【2025年最新】デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)とは
近年、注目を集めているデジタルトランスフォーメーション(DX)。リモートワークが普及した現在では、DXに積極的に取り組む企業が増えています。しかし、一般的にはまだまだ馴染みが薄く、国もDX推進ガイドラインを公開していますが、その内容については余り知られていません。この記事ではDX推進ガイドラインの内容を解説するとともに、実際の成功事例についても紹介していきます。
- デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)とは?
- デジタルガバナンス・コードと対応する「情報処理促進法」とは?
- 「デジタルガバナンス・コード2.0」の概要と押さえるべき要点
- 参考にしたい!DXの取り組み成功事例4選
- まとめ
デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)とは?
あらゆるシーンでデジタル化が進む「ソサエティー5.0」=「日本が提唱する未来社会のコンセプト」に向けて、新たなビジネスモデルで成長する企業もあれば、変化に対応できずに衰退していく企業もあります。こうした激しい変化に対応すべく、経済産業省では企業のDXに関する自主的取組を促しています。令和2年にはデジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表など、経営者が取り組むべきことを記した「デジタルガバナンス・コード」を取りまとめました。
企業がDXを推進するときに参考にするべくガイドラインとして作成されていた「DX推進ガイドライン」に「デジタルガバナンス・コード」が統合され、現在は「デジタルガバナンス・コード2.0」が公表されています。
参考:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf
内閣府「Society 5.0」https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/
経済産業省が定義するDX(デジタルトランスフォーメーション)
経済産業省はDX(デジタルトランスフォーメーション)について以下の様に定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
会社や経営者が主体となりIT技術を活用し、変革を起こしていく必要があることを読み取ることができます。
引用:「デジタルガバナンス・コード」2.0https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf
DXとSX/GXとの関係性
DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル技術を活用した業務プロセス、ビジネスモデル、企業風土の改善といった現時点の事業の効率化と価値向上を主な目的としています。しかし、将来性が不確実な現在、持続的に強みを発揮するSXやGXが注目を集めています。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)は企業の長期的な持続可能性を重視し、企業の稼ぐ力と環境、社会、ガバナンスを両立させることを目的としています。また、GX(グリーントランスフォーメーション)はクリーンエネルギーを主軸とする産業構造への変革を目指す取り組みです。
デジタルガバナンス・コードと対応する「情報処理促進法」とは?
デジタルガバナンス・コードと対応する「情報処理促進法」とは「Society5.0」を実現するための施策の1つです。ここでは本法とDX認定制度の概要について解説します。
情報処理促進法の概要
情報処理促進法は以下の3つの柱で成り立っています。
・企業のデジタル面での経営改革
・社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくり
・安全性の構築
この3つの要素に官民一体となって取り組み、来るべきSociety5の実現を目指します。その他、情報処理安全確保支援士(RISS)がサイバーセキュリティに関する知識・技能を取得するために、三年ごと登録を更新する制度を構築しています。
DX認定制度の概要
DX認定制度は情報処理の促進に関する法律の一部を改正した法律に基づく制度で、優良な取組を行う事業者の申請に基づき、DXの認定事業者として認めます。「DX認定制度事務局」を運営するのはIPA(情報処理推進機構)です。各種問合せ、及び認定審査事務を一手に引き受けます。認定は全ての事業者を対象としており、申請から資格取得の審査期間(標準処理期間:60営業日)が必要です。
新基準に基づく申請要項(申請のガイダンス)
新基準に基づく申請要項(申請のガイダンス)はIPAのホームページで公開されています。運用として2022年10月1日以降の新規申請・再申請、及び更新申請については新基準に基づく申請が必要です。認定を受けるには、DX-Readyの状態、つまりデジタルの力で自らを変革できる準備状態のレベルにあることが求められます。
参考: 経済産業省 情報技術利用促進課 独立行政法人 情報処理推進機構
「 DX認定制度 申請要項 (申請のガイダンス)https://www.ipa.go.jp/files/000086670.pdf
「DX認定制度 Web申請受付中!」https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxcp.html
「デジタルガバナンス・コード2.0」の概要と押さえるべき要点
ここからは「デジタルガバナンス・コード2.0」の概要と押さえるべき要点について解説します。デジタルガバナンス・コード2.0」の概要は経営ビジョン・ビジネスモデル、戦略、成果と重要な成果指標、ガバナンスシステムの4本柱で構成されています。また、「望ましい方向性」や「実際の取組例」についても紹介されており、実務上の対応や行動変容の参考になるでしょう。ここでは4つの柱にとその方向性について詳しく解説していきます。
1.ビジョン・ビジネスモデル
「デジタルガバナンス・コード2.0」の1つ目の柱はビジョン・ビジネスモデルです。企業はビジネスとITシステムを一体的に捉え、今後、競争の激しいビジネス環境やデジタル技術の変化を前提とした、経営ビジョン策定とその実現をめざすべきとしています。また、そのためのビジネスモデルの設計を行い、新たな価値を創造しステークホルダーに示すえきとしています。目指すべき方向性としては、経営者がデジタル化の機会と脅威を認識し、明確なシナリオを描いていること、自社のビジネスモデル改善にIT/デジタル戦略・施策が盛り込まれていることなどがあります。
2.戦略
