RPAツールの選び方を徹底解説!失敗しないための5つのポイントとは?
Excelへのデータ入力や伝票の振り分けなど、単純だけれど時間のかかる業務に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか?そこでおすすめなのが、ITベンダー各社が提供しているRPAツールです。本記事では、製品の選び方から導入の流れまでをまとめました。ぜひ参考にしてください。
RPAツールとは
RPA(Robotic Process Automation)ツールとは、手動で行っていた作業を自動化できる業務用ツールの総称です。業務手順を記したシナリオをあらかじめ設定しておくことによって、Excelやスプレッドシートへのデータ入力、給与計算、経費の処理、顧客からの問い合わせ対応などといった業務に人手をかけずに済むようになります。
また、AI(人工知能)が搭載されたRPAツールなら、数千万件に及ぶビッグデータの処理や、蓄積されたデータの整理、課題や傾向の分析も可能です。
矢野経済研究所のリサーチ(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2599 参照)によれば、こうしたRPAツールの市場規模は年間約530億円(2019年度)。少子高齢化による労働者不足や働き方改革を背景に、多くの企業が活用しています。
20分前後かかっていたPOSデータのダウンロード時間を約5分に短縮、顧客手続きに関する業務工数を約70%削減するなど、RPAツールを導入したさまざまな企業では、実際に高い効果を得られている点も見逃せません。
RPAツールの種類
続いて、RPAツールの種類を簡単に整理しておきましょう。RPAツールは機能・スペックによって大きく以下の3種類に分けられます。
【クラス1】
データ入力、データのダウンロードといった定型業務(一定のツール沿って進められる単純な業務)のみに対応できるRPAツールです。3種類のなかでは最も価格が安く、月額3万円前後から利用できます。
【クラス2】
AI(人工知能)と連携し、大量のデータを処理できるRPAツールです。また、一部非定型の業務(顧客からの問い合わせ対応、データ種別に応じたイレギュラーな加工作業など)にも対応できます。
【クラス3】
機械学習を重ねた高度なAIによって、大量のデータの処理・分析から業務プロセスの課題抽出・改善提案までトータルで対応可能です。3種類のなかでは最も価格が高く、機能面の特徴からCA(Cognitive Automation=経験的知識にもとづく自動化)ツールとも呼ばれます。
RPAツールの選ぶ際のポイント
RPAツールの概要と種類を整理したところで、ここからは導入の際に目を向けるべき5つのポイントをご紹介していきます。
クラウド型かオンプレミス型か
機能・スペックに応じた前述の3種類に加え、RPAツールは利用形態によってクラウド型・オンプレミス型の2種類に分けられます。クラウド型の特徴は、低コスト・短期間で導入できる点。web上で稼働するため、社内に専用サーバーや周辺機器を置く必要がなく、インターネット環境さえあれば契約から3営業日程度で稼働をスタートさせることも可能です。その反面、カスタマイズ性はそれほど高くなく、利用できる機能や連携させられるツールは限られます。
一方のオンプレミス型は、サーバー・周辺機器を含めた初期費用こそ高くなるものの、システムの知識があれば新しい機能の追加や、他ツールとのデータ連携も可能。買い切り型となるため、ランニングコストも抑えられます。予算と利用範囲に合わせて適したタイプを選びましょう。
特化型か汎用型か
特化型のRPAツールとは、マーケティング、財務会計、人事など1つの分野における業務を自動化するために設計・開発されています。利用範囲が狭いだけに、ルールやシナリオを簡単に設定でき、IT・システムに不慣れな人でも使いやすい点がメリットです。
一方の汎用型は名前のとおり、幅広い業務分野での利用を想定したRPAツール。クロス集計、データ分析、課題の抽出など、特化型よりも高度な機能が搭載されており、自社の業務体制・業務課題にあわせてカスタマイズできます。RPAツールがはじめての企業や、単一の部署の業務を効率化したい企業は特化型×クラウド型、自社にエンジニアが常駐おり、全社的な業務プロセスの改善に取り組んでいる企業は汎用型×オンプレミス型の製品を導入するケースが多いようです。
コストパフォーマンスに優れているか
