メール配信では要注意!個人情報保護法と特定電子メール法とは?
本記事では、メルマガなどのメール配信を行う際に遵守しなければならない「個人情報保護法」と「特定電子メール法」について詳しく解説します。また、法律遵守の観点から、メール配信を行う際の注意点についてもまとめました。
「マーケティングの一環としてメールマガジンの導入を検討している」「メール配信を行う際に守らなければいけない法律について知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
- 個人情報保護法とは
- 特定電子メール法とは
- 個人情報保護法や特定電子メール法を破るとどうなるのか
- メール配信における個人情報保護法の注意点
- メルマガ配信者が知っておくべきオプトイン・オプトアウトとは
- 【まとめ】メール配信はルールを守って安全に行おう
個人情報保護法とは
個人情報保護法とは、個人情報の有用性を保ちつつも、個人の権利や利益を保護するために、個人情報の取り扱いについて定めた法律です。
まず、個人情報とは、個人を識別できる情報やその組み合わせのことを指します。たとえば名前や生年月日、顔写真など。メールマガジンを配信する際に利用する情報としては、主に氏名とメールアドレスの2点が個人情報に当たります。
そのため、メール配信を行う場合は、これらの個人情報の取り扱いには十分注意しなければなりません。名刺などからその情報を得ている場合は、名刺自体の取り扱いにも配慮する必要があります。
個人情報保護法についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
□関連記事:個人情報保護法とは?目的と基本ルール、改正後のポイント
特定電子メール法とは
メール配信に関するもうひとつの重要な法律は、「特定電子メール法」です。
「迷惑メール防止法」とも呼ばれますが、正式名称を「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」と言い、その名前のとおり広告宣伝メールなどを含む迷惑メールに対して「あらかじめ同意している人以外に送信してはならない」という制限を設けています。
ほかにも、「前述した同意の記録を保管しておく」「送信者の氏名・名称などの表示を義務付ける」「送信者情報を偽っての送信は禁止する」などの事項も定められており、迷惑メールから受信者・消費者を守るための法律です。
個人情報保護法や特定電子メール法を破るとどうなるのか
個人情報保護法や特定電子メール法に関して違反した場合は、罰則が与えられます。それぞれの罰則について、「どのような状態になると罰則が与えられるのか」「罰則内容はどのようなものなのか」というふたつの点について確認していきましょう。
個人情報保護法に違反した場合
個人情報保護法に違反すると、個人情報保護委員会より改善命令がくだされることが一般的です。この改善命令を無視した場合は、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が課せられる可能性があります。
また、個人情報漏えいに関しては、被害を受けた個人・法人より損害賠償に関する訴訟を起こされるケースもあるため、取り扱いには十分注意しなければなりません。
特定電子メール法に違反した場合
特定電子メール法の場合は違反すると「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が課せられます。
法人が違反した場合は、違反した個人に上記の罰則が与えられることに加え、法人に対して3,000万円以下の罰金が課せられるため、今一度法律内容を確認し、違反しないよう十分注意しましょう。
メール配信における個人情報保護法の注意点
ここからは、メール配信における個人情報保護法の注意点について確認していきましょう。メール配信を行う上で個人情報の保護に対してどのように気をつけていくべきか、ポイントを6つに分けて解説します。
メルマガ運用者の全員が対象となる
個人情報保護法の注意点としては、まず「メルマガ運用者の全員が守らなければいけない法律である」ということが挙げられます。
以前まで、個人情報の取扱量が5,000件を超えない場合は、法律で規制される対象からは除外されていました。しかし、2017年の法律改正以降、個人情報の取扱量にかかわらず、すべての事業者が個人情報保護法の対象となったのです。
そのため、メール配信を行う場合はたとえ少人数であっても、個人情報(メールアドレス、氏名、法人名など)の取り扱いには十分注意しなければなりません。
たとえば、TOやCCを利用して配信を行うと、メールを受信するアドレスが確認できてしまう状態でメールが配信されます。このような運用は絶対に避けましょう。
個人情報をメルマガ配信に使用することを必ず明記する
取得した個人情報は、メルマガ配信に使用するということを、必ず明記しなければなりません。個人情報を取得する際は、利用目的を可能な限り具体的に記載する必要があることも、個人情報保護法によって定められています(個人情報保護法第15条第1項)。
「取得したメールアドレスなどの個人情報はメールマガジンの配信にのみ使用します」といった注意書きなどを記載し、記載したとおりの目的にのみ使用するようにしましょう。
メルマガ配信リストを勝手に開示しない
