ポータブルスキルとは?社員のポータブルスキルを向上させる方法も紹介
キャリア開発や人材採用などにおいて、注目されているポータブルスキルとは、ビジネスパーソンの基礎力とも言えるさまざまな種類の能力です。
今回は、ポータブルスキルの概要や具体的な種類、企業がどのように活用すべきかを解説します。社員のポータブルスキルを向上させる方法も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
ポータブルスキルとは
ポータブルスキルとは、特定の業界や業種などに限定されずに活用できるスキルのことです。英語のポータブル(portable)には持ち運ぶという意味があることから、転職してほかの会社や業界へ移ったとしても役立つスキルを指します。ポータブルスキルの例としては、コミュニケーション能力や問題解決能力などが挙げられます。
仕事を円滑に進める上では、ポータブルスキルに加えて業種や職種に特化した専門的なスキルを身につけることも大切です。実は、ポータブルスキルは専門的なスキルを身につける土台となる「ビジネスパーソンとしての基礎力」でもあります。
ポータブルスキルが高いほど、業務に求められる専門的なスキルを伸ばしやすくなります。中長期的なキャリアの発展のためにも、ビジネスパーソンはできるだけ早いうちにポータブルスキルを身につけられるとよいでしょう。
ポータブルスキルの具体的な種類
ここでは具体的なポータブルスキルの例として、以下の3種類のスキルを紹介します。
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 自分自身をコントロールする能力
これらはポータブルスキルの中でも汎用性が高く、どのような業界や業種でも高く評価されやすいでしょう。
コミュニケーション能力
ポータブルスキルとしてのコミュニケーション能力とは、上司や部下、顧客や取引先などと協力して目的を達成するためのスキルを指します。仕事で必要なコミュニケーション能力は、さらに以下の3種類に分けられます。
- 統率力
- 説得力
- 支援力
統率力とは目標達成のために同僚や部下、取引先などをまとめ上げる力です。リーダーシップとも言えます。周囲から信頼されるような高いヒューマンスキルも重要な要素です。
説得力は、異なる意見を持つ人に対して自分の意見や考えを説明し、納得させる力です。強引に意見を通すのではなく、あくまでもコミュニケーションを通じて自分の意見を相手に理解してもらいます。
目標達成に向けて、周囲の人を助ける力が支援力です。適切なサポートを行うために相手の状況を的確に把握し、よいタイミングで必要な支援をします。
社内の上司や同僚とコミュニケーションを取る場合や相手が社外関係者の場合、あるいは部下をマネジメントする場合など、その時々に応じて3つの力をバランスよく活用することが大切です。
問題解決能力
問題解決能力とは、目の前の問題を解決するために必要なスキルです。状況に応じて柔軟に対応することや現状を分析することが該当し、中でも特に以下の3種類が重要になります。
- 分析力
- 計画力
- 試行力
分析力とはビジネスの現状や課題について深く掘り下げて考え、本質を捉える力です。目前の課題を解決するために目標を設定したり、計画を立てたりするには、状況を正確に把握することが起点となります。ビジネスパーソンにとって特に重要なスキルの一つと言えるでしょう。
困難な課題を解決するには、緻密な計画を立てて行動することが大切な場面があります。計画力は現状や課題を分析して得られた結果に優先順位を付け、効率よく目標達成を目指すために必要な力です。
試行力とは、前に進むために試行錯誤する力です。ビジネスでは十分な情報がない状況で意思決定を迫られることもあります。そのような場面で決断を下し、前進するには試行力が必要です。またイノベーションを起こす際にも求められる力と言えます。
自分自身をコントロールする能力
自分自身をコントロールする能力も、ポータブルスキルの一つに数えられます。具体的には以下の3種類が重要です。
- 決断力
- 持続力
- 冒険力
決断力とは、スピーディーな意思決定ができる力です。ビジネスでは限られた情報から状況を判断し、素早く決断する力が求められます。特にリーダーシップを必要とされる場面で重要視される力です。
