メール配信システムとは?メリットと運用する際の注意点を徹底解説
メールマーケティングを効果的に行えるメール配信システム。この記事では、まだメール配信システムを導入していない方に向けて、メール配信システムのメリットを解説します。
- メール配信システムとは
- ビジネスにおけるメール配信システムの活用方法
- なぜメール配信システムを使うのか
- メール配信システムのメリット
- メール配信システムの種類
- 導入前に知っておきたいこと
- 実際のメール配信システムを見てみよう
メール配信システムとは
メール配信システムとは、システム上に登録したアドレス宛に、一斉にメールを配信できるシステムのこと。送信日時を予約できるため、先にメール文面を作成しておけば最適なタイミングで配信できます。一度に同じ内容のメールを全アドレスに送信することも、配信先を属性ごとに絞り込んで配信することも可能です。また、メールがどのくらいのユーザーに届いたのかを示す「到達率」や、実際に読んでもらえた人数の「開封率」、どれくらいのユーザーがメール中のURLをクリックしたのかを示す「クリック率」などを確認できる機能も搭載。これらのデータは、今後の企業戦略を考えるうえで貴重な資料となるでしょう。
ビジネスにおけるメール配信システムの活用方法
メール配信サービスは、さまざまな業種で導入され高い効果を得ています。ここでは、代表的な活用事例をチェックしていきましょう。ビジネスにおける最もスタンダードな利用方法が、メールによる販売促進です。サービスやキャンペーンなどをメールで告知することができます。メール配信システムは、ターゲットを絞り込むこともできるため、「20~30歳代の女性にのみ配信」、「半年以上来店していないユーザーに配信」といった柔軟な配信方法にも対応可能。ターゲットに効率よく訴求できるでしょう。また、ユーザーの開封率やクリック率を把握できるメール配信システムならではの機能を活用し、ファンの獲得や育成を目的としてメール配信システムを利用している企業も少なくありません。見込み客に訴求できるというメールならではの特徴を利用し、サービスの利用機会増加を促している企業もあります。メールマーケティングは、既存の固定客に定期接触できるのが大きなメリット。このことにより、既存顧客の単価上昇も期待できるでしょう。
なぜメール配信システムを使うのか
多くの企業がメール配信システムを利用している理由は、メーラーソフトでのメールマーケティングはデメリットが大きいからです。通常のメーラーソフトでは、割り当てられるIPアドレスは1つだけ。1つのIPアドレスから不特定多数へメールを配信すると、プロバイダなどからスパムと判定されることが多く、一斉配信メールが届かないかもしれません。一方、メール配信システムなら複数のIPアドレスに分散して配信するため、未達のリスクを最小限にできるでしょう。また、一般的なメーラーソフトには、メール配信遅延の可能性があること、配信数に上限があること、読者登録フォームの制作・レイアウト作業が煩雑、開封されたかどうかがわからないことなどのデメリットも。しかしメール配信システムを導入することで、これらのデメリットはすべて解消可能です。
メール配信システムのメリット
ここまでで、メール配信システムとはどのようなものなのかご理解いただけたのではないでしょうか。ここからは、メール配信システムを導入する具体的なメリットについて紹介していきます。
到達率・開封率の上昇
メール配信システムを導入するメリットの1つに、到達率や開封率の上昇があります。なぜ、メール配信システムを利用すると到達率や開封率が上がるのでしょうか。その理由は、主に以下の3つです。・迷惑メールやスパム扱いを回避・HTMLメールを作成できる・ターゲットをわけて配信できるそれぞれの理由について、詳しく解説します。
迷惑メールやスパム扱いを回避
せっかく配信しても、相手に届かなければ意味がありません。しかし、プロバイダや受信側のメーラーから迷惑メールやスパム扱いを受けてしまえば、いくら配信しても届かなくなってしまいます。迷惑メールやスパム扱いを回避するために、さまざまな対策が取られているのがメール配信システムの特徴。単一のIPアドレスから多数のアドレスに一斉配信を行うと相手に届かない可能性が高いため、メール配信システムは複数のIPアドレスに分散して配信します。また、送信ドメイン認証技術や電子署名による認証技術により、メール配信システムから配信されたメールはプロバイダから信頼性が高いと判断されるのもポイント。これらの対策で、迷惑メールやスパム扱いを受けることを回避しているのです。
HTMLメールを作成できる
メール配信システムには、簡単にHTMLメールを作成できる機能が付いています。HTMLメールは、webページのように文字を装飾やフォンサイズの変更、画像表示などが行えるメールです。テキストだけのメールよりもHTMLメールの方が、視覚的に訴求できるため、高いコンバージョン率が期待できます。ちなみに、アメリカのマーケティング会社・HubSpotが行った調査によると、テキストメールを好むと回答した人が35%だったのに対して、HTMLを好むと回答した人は65%でした。HTMLメールは、メール配信システムを利用しなくても作成できますが、その場合、プログラミングの知識が要求されます。一方、メール配信システムでは、ブログを書くような直感的な感覚でHTMLを作成可能です。
