【Web会議】システム導入時に利用できる補助金をわかりやすく解説!
新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革に対応するため、Web会議システムを導入する企業が年々増えています。その一方で、主に中小企業の中にはWeb会議システムを導入したくてもできない会社が多いのも現状。導入をためらう一番の理由は、導入コストが高いことにあります。
そんなとき補助金を活用すれば、導入コストを抑えられるのをご存じでしょうか。本記事では、Web会議システムの導入に活用できる補助金について詳しく解説します。
- Web会議システム導入時に検討したい補助金・助成金とは?
- IT導入補助金
- テレワークマネージャー相談事業
- 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
- 地方自治体の補助金・助成金制度
- 補助金・助成金を申請する際の流れ
- 補助金・助成金を申請する際のポイント
- まとめ
Web会議システム導入時に検討したい補助金・助成金とは?
Web会議システムを導入する際は多額の導入コストが必要です。導入コストの高さに二の足を踏む方も多いことと思いますが、実は活用できる補助金・助成金があるのです。
ここでは、Web会議システムを導入する際に活用できる補助金・助成金の概要を解説します。
Web会議システム導入時に利用できる助成金・補助金の種類
Web会議システムの導入時に活用できる主な補助金や助成金は以下の通りです。
・IT導入補助金
・テレワークマネージャー相談事業
・時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
・地方自治体の補助金、助成金制度
IT導入補助金は、経済産業省が行う補助金制度で、中小事業者がITツールを導入する際の費用を補助することによって業務効率化や売り上げ増をサポートするものです。
テレワークマネージャー相談事業は、総務省が行う事業で、Web会議システムを導入する際に専門家によるコンサルティングを無料で受けられます。
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)は、厚生労働省が行う助成金制度で、テレワークに取り組む企業を支援することを目的としたものです。
このほか、地方自治体の補助金や助成金制度のなかにも、Web会議システム導入の際に活用できるものがあります。
IT導入補助金
ここでは、IT導入補助金の概要や対象者、補助額などを解説します。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金は、経済産業省が行う、中小企業や小規模事業者を対象とする補助金制度です。Web会議システムなどのITツールの導入費用に負担を感じる中小企業や小規模事業者に、費用を補助することで積極的な導入を促すもの。ITツールの導入で、生産性や業務効率化の向上、ひいては売り上げアップしてもらうことが狙いです。
ITツールの導入費用を補助することを目的とした通常枠(A・B類型)と、低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)の2種類に分かれます。低感染リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルス感染終息後を見据え、対人接触の機会を減少させる施策を行う企業に対して、その費用を助成するものです。
IT導入補助金の対象者
IT導入補助金の対象者は中小企業や小規模事業者ですが、業種によって中小企業・小規模事業者の定義が異なります。対象となる企業の業種と従業員数、資本金は以下の通りです。
製造業・建設業・運輸業=資本金3億円以下、常勤従業員300人以下
卸売業=資本金1億円以下、常勤従業員100人以下
サービス業=資本金5,000万円以下、常勤従業員100人以下
小売業=資本金5,000万円以下、常勤従業員50人以下
ゴム製品製造業=資本金3億円以下、常勤従業員900人以下
ソフトウエア業、情報処理サービス業=資本金3億円以下、常勤従業員300人以下
旅館業=資本金5,000万円以下、常勤従業員200人以下
上記以外の業種=資本金3億円以下、常勤従業員300人以下
補助金の対象になるWeb会議システムについて
IT導入補助金は、Web会議システムの導入にかかる経費も補助対象になりますが、すべてのWeb会議システムを対象としている訳ではありません。
補助対象となるWeb会議システムは、まず開発・運用する事業者が事務局から「IT導入支援事業者」の認定を受ける必要があります。IT導入支援事業者として認定を受けた事業者のうち、あらかじめ事務局に届け出されたITツールのみがIT導入補助金の対象です。さらに、そのITツールを導入することで自社の生産性が向上することも条件の一つ。なお対象となるITツールは、IT導入補助金公式ホームページから検索できます。
いくら給付されるのか?補助率と補助上限額
IT導入補助金の補助上限額と補助率は、申請する類型によって異なります。類型ごとの補助額は以下の通りです。
A累計=30万円から150万円未満
B累計=150万円から450万円以下
C累計‐1=30万円から300万円未満
C累計‐2=300万円から450万円以下
D累計=30万円から150万円以下
補助率は、通常枠であるA累計とB累計が2分の1以内、低感染リスクビジネス枠のC累計およびD累計が3分の2以内です。
