労務におすすめのマイナンバー管理システム
従業員の個人情報であるマイナンバーを適切に管理するためには、マイナンバー管理システムの導入がおすすめです。しかし、中には「具体的にどんなものかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、マイナンバー管理システムの概要や種類、導入のメリットなどについて解説します。マイナンバー管理システムの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
- マイナンバー管理システムとは
- マイナンバー管理システムの種類
- 労務にマイナンバー管理システムを導入するメリット
- マイナンバー管理システムを導入するデメリット
- システム利用以外のマイナンバー管理方法はある?
- マイナンバー管理システムの選び方
- マイナンバー管理における4つのルール
- まとめ
マイナンバー管理システムとは
マイナンバー管理システムは、その名の通り従業員のマイナンバー情報を正しく管理するためのシステム全般を指すものです。システムの活用によって従業員のデータベースとマイナンバーを紐づけて統合管理することができます。
マイナンバーの収集・管理はもちろん、廃棄にいたるまで一括で対応するので、厳格な情報管理を実現するために重要なシステムの1つと言えます。
マイナンバー管理システムの種類
マイナンバー管理システムは、以下の2種類に分けられます。
・人事労務システムに機能として組み込まれているもの
人事労務全般の業務の一環としてマイナンバーも管理できるシステムです。人事労務に関する業務をまとめて効率化したいという場合に役立ちます。
・単独サービスとして提供されているもの
マイナンバー管理に特化したシステムです。人事労務に関する業務がすでに効率化されており、マイナンバー管理のみ改善が必要な場合におすすめと言えます。
労務にマイナンバー管理システムを導入するメリット
マイマンバー管理システムを導入すると、労務担当者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
マイナンバーの収集・管理を効率化できる
代表的なメリットとしてあげられるのは、マイナンバーの収集・管理を効率化できるという点です。マイナンバーの収集・管理は義務化は始まったばかりの取り組みであることから対応に不慣れな会社・従業員も少なくありません。しかし、マイナンバー管理システムを導入すれば「マイナンバーを未提出の従業員」が一目瞭然となるだけでなく、履歴が自動で記録されるため入力の負担も軽減されます。
マイナンバーの廃棄にも対応しているため、退職者のマイナンバーがいつまでもデータベースに残ってしまうという事態を避けられるのも魅力でしょう。
セキュリティ面の対策になる
マイナンバー管理システムは、セキュリティを強化する上でも重要です。マイナンバーは多くの個人情報を内包するものであることから、簡単に第三者の目にとまるような環境での管理は許されません。
マイナンバー管理システムがあれば適切な保管はもちろん、アクセス制限の設定も可能なため盗み見のリスクを最小限に抑えられます。多くのマイナンバー管理システムが高度なセキュリティを備えているので、紙で保管するよりも安全に管理できます。
法改正への対応もスムーズ
マイナンバーは比較的新しい制度ということもあり、今後も法的な扱いが変化していくと考えられます。マイナンバー管理システムはこうした点も踏まえ、法改正に合わせて自動でアップデートが行われるのが一般的です。
手動での管理は自身で法改正の内容を確認して保管方法などを変更する必要がありますが、マイナンバー管理システムを使えばそれらの作業が不要なため、スムーズな運用が実現するでしょう。
帳票作成も簡単になる
マイナンバー管理システムは、帳票作成の効率化にも役立ちます。帳票作成の際には複数の情報を統合する作業が発生しますが、これを手動で行うには多くの時間を要します。マイナンバーを別で扱う場合であっても、企業規模が大きいほど手動による転記は負担になるでしょう。
マイナンバー管理システムと労務管理システム、給与計算などを連携させれば情報が自動で反映されるので転記が不要となるのでミスの削減にもつながります。
マイナンバー管理システムを導入するデメリット
マイナンバー管理システムの導入にあたっては、メリットだけでなくデメリットについても理解しておく必要があります。以下で詳しく解説していきます。
導入・運用にコストが発生する
マイナンバー管理システムの導入には、初期費用はもちろん維持管理コストも発生するため費用対効果を意識しなければなりません。複数社から見積もりをとるだけでなく、「効果を生むにはどのように使えばいいのか」も検討する必要があるでしょう。
近年人気のクラウド型のマイナンバー管理システムは初期費用を抑えられ、さらに運用コストが低額というのが特徴です。オンプレミスでの導入を希望している場合も、クラウド型と初期費用・運用費用を比較してみることをおすすめします。
セキュリティ面に注意する必要がある
マイナンバー管理システムの導入は「マイナンバーをデータとして管理する」ということになるため、セキュリティ対策に取り組まなければなりません。近年は企業と標的としたサイバー攻撃も増加しているものの、十分なセキュリティ対策が行えていない企業も多いというのが現状です。
強固なセキュリティを備えたシステムを選ぶのはもちろん、従業員のリテラシー向上施策の実施が求められます。マイナンバー情報の漏えいによるリスクは非常に高く、会社だけでなく従業員が危険に晒される可能性もあります。現在の管理体制を見直した上で、改善点を把握しておきましょう。
システム利用以外のマイナンバー管理方法はある?
