RPAで利用できる補助金を紹介|活用ポイントをわかりやすく解説!
パソコンで行う定型作業を自動化できるPRA。少子高齢化、働き方改革が進む中、多くの企業から注目を集めています。導入すれば業務効率化が進むため、生産性向上を目指すには最適でしょう。
しかしPRAの導入には費用がかかります。もし導入費用がネックになっている場合は、補助金の利用を選択肢に入れることをおすすめします。
今回はPRAの導入をお考えの方に向けて、利用できる補助金、活用のポイントについて詳しく解説をします。
RPAで利用できる助成金・補助金の種類
RPA(Robotic Process Automation)の導入で利用できる助成金、補助金は以下の3つです。
・IT導入補助金
IT導入補助金は、主に中小企業がITツールを導入する際に使える補助金です。
・小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象にした補助金で日本商工会議所に申し込みを行います。一般型と事業再開枠があり、事業者の新たな取り組みや販路拡大、業務効率化などをサポートします。
・ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を対象にした補助金で、中小企業庁の所管です。一般型、グローバル展開型、ビジネスモデル構築型の3つがあり、設備投資をサポートします。
IT導入補助金
ここからはRPA導入に際して使える補助金について解説をします。最初にIT導入補助金について概要を紹介します。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金は、中小企業のITツール導入を支援するための補助金です。独立行政法人中小企業基盤整備機構と経産省の監督の下、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が事務局として受付を行います。
IT導入補助金はITツール導入に特化した補助金として広く知られており、RPAの導入の際は真っ先にチェックしておくべきです。
ITツール導入をサポートする費用として30万~450万円の補助を行っています。申請区分は全部で3つあり、区分ごとにソフトウェア費や導入関連費、ハードウエアレンタル費用などの補助を受けられます。
IT導入補助金の対象者
IT導入補助金の対象者は、小規模事業者と中小企業です。すべての小規模事業者や中小企業を対象としているのではなく、申請に際しては業種ごとに資本金、従業員数など条件があります。業種ごとの従業員数の上限は下記のとおりです。
商業・サービス業(宿泊業、娯楽業除く):5人以下
宿泊業・娯楽業:20人以下
製造業その他:20人以下
IT導入補助金の申請区分は全部で3つあり、補助内容、申請要件が異なります。申請の際には、自社がどの区分にあるか確認して申請を行いましょう。
IT導入補助金の申請区分
IT導入補助金は、通常枠(A、B)と特別枠(C)があります。申請区分ごとに補助内容と要件が異なります。導入できるITツールの要件も申請区分で異なりますが、いずれもgBizIDプライムアカウントの取得、3%/年、9%/3年以上の生産性向上を事業計画に組み込むことが要件です。
以下、申請区分ごとのITツールのプロセス数規定をお伝えします。
A類型:6つの業務プロセスの中でプロセス数が1以上のツール
B類型:6つの業務プロセスの中でプロセス数が4以上のツール
C類型:6つの業務プロセスの中でプロセス数が1つ以上のツール
以上が要件です。
いくら給付されるのか?補助率と補助上限額
IT導入補助金の補助上限額と補助率は、申請区分ごとに異なります。A~C類型の各区分の補助上限額、補助率は下記のとおりです。
A類型:30万~150万円未満、補助率1/2
B類型:補助額150万~450万円、補助率1/2
C類型:
(甲)補助額30万~450万円、補助率2/3
(乙・丙)補助額30万~450万円、補助率3/4
このうちC類型は新型コロナウイルス対応の特別枠です。
IT導入補助金の手続きの流れ
IT導入補助金の手続きの流れを解説します。IT導入補助金の申し込みをする際は、ベンダー側と自社側両方で行います。最初に自社でどのような製品を導入すべきか検討しましょう。IT導入補助金の対象かどうかもチェック。申請に際しては、ベンダーとよく協議して事業計画を策定します。
製品選定が終わったら行政サービスへログインできる「GビズID」のプライムアカウントを取得します。次に申請マイページから必要事項を入力し、必要書類を添付します。そのあと、ITベンダーが必要事項を入力して事務局に送信。
発注、契約は必ず補助金の交付決定後にするよう注意しましょう。交付決定前の事業については、C類型を除いて補助対象外です。
IT導入補助金のスケジュール
2021年のIT導入補助金スケジュールは次のとおりです。通常枠(A・B類型)、低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)ともに募集スケジュールは同じです。
登録申請:2021年3月25日(木)受付開始~2021年6月30日(水)17時
交付申請期間:2021年4月7日(水)受付開始~終了時期は後日案内予定
1次締切分:締切日 5月14日(金)17時、交付決定日:6月15日(火)
2次締切分:締切日 7月30日(金)17時、交付決定日:8月31日(火)
3次締切分:締切日 9月30日(木)17時、交付決定日:10月29日(金)(予定)
小規模事業者持続化補助金