持続力とは、目標達成のために決めたことを継続できる力です。どれだけ入念に計画を立てていても、実行できなければ目標を達成することはできません。成果を挙げる上で重要視される力と言えるでしょう。
冒険力は、挑戦する力と言い換えることもできます。ビジネスで競合より優れた商品やサービスを生み出したり、イノベーションを起こしたりするためには、大胆にリスクを取ることも必要です。冒険力は高いリスクがあることに挑戦したり、難しい課題に取り組んだりする力として、今後ますます重要になると考えられます。
企業におけるポータブルスキルの活用法
ポータブルスキルは業界や業種、職種ごとの専門的なスキルの土台となる汎用的な能力です。社員のポータブルスキルを伸ばすことは企業にもメリットがあります。また、ポータブルスキルを指標とすることで人材配置や採用の効果が高まるでしょう。
ここでは、企業におけるポータブルスキルの具体的な活用法を3つのケースに分けて紹介します。
人材育成に活用する
人材育成の一環として、ポータブルスキルを伸ばす研修や教育を取り入れてみましょう。社員のポータブルスキルを向上させるメリットは、自社の業績向上にも繋がることです。ポータブルスキルが伸びると業務に必要なスキルも高まり、社員のパフォーマンス向上が期待できます。
またポータブルスキルは、業種や職種を問わずに活用する能力です。ポータブルスキルが高い社員は社内で部署移動したとしても、新しい部署により早く順応できるでしょう。同時に社員は新たなスキルを身につけられるため、キャリア開発の面で本人にもメリットがあります。
仕事で成果を出すために必要なポータブルスキルは業界や業種、職種によってやや異なります。まずは自社で必要性が高いポータブルスキルを洗い出した上で、社員には足りないスキルを伸ばす研修や教育などを受けさせることが効果的です。
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人材配置を決める際に活用する
ポータブルスキルは、新入社員の配属や人事異動などにおいて適切な人材配置を決める際にも活用できます。一人ひとりのポータブルスキルと各部門が求めるスキルが合えば、人材配置の成功率を高められるでしょう。
適切な人材配置が行われると、指導する先輩社員の負担が減ります。業務内容が社員の適性に合わない場合、業務スキルを身につけるのに時間がかかったり、モチベーションが下がって離職に繋がったりすることが心配されます。先輩社員も指導に多くの時間を割くことになるため、業務効率が下がってしまうかもしれません。
一方で、社員のポータブルスキルと配属先で要求されるスキルが合っている場合、社員が業務に比較的スムーズに順応できることが期待できます。その結果、指導の時間短縮や社員本人の満足度が上がり離職率の低下に繋げられるでしょう。
採用時に活用する
採用活動でもポータブルスキルを活用しましょう。ポータブルスキルを採用時の判断基準の一つとすることで、求めている人材を採用できる確率が高くなります。
特に中途採用の場合、最近では異業種や同業他社でもほかの職種を経験した人を採用することは珍しくありません。その場合、採用時点では専門的なキルが高くないケースが多いため、即戦力に期待するよりもポータブルスキルを重視した採用活動が効果的です。ポータブルスキルを基準とすることで、自社に適した人材を採用しやすくなります。
ただし、ポータブルスキルは面接や筆記試験などで判断するのは難しいため、公的機関や民間企業の診断ツールを活用するのがおすすめです。またポータブルスキルは高いほどよいものではありません。自社のニーズ次第で、どのようなポータブルスキルが評価されるかが異なります。そのため採用活動の前に、採用したい人材のイメージを明確にしておくことも大切です。
社員のポータブルスキルを向上させる方法
各社員のポータブルスキルを向上させることは、モチベーションを高める・離職率を下げるなどのメリットがあるだけでなく、会社の成長にも繋がります。そのため、ポータブルスキルを伸ばす方法に関心を持つ企業も多いでしょう。
ここでは、企業が研修や人事制度を通じて、社員のポータブルスキルを向上させるためにできることを3種類紹介します。
目標管理制度を整備する
社員のポータブルスキルを向上させるためには、目標管理制度を整えましょう。目標管理制度で大切なことは、目標設定および目標達成に向けた進捗の管理を社員が主体的に行うことです。