取得した個人情報などのメールアドレスは、そのメールアドレスを保持している本人に事前に承諾を得ない限り、第三者に開示してはいけません。こちらは、個人情報保護法第25条、26条において定められています。
仮に、メルマガ配信のためのメールアドレスリストを委託先などに提供する場合は、リストに記載されているメールアドレスの所持者に承諾を取る必要があります。
また、個人情報を提供した日時や、個人情報の種類と持ち主、提供先の記録も欠かせません。 この記録は原則3年間は保存しなければならず、開示請求があった際にはすぐに応じられるよう管理する必要があります。
メール配信を許可なく行わない
メルマガなどを含む広告宣伝メールは、原則として配信前にメールアドレス保持者の許可を得なければなりません。許可を得ずに配信した場合は、特定電子メール法に違反してしまいます。
近年、メールアドレスを登録する際に「メールマガジンの送付を希望する」などのチェックボックスが用意されているケースが多くありますが、これはユーザーにチェックを入れてもらうことで「メールマガジン配信の許可を得た」という記録を残し、法律に違反することなくメルマガ配信を行うためのものです。
メールマガジンを配信する際は、必ずメールアドレス保持者(ユーザー)の事前承諾を得た上で配信をするようにしてください。
メール配信解除方法や問い合わせ先をきちんと明示する
メール配信を行う際には、「配信解除の方法」や問い合わせ先を明確に記載することも必要。特定電子メール法で定められているとおり、メールマガジンなどの広告宣伝メールは、受信者がいつでも配信を解除できるようにする義務があります。
また、問い合わせ先では、メール送信者に関する以下の情報もともに記載しておきましょう。
・送信者の氏名または会社名などの名称
・送信者の住所や問い合わせ先(メールアドレス、電話番号など)
・配信を停止する方法
法律遵守の観点だけでなく、ユーザーの利便性にも影響するため、上記の情報はわかりやすく記載することが重要です。
メール配信の許可を得た証を忘れずに取っておく
先ほど、「メールマガジンなどのメール配信にはメールアドレス保持者に事前に許可を得る必要がある」とお伝えしました。そして、この「許可を得た」という証拠も、しっかりと保存しておく必要があります。
こちらは特定電子メール法において定められている事項です。メールマガジンなどのメール配信を行っている期間中は、「受信者が許可を出した(配信を承諾した)」という記録を残しておかなければなりません。
・受信者がメールマガジンに登録した日時
・登録フォームに入力された内容
などを保存しておく必要があります。
メルマガ配信者が知っておくべきオプトイン・オプトアウトとは
ここからは、メルマガ配信者にとって重要な「オプトイン」と「オプトアウト」という概念について解説します。「オプト」(opt)とは、「選ぶ・決める」といった意味を持つ英単語です。
「オプトイン」「オプトアウト」がメルマガ配信に関してそれぞれどのような意味を持つのか、以下で確認していきましょう。
オプトインとは
メルマガ配信における「オプトイン」とは、事前にユーザー(メールアドレス保持者)の同意を得ることを指します。もともとの「オプトイン」(opt in)という言葉には、「選択する」「同意する」「参加する」といった意味があり、メルマガ配信においては「受信者の同意を得ること」がオプトインです。
ここまでお伝えしてきたとおり、特定電子メール法(迷惑メール防止法)で定められている内容により、現在メールマガジン配信を行う場合は、受信者(メールアドレス保持者)の許可・同意を得なければいけません。そのため、オプトインなしに配信を行なった場合は特定電子メール法に違反します。
オプトアウトとは
「オプトアウト」(opt out )には、「身を引く」「脱退する」といった意味があり、メルマガ配信における「オプトアウト」とは、購読解除のことを指します。メールが届いたあとに、ユーザーから「メールを受け取りたくありません」「配信を停止してください」などといった配信停止依頼があった際には、従わなければなりません。
前述した「オプトイン」も「オプトアウト」も、単純に特定電子メール法(迷惑メール防止法)の一部だと言えます。オプトインを守らなければならないのと同じように、オプトアウトでもユーザーが自ら退会や配信拒否を設定できる導線を設置しなければいけません。
特定電子メール法がなかった時代は、ユーザーの許可を得ずにメールマガジンなどの広告宣伝メールを配信することが一般的でしたが、現在では法律により規制されています。オプトインを守ってメールを配信し、オプトアウトの手段も提供しなければならないというわけです。
【まとめ】メール配信はルールを守って安全に行おう
ここまで、メール配信と個人情報の関係についてお伝えしてきました。メルマガなどを配信する際は、個人情報保護法と特定電子メール法を遵守する必要があります。
しかし、法律に違反してしまった場合は罰則がある一方で、遵守しなければならないポイントが複数あるため、管理が難しいと感じる方もいるかもしれません。
そんな方には、メール配信システムの導入もおすすめです。以下の記事では、メール配信システムの選び方や比較ポイント、おすすめのメール配信システムを複数紹介しています。ぜひ本記事と併せて参考にしてください。
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