テレワークに便利なリモートアクセスツールとは?種類や機能を解説【2024年最新版】
働き方改革やコロナ禍の影響を受け、テレワークを推進したいと考えている方も多いのではないでしょうか。効率的かつ快適なリモートワークを実現するためには、環境の構築が重要です。
当記事ではテレワークの推進に大きく貢献するツールの1つである「リモートアクセスツール」の概要や種類、機能に加え、導入のメリット・デメリットなどもまとめて解説していきます。テレワークの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
- テレワークにおすすめのリモートアクセスツールとは
- リモートアクセスツールの種類
- リモートアクセスツールで利用できる機能
- リモートアクセスツールを導入するメリット
- リモートアクセスツールを導入するデメリット
- リモートアクセスツールを使うならやっておきたいセキュリティ対策4つ
- リモートアクセスツールの選び方
- まとめ
テレワークにおすすめのリモートアクセスツールとは
リモートアクセスツールとは、ネットワークを経由してコンピューターやシステムを遠隔操作するツールのことです。本来は社内(オフィス内)でしか操作できないシステムやツールを社外からでも使えるようになるほか、機密性の高い情報を社外で閲覧する際などにも活用されています。
クラウドで提供されているツールはテレワーク環境下であってもオフィスと同様に利用できますが、社内専用のシステムやツール、情報にアクセスすることはできません。リモートアクセスツールはそうした課題の解決に役立てられています。
リモートアクセスツールの種類
リモートアクセスツールには複数の種類があり、特徴・特性はさまざまです。ここからは、リモートアクセスツールの種類とそれぞれの概要について解説します。
画面転送タイプ
画面転送方式は、オフィスで使用している端末の表示画面をそのまま社外の端末に表示させるタイプのリモートアクセスツールです。中継サーバーを設置し、VPN(Virtual Private Network)を用いて社内外の端末を利用するため、安全な接続が叶います。社外で使用する端末にはデータが残らないので、情報漏えいリスクの低減にもつながります。
日々使い慣れている端末の画面をそのまま利用できるため、導入がスムーズな点や利便性に優れている点がメリットと言えるでしょう。
セキュアブラウザタイプ
セキュアブラウザタイプとは、文字通りセキュアな環境で利用できる専用ブラウザを使うタイプのリモートアクセスツールです。不正アクセスやなりすましといった外部からの脅威への強固な対策が特徴で、端末にデータを残さない機能やアクセス制限機能を備えています。安心して利用できるだけでなく、環境構築の負担が抑えられるという点も特徴的だと言えます。
VPNタイプ
VPNタイプとは、インターネット上に構築された仮想の専用回線(Virtual Private Network)を用いるタイプのリモートアクセスツールです。「トンネリング」と呼ばれる仮想通路でデータの送受信が行われるため、外部の影響を受けずに利用することができます。
通常の専用回線の開設には大規模な工事が必要ですが、VPNは専用のルーターや専用機を容易すれば利用が可能。工事にかかる時間や費用を抑えられます。
APIタイプ
APIタイプとは、API(Application Programming Interface)と呼ばれるクラウド上の専用アプリケーションに接続するタイプのリモートアクセスツールです。アプリケーションにアクセスするだけで利用できるため、利便性に優れているという特徴があります。VPNのように専用の機器を用意する必要もありません。
比較的低コストかつスムーズに導入できることから、近年のリモートアクセスツールの主流になりつつある種類です。
リモートアクセスツールで利用できる機能
リモートアクセスツールの導入にあたっては、どのような機能を使用できるのかを把握しておくことをおすすめします。ここからは、各機能について解説していきます。
デバイスの遠隔操作
リモートアクセスツールの主要機能とも言えるのが、外部から社内システムへアクセスするためのデバイス遠隔操作機能です。利用方法はリモートアクセスの種類によって以下に二分されます。
・サーバーアクセスタイプ
社外の端末から社内のサーバーに直接アクセスする方法で、ノートパソコンを持ち出す職種向きです。安全性の確保には対策が必要ですが、保存データのダウンロードも可能となっています。
・クライアントアクセスタイプ
