販売原価における直接費と間接費とは?【2024年最新版】
販売原価を正しく理解する上では、詳細な項目への理解を深める必要があります。なかでも基本の項目となるのが直接費と間接費で、両者の違いをわかっておくことが大切です。
この記事では、そんな直接費と間接費の違いとは何かについて紹介しつつ、最適な管理方法について解説します。
- 販売原価における「直接費」と「間接費」とは?
- 直接費と間接費の内容は業界によって異なる
- 製造業における直接費の例
- 製造業における間接費の例
- 直接費と間接費を分析する重要性
- 直接費・間接費を管理するには?
- まとめ
販売原価における「直接費」と「間接費」とは?
販売原価とは、商品を販売するにあたって発生する原価を指す言葉で、売上原価と呼ばれることもあります。販売原価はさまざまな費用から成り立っていますが、主に構成するのは直接費と間接費の2つです。
直接費とは、製品やサービスを販売する上で直接的に発生している原価を指します。例えは製造を担当するスタッフに支払う人件費、製造に必要な材料費などは、直接費の代表例と言えるでしょう。あるいは製品を製造するためにかかった電気代や燃料費なども、直接費として含まれます。
一方の間接費ですが、これはどの製品にどれくらいのお金がかかっているのか、具体的に特定することが難しい費用です。例えば製造現場のメンテナンスにかかる費用や商品を配達するための人件費などは、間接費に含まれます。
直接費と間接費の内容は業界によって異なる
勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、具体的に何が直接費になって、何が間接費になるのかというのは、どのような業界に属しているのかによって微妙に定義が変わります。例えば製造業においては、製造直接費や製造間接費という言葉が使われ、販売業においては販売直接費や販売間接費という言葉が使われます。直接費や間接費という言葉に明確な定義はありませんが、原価管理を効率よく行う上では便利なルールなので、これらの言葉の意味合いを理解しておくことが大切です。
製造業における直接費の例
具体的にどんな費用が直接費や間接費に分類されるのか、ここからはその事例を確認しましょう。まずは製造業における直接費のケースです。製造業では、主に以下の3つのカテゴリに直接費を細分化することができます。
直接材料費
直接材料費は、製品製造の際に必要な材料を調達する時に発生する費用です。木材やプラスチック、石油など、製造物に応じてさまざまな材料の仕入れが必要とされますが、これらを仕入れるときにかかるお金は直接材料費に計上することができます。ここではあくまで材料の入手に必要な経費のみを指しており、加工などにかかるコストはまた別のカテゴリで計上する点に注意が必要です。
直接労務費
直接労務費は、製品の製造に関わった人へ支払われる給与などを指す費用です。いわゆる人件費に含まれますが、直接労務費は人件費のなかでも製品の製造に直接的に関与している従業員への支払い給与や賞与のみを指します。プレス機械を稼働させたり、生産ラインで従事したりする人への給与支払いは、直接労務費として計上することが可能です。
直接経費
直接経費は、直接材料費や直接労務費に計上することができなかった、それ以外の直接費を指します。例えば工場などの生産現場を確保するために必要な賃貸料金や、製造に用いる機械の減価償却費用などは直接経費に計上可能です。あるいは生産をどこか遠い場所で行っている場合、そこに行くまでの交通費・出張費を直接経費として計上することができます。
製造業における間接費の例
続いて、製造業における間接費の事例を紹介します。間接費は直接費の対義語で、直接費と同様に材料費や労務費、そのほかの経費がこちらに含まれるケースもあることを覚えておきましょう。
間接材料費
間接材料費は、製品の製造に直接関与しない形で発生した材料費を指します。例えば製品を梱包するための梱包材購入費用や、工場の機械のメンテナンスに必要なパーツや潤滑油などは、間接材料費として計上することが可能です。そのほか製造を補助するために必要な材料・備品の購入は、間接材料費に含まれます。
間接労務費
間接労務費とは、製品の製造に直接関与しない従業員に支払われる人件費を指す言葉です。製造現場の清掃にあたる従業員や、製造機械のメンテナンスに関わる従業員には、間接労務費として給与や賞与が支払われます。労務費は従業員が主に担う役割によって直接費と間接費に分けられる点に注意が必要です。
間接経費
間接経費は、間接材料費と間接労務費に含まれないそのほかの経費を指します。例えば製造現場で利用している電話回線やインターネット回線などの通信費は、間接経費として計上できるでしょう。あるいは事務作業などに必要な備品の購入も間接経費として含まれます。ほかにも製品の研究活動や製品開発に関わる出張費なども、間接経費に計上可能です。
直接費と間接費を分析する重要性
直接費も間接費も、元を辿れば経費や原価といった言葉で処理することができるものですが、ここまで詳細に原価の内訳を記述することにどのような意味があるのでしょうか。
直接費と間接費を分ける大きなメリットとして、組織におけるコスト意識が、より細分化した状態で持てるようになることが挙げられます。これまで製品の製造にどれくらいの費用がかかっていたのかを詳細に明らかにし、改善の余地がある費用項目を特定することにつながるでしょう。原価管理への意識が高まり、収益性の高いビジネスモデルの構築に役立つデータを蓄積できます。
直接費・間接費を管理するには?
直接費と間接費を正しく管理するための方法としては、大きく分けて以下の3つの方法が挙げられます。Excelを使う方法や会計ソフトを使う方法、原価管理システムを使う方法のどれが最適なのか、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
Excelで管理する
一般的な管理方法として普及しているのが、Excelを使った管理です。Excelは無料で利用ができる表計算ソフトで、勤怠管理や経費管理などさまざまな業務で用いられています。スキルがあれば何でもできるのが便利なExcelですが、注意点としてはデータをローカルファイルで保管する必要がある点です。オンラインでの編集が行えないので、複数人で表を運用したい場合、不自由なシーンも増えることとなるでしょう。
会計ソフトで管理する
会計ソフトを使って直接費や間接費を記録する、という方法も挙げられます。会計ソフトには原価管理の機能が備わっているものもあり、既存のソフトを使って対応することは十分に可能です。ただ、原価管理機能が備わっていない場合は新たに会計ソフトを刷新する必要があるため、そのためのコストがかかる点に注意が必要です。
また会計ソフトを丸ごと入れ替えるとなると、そのほかの会計業務も刷新されてしまい、移行に伴う負担も発生します。
原価管理システムで管理する
原価管理システムは、原価管理業務全般を効率化して担当者の負担削減につながる製品です。原価管理システムは機能の一環として直接費や間接費を計上できる機能が備わっており、原価を正しく勘定したい場合には最適なサービスと言えます。直接費や間接費を正しく計上して、コストの可視化と改善を行う上で必要な機能を複数備えており、計上によるメリットを最大限活かしたい場合には導入を検討しましょう。
まとめ
この記事では、販売管理における直接費や間接費を計上する意味や具体的な分け方について紹介しました。直接費も間接費も原価であることに変わりはありませんが、細かく分類して計上することにより、コストへの意識を高めることができます。
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