通年採用とは?導入方法・メリット・一括採用の違いまで解説【2025年最新版】
日本では一括採用が主流でしたが、近年は時代の変化とともに通年採用へ移行する企業が増えています。そうした状況下で「通年採用に移行したいけど具体的な手順が分からない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では通年採用の導入を検討している人事担当者に向けて、通年採用の特徴や一括採用との違い、メリットとデメリットを解説します。
- 通年採用とは
- 通年採用と一括採用の違い
- 通年採用へと移行する企業が多い?
- 一括採用から通年採用へと移行する理由
- 経団連も通年採用を推奨
- 通年採用を導入する方法・流れ
- 通年採用を導入するメリット
- 通年採用を導入するデメリット
- 採用管理システム(ATS)ならデメリットも解決
- まとめ
通年採用とは
「通年採用」とは、新卒・中途の垣根をなくして年間を通じて採用活動に取り組む採用形態です。従来は欧米や外資系企業ではよくみられる採用方法でしたが、近年では日本でも通年採用を取り入れる企業が増加傾向にあります。
最大の特徴は応募資格で、一括採用では新卒に代表される限られた人しか応募できませんでしたが、通年採用では新卒者だけでなく第二新卒や中途、留学生などを対象とする会社もあるようです。求職者は自分のペースで就職活動を進めることができます。また、企業も人材不足時の急な採用ニーズに対応しやすくなります。
通年採用と一括採用の違い
日本で一般的に取り入れられている一括採用と通年採用にはどんな違いがあるのでしょうか。ここからは、通年採用と一括採用の違いを3つに分けて解説します。
一括採用とは
一括採用は特定の時期に多数人をまとめて選考・採用する方法で、主に新卒採用で用いられています。日本独自の採用形態とされており、毎年3月から7月にかけて行われるのが一般的です。
一括採用の最大のメリットは、多数の新卒を効率的に選考することで採用コストを削減できる点にあります。また、採用に関わる社員の負担も軽減され、採用プロセスの短縮化にもつながります。
募集対象者が違う
一括採用は高校や大学、専門学校の卒業が見込まれる人が対象です。企業によっては新卒入社の社員のみが就ける職種・ポジションも存在していることから、人気の企業には多くの学生からエントリーが集まります。
一方で通年採用は新卒者だけでなく第二新卒やフリーター、留学生など幅広い人が対象となるケースが多いのが特徴としてあげられます。一括採用と比較すると専門的なスキルを持つ人材、即戦力としての活躍が期待できる人材が求められることもあるようです。
募集時期が違う
一括採用は3月から7月にかけて実施されるのが一般的です。進級前の3月ごろに会社説明会がはじまり、5〜6月から選考が始まるというのが大まかなスケジュールとされています。一度に多くの学生を採用できるのがメリットですが、内定辞退者が現れると募集活動期間内での補充が必要になります。
一方で、通年採用は年間を通じて募集するので、採用時期は固定されていません。年度の変わるタイミングや事業拡大時期、人員不足など採用ニーズが生まれた際に募集をします。通年採用は求職者が自由なタイミングでエントリーできるので、企業側も常に求人募集しておくことで優秀な人材を確保しやすくなります。
通年採用へと移行する企業が多い?
近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で会社説明会や面接の実施が制限されており、従来のような一括採用が難しくなっていることから、日本でも通年採用を取り入れる企業が増加傾向にあります。
また、一括採用では優秀な人材が他社へ流れるのを防ぐために、早期タイミングでの学生の囲い込みに代表される「青田買い」と呼ばれる行動が起きています。知名度のある大企業に多くの学生が集中してしまう点が問題視されていることも、日本で通年採用が広がりつつある理由でしょう。
一括採用から通年採用へと移行する理由
企業が一括採用から通年採用へ移行するのには、どんな理由があるのでしょうか。ここからは、通年採用への移行理由を3つに分けて解説します。
一括採用では多様な人材を採用しづらい
一括採用は採用時期が限られており、その期間内にしか内定を出すことができません。その結果として、多様な人材を採用しにくい傾向があるといわれています。早ければ3〜4月ごろに内定が出るケースもあり、その時点での成績や語学力、アルバイト・インターン経験などが選考における判断材料です。しかし、この時期にはまだ就職活動をはじめていない学生や海外に留学中の学生などがも多数存在しています。こうした人材と出会う機会を失わないために、通年採用へ移行する会社が増えているようです。
一括採用では内定辞退の損失が大きい
一括採用では、内定を出した学生を対象に入社前の研修やOJT(On the Job Training)を行う企業も多くあります。しかし、内定辞退が発生するとこれらの研修やOJTのリソースが無駄になってしまいます。内定辞退されてしまうと採用を再開しなければならず、トータルでの採用コストが増加するのも企業の負担につながります。
一括採用では即戦力を採用しづらくなる
一括採用では就業経験のない学生が対象となり、入社後にもビジネスマナーや業務のレクチャーが必要となります。また、将来的なキャリアビジョンが明確な状態で就職活動に取り組む学生ばかりではないため、採用後に希望の職種が変わる可能性もあるでしょう。
一括採用は即戦力の獲得が難しいことから、通年採用への移行を図る企業も多いといわれています。
経団連も通年採用を推奨
経団連が2018年10月に公表した「今後の採用と大学教育に関する提案(※1)」では、企業が専門的なスキルや経験を持つ人材を獲得するためには新卒や既卒、文系・理系といった垣根を取り払った通年採用・通年入社などを取り入れる必要があると言及されています。
さらに、2022年11月に発表された「2024年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方(※2)」においても、通年採用・経験者採用の拡大に関する記載があります。こうした背景からも、今後は多くの企業での通年採用の導入が加速していくと予測できるのではないでしょうか。