社外の端末から社内ネットワーク内の端末にアクセスする方法で、許可された端末から利用できるので「一部の社員にのみリモートアクセスを利用させたい」といった場合に適しています。
利用にあたってはオフィスにあるパソコンを起動しなければならないため、外部からオフィスのPCの電源を入れる仕組みも必要です。
認証・セキュリティ
リモートアクセスでは外部から社内システムの操作や機密データのやりとりを行うため、セキュアな環境が必要不可欠です。リモートアクセスツールには、安全な通信を叶えるために以下の機能が実装されています。
・認証機能
ネットワークへアクセスする際の認証ができる機能で、通常のログインはもちろん、パスワード認証や2段階認証など複数の方法の組み合わせによる強固な認証も可能です。
・セキュリティ機能
データの暗号化やアクセス制限、ログの取得・監視、フィルタリングなど情報漏えいや不正を防止しながら運用するための機能を備えています。
リモートアクセスツールを導入するメリット
リモートアクセスツールを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここからは、リモートアクセスツールの導入による主なメリットについて解説します。
社内システムに社外からアクセスできる
リモートアクセスツールを導入すれば、社外から社内のネットワークやシステム、端末などにアクセスしてデータの送受信が可能となります。テレワーク・リモートワーク環境下であっても、オフィスと同様に社内システムを使用した業務を進めることができます。
コロナ禍における企業活動の継続や働き方改革につながる環境を構築できるというのは、リモートアクセスツールの最大のメリットと言えるでしょう。
情報漏えいが起こる可能性が低くなる
テレワークやリモートワークの導入にあたり、リモートアクセスツールを使用しない場合は社内専用端末やデータの持ち出しが必要になる場面が生まれると考えられます。持ち出した際に社員の不注意や故意のデータ盗用などが発生すれば、機密情報漏えいに発展する可能性も否定できません。
リモートアクセスツールを導入すれば外部の端末からでも社内のデータへアクセスできるだけでなく、アクセス制限も可能なので情報漏えいのリスクを低減させられます。
テレワークなどの柔軟な働き方が叶う
近年は働き方の多様化が進んでいることから、多くの企業がテレワーク・リモートワークやワーケーション、フレックスタイム制などを導入しており「オフィスに出社して就業する」という勤務形態が過去のものになりつつあります。
こうした状況に企業が対応するためには、場所や時間を限定せずに業務に取り組める環境の構築が求められます。リモートアクセスツールを導入すれば遠隔地から社内システムへアクセスできるため、柔軟な勤務を推進する企業でも活用されています。
導入が簡単なものもある
リモートアクセスツールの中には、「リモートデスクトップ」と呼ばれるOSやブラウザの機能を利用してスムーズに導入できるものも存在しているため、急なニーズにも応えることができます。まずはリモートデスクトップを導入し、状況を見てより自社に適した環境を構築するというのも選択肢の1つです。
リモートアクセスツールを導入するデメリット
リモートアクセスツールの導入には多くのメリットが期待できる一方で、デメリットが存在しているのも事実です。ここからは、リモートアクセスツールの導入デメリットについて解説します。
導入するのにコストがかかる
リモートアクセスツールを導入するためには専用ツールや機材を用意する必要があり、当然ながらコストが発生します。一般的には社外で利用する端末の数が多いほど費用が膨れ上がるため、規模の大きな企業や利用人数が多い会社には負担となる可能性もあるでしょう。リモートアクセスのために新たに端末を用意する場合は、さらにコストがかかります。
このようにリモートアクセスツールの導入にはある程度のコストが必要となるので、状況によっては相応の投資を覚悟しなければなりません。
不正アクセスのリスクはゼロではない
リモートアクセスツールはさまざまなセキュリティ機能を備えていますが、残念ながらセキュリティリスクを完全になくすことはできません。実際にセキュリティ機能の欠陥や通信の脆弱性を標的としたサイバー攻撃の事例も報告されており、自社がターゲットになる可能性も十分にありえます。
リモートアクセスツールを利用するのであれば、セキュリティが強固な製品を選ぶのはもちろん、セキュリティ機能をしっかりと使いこなして対策に取り組む姿勢が重要だと言えます。
通信速度によって操作が難しい場合もある
