マイナンバーの法律「マイナンバー法」とは?【2025年最新版】
健康保険や厚生年金、雇用保険といった社会保険の手続きに使われる従業員のマイナンバー。企業は、従業員のマイナンバーを適切に保管しておく義務があります。
この記事では、企業が順守する必要のあるマイナンバー法がどのような法律なのかについて詳しく解説します。従業員のマイナンバーを適切に管理するためのマイナンバー管理システムも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- マイナンバーに関する法律「マイナンバー法」とは?
- マイナンバーの取り扱いについて
- 企業がすべき「安全管理措置」とは?
- マイナンバー法に応じたマイナンバー管理とは
- マイナンバー管理には「マイナンバー管理システム」がおすすめ
- おすすめのマイナンバー管理システム2選
- マイナンバーを正しく管理するシステムを導入しよう
- まとめ
マイナンバーに関する法律「マイナンバー法」とは?
マイナンバー法は、行政を効率化することで国民生活の利便性を向上させるために導入された個人情報に関する法律です。正式名称は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」と長いため、マイナンバー法と呼ばれることが一般的です。
企業は従業員のマイナンバーを適切な形で管理し保管しておく必要があります。マイナンバー法に違反すると、マイナンバーを管理する企業に罰則が科せられるケースもあります。
マイナンバー法の目的
マイナンバーは、行政手続きの簡素化と、国民生活の利便性を向上させることを目的としてしたものです。たとえば、社会保険や福祉関係の申請の際に、従来であれば住民票や課税証明書が必要で、国民はわざわざそれらの書類を取得する必要がありました。しかし、マイナンバーを使うことによって、そういった書類が必要なく各種申請ができるようになります。
行政機関が住民のマイナンバーを使って必要な情報を照合することによって、行政手続きの簡素化が可能になるわけですが、それだけマイナンバーは重要な情報です。その重要な情報を、万が一にも漏洩することがないよう適切に管理することを目的とした法律がマイナンバー法です。
マイナンバー法の改正
マイナンバーが改正されたのは2021年9月1日です。従来は従業員は転職するたびに、企業にマイナンバーを提供する手続きを取る必要がありました。それは、第三者にマイナンバーの提供が禁じられていたからです。
マイナンバー法の改正により、従業員本人の同意があった際には第三者にマイナンバーを提供することが可能になりました。そのため従業員が転職する際、新たにマイナンバーの提供の手続きの必要がなくなり、従業員、企業ともに負担が軽減されることになりました。
マイナンバーの取り扱いについて
マイナンバー法の第19条に、マイナンバーの取り扱いについて、以下のように記載されています。
『何人も、第十九条各号のいずれかに該当して特定個人情報の提供を受けることができる場合を除き、他人(自己と同一の世帯に属する者以外の者をいう。第二十条において同じ。)に対し、個人番号の提供を求めてはならない。※』
従業員が働く企業は、「第十九条各号のいずれかに該当」しているため、マイナンバーの提供を求めることが可能です。しかし、万が一にも情報漏洩が起こらないよう、取り扱いは慎重に行う必要があります。
※出典:e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(提供の求めの制限)第十五条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027
マイナンバーの提出先とは
マイナンバー法の第19条に、マイナンバーは他人に対して提供してはいけない旨が記載されていますが、例外もあります。それは以下の5つです。
・事業所(勤務先)
・契約先(講演等の主催企業など)
・不動産業者等
・金融機関等
・行政機関等
たとえば、事業所は税金や社会保険関係の手続きを行うために、従業員のマイナンバーを税務署などに提出する必要があります。従業員本人や従業員の配偶者などは事業所の求めに応じて、マイナンバーを提供しなければなりません。
また講演等を行って金銭を受け取る場合、契約先は支払調書にマイナンバーを記載して税務署に提出しなければなりません。そのため、契約先からの求めに応じてマイナンバーを提供する必要があります。
個人番号利用事務等実施者に求められること
従業員から、マイナンバーの提供を受けた事業所などは、適切な形で管理していかなければなりません。マイナンバー法第12条で、マイナンバーの管理について次のように記載されています。
『個人番号利用事務実施者及び個人番号関係事務実施者(以下「個人番号利用事務等実施者」という。)は、個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。※』
万が一にも、マイナンバーの情報漏洩が起きないよう、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならないとされています。
※出典:e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(個人番号利用事務実施者等の責務)第十二条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027
企業がすべき「安全管理措置」とは?
