インクルージョンとは?意味から事例までわかりやすく解説

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近年、ビジネスシーンにおいて、インクルージョンという言葉を見聞きする機会が増えてきました。「インクルージョンとはどのような意味なのだろう」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、インクルージョンの意味をわかりやすく解説。ダイバーシティとの違いなども解説していきます。

インクルージョンとは

インクルージョンは、直訳すると包括という意味です。性別や年齢、国籍の異なるさまざまな人材が、お互いの価値観や考え方を認めて、平等に社会での活動に参加している状態を指します。最近ではダイバーシティと併せて用いられるケースも増えてきています。インクルージョンが注目される背景やビジネスシーンでのインクルージョンについて解説しましょう。

インクルージョンが注目される背景

現在、日本の人口は、約1億2,560万人ですが、2050年には1億人前後まで減少すると考えられています。(※)また、厚生労働省の予測では、2040年代以降は現役世代が減少するとされています。将来的に労働人口の減少が予測されるため、インクルージョンが注目されているのです。

人手不足を解消するには、高齢者や子育て世代、外国人など、さまざまな人達が社会での活動に参加しなければなりません。そのため、様々な人材が活躍できる環境を整えることが社会に求められているからです。

※参考:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」

企業・ビジネスシーンにおけるインクルージョン

インクルージョンは、もともと福祉や教育の分野で用いられていた言葉ですが、近年ではビジネスシーンでも用いられるようになってきました。ビジネスの分野では、主にさまざまなバックグラウンドを持つ従業員の考えやスキル、経験を認めて、全員で事業活動に取り組むことを指す言葉として用いられます。近年では、インクルージョンの実現には、従業員の多様性を認めるダイバーシティの考え方も不可欠と考えられています。

インクルージョンと関連とする用語

インクルージョンと一緒に用いられる用語についても知っておきましょう。関連用語の意味を解説します。

社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)

社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)とは、公共サービスや教育、就労など、社会活動やサービスから排除された状態を指します。社会的排除の原因は、失業や病気、低い就労技術などが挙げられます。また、困窮状態にある家庭に生まれることで、社会的排除を経験するケースも少なくありません。高齢者や児童、障害者などの他者の助けが必要な人達が、社会的排除を受けやすい傾向にあります。

社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)

社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)とは、誰も排除されずに、社会の一員として認められ、互いに支え合う状態です。社会的包摂は、すべての人が尊重され、自身の権利や違いを認められる社会のあり方を指します。戦後のフランスで若者の失業が問題になった際に、社会的排除の対義語として用いられるようになりました。現在ではインクルージョンとほぼ同じ意味で使用されるケースが多いです。

インクルージョン教育・インクルーシブ教育

インクルージョン教育・インクルーシブ教育とは、障害のある児童と障害のない児童が一緒に学ぶ仕組みです。ンクルージョン教育は障害を持つ児童を通常の学級に在籍させて、身体・精神的能力を最大限に発達させることで、効果的に社会に参加することを目的としています。現在、文部科学省によって、インクルーシブ教育システムの構築が推進されています。

ダイバーシティとインクルージョンの違い

ダイバーシティとインクルージョンも一緒に用いられることが多い用語です。それぞれの用語の違いや意味を解説します。

ダイバーシティーの意味

ダイバーシティとは、多様性を意味します。人種や価値観、性別などにとらわれず、さまざまな人材が活躍できる状態です。ダイバーシティは、外見の違いに着目した表層的ダイバーシティと考え方や経験などの多様性を指す深層的ダイバーシティに分けられます。インクルージョンがさまざまなバックグランドを持つ人達の能力を活かす考え方であるのに対し、ダイバーシティはそれぞれの個性を認めるという考え方です。

