客満足度が向上します。スムーズな対応はリピーターの獲得にもつながり、企業のブランドイメージ向上にも寄与します。
通話記録で応対データの分析ができる
コールセンターシステムには、通話録音機能やレポート機能が含まれており、オペレーターの応対品質を定期的にモニタリングできます。これにより、オペレーターの弱点を把握し、トレーニングの改善に役立てることが可能です。さらに、レポートをもとにKPIを分析し、オペレーターごとのパフォーマンスを可視化することで、品質管理を徹底できます。結果として、応対スキルの向上が期待でき、顧客に対するサービスレベルも改善されます。
コールセンターにAIを導入するデメリット
コールセンターシステムのAI導入にはいくつかのデメリットも存在します。AIの学習にかかる時間や運用にかかるコストなど、導入は慎重に行う必要があります。ここでは、システム導入時に注意すべきデメリットについて詳しく解説します。
AI学習に時間が必要
AIをコールセンターに導入する際、事前に十分なデータでAIを学習させる必要があります。特に自然言語処理を用いる場合、顧客の問い合わせパターンや用語、業界固有の表現などを理解させるために大量のデータと時間が求められます。また、学習したモデルを実際の運用に応じて定期的に更新する必要があるため、AI導入の初期費用だけでなく、継続的なデータ収集と調整のためのコストも発生します。そのため、導入初期はAIの精度が低かったり、問い合わせ対応に対して不十分な場合もあり、顧客満足度が一時的に低下するリスクも考えられます。
導入費用・月額料金などのコストが発生する
コールセンターシステムの導入には、初期費用や月額料金がかかるため、特に中小企業にとってはコスト面での負担が大きくなります。クラウド型の場合は初期費用やメンテナンス費用はかかりませんが、月額料金がかかります。さらに、システムの導入に伴うトレーニングや、既存のシステムとの統合にも時間とコストがかかることがあるため、事前に予算を確保し効果を見極めた上で導入を検討することが重要です。
コールセンターシステムで活用されるAIの種類
コールセンターシステムにおけるAIの活用は、多くの企業が注目し導入を検討しています。主なAIの種類として、音声認識による自動応答や会話内容の解析、テキスト解析によるFAQの自動構築などが挙げられます。ここからは、具体的にコールセンターシステムで活用されるAIの種類を解説します。
AIの種類 | 概要 |
---|---|
チャットボット | テキスト形式での顧客対応を自動化する |
ボイスボット | 音声での顧客対応を自動化する |
音声認識 | 顧客の発話をテキストに変換する |
FAQシステム | よくある質問に対して適切な回答を提示 |
テキストマイニング | 顧客の問い合わせ内容や通話ログを分析 |
チャットボット
チャットボットは、テキスト形式での顧客対応を自動化するAIシステムです。顧客からの問い合わせに対し、あらかじめ設定された回答やFAQデータベースを用いてリアルタイムで対応します。自然言語処理(NLP)により、質問内容を理解し、適切な回答を提示できるため、基本的な問い合わせに対してはオペレーターを介さずに解決可能です。
ボイスボット
ボイスボットは、音声を介して顧客と会話し、問い合わせを自動で処理するAIです。IVR(自動音声応答)と連携し、顧客の音声指示を理解して案内や対応を行います。ボイスボットは音声認識とテキスト生成の技術を組み合わせ、スムーズな顧客体験を提供します。FAQ応答や口座情報の確認など、特定の業務に特化したボットが多く、オペレーターの負担を軽減します。
音声認識
音声認識技術は、顧客の発話をテキストに変換するために利用されます。通話内容をリアルタイムで文字起こしすることで、オペレーターが会話内容を確認しながら対応でき、また、テキストデータとして保存することで後の分析や記録にも活用可能です。これにより、顧客とのやり取りの正確性が向上し、迅速な問題解決が実現します。
FAQシステム
FAQシステムは、よくある質問に対してAIが適切な回答を提示するシステムです。顧客からの問い合わせをAIが解析し、データベースから関連性の高い回答を自動で選択して提供します。FAQシステムを活用することで、オペレーターへの問い合わせを減らし、顧客は自己解決がしやすくなります。
テキストマイニング
テキストマイニングは、顧客の問い合わせ内容や通話ログを分析し、トレンドやよくある問題点を特定するために活用されます。AIがテキストデータを処理し、感情分析やテーマ抽出などを行うことで、顧客の不満や要望を可視化します。これにより、顧客のニーズや改善点が明確化され、サービス向上に役立てられます。
まとめ:AI導入事例を参考に、課題解決できるコールセンターシステムを選ぼう
「顧客対応の品質を改善したい」「オペレーターの負担を軽減したい」といった電話業務の課題や、「電話対応の効率を上げて顧客満足度を向上させたい」という目標を持つ企業に最適なのがコールセンターシステムです。AIを活用すれば、更なる顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減が期待できます。
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