原価計算とは?種類・目的・計算方法をまとめて解説【2025年最新版】
原価は財務諸表や決算書に記載する項目であることから、正確に計算する必要があるものです。しかし、原価計算の方法は業界によって異なることもあるので、「どう計算するのが正しいのかわからない」とお困りの方も多いでしょう。
そこで本記事では、営業・バックオフィス・情報システムなど幅広い分野の法人向けSaaSサービスを比較検討できる「PRONIアイミツ」が、原価計算の概要から目的、種類にくわえて、計算方法や原価管理システムを使うメリットまでを一挙に解説します。原価計算でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
原価計算とは
原価計算とは、製品の生産にかかった費用を計算することです。たとえば、サンドイッチを製造する際には材料となるパンや野菜、卵などにくわえて、料理人の人件費や光熱費といったコストが発生します。これらにかかった費用を示すのが原価です。
原価計算は正しい原価を把握するための方法で、シンプルなように見えますが、種類が複数あることや業界によって計算方法が異なることもあるので、しっかりと理解した上で実施しなければなりません。
原価計算基準における原価計算の目的
原価計算はなぜ必要とされているのでしょうか。原価率が利益に影響するのは当然ですが、原価計算の目的はほかにも存在しています。ここからは、原価計算基準に記載のある5つの目的について解説します。
社外向けの決算書類を作成するため
決算書や財務諸表には原価を記載しなければならないため、作成にあたっては原価計算が必要です。原価計算ができなければ、これらの書類を正しく作成することはできません。決算書や財務諸表は金融機関や出資会社などに経営状況を伝える役割も担うので、正しく原価計算ができなければ企業としての信頼を損なう可能性もあるでしょう。
原価計算は重要な書類作成や外部からの信頼獲得に必要なので、会計担当者が熟知しておっくべき項目の1つだと言えます。
商品の販売価格を設定するため
商品の販売価格を決定する際にも、原価計算は重要な役割を持ちます。企業の売上総利益は「売上−売上原価」で算出されるので、売上原価が売上よりも高ければ売上総利益を伸ばすことはできません。「製品の原価がいくらか」と質問された時にわからないような状況では利益追求は難しいでしょう。
また、利益を拡大するためには「(販売価格/原価)×100」で算出できる原価率をできる限り低く抑えることが重要です。正しい原価率を把握するためにも、適切な原価計算が求められます。
無駄なコストの発生を防ぐため
原価は製品の生産に必要なさまざまなコストから算出されるため、原価計算をすれば生産・仕入れで発生するコストの把握につながります。たとえば、原価の大半を人件費が占めているのなら、システム導入をはじめとする作業効率化対策によって原価率を下げれば、さらなる利益追求が図れるのではないでしょうか。
また、材料費が高額な場合は仕入れ先を見直すことでコストカットが叶うことも考えられます。原価計算に必要な各種コストを改めて確認すれば、コスト削減のポイントが見出せるかもしれません。
予算を編成するため
正確な原価の把握は、事業計画や予算編成にも役立ちます。事業計画は短期〜中長期の数値目標のもとで実行へ移りますが、予算編成の際には製品の原価や予定販売数を適切に見積もらなければなりません。原価を正しく把握できていなければ、「予定通りの数を販売できたにもかかわらず、利益につながらなかった」という事態に陥る可能性もあるので注意が必要です。原価計算にミスがあった場合も予算案が無駄になってしまうでしょう。
戦略的に事業を進めていくためにも、原価計算は非常に重要な要素だと言えます。
経営計画を立てるため
利益を2倍に成長させるには、そのための戦略を練る必要があります。原価がわかれば製品が売れた際の利益を算出できるため、「利益を2倍にするのが現実的かどうか」「達成するための目標販売数はどの程度か」などの検討に役立ちます。
反対に原価計算ができないと目標は根拠のないものになってしまいます。適切な経営計画を作成するためにも、原価計算と数値の把握は大切だと言えるでしょう。
原価計算の種類
原価計算は利用目的によって方法が異なり、一般的には「標準原価計算」「実際原価計算」「直接原価計算」の3種に分かれます。また、生産形態別では「総合原価計算」と「個別原価計算」に分けられます。それぞれの特徴を解説します。
標準原価計算
予算編成を目的とする場合の原価計算には「標準原価計算」を用いるのが一般的です。標準原価計算は理想的な状況で製品が生産されたことを前提とする方法で、材料費や労務費、経費といった項目の目安を設定して原価を計算します。目安をもとに算出するので、準備や計算が比較的容易なのが特徴です。