ダイバーシティ&インクルージョンの意味

ダイバーシティ&インクルージョンは、ダイバーシティとインクルージョンを掛け合わせた考え方です。多様な人材を集めるだけでは、それぞれのメンバーの能力を十分に発揮できません。お互いの考え方や能力を認め合い、尊重するインクルージョンの考え方が定着してはじめてダイバーシティを実現できます。そのため、近年ではダイバーシティとインクルージョンを切り離して考えるのではなく、両方を組み合わせることの重要性が注目されています。

様々な場で使われる「インクルージョン」

インクルージョンは、もともと教育や福祉の分野で用いられていた言葉です。教育・福祉での考え方を解説します。

教育・保育におけるインクルージョン

先述のとおり、インクルージョンの考え方は、教育や保育の分野でも用いられています。教育分野でインクルージョンが注目されるようになったきっかけは、人種ごとに分離した教育は不平等であるとした米国のBrown対教育委員会です。現在ではさまざまな国が教育にインクルージョンを取り入れていますが、一部ではいまだに分離教育が行われているのが実情です。

福祉におけるインクルージョン

福祉分野におけるインクルージョンとは、障害や介護の有無などで差別せずに、社会の一員として支え合うことです。福祉分野では、ソーシャル・インクルージョンという用語を用いるケースが多いです。90年代にユネスコで採択されたサラマンカ声明をきっかけに、福祉分野でもインクルージョンの考え方が広く普及しました。

経済産業省が掲げる「ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン 」  

経済産業省では、各人材の能力を最大限に引き出し、付加価値を生み出し続けることを目的に、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を掲げています。ガイドラインで掲げられている実践のためのアクションは以下の7つです。

  • 経営戦略への組み込み
  • 推進体制の構築
  • ガバナンスの改革
  • 全社的な環境・ルールの整備
  • 管理職の行動・意識改革
  • 従業員の行動・意識改革
  • 労働市場・資本市場への情報開示と対話

一社員の力だけで企業におけるインクルージョンを推進するのは非常に困難です。経営陣が主導し、社員全員で推進する必要があります。ガイドラインでは、インクルージョンについては触れられていませんが、実践方法として参考にできるでしょう。

企業が「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進する際のポイント

経済産業省のダイバーシティ2.0行動ガイドラインでは、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するための具体的な行動指針が示されています。ダイバーシティ&インクルージョンを社内に定着させるには、具体的な計画を立てて実践することが重要です。ダイバーシティ&インクルージョンを推進する際のポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 法律・制度とリンクさせ推進方法を検討する
  • 制度や設備の導入など具体的なアクションに繋げる
  • 従業員からの反発も想定し推進計画を立てる
  • 長期的なプロジェクトとして捉える

法律・制度とリンクさせ推進方法を検討する

ダイバーシティ&インクルージョンを推進するには、社内制度や仕組みを法律・制度にリンクさせる必要があります。ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上で確認しておきたい主な法律は以下の3つです。

  • 高齢者雇用安定法
  • 女性活躍推進法
  • 障害者雇用促進法

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する前に、どのような方法で推進するのか慎重に検討しましょう。例えば、高齢者雇用安定法では、定年年齢の引き上げや定年制の廃止など、一定の条件を満たすと助成金が交付されます。3種類の助成金が用意されており、種類によって交付の条件も異なります。自社の実情に合わせた方法で推進することが重要です。

制度や設備の導入など具体的なアクションに繋げる

ダイバーシティ&インクルージョンの推進を宣言するだけでは不十分です。推進チームを立ち上げたり、ダイバーシティ&インクルージョンを実現するための人事制度を整備するなど、具体的なアクションにつなげる仕組みを構築する必要があります。ダイバーシティ&インクルージョンの推進を事業計画に盛り込むなど、実施プランに落とし込むことが大切です。加えて、各部署へプランにもとづいた実践を促すなど、社内での定期的な働きかけも欠かせません。

従業員からの反発も想定し推進計画を立てる

ダイバーシティ&インクルージョンを推進しようとすると、従業員からの反発にあう可能性もあります。ある程度の反発を想定した上で、推進計画を立てたほうがよいでしょう。ただし、従業員からの反発を押さえつけるのではなく、ダイバーシティ&インクルージョンの必要性を理解してもらうことが大切です。スムーズにダイバーシティ&インクルージョンを推進するには、経営陣と従業員の双方がお互いに理解を深め、全員で推進していくという雰囲気を作り出す必要があります。