ターゲットをわけて配信できる
メール配信システムでは、属性や居住地、趣味嗜好ごとにターゲットを分けてメールを配信できます。同じ内容のメールを不特定多数に配信する一斉配信より、ターゲットの興味や行動特性に合わせた内容のメールを配信できるため、高い開封率やコンバージョン率に繋がるでしょう。また、きめ細やかなコミュニケーションによりターゲットの顧客満足度を高めることで、顧客ロイヤリティも高められます。絞り込み条件は、性別や年代、居住地域などの基本的な事柄から、購入日や購入金額などの行動履歴をベースにしたものまでさまざま。絞り込み条件は保存しておくこともできるため、担当者の負担軽減にも繋がるでしょう。
メール配信業務の負担軽減
メール配信システムを導入する2つ目のメリットが、メール配信業務の負担軽減です。メール配信は、数あるマーケティング施策の1つにすぎません。そして、メール配信に割けるリソースは限りがあります。文面さえ用意できていれば多くの時間は必要はないかもしれませんが、数千件、数万件と配信規模が大きくなればなるほど、作業時間は膨れ上がっていくでしょう。しかしメール配信システムを使えば、限られたリソースの中で最大限の効果が期待できます。
フォーム作成が簡単
メール配信システムには、メルマガ登録フォームを作成できる機能も搭載されています。登録フォームは自作も可能ですが、HTMLやCSSなどのプログラミング言語の知識や、CMSの知識が必須。しかしメール配信システムの機能を使えば、テンプレートを選んで入力項目を設定するだけで誰でも簡単にメルマガ登録フォームを作成できます。作成した登録フォームとメール配信システムを自動連携させることも可能です。そのため、登録フォームで収集したメールアドレスを、CSVファイルでダウンロードして配信リストを作成するという手間もカット。メルマガ登録フォームのみならず、申し込みフォームやアンケートフォームなど、作成できるメールフォームはさまざまなのもうれしいポイントでしょう。
顧客リストを管理しやすい
顧客リストをExcelなどのソフトで作成しているという方も多いのではないでしょうか。メール配信システムを導入すれば、顧客リスト機能が付いているため、別にファイルを作成する必要はありません。名前や性別などの基本情報のほか、メールの開封/未開封、クリック/未クリックなど、自由に項目を追加可能。そのため、顧客のアクションに応じて別のメールを送るなどといったきめ細やかな対応が叶います。リストの作成からメール配信まで1つのシステムで完結するため、顧客管理にかかる手間を大幅に削減できるでしょう。また、顧客情報を管理する際は十分なセキュリティ対策が必要ですが、メール配信システムは社外からのアクセスを防止する機能も搭載。安心して使用することが可能です。
自動化によるタイムリーなメール配信
メールに限らず、マーケティングで何より重要なのはタイムリーであること。どれだけ有益な情報でも、最適な時期を逃してしまえば効果は半減してしまうでしょう。会社によっては数十万人や数百万人にメール配信が必要な会社もありますが、通常のメーラーを使用したメール配信では、すべての人にメールを送るだけで1日以上かかってしまう場合も少なくありません。しかしメール配信システムの中には、1時間あたり1,000万通のメールを配信できるシステムも。メール配信システムを導入することにより、送りたいときに送りたい人にメールを送るというタイムリーなメール配信が可能です。加えて自動配信機能も付いているので、夜間や早朝、休日などの勤務時間外のメール送信も問題なく行えるでしょう。
メール不達の原因がわかる
配信したメールは必ず相手に届くと思う方も多いかもしれませんが、決してそうとは限りません。メールが相手に届かない理由のなかで、最も多いのがメールアドレスが存在しないことです。メールアドレスの変更や記載ミスなど原因はさまざまですが、存在しないメールアドレスはいち早くリストから削除しなければなりません。存在しないアドレスへと配信を続けると、同じIPアドレスからのすべてのメールがスパム扱いされてしまう恐れがあるからです。ただ、人の目でいちいちチェックしていくのは、膨大な時間がかかってしまいます。メール配信システムは、メールが不達になってしまう原因の追求から、問題のあるアドレスをリストから自動的に削除する機能も搭載。労力をかけることなくリストを常に最適な状態に保てるでしょう。
販売促進・顧客ロイヤリティに貢献
メール配信システムのメリットは、配信時だけにとどまりません。メール配信後にもさまざまなメリットがあります。配信後の一番のメリットは、販売促進・顧客ロイヤリティ向上に貢献するということ。メールを活用したマーケティングに、販売促進や顧客ロイヤリティを高めることを期待している方も多いのではないでしょうか。ここでは、なぜメール配信システムが販売促進や顧客ロイヤリティ向上に繋がるのか、その理由について解説します。