※1 出典:日本経済団体連合会「今後の採用と大学教育に関する提案」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/113_honbun.html
※2 出典:就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議 「2024 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou/pdf/r041130s_siryou.pdf
通年採用を導入する方法・流れ
通年採用の方法は一見難しく感じるかもしれませんが、非常にシンプルです。ここからは、通年採用を導入する方法・流れを4つのステップに分けて解説します。
採用計画の策定
経営方針や事業計画をもとに、「いつまでに」「どの部署に」「何人」採用するのかを細かく設定していきます。この際は働き方への価値観の変化や市場の状況などを加味することが大切です。採用は将来的な成長を左右する要素ともいえるので、慎重に作成しましょう。
ターゲットの設定
続いては、求める人材象や必要なスキル、経験などを明確にしてターゲットを設定します。実際に自社で活躍している社員や、自社のカルチャーに合う人材象を分析すると、よりスムーズな選考にも役立ちます。
また、ターゲットを設定する際には、採用した人材の配属先となる部署の意見を取り入れることも大切です。
採用チームの編成・採用手法の選択
ターゲット像が明確になったら、次は採用チームを編成して採用手法を決定します。採用チームは採用規模や内容に合わせて決定するのが一般的で、中には1〜2名の体制をとる企業も少なくありません。少人数で業務を進める場合は、採用に関する経験・スキルを持つ人材が適任でしょう。
採用手法は自社の採用サイトのほか、求人サイトや転職エージェント、社員紹介制度などがあげられます。ターゲットによって適した手法が異なるため、目的に合わせた選択が必要です。
育成体制の整備
ニーズに合った人材の採用に成功したら、定着へ向けた育成体制の整備が必要です。マンツーマンの指導体制や研修・教育制度の充実、上司・同僚からのフィードバックなど、新入社員が安心できる環境づくりに取り組みましょう。
代表的な方法としては、新入社員1人ひとりにトレーナーを割り当てた上での研修や指導、上司・センネによるOJTがあげられます。
通年採用を導入するメリット
通年採用を導入すると、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。ここからは、通年採用の導入で期待できる2つのメリットについて解説します。
幅広い人材に出会える
通年採用を取り入れると、年間を通して採用ができるようになります。一括採用では特定の時期に新卒者を対象に選考を行うため、対象者が限られてしまいます。一方で通年採用は既卒者や中途も含めた採用が可能なため、幅広い人材に出会えるというメリットがあります。「留学経験者を採用したい」「即戦力になる人材が必要」という場合は、通年採用の方が適しているかもしれません。
慎重に採用を進められる
通年採用は選考時期が限定されないため、余裕あるスケジュールで採用活動を進められます。各段階でじっくりと選考・面接ができるので、個人の能力や人物像のより正確な把握につながります。
また、選考基準を細かく設定し、それにそって採用を進めれば専門的なスキルを持つ人材の採用も不可能ではありません。通年採用は組織の求める人材を獲得するのにうってつけの手法だといえるのです。
通年採用を導入するデメリット
当然ながら通年採用にもデメリットは存在するので、メリット・デメリット双方を踏まえた上で導入を検討しましょう。ここでは、通年採用のデメリットについて解説します。
採用コストが高くなる可能性がある
通年採用では継続的に採用活動に取り組むことになります。募集期間が長くなるため応募数が増加し、選考結果の連絡や面接日程の調整などの負担が大きくなることも十分に考えられます。また、選考中の候補者が他社から内定を受ければ、採用活動に投じた時間・コストが無駄になるでしょう。
しかし、さまざまな人材に出会えるというメリットもあるので、企業は両者を把握した上で慎重に採用戦略を作成する必要があります。
採用担当者の負担が増える場合がある
通年採用では常に求人を公開する状態になり、選考業務が継続的に発生するため一括採用と比べると採用関連の業務が多くなる傾向があります。具体的には、採用サイトの更新・管理や応募者とのコミュニケーション、選考プロセスの改善などがあげられます。
しかし、通年採用を取り入れると採用戦略の幅が広がるので、中長期的な視点で考えると最高コストの削減につながることもあるようです。
採用管理システム(ATS)ならデメリットも解決
採用計画システムとは、文字どおり採用プロセスを効率化するためのシステムです。応募者管理や面接スケジュールの調整、採用後のフォローアップなどを一元管理できます。応募者の情報を一元管理することで書類選考の効率化やスムーズな面接実施が可能になるほか、採用までの進捗管理も容易になるため、リードタイムの短縮にもつながるでしょう。
そのほかにも、製品によっては採用後のアンケートやフォローアップに関する情報も管理できるので、定着率の向上を図りたい場合にもうってつけです。採用計画システムを導入すると自動化される業務が増えるので、担当者はより本質的な業務に時間を充てられるようになります。
まとめ
通年採用とは、新卒・中途の垣根をなくして年間を通して採用に取り組む手法です。一括採用と異なり既卒者や中途者の採用も可能なため、さまざまな人材に出会える可能性があります。しかし、通年採用は人事担当者の業務負担が膨らむ可能性もあるため、効率的に進めたいのであれば採用計画システムの導入を検討するとよいでしょう。
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