従業員からマイナンバーの提供を受ける企業は、マイナンバーを適切に管理するために、安全管理措置を講じなければなりません。それでは企業が講じるべき安全管理措置とはどのようなものなのでしょうか。ここで詳しく見ていきましょう。
基本方針の策定
まずは、マイナンバーを適切に管理するための基本方針を策定し、組織的に取り組んでいくことが重要です。基本方針は、必ず策定しなければならないものではありません。とはいえ、マイナンバーの適正な取り扱いを定めたガイドラインでは基本方針を策定することが推奨されています。
どのような業務にマイナンバーを利用するのか、マイナンバーがどのような情報なのか、誰がマイナンバーの業務を担当するのかを明確にしましょう。
取扱規程等の策定
次に、基本方針に基づいてマイナンバーの具体的な取り扱い方を定めた取扱規定を策定してください。取扱規定は、基本方針と異なり、企業の規模を問わず、従業員からマイナンバーの提供を受けるすべての企業に策定が求められています。
マイナンバーの取り扱いには「取得」「利用」「保存」「提供」「削除・廃棄」の管理段階があります。それぞれの段階ごとの取り扱い方法、責任者とその任務を定めてください。
組織的安全管理措置
マイナンバーを取り扱う事業者は、組織的安全管理措置を講じることが義務付けられています。組織体制を整備した上で、取扱規定に基づいた運用を行う必要があります。
さらに、情報漏洩が起きた際の体制を整備し、情報漏洩が起きた場合には安全管理措置の見直しに関する措置を取らなければなりません。具体的には、事務取扱担当者を明確にする、運用状況を把握するためにアクセスログを記録する、適切に運用されているか定期的に点検するなどが挙げられます。
人的安全管理措置
マイナンバーを取り扱う事業者は、マイナンバーの適切な管理のために人的安全管理を講じることも義務付けられています。具体的には、マイナンバー取り扱い担当者の監督、マイナンバー取り扱い担当者の教育が挙げられます。
企業は、マイナンバーが適切に管理されるように、担当者を監督しなければなりません。また、担当者を教育するために、役割に合わせた内容の研修などを定期的に行うことも課せられています。
物理的安全管理措置
マイナンバーを取り扱う区域の管理、マイナンバーを取り扱っている機器やマイナンバーが記録されている媒体の盗難防止措置、マイナンバーが記録されている媒体を持ち運ぶ際に情報漏洩防止措置を講じることが義務付けられています。
マイナンバーを取り扱う区域の管理には、ICカードやナンバーキーを利用した入室管理システムの設置などが考えられるでしょう。盗難防止措置には機器をセキュリティワイヤーで固定する、情報漏洩防止措置には持ち運ぶデータの暗号化などが考えられます。
技術的安全管理措置
技術的安全管理措置とは、情報漏洩や外部からの不正アクセスを防止するための技術的な措置のことです。システムへのアクセス制限、アクセスした者の識別と認証、不正アクセス防止対策、情報漏洩対策を取ることが求められています。
具体的には、マイナンバーを取り扱いするシステムの利用者を制限する、取り扱い担当者をID・パスワードで識別する、不正アクセスを防止するためにセキュリティ対策ソフトを導入する、情報漏洩を防止するために通信経路を暗号化するなどが考えられます。
マイナンバー法に応じたマイナンバー管理とは
企業は従業員から提供されたマイナンバーを適切に管理していく責務があります。とはいえ、どのような点に気を付けたら良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、マイナンバー法に応じた適切な管理方法をお伝えします。
マイナンバーの収集時
企業が従業員のマイナンバーを収集する際に気を付けなければならないのは、公的な手続き以外の目的でマイナンバーを収集してはいけないということです。さらに、マイナンバーを収集する際は事前に従業員に「公的な手続きのため」と説明しておく必要があります。ミスや「なりすまし」を防止するため、写真付き証明書で本人確認を行うようにしましょう。
マイナンバーの利用・管理時
マイナンバーの利用・管理時に気を付けなければならないのは、万が一にも情報流出を起こさないことです。情報漏洩や不正アクセスを防止するために、ID・パスワードなどでシステム利用者を制限する必要があるでしょう。また、紙でマイナンバーを管理している企業の場合、施錠できるキャビネットでマイナンバーの記載されているファイルを保管しておかなければなりません。
マイナンバーの破棄時
必要がなくなったマイナンバーは、必ず破棄しなければなりません。行政手続きに利用したマイナンバーは、決められた保管期間が過ぎたら破棄します。