PRONIアイミツが過去に行ったリサーチによると、RPAツールの料金はクラウド型で月額数万円前後、オンプレミス型のなかには1ライセンス数十万円を超える費用がかかる製品もあります。そのため、RPAツールを導入して業務コストを削減しても、こうした利用料が削減した金額を上回ってしまうようでは意味がありません。契約を申し込む前に利用人数や業務工数をしっかり整理したうえで、各製品のホームページに目を通し、確実なメリットが見込めるツールを選びましょう。
また、コストパフォーマンスを高めるという意味では、使い勝手に目を向けるのも大事なポイントの1つ。管理画面のレイアウトがわかりにくい場合や、動作が遅く設定作業に時間がかかるようなシステムでは、ツールを導入しても人件費がかさんでしまうからです。RPAツールのなかには、デモ版や無料トライアル期間を利用できるものも多くあります。それらを活用し、使い勝手を確かめてみるのもおすすめです。
サポート体制は整っているか
業務のオートメーション化・省力化を目的に開発されたPRAツールとはいえ、運用にはシナリオの作成をはじめ、最低限のリテラシーが欠かせません。自社にIT担当者がいない場合や業務用システムに不慣れな場合は、アフターサポートが充実している開発元の製品を選びましょう。
たとえばエヌ・ティ・ティアドバンステクノロジ株式会社(神奈川県横浜市)が提供している「WinActor」では、相談・問い合わせ対応とあわせてシナリオ作成に役立つライブラリやサンプルを用意しています。
セキュリティに問題はないか
経理、人事、総務といったバックオフィス系を中心に幅広い業務に使われるRPAツールには、従業員のプロフィールや財務・IR関連のデータなどセンシティブな情報が蓄積されます。そうした情報が社外に流出すれば顧客・取引先からの信用が失われ、場合によっては訴訟などのトラブルにも発展しかねません。RPAツールを選ぶ際は、上記の4点とあわせてセキュリティ面にも目を向けましょう。
具体的なチェックポイントとしては、ID・パスワードの暗号化機能、ログイン制限機能の有無など。これらの機能を完備したうえで、さらに開発元がセキュリティ認証(プライバシーマーク、ISO27001など)を取得していれば、安心して利用できるでしょう。
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RPAツール導入の流れ
ここからは、RPAツールを導入するにあたっての一般的な流れ・進め方について解説します。
業務課題を洗い出す
まずは経理や人事、営業といった部署にヒアリングを行い、どんな業務に時間がかかっているのか、何がボトルネックになっているのかを洗い出しましょう。口頭だけで聞き出すのが難しい場合は、あらかじめアンケート資料を用意し、1日の業務スケジュールと実績を入力してもらうのもおすすめです。
また、社内で工数管理ツールを使っている場合は、ツールに蓄積された数字を参考にしながら具体的な内訳(実際の時間の使い方)を聞き出していくと、より明確に課題を把握できるでしょう。
自動化する範囲を決める
各部署の業務課題を洗い出したら、RPAツールを使って何をどこまで自動化するのか決めていきます。一般的にRPAツールが得意とするのは、業務手順やルールの変更が少なく、日次や週次といった短いスパンで繰り返し行われる作業です。あくまでもツールの機能・仕様によるのですが、手順が複雑なものやイレギュラーが多い業務にはあまり向いていません。また、頻度が極めて低い業務(半期ごとに行う棚卸し、締めの作業など)に関しては、人の手を介して行った方がかえって効率的な場合もあります。
ルーティンワークを中心に、自動化によって人件費の削減が期待できる業務をピックアップし、変更後(RPAツール導入後)の業務フローをPowerPointなどにまとめておきましょう。
製品を選ぶ
業務課題を洗い出し、自動化する範囲を定めたとことで、おのずと必要なRPAツールの形が見えてくるはずです。「RPAツールを選ぶ際のポイント」でご紹介した5点を念頭に置き、自社に合う製品を絞り込んでいきましょう。
初期費用を含む料金については、前述した3種類のクラスのほか、アフターサポートの範囲、付帯サービスなどによって各製品で異なります。のちのち後悔しないためにも、必ず複数社から見積もりをとり、見比べながら検討しましょう。
運用ルールを決める
導入する製品が決まったら、利用する部署・メンバーと管理者を決め、ツールの概要や導入の目的、ログイン方法、基本的な操作手順などをマニュアルにまとめましょう。ここで大切になってくるのが、トラブル時の対応方法について決めておくことです。RPAツールはあらかじめ登録したシナリオに沿って機械的にタスクを処理するため、データの入力ミスや計算ミスとは無縁です。しかし、シナリオそのものに不備がある場合や、シナリオりの手順で対応できない事象が起きた場合は動作が停止してしまいます。