ステップメールの配信
多くのメール配信システムは、ステップメールの配信に対応しています。ステップメールとは、資料請求や無料会員登録などのアクションを起こしたユーザーに対し、メリットのある情報を連載形式で配信するメールのこと。効果の高いメールマーケティング手法として知られています。たとえば、化粧品を購入したユーザーに対して、2日後に正しい化粧品の使い方のメール、4日後に肌のお手入れのコツのメール、6日後にカウンセリングの案内メールといったように、ユーザーの行動を促すためにシナリオを設定して配信。段階的に配信していくことにより、購買意欲を徐々に促進するほか、見込み客の増加や育成なども期待できる点がメリットです。
効果測定・検証が行える
マーケティングには、実施後の効果を検証する工程が欠かせません。効果測定や検証が簡単かつ詳細に行える点にも、メール配信システムのメリットはあります。メール配信システムには高度な分析機能が搭載されており、開封率やクリック率、コンバージョン率などを確認可能。ユーザーの反応を比較できるA/Bテストを行うことも可能です。これらのデータを逐一チェックできるため、より効果的なマーケティング戦略を立てられるでしょう。なお、通常のメーラーを使ったメール配信の場合、開封率などを確認するためには、別途Googleアナリティクスなどのツールを使って算出する必要があります。
配信履歴からターゲットを判別
効果測定で得たさまざまなデータをもとに、ユーザーをセグメントしていくことが可能です。誰が、いつ、どのようなメールを開封し、どのURLをクリックしたのかという情報まで蓄積することができます。データを蓄積していくことにより、「〇回以上開封し、〇のURLをクリックしたユーザーで、〇歳代」といった、ターゲットをより絞ったメール配信が可能。効果の大きいであろうターゲットに、ダイレクトに訴求できるのが心強いでしょう。なお、どこまで詳細な情報を履歴として残しておけるかはシステムによって異なります。配信履歴は、マーケティングにとって非常に重要な資産。メール配信システムを選ぶ時の1つの指標としてみるのもいいかもしれません。
メール配信システムの種類
ここまで、メール配信システムを導入するメリットについて紹介してきました。簡単に使えるにも関わらずマーケティングに効果的であることから、今すぐ導入を検討したいという方も多いのではないでしょうか。メール配信システムを導入する際には、自社にマッチしたシステムを選定しなければなりません。システムによって特徴がまったく異なるため、どのシステムを導入すべきか分からないという方もいるでしょう。そこで次からは、メール配信システムの種類とそれぞれのメリット・デメリットについてお伝えします。
オンプレミス型のメール配信システム
メール配信システムは、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つに分けられ、自社サーバーで利用するタイプがオンプレミス型です。まずは、オンプレミス型のメリットとデメリットをお伝えします。
メリット
オンプレミス型のメール配信システムを導入する際は、パッケージ商品の購入が一般的。しかし、一からシステムを開発することもできます。オンプレミス型の最大のメリットは、システムを自由にカスタマイズできる点にあります。社内でシステム環境を構築するため、既存のシステムと連携しやすいようにカスタマイズが可能です。既存システムとの連携により、新規のデータベースを構築することなく運用できるため、それまで蓄積した情報資産を有効活用できるでしょう。また、情報は自社のサーバーだけで管理可能。外的要因からの情報漏洩リスクを低減できるのは安心できるポイントです。特殊性の高い企業、機密情報や個人情報を数多く抱える企業に向いているでしょう。
デメリット
オンプレミス型の一番のデメリットは、導入にあたって多額の費用がかかってしまう点です。導入する際には、3,000〜1万円ほどのレンタルサーバー代に加え、利用するためのライセンス料を支払わなければなりません。ライセンス料の平均価格は250万円ほどですが、システムによっては500万円ほどかかるものもあります。また、システム環境を構築する必要があるため、導入に時間がかかる点もデメリット。システム障害が生じたときは自社で対応しなければならないなど、リソース面の問題も生じるでしょう。
クラウド型のメール配信システム
クラウド型は、インターネットを介して利用するタイプのシステムです。ここでは、クラウド型のメール配信システムのメリットとデメリットをお伝えします。
メリット
導入にかかる時間と費用を抑えられる点がクラウド型の最も大きなメリットです。サーバーはすでに用意されているので、アカウントを登録すればすぐに利用できます。導入にあたっての初期費用は、1〜5万円が相場であるものの、なかには無料で利用できるサービスも。オンプレミス型のネックであるライセンス料はかかりません。また、システム障害が起きた場合には、対応をサービス提供会社に任せられる点もメリットです。アップデートの頻度が高く、常に最新の機能を利用できる点もクラウド型ならではのメリットでしょう。インターネット環境さえあればどこでも利用できるため、リモートワークを推し進めたい企業にもおすすめです。