リモートアクセスツールは利用端末の性能の影響を受けることはさほどありませんが、回線の通信速度の影響を受けやすいというデメリットがあります。回線の混雑や障害・トラブルの発生時には、操作が重くなることや操作ができなくなるケースもあるようです。
そうなると当然ながら業務に支障が生じるため、リモートアクセスツールのメリットが薄くなってしまいます。トラブルを避けて運用するためには、できるだけ安定した回線を利用するなどの対策が必要です。
リモートアクセスツールを使うならやっておきたいセキュリティ対策4つ
リモートアクセスツールでは機密情報をはじめとする重要なデータを扱うため、万全のセキュリティ対策が求められます。ここからは、リモートアクセスツールの導入と並行して必ず実施すべきセキュリティ対策について解説します。
情報セキュリティポリシーを設定する
セキュリティポリシーとは、セキュリティ対策の方法・手順に関する基本方針のことです。セキュリティの優れたリモートアクセスツールを導入しても使い方によってはリスクの要因となるため、セキュリティポリシーを定めておくことが重要とされています。リモートアクセスツールの利用目的・用途からポリシーを定め、社内への周知を徹底しましょう。
リモートアクセスツールの導入と並行してセキュリティポリシーを設定すれば、社員のセキュリティ意識の向上も期待できるため、不注意によるセキュリティリスクの低減につながるでしょう。
従業員への教育を怠らない
情報セキュリティは基本的な知識がなければ難解な内容も多く、サイバー攻撃の手法は日々高度化・複雑化しています。常に変化する状況に遅れをとらないためには、定期的に社内でセキュリティに関する研修や勉強会を実施し、セキュリティの基礎から最新情報までをわかりやすくレクチャーする必要があります。
実際の事例を交えた内容にすれば、社員1人ひとりにとってセキュリティ対策が「自分ごと」であるという意識を持たせやすくなると考えられます。知識の修得によって意識向上が、叶えばリスク回避につながるでしょう。
業務の重要度で利用範囲を決める
リモートアクセスツールを安全に運用するためには、アクセスできる社員を選定した上で、それぞれの役職や業務内容に合わせたアクセス権限を付与することが大切です。不要なアクセスをあらかじめ制限しておけば情報漏えいや社員による不正の防止につながるだけでなく、万一のトラブル時には追跡調査や原因特定にも役立ちます。
反対にアクセス制限を設定しないと管理体制もあいまいになり、トラブルに発展するリスクが高まるので注意が必要です。
アクセス制限やログ管理などを行う
テレワークやリモートワークによる業務は、オフィスでの就業と比較すると実態を把握しにくいという面があります。社員の業務状況を把握するためには、アクセス権限の設定だけでなくログの取得・蓄積・管理ができる環境にしておくのも重要なポイントです。
定期的にログを閲覧すれば「誰が・いつ・何をどうしたのか」を確認できるのはもちろん、トラブル発生時の追跡・調査も可能となります。リモートアクセスツールの利用状況の「ブラックボックス化」を防ぐためにも、運用・管理担当者の定期業務に加えておくべきでしょう。
リモートアクセスツールの選び方
リモートアクセスツールにはさまざまな製品があることから、「どのように選べばいいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。ここからは、リモートアクセスツールを選ぶ時のポイントを解説します。
・接続先
もっとも重要なのが接続先です。接続先に応じて「サーバーアクセスタイプ」「クライアントアクセスタイプ」を選定します。
・接続方法
「VPNタイプ」「APIタイプ」「画面転送タイプ」などから用途に合った接続方法を選びます。
・コスト
初期費用と月額費用を比較検討するのが一般的ですが、利用頻度が低い場合は従量課金制も選択肢に加えてもいいかもしれません。
・セキュリティ
リモートアクセスツールで扱う情報に応じたセキュリティ機能を備えているかを確認しましょう。
・利便性
自社の利用目的や利用規模に合わせて、利便性に優れている製品を選びましょう。
まとめ
リモートアクセスツールは、社外からであってもコンピューターやシステムの操作、データの送受信ができる便利なツールです。本来は社内でのみ使用できるシステムやデータをテレワーク・リモートワーク環境下でも利用する場合には必要不可欠といっても過言ではありません。テレワークをよりスムーズに推進するためには、利便性や効率性に優れた環境の構築が重要でしょう。
「PRONIアイミツ」では、さまざまなリモートアクセスツールの比較検討に役立つ情報を提供しています。リモートアクセスツールの導入を検討中の方は、ぜひツールの選定・導入にご活用ください。