そうしたトラブルが起きた際に、どの部署の誰がどう対応するのかをあらかじめ決めておけば、業務への影響は最小限に抑えられるはずです。
導入研修を実施する
必須ではないものの、RPAツールの運用を軌道に乗せるためには、ルール・マニュアルの整備とあわせて従業員向けの導入研修を実施するのがおすすめです。RPAツールの開発元のなかには、利用企業向けに導入支援サービスとしてガイダンスやオリエンテーションを請け負うところも多いようなので、リテラシーに不安がある場合はあらかじめ相談しておくのがいいかもしれません。
おすすめのRPAツール3選
おすすめのRPIツール3選をご紹介します。
「WinActor」はNTTグループのエヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社(東京都新宿区)が提供しているRPAツールです。メーカー、小売、金融関連をはじめ、6,500社以上の幅広い企業への導入実績を誇ります。
特徴は、シナリオ・ライブラリを無料提供している点です。メール送信、ファイルのダウンロード、帳票作成など、目的にあわせて60種類以上のサンプルシナリオが用意されています。実績が豊富なうえ、スムーズに導入できる点が大きなメリットでしょう。RPAツールがはじめての企業でも安心して使用できる製品です。
- メールサポートあり
- オンプレミス(パッケージ)
- クラウド(SaaS)
- Pマーク
- 冗長化
- IP制限
- 中国語
- 英語
- シナリオの作成機能
- 操作やコマンドのレコード機能(操作自動記録)
Automation Anywhere
「Automation Anywhere」は、米・カリフォルニア州に本社を置くAutomation Anywhere.Incが開発・販売を手がけるRPAツールです。クラウド型RPAの代名詞的存在として、数々のビジネスアワードを受賞しています。
とりわけ特徴的なのはラインナップの幅広さです。利用者に代わって自動化できる業務を抽出する「DISCOVERY BOT」、AI(人工知能)がドキュメントから特定の情報を抽出・分類する「IQ BOT」など複数のソリューションが用意されており、業務課題に応じた使い分けが可能です。
また、「カスタマーサービスの提供で2万時間節約」「人間の介入なしに年中無休の24時間体制を実現」するなど、数々のニーズに対して実際に効果を上げています。
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- オンプレミス(パッケージ)
- クラウド(SaaS)
- モバイルブラウザ(スマホブラウザ)対応
- ISMS
- 通信の暗号化
- シングルサインオン
- シナリオの作成機能
- 操作やコマンドのレコード機能(操作自動記録)
「Autoブラウザ名人」はユーザックシステム株式会社(東京都中央区)が提供しているRPAツールです。リリース以来、中小企業を中心とした幅広い業種のクライアントに導入されています。
マウス・キーボードの操作、ファイルへのアクセス、ユーザー関数などRPAとしての基本機能が充実しており、勤怠管理から経費精算、受注業務まで幅広い用途に活用することが可能です。勤怠管理の自動化からはじめ、年間1万500時間以上の工数を削減した電子機器メーカーなど、成功事例も少なくありません。
また、開発元はアフターサポートにも非常に力を入れており、公式サイトにはわかりやすいFAQコンテンツや業務改善に役立つ動画ライブラリも用意されています。
- 導入支援・運用支援あり
- メールサポートあり
- 電話サポートあり
- クラウド(SaaS)
- ISMS
- Pマーク
- 中国語
- 英語
- シナリオの作成機能
- 操作やコマンドのレコード機能(操作自動記録)
まとめ:RPAツールの選び方で迷ったらプロに相談
今回はRPAツールの選び方や導入の流れについて解説しました。業務改善に取り組んでいる方の参考になれば幸いです。
PRONIアイミツ(当サイト)では、ITツール受発注支援のプロとして、RPAツール選びについての相談を受け付けています。いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったRPAツールが分かる診断(無料)もありますので、ぜひ一度お試しください。
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