なお注意が必要なのは、IT導入補助金の対象経費分が支給されるのは事後である点です。補助金を活用する場合でも、導入にあたっての初期費用は一旦、自社で支払う必要がありますので注意してください。
IT導入補助金の募集期限
IT導入補助金2020の通常枠(A累計・B累計)の申請期限は以下の通りでした。
一次公募=2020年3月31日(火)17時まで
二次締切分=2020年5月29日(金)17時まで
三次締切分=2020年6月12日(金)17時まで
四次締切分=2020年6月26日(金)17時まで
五次締切分=2020年7月10日(金)17時まで
六次締切分=2020年7月31日(金)17時まで
七次締切分=2020年9月2日(水)17時まで
八次締切分=2020年10月2日(金)17時まで
九次締切分=2020年11月2日(月)17時まで
十次締切分(最終締切)=2020年12月18日(金)17時まで
テレワークマネージャー相談事業
テレワークマネージャー相談事業は、Web会議システムをはじめ、テレワークに有用なITツールの導入時に活用できます。
テレワークの知見やノウハウを持つ専門家「テレワークマネージャー」に無料で相談に乗ってもらえるもので、IT導入補助金と違い現金が支給されるのではありません。自社がテレワークを行うにあたって、どのようなITツールをどのようなスケジュールで導入したらいいか迷っている方におすすめ。
支援はWeb会議システム・電話・訪問のいずれかによって行われ、支援上限回数はありません。ただし訪問支援の場合、上限は1企業/1団体につき3回まで、1回あたりの支援時間は最大6時間までです。
対象者は、民間企業と都道府県や市町村の地方公共団体、および地方公共団体に準ずる団体。また株式会社・合同会社・合資会社・合名会社いずれの形態も対象です。
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)は、中小企業や小規模事業者を対象としてテレワークの実施にかかった費用の一部を助成するもので、Web会議システムの導入費用も助成金の対象。対象者は労働者災害補償保険の適用事業主であることと、以下の要件を満たした事業者です。
小売業(飲食店を含む)=資本または出資額が5,000万円以下、常勤従業員が50人以下
サービス業=資本または出資額が5,000万円以下、常勤従業員が100人以下
卸売業=資本または出資額が1億円以下、常勤従業員が100人以下
上記以外の業種=資本または出資額が3億円以下、常勤従業員が300人以下
支給額は申請時に設定した目標の達成度合いによって変わり、目標に達成した場合、1人あたりの上限額は40万円、1企業あたりの上限額は300万円、補助率は4分の3です。目標未達成の場合は、1人あたりの上限額は20万円、1企業あたりの上限額は200万円、補助率は2分の1に減額されます。
地方自治体の補助金・助成金制度
次に、都道府県などの地方自治体が行う補助金や助成金制度のなかで、Web会議システムの導入時に活用できる制度をご紹介します。
地方自治体の補助金・助成金制度の概要
国のほか、地方自治体も補助金や助成金事業を行なっており、Web会議システムの導入に活用できるものもあります。地方自治体が行う補助金や助成金は政策目的を達成するためのもので、テレワークを推し進めて地域内の事業者に業務効率や生産性の向上を図ってもらい、地域経済を活性化させることが目的。
国の補助金や助成金と併用できるものもあるため、Web会議システムの導入を検討する際は、事業所のある地方自治体のホームページもチェックしてください。
東京都
東京都が行う補助金事業のうち、Web会議システムの導入時に活用できる補助金の一つに「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」があります。
東京しごと財団が行う補助金事業で、中小企業や小規模事業者を対象としてテレワークを行うための環境構築費用や、制度設計費用を補助するもの。補助金を受給するには、東京都が行うテレワーク導入のコンサルティングを受ける必要があります。また常勤従業員が2人以上999人以下、かつ6ヵ月以上継続して雇用していることも受給要件。
はじめてテレワークの最大のメリットが、補助率が10分の10、つまりテレワーク導入にかかった環境構築費用、制度設計費用のすべてを補助金として受給できること。補助金上限額は常勤従業員数によって変わり、従業員数300人~999人の企業は110万円、従業員数100人~299人の企業は70万円、従業員数100人未満の企業は40万円です。
はじめてテレワークと同じ、東京しごと財団が行う「テレワーク活用・働く女性応援助成金」もWeb会議システムの導入時に活用できます。常勤従業員が2名以上999名以下で、都内に本社・事業所を置く中小企業を対象としており、テレワーク機器導入とサテライトオフィス利用にかかった費用が対象経費です。Web会議システムをはじめテレワーク機器導入の助成金上限は250万円で、助成率は2分の1です。
また、独自に補助金・助成金事業を行なっている特別区も少なくありません。たとえば、品川区では区内中小企業向けに、テレワークの環境構築にかかった費用を助成する事業を行なっています。
埼玉県
埼玉県では、2020年度に「テレワーク導入支援補助金」という補助金事業を行なっていました。現在、募集は終了していますが、次年度以降再開される可能性もあるため概要をご紹介します。
テレワーク導入支援補助金は、埼玉県内に事業所を持つ企業・団体・個人事業主を対象とするもので、テレワークの導入や運用にかかる費用が補助対象経費。Web会議用機器の購入費用も補助対象経費で、補助上限額は20万円、補助率は3分の2以内です。
