IT導入補助金2024はECサイトが対象外!代わり使える補助金も解説
2023年までECサイトの制作などに使うことができたIT導入補助金。しかし、2024年からはメニューの変更があり、ECサイトの制作にIT導入補助金が使えなくなりました。
本記事では、2024年のIT導入補助金の変更点と、EC制作費用に使える別の補助金を解説します。補助金を活用してECサイト構築をしたい方はぜひ参考にしてください。
- IT導入補助金とは
- IT導入補助金2024ではECサイトが対象外に
- ECサイト制作に使える補助金一覧
- ECサイト制作におすすめの補助金
- ECサイトの制作で補助金を使う際の注意点
- まとめ:ECサイトの制作には補助金を上手に活用しよう
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が新たにITツールを導入する際の費用の一部を補助する制度です。この補助金は、企業の生産性向上や業務効率化を目的としており、会計ソフト、顧客管理システム(CRM)、ECサイト構築などさまざまなITソリューションの導入が対象とされています。
補助金の申請資格は主に中小企業や小規模事業者に限られ、補助率や上限額は政府や自治体によって異なる場合があります。企業は補助金を利用することで、初期投資の負担を軽減し、より効率的な運営を目指すことができます。→IT導入補助金の詳細はこちら(別記事)
IT導入補助金2024ではECサイトが対象外に
IT導入補助金2024年度において、ECサイトの構築やリニューアルは補助対象外とされました。その他の変更点も含めて、以下に解説します。
デジタル化基盤導入枠が廃止に
2023年まで、IT導入補助金には「デジタル基盤導入枠」というメニューがあり、EC関連ソフトの申請が可能でした。しかし、2024年からは「デジタル化基盤導入枠」自体が廃止されたこともあり、ECサイトに関する費用の申請できなくなっています。また、新たに創設された「インボイス枠」についても、EC関連の費用の申請はできません。
IT導入補助金2024のその他の変更点
IT導入補助金2024では、インボイス対応類型の補助率に一部変更がありました。以下の比較表を確認し、変更点をチェックしてください。
年度 | 2023年度 | 2024年度 |
---|---|---|
枠 | デジタル化基盤導入枠 | インボイス枠 |
補助額 | 350万円以下のITツールの50万円部分 | 350万円以下のITツールの50万円部分 ※インボイス制度に対応したツールに限る |
補助率 | 中小企業:3/4以内 小規模事業者:3/4以内 |
中小企業:3/4以内 小規模事業者:4/5以内 |
2024年度のIT導入補助金においては、新たに「インボイス枠」がつくられました。これらの枠は通常枠よりも補助率が高い点がメリット。対象経費はインボイス制度に対応したITツールの導入費用に限られます。
ECサイト制作に使える補助金一覧
2025年現在、ECサイトの制作に使える補助金は以下の通りです。それぞれ補助額や要件が異なるので、自社に合った補助金を選びましょう。
事業再構築補助金 | ものづくり補助金 | 小規模事業者持続化補助金 | |
---|---|---|---|
内容 | 新規分野の開拓など、大きな事業再構築に意欲をもつ企業を支援する | 製品開発・品質向上・生産性向上を図るための設備投資を支援する | 競争力向上や売上拡大を支援する補助金 |
補助額 | リニューアル枠 最大7,000万円 |
通常類型 最大1,250万円 |
創業枠 最大200万円 |
補助金の対象 | 中小企業・中堅企業 | 中小企業・小規模事業者 | 小規模事業者 |
申請の流れ | ①申請書類準備 ②事業計画の策定 ③認定経営革新等支援機関との相談 |
①電子申請 ②申請内容の審査 ③事業案の採択・交付 ④補助事業の実施 |
①電子申請 ②申請内容の審査 ③事業案の採択・交付 ④補助事業の実施 |
ECサイト制作におすすめの補助金
ECサイト制作におすすめの補助金について、1つずつ詳しく紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新規分野の開拓・業態転換など、中小企業等が事業再構築を行うことを支援する補助金です。ECサイトのリニューアルでは、事業再構築補助金のリニューアル枠を利用することが一般的です。同補助金の対象事業として認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 認定経営核心支援機関の確認を受ける(ただし、支援金額が3,000万円を超える場合は金融機関の認定を受ける必要あり)
- 付加価値額の向上(補助金の受給後3〜5年で事業の付加価値額、または従業員一人当たりの付加価値額を年率平均で3〜5%以上増加させる条件)
さらに、リニューアル枠に申請するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 受給後3〜5年で付加価値金額が年平均で4%を超えること
- 過去・将来のどちらか10年間で市場規模が10%を超える業種・業態に属していること
- 受給後3〜5年で給与支給総額を年率平均で2%増加させること
補助対象となる経費は以下の通りです。
補助対象 | 詳細 |
---|---|
建物費 | 建物の建築、改修、撤去にかかる費用 |
機械装置・システム構築費 | 機械設備やソフト購入、リースにかかる費用 |
技術導入費 | 知的財産権等関連の費用 |
外注費 | 製品の設計、加工にかかる費用、専門家に支払う報酬 |
広告宣伝費・販売促進費 | 広告出稿や展示会出展などにかかる費用 |
研修費 | 教育訓練、講座受講にかかる費用 |
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が製品開発・品質向上・生産性向上を図るための設備投資に対して、費用の一部を補助する制度です。