デメリット
クラウド型のデメリットは、インターネット上で情報を管理するため、セキュリティリスクがオンプレミス型に比べて高いという点です。クラウド型のメール配信システムを利用するには、インターネットを介してパソコンやスマートフォンなどでログインします。どの端末でも利用できるため、IDとパスワードさえ分かれば無関係の第三者でも利用できてしまうかもしれません。もちろん、サービス提供会社もさまざまな不正アクセス対策を行っていますが、リスクをゼロにすることはできないでしょう。また、オンプレミス型と比べるとカスタマイズ性が低く、既存のシステムと連携がしづらい点もデメリットと言えます。
導入前に知っておきたいこと
メール配信システムを選ぶ際に何より重要なポイントは、メール配信システムで何を実現したいかを明確にすることです。メール配信システムと一口に言っても、特徴や強みは千差万別。顧客の反応率を高めたい、メールの到達率を高めたい、短時間で大量のメールを配信したいなど、それぞれの悩みによって選ぶべきシステムはまったく異なります。目的に合っていないシステムを選んでしまうと、思ったような効果を得られないばかりか、それまでに費やした時間やコストを無駄にしてしまう可能性も。そのため、導入前にメール配信システムの目的を明確にしておきましょう。目的を明確にした上で、以下のポイントに沿って選定すると最適なシステムを導入できます。
セキュリティ対策についてチェック
メール配信システムには、メールアドレスはもちろん、氏名や住所、行動履歴など、高度な個人情報を蓄積しておくことになります。そのため、万が一にも情報漏洩を起こすわけにはいきません。情報漏洩を起こしてしまった場合、企業イメージが失墜することはもちろん、巨額の赤字に陥ってしまう可能性や倒産に追い込まれてしまう可能性もあるでしょう。そのためメール配信システムを選ぶ際には、どのようなセキュリティ対策が講じられているか必ず確認しなければなりません。IPアドレス制限やSSL暗号化、ウイルス・マルウェア対策、IPS/IDSなどの不正侵入検知システム、ファイヤウォールに対応しているかなど、セキュリティ対策は細部に至るまで確認しておきましょう。また、システムの提供会社がプライバシーマークを取得しているのかなども1つの目安となりそうです。
長期的な目線ならMAやCRMも検討しよう
導入する前に、将来どのようなマーケティング戦略を取っていきたいのかも明確にする必要があります。メールに特化したマーケティング戦略を考えている場合は、メール配信システムの導入で事足りるでしょう。しかし、メールでのマーケティングだけではなく、メールも含めwebを使ったマーケティングのスキームを体系的に構築したいのであれば、MAやCRMの導入を検討するべきです。MAは、属性情報や行動情報などからwebサイトやメール配信などさまざまなチャネルを使い、見込み客のフォローのオペレーション部分を効率化・自動化するツール。CRMは、顧客との関係性を可視化できるツールで、顧客管理から顧客分析、問い合わせ管理、メール配信までを一元管理できます。その他にもどのようなツールを導入するのかによって、メール配信システムに割くことのできる予算も固まってくるでしょう。
無料・有料の違い
ここまで、有料のメール配信システムを中心にお伝えしてきましたが、メール配信システムには無料のものもあります。導入する前に、有料のシステムが必要なのか、無料のシステムで十分なのかを検討しましょう。無料のシステムのメリットは、導入コストや運用コストがまったくかからない点にあります。自動登録機能がないシステムやステップメール機能がないシステムがあるなど、機能面は有料システムに劣りますが、配信対象や配信数が少ない会社であれば、無料で十分なケースもあるでしょう。一方、有料のメール配信システムの費用は、システムによって大きく変わります。高機能を求めればコストも高くなります。有料のシステムを選ぶ場合は、費用対効果のバランスを考慮することが重要です。
実際のメール配信システムを見てみよう
今回は、メール配信システムを導入するメリットについて紹介してきました。メール配信システムは、ビジネスにおいてさまざまな効果をもたらすということをお分かりいただけたのではないでしょうか。もしもメール配信システムを導入するという場合には、費用だけではなく実績や機能、費用対効果のバランス、セキュリティ対策など、多角的な視点から選ぶことが重要。とはいえ、どのように選べばいいかわからないという方も多いでしょう。導入するシステムを選ぶ際には、実際に各システムを比較してみるのがおすすめ。アイミツがおすすめするメール配信システムは、「おすすめのメール配信システム15選を厳選比較」にまとめているので、比較検討する際にぜひ活用してください。
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