パソコンで保管している場合、専用のソフトを利用するなど復元不可能な状態にする必要があります。紙で保管している場合は、焼却してください。
マイナンバー管理には「マイナンバー管理システム」がおすすめ
マイナンバーは適切に収集、利用、管理、破棄を行わなければならないものです。きちんと管理するとなると、業務負担は決して小さくありません。ここでは、マイナンバー管理業務に役立つマイナンバー管理システムを紹介します。
マイナンバー管理システムとは
マイナンバー管理システムとは、マイナンバー管理にかかわるすべての業務をパソコン上で完結できるシステムです。マイナンバー管理システムには、マイナンバーの収集から保管、利用、破棄までのすべての業務に対応する機能が搭載されています。
紙でマイナンバーを保管する必要がなくなるため、社内に保管スペースを確保する必要も、施錠できるキャビネットを購入する必要もなくなるでしょう。さらに、手作業を起因とした単純ミスの防止にもつながります。
マイナンバー管理システムのメリット
マイナンバー管理システムを利用することの最大のメリットは、より効率的かつ適切にマイナンバーを管理できるようになる点です。
たとえば、マイナンバーを収集する際は、従業員に何に使うのかを伝えた上で収集する必要があります。このとき、利用目的の通知と、マイナンバーの入力が同時にできるシステムを利用すれば、マイナンバー収集の手間が大きく軽減します。さらに、マイナンバー管理システムの多くが厳重なセキュリティ性能を持つ点もメリットです
おすすめのマイナンバー管理システム2選
数多くのマイナンバー管理システムがさまざまな会社リリースされているため、「自社に最適なシステムを1つ選ぶのが難しい」という方もいるのではないでしょうか。そこで、ここではアイミツ編集部がおすすめのマイナンバー管理システムを紹介します。
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料金
月1,980円/契約 -
初期費用
なし
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最低利用期間
なし
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最低利用人数
なし
フリーウェイマイナンバーは、会計ソフトや給与計算ソフトなどの開発・販売を行うフリーウェイジャパンが提供するマイナンバー管理システムです。
一番の特徴は、小規模事業者であれば無料で利用できるという点。従業員数が20人までであれば、初期費用も月額利用料も無料ですべての機能を利用できます。21人以上の会社でも、初期費用無料、月額利用料が1,980円(税抜)で利用可能です。また、高度なセキュリティ対策が施されている点もおすすめポイントです。
- 提出依頼の通知
- 情報を直接入力
- ID・パスワード方式でのログイン
- 従業員家族の管理
- 登録催促の通知
- ログ確認
- アクセス権の管理
- 不要マイナンバーの廃棄アラート
- 削除予約
- 二要素認証・二段階認証
セキュアMyNUMBER
セキュアMyNUMBERは、クラウドストレージサービスなどを手掛けるChatworkストレージテクノロジーズが提供するマイナンバー管理システムです。操作性の良さが大きな特徴で、ITの知識がない方でも直感的に操作できるように工夫されています。
暗号化やウィルスチェックなどのセキュリティ機能が充実している点も魅力です。月額利用料が1,000円から1万円まで4つのプランを用意しており、いずれのプランも扶養家族は全員無料で利用できます。
マイナンバーを正しく管理するシステムを導入しよう
マイナンバーを適切に管理していくためには、基本方針や取扱規程を策定したり、安全管理措置を講じたりといった企業内での準備が必要です。それと同時に、安全に管理を行っていくためには、自社の特色に最適なマイナンバー管理システムを導入することが重要です。
とはいえ、初めてマイナンバー管理システムを導入する方の多くは、どのようなシステムを導入したら良いか分からないと思います。そんな方はぜひ、PRONIアイミツをご利用ください。PRONIアイミツでは、さまざまなマイナンバー管理システムを紹介しています。
まとめ
従業員から提供を受けたマイナンバーは、適切な形が収集、管理、利用、破棄を行わなければなりません。企業がマイナンバー法に違反すると、刑事罰の対象となる可能性があります。そのため、マイナンバーの取り扱いは十分な管理体制や対策が必要です。
マイナンバーの管理を効率的かつより適切に行えるのがマイナンバー管理システムです。導入するマイナンバー管理システムで迷った方は、ぜひPRONIアイミツにご相談ください。