ものづくり補助金は、イノベーションの促進や競争力の強化を目的としており、新しい技術の導入や既存製品の改良などが対象とされます。補助額や条件はプロジェクトによって異なりますが、事業の拡大と技術革新の推進に貢献することが期待されています。
ものづくり補助金の補助金額・補助率は以下の通りです。
従業員規模 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 750万円 ※大幅な給与アップで850万円まで |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
6~20人 | 1,000万円 ※大幅な給与アップで1,250万円まで |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
21人以上 | 1,250万円 ※大幅な給与アップで2,250万円まで |
中小企業:1/2 小規模企業:1/3 |
補助対象となる経費は以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費・専門家費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者が自社の競争力向上や売上拡大を図るための補助金です。販促活動や設備投資、店舗改装など多岐にわたる取り組みが対象とされ、事業の持続可能性の向上を目指す制度です。
同補助金の対象業種・対象者は以下の通りです。
対象業種 | 対象となる事業規模 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊・娯楽業以外) | 常勤の従業員が5人以下 |
宿泊・娯楽業 | 常勤の従業員が20人以下 |
製造業・その他 | 常勤の従業員が20人以下 |
小規模事業者持続化補助金の補助金額・補助率は以下の通りです。
通常枠 | 創業枠 | |
---|---|---|
補助金額 | 50万円 | 200万円 |
補助率 | 2/3 | 2/3 |
補助対象となる費用は以下の通りです。
補助対象 | 詳細 |
---|---|
機械装置等費 | 製造装置の購入にかかる経費 |
広報費 | 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板にかかる経費 |
ウェブサイト関連費 | Webサイト・ECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用等にかかる経費 |
展示会等出展費 | 展示会や商談会で新商品を出展する際の経費 |
旅費 | 販路開拓を行うための経費 |
開発費 | 新商品の試作品や包装パッケージの試作開発に伴う原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工にかかる経費 |
資料購入費 | 事業に必要な資料・図書の購入にかかる経費 |
雑役務費 | 販路開拓を行うために、業務・事務を補助するアルバイト・派遣社員を補助事業期間に臨時的に雇用する際の経費 |
借料 | 事業に必要な機器・設備のリース・レンタルにかかる経費 |
設備処分費 | 販路開拓のための作業スペースを拡大する目的で、事業者が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する場合にかかる経費 |
委託・外注費 | 第三者に依頼した場合の経費 |
ECサイトの制作で補助金を使う際の注意点
ECサイトの制作で補助金を使う際は、補助金の要件や申請までの時間、採択されなかった場合のリスクについて考慮する必要があります。
事業・経費が補助対象か確認する
補助金の申請をする際は、自社の事業・経費が補助金の目的や要件に合致しているか確認する必要があります。補助金にはそれぞれ具体的な利用条件が設けられており、対象外の経費を申請してしまうと補助金が受けられないだけでなく、場合によっては申請自体が無効となる可能性もあります。
また、補助金支援が受けられるECサイトの機能や設計内容にも制限が設けられていることもあります。そのため、申請前には補助金の募集要項を詳細に読み、どのようなプロジェクトや経費が補助の対象となるのかを正確に理解することが不可欠です。
補助金の申請や交付には時間がかかる
ECサイトの制作で補助金を使用する際、補助金の申請や交付プロセスに時間がかかることを理解しておきましょう。補助金の申請は、提出された書類の審査や承認プロセスが含まれるため、結果が出るまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。
また、補助金が交付されるまでの間には、複数の手続きや条件の確認が必要とされることが多く、これによりさらに時間を要することがあります。
プロジェクトのスケジュールを計画する際には、申請から補助金が実際に交付されるまでの期間を十分に考慮し、余裕を持って申請することが重要です。これにより、予期せぬ遅延によるプロジェクトの遅れを防ぐことができます。
採択されないことがある
補助金を申請する際、すべての申請が採択されるわけではないという点を理解しておく必要があります。補助金は限られた予算内で多くの申請者の中から採択する必要があるため、申請が承認されない場合も多々あります。万一採択されなかった場合にそなえ、代替計画も考えておくことが賢明です。
まとめ:ECサイトの制作には補助金を上手に活用しよう
IT導入補助金では、2024年からECサイトの制作費用に対する補助メニューがなくなりました。そのため、今後ECサイトの制作やリニューアル費用の申請には、事業再構築補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金などを活用しましょう。
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