「デジタルガバナンス・コード2.0」の2つ目の柱は「戦略」です。企業は激しい社会環境の変化の中、どのように新しい価値を創造していくか、また実現のためのビジネスモデルをどのように構築していくか、経営戦略の中で明確化しなければなりません。デジタルガバナンス・コード2.0では、新たな価値を創造するビジネスモデル構築の手段としてデジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示すべきであるとしています。ここで言う、「新しい価値」とは、新ビジネス創出、業務のスピードアップ、コスト削減のことです。戦略には「組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策 」と「IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策」の2つの方策があります。
戦略:「組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策」
戦略のその1は組織作りに関することです。企業はDX推進に必要な体制を構築し、更に組織設計・運営の在り方について全てのステークホルダーに公開することが求められます。その際に、人材育成や外部組織との協働も重要なポイントとして捉えておく必要があります。認定基準ではDX推進のために必要な体制と組織に関する事項を示すことが求められています。
戦略:「IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策」
戦略のその2はデジタル技術活用環境整備に関することです。企業はDX推進に必要なITシステム・デジタル技術の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策などについてステークホルダーに伝えるべきとしています。認定基準にもこの要素が盛り込まれ、ITシステムやデジタル技術活用環境整備の方策を示さなければなりません。
3.成果と重要な成果指標
ガバナンス・コード2.0の3つ目の柱は「成果と重要な成果指標」です。
成果と重要な成果指標の項目では、KPIなどを用いてDX推進の体制作りやデジタル技術活用に関する戦略の達成度を指標に基づいて評価し、ステークホルダーに対して公開すべきとされています。認定基準には、DX推進における戦略の達成度を測る指標を公表していることが盛り込まれています。
4.ガバナンスシステム
「デジタルガバナンス・コード2.0」の4つ目の柱は「ガバナンスシステム」です。
ガバナンスシステムの項目では、経営者はDX推進の戦略の実施に際して、ステークホルダーへの情報提供を含めて、リーダーシップを発揮すべきであると明記されています。また、経営者はITシステムやデジタル技術活用に関して課題を把握し、戦略の見直しに反映し、同時にサイバーセキュリティリスク等への対応も適切にすべきとしています。その他、取締役会は経営者の取り組みを適切に監督すべきであるとしています。認定基準には経営者のリーダーシップと、対外的なメッセージ発信が含まれています。
参考にしたい!DXの取り組み成功事例4選
ここからは、DXの取り組み成功事例をご紹介します。実際の成功事例は次の5つです。
ソニー損害保険
ソニー損害保険は自動車保険業務にAIを導入してDXを実現しています。従来、自動車保険では運転者のスキルや運転傾向を把握できず、事故リスクを正確に算出できない点が課題としてありました。そうした課題解決や、「交通事故の少ない社会の実現」に向けての取り組みとして、スマホアプリ「GOOD DRIVE」を開発。運転特性連動型自動車保険「安全運転でキャッシュバックプラン」を提供するに至りました。
このアプリは運転中のデータを収集・分析し、社内で保有している過去の事故データと照らし合わせ、事故リスクを算出するものです。AIが安全運転と判断した運転手に対してはキャッシュバックを行うサービスを提供しています。
参考:ソニー損害保険株式会社
「安全運転でキャッシュバックプラン」https://www.sonysonpo.co.jp/auto/good-drive/
「GOOD DRIVE」https://www.sonysonpo.co.jp/auto/good-drive-purpose/
日本交通
日本交通は配車予測システム「AI配車」の開発によりDXに成功しました。以前は季節ごとに変動のあるタクシー需要を予測できず、不適切な配車により稼働率が伸び悩むという課題を抱えていました。そこで、AIの活用により、交通状況、各種イベント情報、気象情報、地域、時間などのデータを分析システムで解析し、タクシー需要予測を立てられるようになりました。結果、地域ごとに適切な配車ができるようになり稼働率も向上。適正な配車により顧客満足度も上がりました。
参考:日経クロステック「「AI×タクシー」で日本交通が収益拡大に自信、労務改善も」
https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/17/120200552/120400003/
日本交通株式会社「日本交通 | 東京のタクシー、ハイヤー会社」http://www.nihon-kotsu.co.jp/
クボタ
クボタは世界各地に販売子会社があり、建設機械の修理の大半は現地販売代理店で行われており、対応が担当者の技術や知見に依存してしまう点が課題でした。建設機械の稼働率低下はユーザーの収益低下をもたらすことから、個人の能力に寄らない故障診断サポートの必要性を実感。3Dモデル・ARを活用した故障診断アプリ「Kubota Diagnostics」を開発しました。導入後は建設機械故障時のダウンタイムを軽減でき、顧客側のコスト削減が実現しました。今後は業務効率化や社内教育でも活用が期待されています。
参考:株式会社クボタ「スマートフォンで建設機械の故障修理を効率化するアプリを開発」https://www.kubota.co.jp/news/2020/20-75j.html
トライグループ
トライグループは「家庭教師のトライ」など教育事業を手掛ける企業です。「Try IT」という映像授業サービスを開発し、デジタルトランスフォーメーションを実現しました。生徒のケアに集中することを目指しており、過去の学習傾向を分析し、テスト前に効率よく勉強できるシステムを構築しました。また、映像授業でも生徒が先生に質問できる画期的な仕組みも開発。現在会員登録数は100万人を超え、定期テストの前には多くの学生がこのシステムを使って勉強をしています。近年はオンライン授業に特化した教室を設立するなど、新たなビジネスを展開しています。
参考:株式会社トライグループ「中学生・高校生向け映像授業サービス トライイット」
https://www.try-it.jp/
まとめ
デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)に関する特集でした。
デジタルガバナンス・コード2.0は経営者が企業価値の向上のために「ITシステム」と「ビジネス」を一体的に捉えて、実践していくための道しるべです。内容は経営ビジョン・ビジネスモデル、戦略、成果と重要な成果指標、ガバナンスシステムの4本柱で構成されています。最近は、DXを実践するシステムも様々提供されています。一からシステム構築するのは難易度が高いですが、既存のサービスの導入でも課題解決は可能ですので試しはいかがでしょうか。もし、DXのためのツール選びやシステム開発会社選びで迷ったらアイミツにお問い合わせください。
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