ここからは小規模事業者持続化補助金について解説します。以下、RPA導入で使える小規模事業者持続化補助金の概要、対象、種類、補助内容をお伝えします。
小規模事業者持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金は、商工会議所のアドバイスを受けて経営計画の策定が可能で、申請をするには商工会議所に相談をします。小規模事業者持続化補助金は販路開拓や業務効率化などの事業が補助対象となるため、RPA導入でも使えます。
補助金は「一般型」と「事業再開枠」の2種類あり、一般型は今後の企業の新たな取り組みを支援するものです。事業再開枠は、事業継続に必要な感染症の予防や対策を行っている場合に補助を受けられます。
※2021年第4回受付締切以降、事業再開枠および特例事業者の上限引上げは終了しています。
小規模事業者持続化補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象者は、商工会議所の管轄地域で事業を営む小規模事業者等です。小規模事業者の定義は下記のとおりです。
・商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
・製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下
補助対象となるのは下記の法人です。
・会社および会社に準ずる営利法人
・個人事業主(商工業者)
・一定の要件を満たした特定非営利活動法人
補助対象となる事業は下記のとおりです。
・地道な販路拡大(生産性向上)の取組
・業務効率化(生産性向上)の取組
小規模事業者持続化補助金の種類
小規模事業者持続化補助金の種類は、先述のとおり「一般型」「事業再開枠」の2種類ありますが2021年以降事業再開枠は終了しています。
一般型は単独申請と共同申請の2種類あり、分類はA~C類に分かれます。業種ごとHPに申請記入例があるので参考にしてください。申請は地域の商工会議所のアドバイスを受けた経営計画を作成することが要件に含まれます。
いくら給付されるのか?補助率と補助上限額
小規模事業者持続化補助金の補助率・補助上限額は、下記のとおりです。
・A類型:サプライチェーンの毀損への対応:補助上限額100万円、補助率2/3
・B類型:非対面型ビジネスモデルへの転換:補助上限額100万円、補助率3/4
・C類型:テレワーク環境の整備:補助上限額100万円、補助率3/4
複数事業者で共同申請を行う場合:補助上限額200万~2,000万円
小規模事業者持続化補助金の手続きの流れ
小規模事業者持続化補助金の申請をするには、商工会議所に経営計画作成の相談を行い、アドバイスのもと作成した申請書・取組計画書・誓約書の原本の3つを郵送で送ります。送り先は日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金事務局です。なお単独申請であれば電子申請も受け付けていますが、持ち込みや宅配便には対応していないため要注意です。
申請後に追加資料、説明を求められることもあります。その場合は指定の期限までに回答をしてください。
小規模事業者持続化補助金のスケジュール
小規模事業者持続化補助金の募集は2020年から行われており、2021年以降の申請書類一式の送付締切スケジュールは下記のとおりです。締切は当日消印有効です。
第4受付締切:2021年2月5日(金)
第5回受付締切:2021年6月4日(金)
第6回受付締切:2021年10月1日(金)
第7回受付締切:2022年2月4日(金)
第8回受付締切以降:改めて案内
小規模事業者持続化補助金について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
□関連記事:小規模事業者持続化補助金の一般型・事業再開枠・低感染リスク型ビジネス枠を解説
ものづくり補助金
ここからは、RPAの導入に使えるものづくり補助金について解説します。概要、対象者、種類、補助内容など1つずつみていきましょう。
ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金は、経済産業省中小企業庁管轄の補助金です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」ですが、一般的にものづくり補助金と呼ばれています。働き方改革など制度の変更により影響を受ける事業者を支援するための補助金で、主に新商品・新サービスの開発、新生産方式、プロトタイピングを行うための設備投資などにかかる経費を補助します。
ものづくり補助金には一般型とグローバル展開型があります。以前はビジネスモデル構築型もありましたが、2024年現在募集は行っていません。
ものづくり補助金の対象者
ものづくり補助金の対象者は、中小企業と小規模事業者です。法律上、中小企業に該当しても実質的に大企業の支配下にある場合はものづくり補助金の対象外です。なお財団法人、社団法人、医療法人、学校法人などは対象外のため注意が必要です。
中小企業と小規模事業者で、下記の要件を満たす3年~5ヵ年計画策定・実行に移す場合に申請要件を満たせます。
付加価値額+3 %以上/年
給与支給総額+1.5%以上/年
事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
ものづくり補助金の種類
ものづくり補助金には一般型とグローバル展開型があります。それぞれの概要を説明します。
・一般型
新サービス・新商品の開発、新生産方式・提供方式導入を支援します。