マイナンバーの適切な管理にはシステムの導入が推奨されますが、このほかにも方法はあります。システムを導入するまでのつなぎとして、以下の方法も検討してみてはいかがでしょうか。
社内ファイルサーバーで管理
従業員のマイナンバーをデータとして自社で管理する場合は、社内ファイルサーバーを利用するのが一般的です。ほかの社員情報とあわせて管理すれば、データベースを統合して情報を扱うことができます。すでに自社サーバーを設置していて余裕がある場合は、この方法でもよいでしょう。
ただし、セキュリティを強固にしなければ万一サイバー攻撃を受けた際の被害が深刻化すると考えられるため十分な対策が求められます。
オンラインストレージで管理
オンラインストレージの利用も、マイナンバー管理の方法の1つです。外部のサービスを利用するため社内のサーバーに負担をかけずに情報を管理できますが、情報を活用しにくくい点や不正利用・不正アクセスのリスクを抱えている点がデメリット。ほかの個人情報とマイナンバーを紐づけて管理しなければ、使用のたびに情報を紐づける作業が発生します。
また、アクセス権限を細かに設定しなければ、不特定多数に従業員のマイナンバーを閲覧されてしまう可能性があるので注意が必要です。
外付HDDやUSBメモリで管理
外付けHDD・USBメモリといった外部記録媒体は、マイナンバー情報をローカルファイルとして管理できるだけでなく、ネットワークからも遮断されているためセキュリティリスクの低い管理方法と言えます。
しかしマイナンバーが必要になるたびに媒体を手元に用意しなければならず、業務効率が下がってしまうというデメリットも。「記録媒体を紛失してしまう可能性がある」というリスクを抱えている点も考慮しなければなりません。
金庫やキャビネットなどで管理
古典的な方法としてあげられるのが、金庫やキャビネットなどでの管理です。紙媒体でマイナンバーを管理する場合や、マイナンバーが記録された外付けHDD・USBメモリの保管に活用されています。
安全性を確保できるのが特徴ですが、その反面利便性には劣るためマイナンバーの抽出に時間がかかります。また、ローカルでの管理は情報が必要な際に出社が求められるため、テレワーク・リモートワークを推進している場合は負担が膨らむのが懸念点でしょう。
社内のPCで管理
会社用のPCに直接マイナンバーを保存し、必要に備えて管理する方法を選択する企業も存在します。PCにデータを保存していれば必要な際にすぐにマイナンバーを抽出できますが、ほかの書類と同様にマイナンバーを管理するのは危険をともなうものです。
第三者が簡単に閲覧できるだけでなくサイバー攻撃を受けた際にマイナンバー情報を丸ごと流出してしまう可能性があるなど、セキュリティ上のリスクが大きいためおすすめはできません。
マイナンバー管理システムの選び方
それぞれの保存方法の特徴を踏まえると、やはりマイナンバーの管理には専用のシステムの導入がおすすめです。そこでここからは、マイナンバー管理システムを選ぶ際のポイントを解説します。
使いやすいシステムを選ぶ
マイナンバー管理システムの導入にあたっては、自社にとって使いやすいか否かを意識すべきです。現在はさまざまなマイナンバー管理システムが提供されていますが、機能や操作方法などは製品によって異なります。
導入前に無料トライアルが利用できるマイナンバー管理システムも多いので、可能であれば積極的に活用し「自社の課題解決に適しているか」「問題なく操作できそうか」などを確認しましょう。実際に業務を担当する従業員に試してもらい、その意見を踏まえて選定を進めるのがおすすめです。
外部サービスと連携できるものを選ぶ
マイナンバー管理システムはもちろん単体でも利用できますが、できれば外部のサービスとの連携が可能なものを選びましょう。マイナンバー管理システムと給与計算システムや勤怠管理システムなどが連携できれば、より効率的な情報管理やデータ活用に役立ちます。
マイナンバー管理システムを導入する際に既存のシステムや導入予定のシステムとの互換性を確認しておけば、さらなる業務効率かが叶うでしょう。