企業は社員との定期的な面談や進捗報告など、目標達成までの過程をサポートしましょう。社員が目標を意識しやすい環境を整えることに意味があります。社員のスキルが向上するのはもちろん、主体的に取り組むようになることで業務の質が高くなることが期待できます。
注意点としては、目標管理はあくまで社員のポータブルスキル向上が目的である点を忘れないことです。気付かないうちに目標の達成自体が目的となってしまったり目標達成がノルマとなってしまったりすると、本来の目的からズレてしまいます。
また、高すぎる目標はかえって社員のモチベーションを下げる恐れがあります。反対にノルマ達成を重視すると、社員が簡単すぎる目標を設定するようになるかもしれません。あくまでも目標管理は、社員のポータブルスキル向上のための手段であることに注意しましょう。
社員の評価制度を整備する
社員のポータブルスキルを伸ばすためには、スキル向上が会社の業績に貢献した場合、評価する制度を整備することも大切です。人事評価には、期間内のポータブルスキルの向上および業績に与えた影響を評価項目に入れましょう。
さらに、評価に応じて役職を与える「等級制度」や評価を給与や賞与に反映させる「報酬制度」などを設けるとよいでしょう。ポータブルスキルを伸ばすために目標を立てたり、研修や教育に参加したりする際の動機付けとしても効果が期待できます。
また定期的にポータブルスキルの向上を確認することも、社員のモチベーションを高めるのに役立ちます。その際は、ポータブルスキルを客観的に評価できる診断ツールを使うのがおすすめです。
社員に自分のポータブルスキルが向上していることと、それが業績に貢献していることを実感する機会を設けましょう。その結果、社員の意欲を引き出し、さらなるスキル向上に取り組むよい循環が生まれると考えられます。
研修を開催する
研修を開催することで、社員のポータブルスキル向上を図ることもできます。研修には大きく分けて以下の3種類の方法があり、予算や対象者などに合わせて適切な方法を取ることが大切です。
- 社内の社員に研修してもらう方法
- 外部の講師を招く方法
- eラーニングを取り入れる方法
まず考えたいのが、社員に講師として研修を開催してもらう方法です。自社の状況をよく把握しており必要なスキルなども理解しているため、効率的な研修が行えると考えられます。また費用面やスケジュール調整などが柔軟であることもメリットです。
ただし、プロの講師と比較したデメリットもあります。例えば研修を開催するのに慣れていないため、十分な効果を出せない可能性がある、そもそも社内に適切な人材がいないなどがデメリットとして挙げられるでしょう。
次に、社員のポータブルスキル向上のための施策として一般的なのが、外部の講師を招いて研修を行う方法です。研修サービスを提供している会社から経験豊富な講師を派遣してもらうことで、スムーズに研修が開催できます。
外部講師を利用する場合、複数のプログラムから自社に必要と考えられるプログラムを選択できるケースも多いでしょう。ただし、講師は企業の状況を詳しく把握しているわけではないため、内容は一般的なものにとどまることが多いのがデメリットです。また研修の形態や参加人数によっては高額な費用がかかることもあります。
eラーニングはコストを抑えながら外部の研修サービスを利用する方法で、外部講師を招くよりも低価格で研修が実施できるだけでなく、社員にとっても時間と場所を選ばずに都合のよいタイミングで参加できるメリットがあります。

ただし、対面で行われる研修と比べると、社員のやる気次第で取り組み具合や効果に差が出る点がデメリットとして挙げられます。場合によっては、社員が意欲的に参加できる環境を整える必要があるでしょう。
別記事「2025年最新のおすすめeラーニングシステム(LMS)」では、機能や料金を比較して、おすすめのeラーニングシステムを紹介しています。システム導入で効率的に研修を実施したい企業はぜひ検討ください。
まとめ
ポータブルスキルは、幅広い場面で活用できるビジネスパーソンの基礎力です。業務で求められる専門的なスキルの土台となることから、社員のポータブルスキル向上は会社の業績アップに反映すると言えるでしょう。
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