・グローバル展開型
支援対象事業は海外直接投資、海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業の4つで、下記3つのA~Cの分類で補助率が変わります。
A類:サプライチェーンの毀損への対応
B類:非対面型ビジネスモデルへの転換
C類:テレワーク環境の整備
なお一般型、グローバル展開型ともに新型コロナウイルス感染拡大予防の取組として事業再開枠を設けています。
いくら給付されるのか?補助率と補助上限額
ものづくり補助金の補助率および補助上限額は、下記のとおりです。
・一般型
補助額:100万~1,000万円
補助率:経費の1/2~2/3
・グローバル展開型
補助額:1,000万~3,000万円
補助率:通常枠:中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3、特別枠:A類型2/3、B・C類型3/4
事業再開枠
補助上限:50万円
補助率:10/10
補助を受けるには生産性向上に関わる事業計画、最低賃金に関する条件があります。
ものづくり補助金の手続きの流れ
ものづくり補助金の申請は、電子申請のみ対応しています。申請にはgBizIDプライムアカウントが必要のため、事前に取得してください。
申請書類は、ものづくり補助金のHPからダウンロード可能です。事業計画書を作成し、妥当性が高いと認められれば採択されます。
申請前に交付申請説明会があり、そこで事前相談をしたのちに交付申請をします。事業計画作成から補助金入金まで半年ほどの時間がかかるため、運転資金の目途を立てておく必要があります。
ものづくり補助金のスケジュール
ものづくり補助金の公募スケジュールは、下記のとおりです。申請に際しては事前にgBizIDプライムアカウントを取得しましょう。アカウント取得はHPから行えます。2021年は6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表予定です。
6次締切
公募開始日:2021年2月22日(月)17時
申請開始日:2021年4月15日(木)17時
申請締切日:2021年5月13日(木)17時
7次締切
公募開始日:2021年5月13日(木)17時
申請開始日:2021年6月3日(木)17時
申請締切日:2021年8月17日(火)17時
補助金を申請する際のポイント
最後にRPAの導入で補助金を申請する際に気を付けるべきポイントを紹介します。実際の申請の際は次の3つの点に気を付けてください。
RPAの導入目的を明確にしておく
RPA導入の際は、導入目的を明確にしておくことが大切。補助金が出るからと言って目的もなくRPAを導入するのは考え物です。
RPAに限らず、業務システムは操作をマスターして定着するまでに手間も時間もかかります。特段の目的もないまま導入しても、使われず放置される可能性があります。極端な話、自動化したい業務もないのに導入したらまさに宝の持ち腐れになってしまうでしょう。
またRPAは複数のアプリケーションやソフトを連携して使用するため、アップデートの関係で誤操作や作業が中断される恐れもあります。そのため自社業務の重要性、システムとの相性についても十分な考慮が必要です。大きなトラブルが発生することが予想される場合は、RPAではなくより大規模なシステムを導入すべきです。
補助金の申請スケジュールに気を付ける
補助金の申請は募集期間のスケジュールに注意をしてください。
上記で紹介した3つの補助金もそうですが、補助金は募集期間が複数回に分かれていることが多く、1回ごとの募集期間は短期間です。申請をしたいと思ったときには締め切りになっていた、ということはよくあるので、申請したい補助金がある場合は年間の募集スケジュールを把握し、余裕を持って申請することが大切です。補助金は予算枠があり、上限に達した場合は募集を打ち切ることもあります。そのため、可能な限り早めに申請をすることをおすすめします。
特に2020年以降、新型コロナウイルスの影響で政府もさまざまな補助金を用意しており、新設の補助金なども多数あります。RPA導入に使える補助金は上記3つですが、補助対象や補助率などイレギュラーな変更も予想されるため、要項を頻繁に確認しておくことも大切です。
RPAを継続的に運用できるように体制を整える
システムを導入する際は、長期的に効果が見込めるものを検討することも大切です。
補助金が絡むと交付、不交付ばかりが気になりますが、無事交付決定を受けRPAを導入できても、導入後の運用に失敗をしたら元も子もありません。RPAは導入後のメンテナンスや効果測定など、継続的に運用できるように体制を整えることも重要事項です。
スムーズな導入のために、教育・研修体制について検討が必要です。最初は少人数から運用を始め、成功をしたら他部署でも利用するなど段階的に導入すると混乱を防げるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。RPAで利用できる補助金と活用のポイントに関する特集は以上です。
RPAを導入する際は費用がかかりますが、補助金を上手に活用すれば格安で導入できます。補助金申請には要件があり、申請にも期限があるため、早めに情報をキャッチして抜け漏れがないように申請するようにしてください。
もし、RPA導入に際してお困りのことがあればお気軽にアイミツまでお問い合わせください。ご要望をお伺いした上で必要なサポートをさせていただきます。
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