長期的なプロジェクトとして捉える

ダイバーシティ&インクルージョンを実現するには時間がかかります。人は無意識のうちに他者に対して偏見を持ってしまうことがあります。偏見を無くすには、相互理解を深めることが重要です。ダイバーシティ&インクルージョンを社内に定着させるには、研修などの偏見をなくすための教育も欠かせません。また、定期的に推進状況を評価し、改善を継続する必要があります。ダイバーシティ&インクルージョンの推進は、長期的なプロジェクトとして捉えましょう。

ダイバーシティ&インクルージョンの推進事例

他社の事例を参考にすれば、どのようにダイバーシティ&インクルージョンを推進すればよいのかイメージしやすくなるでしょう。企業におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進事例を3件ご紹介します。

第一三共株式会社

医薬品事業を展開する第一三共では、従業員の多様性を受け入れ、誰もが活躍できる企業風土の醸成に力を入れています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進する具体的な取り組みとして、女性活躍推進法にもとづいた一般事業主行動計画を策定。管理職に占める女性の割合15%以上を目指しています。また、LGBT支援制度を導入し、パートナーを配偶者として認定できる仕組みなども構築しています。

参考:第一三共株式会社「インクルージョン&ダイバーシティへの取り組み」

三菱UFJフィナンシャル・グループ

三菱UFJフィナンシャル・グループでは、「認める。活かす。高めあう。~グループ全員の力で、お客さまの期待を超えるために~」をスローガンに、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

仕事とプライベートの両立を支援するため、育児後の復職をサポートする制度や介護セミナーなどを開催。また、女性の活躍推進に優れた企業として、東京証券取引所のなでしこ銘柄にも選定されています。

参考:三菱UFJフィナンシャル・グループ「ダイバーシティ&インクルージョン」

古河電工

古河電工では、2014年からダイバーシティ推進室を設置し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。多様な人材を受け入れる企業風土を醸成するために、ダイバーシティ&インクルージョン意識啓発を推進。全社に啓発イベント「ダイバーシティフォーラム」を開催するなど様々な取り組みを実施しています。多様な人材が活躍できるよう、障害者や高齢者雇用、グローバル人材の活躍を支援。ハラスメント防止に関する教育も進めています。

参考:古河電工「ダイバーシティー&インクルージョン推進の取組み」

人事戦略としてのインクルージョンの推進メリット

ダイバーシティ&インクルージョンの推進には、従業員満足度の向上や優秀な人材獲得に有利に働くなどのメリットがあります。人事戦略の視点から、インクルージョンを推進するメリットを解説しましょう。

従業員満足度の向上・離職の低下に繋がる

インクルージョンの推進には、従業員満足度の向上や離職率を低下させられるメリットがあります。インクルージョンの推進は、従業員ひとりひとりの個性や能力を認めることにつながります。会社の一員として認められていると感じられれば、従業員の満足度も向上するでしょう。従業員満足度が向上すれば、離職率の低下も期待できます。

企業としてのブランディング・採用の強化に繋がる

インクルージョンの推進は、CSR(企業の社会的責任)を果たすことにもつながります。先進的な取り組みを推進している企業として、社外に印象付けることができるでしょう。企業イメージがアップすれば、ブランディングや人材の獲得にも有利に働きます。インクルージョンの導入には、優秀な人材を集めやすくなるメリットもあるのです。

まとめ

インクルージョンの意味や企業の事例をご紹介しました。インクルージョンを実現するには、公平性のある仕組みが必須です。しかし、人事評価や人材の管理には多くの労力を必要とします。インクルージョンを推進するのであれば、従業員の負担を軽減するために、人事管理システムなどの導入も検討すべきでしょう。

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