埼玉県内に事業所を持つ事業者であることのほか、常勤従業員300人以下の雇用保険適用事業所であること、法人県民税や法人事業税を滞納していないことなどの要件を満たす必要があります。
栃木県
栃木県では、栃木県内の中小企業を対象とした「令和3(2021)年度とちぎテレワーク環境整備導入支援補助金」を行なっています。
補助金の目的はテレワークの促進で、Web会議システムをはじめテレワーク用通信機器の導入費用や、専門家によるテレワークコンサルティング費用などが補助金の対象経費。なお、2021年4月1日以降に実施した事業の経費が対象で、それ以前に実施したものについては対象外のため注意してください。
対象経費に6分の1をかけた金額と、50万円のいずれか低い方の額が補助上限金額です。現在、申請受付中で申請期限は2022年3月15日(火)です。
群馬県
群馬県がテレワーク導入支援として行なっている補助金事業が、「群馬県テレワーク環境整備補助金」です。Web会議システムなどのテレワーク用機器の導入・運用費用が対象経費。
テレワーク実施計画を作成し、2021年10月29日(金)までに群馬労働局の認定を受けた事業者が対象。厚生労働省が行う「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の支給決定を受けた事業者に対して、群馬県が金額を上乗せして支援を行うものです。
国の助成対象経費の10分の3または、対象労働者数に20万円をかけた金額のいずれか低い金額が支給されます。現在、申請受付中で申請期限は2022年3月17日(木)です。
補助金・助成金を申請する際の流れ
ここでは、IT導入補助金の申請時を例にとって、申請の流れをお伝えします。
はじめに、自社が補助金や助成金の受給要件にあてはまるか確認します。IT導入補助金の場合、業種によって中小企業の定義が異なるので注意しましょう。自社が受給要件を満たしていることがわかったら、次に導入するITツールを選択します。IT導入補助金事務局の公式ホームページから導入するITツールを検索し、自社に合ったもの選んでください。
IT導入補助金は、通常枠(A累計・B累計)、低感染リスクビジネス枠(C累計・D累計)の2種類に分かれます。このうち、Web会議システムの導入に活用できるのは通常枠。A累計とB累計では補助金額が異なりますので、自社に合った類型を選びます。
なお、申請には「gBizIDプライム」のIDが必要です。gBizIDは、行政サービスの申し込み手続きをオンラインで行う際の共通IDで、経済産業省の「gBizID」公式サイトから取得できます。gBizIDプライムを取得後、IT導入支援事業者が「申請マイページ」を開設してくれるので、そこに必要事項を記入しインターネット上で申請を行います。審査の結果、採択されれば事務局から交付決定通知が届く流れです。
補助金・助成金を申請する際のポイント
最後に、補助金や助成金を申請する際のポイントをお伝えします。特に初めて申請する方は、ぜひ参考になさってください。
システム導入の目的を明確にする
まずは、システム導入の目的を明確にしましょう。
IT導入補助金を例にとってみると、最大450万円と補助金額が大きいため、なかには「使わなくては損」と思う方もいるでしょう。しかし、補助金額が大きいからと言って、業務に不必要なシステムやオーバースペックのシステムを導入しては本末転倒です。
自社の課題を洗い出したうえで、その課題を解決できるITツールは何か、との視点で導入するツールを選ぶことが重要。ITツールの導入で課題が解決できるのであれば、補助金を活用してお得に導入するとの進め方でないと、「高い費用を支払ってシステムを導入したもののまったく使わなかった」などの事態も起こってしまうでしょう。
2年目以降のランニングコストに気を付ける
IT導入補助金に限らず、ツールやシステムの導入に活用できる補助金や助成金の対象となる経費は、最初の1年間の経費だけです。2年目以降の経費は対象とならないため注意しましょう。
クラウド型のサービスの場合、年間契約にしろ月間契約にしろ、毎年ランニングコストがかかり続けます。また、買い切るタイプのオンプレミス型でも保守・運用費用はかかります。2年目以降のランニングコストについては、すべて自社で賄っていかなければなりません。
導入費用や1年間の運用コストだけでなく、2年目以降に毎年どれくらいのランニングコストが必要となるか、導入前によく確認しておきましょう。
長期的に効果が見込めるシステムを導入する
Web会議システムなどの業務システムは、一度導入すれば数年間から10年間ほど使い続けるものです。短期的な課題解決につながるかはもちろん、長期的に見て会社にどのような利益をもたらすのか、効果はどれくらい見込めるのかを加味したうえで、導入する業務システムを選定してください。
また、申請する補助金や申請区分を決定する際にも長期的な視点に立つことが求められます。長期的に見たときIT導入補助金が合っているのか、ほかの補助金・助成金の方が向いているのか、さらにどの申請区分を選ぶべきなのかを考慮しましょう。
「助成金額が多いから」「受給しやすそうだから」といって、安易に補助金・助成金や申請区分を決定することは避けてください。
まとめ
補助金や助成金を上手に活用できれば、Web会議システム導入時のネックである導入コストを大幅に抑えられます。とはいえ、自社の業務内容や経営課題に合ったシステムを導入しなければ、せっかくの導入が無駄に終わってしまうかもしれません。
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