これって経費にできる?正しく損せず確定申告をしよう!
確定申告の際に経費として計上できるものにはどのような科目があるのでしょうか。個人事業主で初めて確定申告に取り掛かる場合、経費として認められるのか判断に迷うケースも多いものです。確定申告時に経費として認められるものとそうでないものの一例をいくつかご紹介します。
確定申告を行う際に頻繁に登場する「所得」「所得税」「経費」という言葉。特に確定申告を初めて行う方にとっては混乱しがちです。
所得とは、会社や店舗の売り上げに相当するもので、所得税はそこから経費を除いた金額に対して所かかります。所得税の税率は所得の金額に応じて上がるため、経費を正しく計上することが必要不可欠であり、また損をしない秘訣でもあります。
そこで今回は、確定申告時に必要経費として計上できるものと、できないものをいくつか実例を挙げご紹介します。ルールをしっかりと把握しておかないと税務調査の対象になる可能性もあるため、ぜひ参考にしてみてください。
経費となる・ならないの前提とは何か
確定申告において必要経費と判断できるものとできないものとではどのような違いがあるのか悩んでいる方も多いかもしれませんが、経費となる・ならないの前提は事業を行う上で発生した支出なのかどうかです。つまり、事業収入を得るために必要となった費用はすべて経費として判断することができます。
経費が増えることによって所得が減り、所得税も自ずと減ることとなりますが、あまりにも売上と経費のバランスが悪すぎる、売上が少なすぎるとなると、融資を受ける際などにはデメリットでしょう。
確定申告で必要経費にできるもの
今回は、経費となるもの10選を紹介します。ただし、これらの科目に該当する出費であったとしても、当然のことながら事業にかかわらない用途で利用した場合は確定申告の際に経費の対象外となるため、注意しましょう。
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 消耗品費
- 利息
- 外注費
- 新聞図書費
- 保険料
- 法定福利費
- 給料賃金
水道光熱費
電気、ガス、水道などのライフラインに関わる基本料金や利用料金が水道光熱費に該当します。個人事業主の場合、自宅を事務所として利用しているケースも多いと思いますが、この場合は水道光熱費の全額が経費として認められるものではありません。仕事として利用していると認められる範囲で必要経費の割合を算出し、確定申告時に経費として計上することになります。電気代の場合は仕事に費やす時間の割合やコンセントの数で按分する考え方が一般的です。
また、水道やガスについても1日のうちどの程度を仕事として利用しているかを按分します。確定申告において按分の割合はルールとして決められているものではありません。ただし、万が一税務署職員に金額の算出根拠を聞かれた場合、合理的な説明ができるようにしておく必要があります。もっとも分かりやすいのは、1日8時間を仕事に費やしたとして3分の1にあたる金額を経費として計上する方法です。
旅費交通費
確定申告時における旅費交通費とはその名の通り、出張などで遠方に足を運んだ際に生じる交通費や宿泊費に該当する経費です。あくまでも仕事に関わるものであり、出張のついでにプライベートな観光のため追加で費用が発生した場合は確定申告において旅費交通費として計上することはできません。
ちなみに、接待などで終電を逃してしまい、タクシーで帰宅した際に支払った費用などは旅費交通費とはならず、接待交際費として計上することになります。旅費交通費との科目の仕訳が異なるため注意が必要です。
通信費
通信費とは固定電話や携帯電話、インターネット利用料金、郵送などで支払った経費を指します。個人事業主で携帯電話やインターネット回線をプライベート用と兼用しているケースも多いと思いますが、この場合は水道光熱費と同様に仕事として使用した比率を算出して金額を按分します。
また、確定申告に慣れていない人にとって通信費と混同しやすい科目として挙げられるのが「荷造送料」です。荷造送料は宅配便などで小包を送る際に充てられる費用であり、通信費とは異なります。さらに分かりやすくいえば、ハガキや切手の代金は通信費に含まれますが、宅配便の送料は荷造送料として確定申告時に計上するということです。
消耗品費
確定申告の際に記載する消耗品費とはボールペンやコピー用紙などの事務用品、トイレットペーパーやゴミ袋などの日用品などを購入した際に充てられる経費科目です。確定申告で消耗品費に該当するものは多岐におよび、その線引きが難しいと感じる方も多いでしょう。
消耗品費として計上するためには、「10万円未満の金額であること」と「使用可能期間が1年未満であること」という2つのポイントがあります。これらに該当しない場合は確定申告で消耗品費と認められないため注意が必要です。ちなみにIT関連の費用の一例としては、USBケーブルやLANケーブル、パソコン用のソフトウェアも確定申告で消耗品費として計上することができます。
利息
事業において必要な資金の借り入れを行った場合、その支払利息も確定申告時に経費として計上することができます。当然のことながら事業目的での融資に対してのみ認められるため、私用での借入金に対する利息は対象外となります。なお、借り入れた元本は経費として認められないため確定申告時の記載には注意しましょう。