ユーザー数がマッチしたものを選ぶ
マイナンバー管理システムの中には従業員数によって費用が変動するものがあるため、利用規模に合ったマイナンバー管理システムを選ぶというのも大切なポイントの1つです。大企業向けのサービスと中小企業向けのサービスでは想定利用人数が大きく異なるため、コストパフォーマンスにも影響します。自社の規模に適したサービスに絞って検討を進めるとよいでしょう。
セキュリティ対策が充実しているものを選ぶ
マイナンバー管理システムに限らず、新たにシステムを導入する際は「ログイン認証の強度」や「暗号化が行われるか否か」などセキュリティ対策の詳細をきちんと確認しておくことをおすすめします。
マイナンバーは重要な個人情報のため、導入したサービスの脆弱性が原因で情報が漏えいしてしまった場合は企業として大きな損失を被る可能性があります。
マイナンバー管理における4つのルール
マイナンバーを適切に管理するためには、守るべき4つのルールがあります。以下から詳しく解説します。
マイナンバーの取得・利用・提供について
マイナンバーの取得・利用・提供は、法令で定められている場合にのみ行うことができます。企業や担当者の独断でマイナンバーを扱うことは許されず、法律に違反します。
また、マイナンバーの取得にあたっては対象者に「なぜマイナンバーが必要なのか」利用目的を明確に伝えなければなりません。マイナンバーは氏名のような感覚で利用できないと覚えておきましょう。
マイナンバーの保管・廃棄について
マイナンバーの保管・廃棄にも、法令遵守が求められます。マイナンバーの保管はその必要がある場合にのみ認められており、「意味もなくマイナンバーを書き留める」などの行為はルール違反となるだけでなく個人情報流出の原因にもなりえます。
くわえて、所定の保管期間を経過したマイナンバーはすみやかに破棄しなければなりません。マイナンバー管理システムの導入を通じて、正しいマイナンバーの保管・破棄を実現させましょう。
マイナンバー管理の委託について
マイナンバーの管理を外部に委託する場合、企業は委託先を適切に監督しなければなりません。「アウトソーシングできればどこでもいい」ということはなく、マイナンバーという個人情報の管理を任せても問題のない会社を選定する必要があります。
契約時には「契約書に安全管理措置の遵守に関するが記載されているか」を確認するのはもちろん、委託先でのマイナンバーの取り扱い状況を把握する方法についてもしっかりと検討しましょう。
マイナンバーの安全管理措置について
マイナンバーの情報漏えいや滅失などの防止を目的に、企業には安全管理措置が求められます。個人情報保護委員会によって定められた事業者向けのガイドライン(※)では、以下の6項目が設けられています。
・基本方針の策定
・取り扱い規定などの策定
・組織的安全管理措置
・人的安全管理措置
・物理的安全管理措置
・技術的安全管理措置
中でも注目すべきは「組織的」「人的」「物理的」「技術的」の面で安全管理措置を実現できているか否かです。ただシステムを導入するだけでなく「マイナンバーの扱いについて前者に理解が浸透しているか」や「技術的に不備のない環境かどうか」などの条件をクリアしましょう。
出典:個人情報保護委員会 「特定個人情報の適切な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/my_number_guideline_jigyosha.pdf
まとめ
この記事では、マイナンバー管理システムの概要や種類、導入のメリット・デメリットとあわせて、システムの選び方やマイナンバー管理のルールについて解説してきました。マイナンバーは重要な個人情報であるため、企業には適切な管理が求められます。数あるマイナンバー管理システムから自社に合った製品を選ぶことで、効率的な収集・管理が実現するでしょう。
「PRONIアイミツ」では、マインナンバー管理システムの比較検討に役立つさまざまな情報を掲載しています。実績や機能別で検索できるほか、マイナンバー管理システムに関する記事も多数公開しているのでぜひご活用ください。