外注費
ホームページ制作会社に依頼し自分のお店のホームページを作ってもらった、デザイナーに依頼して名刺や事務所のロゴを制作してもらったなどという場合、外注費として経費処理することが可能です。サービス名や商品名、店舗名などのネーミングを外部に依頼した場合も、外注費に分類されるでしょう。
新聞図書費
ビジネスを展開していく上では、さまざまな情報を得る必要があります。自分のビジネスに関連のある書籍や雑誌などを購入し、必要資料とすることは多いでしょう。その場合、資料の購入費用は新聞図書費として経費にすることができます。
もしもビジネスに関連のある有料のメールマガジンを購読しているという場合には、その料金も新聞図書費として経費算入することが可能です。
保険料
火災保険をはじめ、自動車保険や貨物運送保険、損害賠償責任保険、傷害保険や盗難保険などといった損害保険の保険料に関しては、自社商品やサービス、オフィスなどといった事業資産が対象の場合に経費として算入することが可能です。もしも自宅をオフィス兼住宅としている場合、住居部分に関しては経費として判断することができないため、水道光熱費などのように按分しておきましょう。
法定福利費
もしも従業員を雇っているという場合には、従業員の厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料や労災保険料、介護保険料などの一部を事業者側が負担することとなります。その場合、事業者負担分は経費として算入することが可能です。
社会保険は法人のみの話と思っている人も多いかもしれませんが、個人事業主であっても従業員数が5名以上在籍している場合は強制的に加入となるので注意しましょう。
給料賃金
従業員を雇っており、給与や賞与などを事業者側から支払っているという場合には、給料賃金として経費と判断することができます。
後ほど詳しく説明しますが、給料を支払ったすべての場合において給料賃金として算入できるわけではないため注意しましょう。
必要経費にできないもの
確定申告時に必要経費として計上できるものをご紹介しましたが、反対に経費として計上できないもは何があるのでしょうか。今回は確定申告時に特に間違えやすい3項目をご紹介していきます。
- 家族への給与
- 敷金・保証金
- 交通違反等の反則金
家族への給与
自身の事業を家族が手伝った際に報酬として支払ったお金などは原則的に確定申告時に必要経費として計上することはできません。個人事業主の給与は確定申告において事業経費として計上できないため、その家族も生計を同一にしている以上は経費として認められないということが理由です。
ただし、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していれば、一定の割合で家族に対して給与として支払った金額が確定申告時に経費として認められることもあります。
敷金・保証金
敷金や保証金とはそもそも、自宅や事務所を借りる際に貸主に対して預けるお金のことを指します。退去時に戻ってくる可能性が高いお金である以上、確定申告時に経費として認められるものではありません。
一般的なアパートやマンションなどでは敷金は数ヶ月分程度のケースが多いですが、事務所や店舗の場合は高額になるケースが珍しくありません。事務所を借りるために発生したお金だからといって経費に算入してしまうと指摘を受けることもあるため注意が必要です。
交通違反等の反則金
出張や外回りなどで自動車を運転する機会の多い方は、交通違反や駐車違反で反則切符を切られた場合、反則金を確定申告時に経費として算入することはできません。当然のことではありますが、反則金は個人が納付するものであり、事業上必要な経費と認められないため確定申告時には注意しましょう。
【まとめ】経費について正しく認識して損せず確定申告しよう
今回は確定申告の際に経費として計上できる科目とそれ以外の科目について解説しました。事業として認められる経費とそうでないものをしっかりと把握することで、正しい確定申告が可能になるだけでなく、必要以上に所得税を支払うこともなくなります。
個人事業主の場合は法人と異なり、事業とプライベートの費用区分けが曖昧になりがちです。日頃より、仕事に必要な経費とプライベートを目的とした費用をしっかりと分けて管理することにより、確定申告時に慌てることもなくなるでしょう。今回ご紹介したポイントを念頭に入れておくことで、きっと日々の記帳も簡単に感じられるはずです。
もちろん、今回ご紹介してきた科目は一例であり、他にも必要経費として計上できるものはあります。正しく損せず、また自信を持って確定申告を行うためにも、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。
確定申告の書類作成を効率化できるソフトについて詳しく知りたい方は、別記事「個人事業主の確定申告に役立つおすすめ会計ソフト」もご覧ください。
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