一方で、想定外の費用を含まずに計算するため、想定した状況での生産が叶わなかった場合には追加予算が必要になることもあります。
実際原価計算
「実際原価計算」は、より現実に近い原価を算出するのに効果的な方法です。標準原価計算では目安をもとに計算する一方で、実際原価計算では実際に発生した費用をもとに原価を計算します。目安以外の費用も含まれるので、本番とほぼ同額の原価を求められるのが大きな特徴です。
しかし、どんなコストが発生するのかは生産してみなければわからないため、準備に多くの時間・労力を要するという面も。すでに複数年事業を続けている企業におすすめの方法と言えるでしょう。
直接原価計算
「直接原価計算」は製造に関するコストを「固定費」と「変動費」に分類し、変動費を中心に原価を計算する方法です。直接原価計算による損益計算書は短期的な利益計画に役立つことから、特定の場面で好んで用いられています。「製品をいくつ売れば固定費を回収できるのか」「回収するためにどんなプランを作ればいいのか」などを検討するときに便利です。
ただし、一般的な報告書には適していないこともあるので注意しましょう。
総合原価計算
「総合原価計算」は、大量の製品を決められた方法で大量生産するときに用いられる原価計算方法です。決められた製品の生産・販売する企業では、総合原価計算が多く採用されています。なお、総合原価計算は3つの種類に分かれます。
・単純総合原価計算
基本的な総合原価計算の方法で、1つの製品を量産する際に用いられます。
・等級別総合原価計算
同じ製品の生産にあたり、サイズや品質などで等級を分けたいときに用いられる方法です。
・組別総合原価計算
異なるデザインのものを量産する際に用いられます。
なお、個別にカスタマイズされた製品を生産する場合には、「個別原価生産」が用いられます。
個別原価計算
「個別原価計算」は、1つひとつの製品の原価が異なる場合の原価計算方法です。カスタマイズされた製品をはじめとする顧客の要望によって原価が変動するときに用いられます。
個別に原価計算が必要なので手間はかかるものの、受注生産を主とする企業にはおすすめの方法です。中でも建設会社やソフトウェア開発会社などで積極的に採用されています。
原価計算の方法
原価計算の方法としては、手動での計算とシステムを活用する方法があげられます。ここからは、それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
電卓などを使い手動で計算する
原価は電卓を用いた手動の計算で求めることができます。電卓での原価計算の手順は以下のとおりです。
(1)費目別原価計算
「材料費」「労務費」「経費」費用をに分類し、それぞれを直接費と間接費に分けます。
(2)部門別原価計算
各項目の費用に対して責任を持つ部門を明確にして分配します。
(3)製品別原価計算
製品別に「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」「製造部門費」を集計して、それぞれの損益を明確にします。
電卓による原価計算は、追加コストが発生しないのが大きなメリットとしてあげられます。一方で、原価計算の知識がなければ異なる数値が算出される可能性があるのがデメリットです。原価生産の初心者が業務を担当する場合は、きちんと学習してから業務を実行するか、原価管理システムの導入を検討することをおすすめします。
原価管理システムを使う
「原価管理システム」とは、原価に関する豊富な機能を持つシステムのことです。さまざまな原価を短時間で算出・管理できるのはもちろん、原価に関するリアルタイムの情報を収集できる機能、事業戦略の作成にも役立つ分析・シミュレーション機能などを使用できます。
初心者であってもガイダンスにそって情報を入力するだけで原価計算が可能なので、「担当者の原価計算に関する知識が不十分」「原価に関する業務を効率化させたい」といった場合には導入がおすすめです。
原価管理システムを導入するメリット
原価管理システムを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で解説していきます。
原価管理業務を効率化できる
原価管理システムの最大のメリットは、原価計算や管理を短時間で完了できる点です。通常はやり方を調べた上で業務に取り組むこともありますが、原価管理システムがあればそうした手間をかけずに原価を計算できます。原価計算のミスも削減できるので、確認や修正にかかる時間も大幅に減らせるでしょう。
原価計算・管理にかかる時間を削減し、ほかの業務へリソースを割り当てられるようになれば、生産性向上にもつながります。
労務コストを抑えることができる
原価管理システムの導入は、労務コストの削減にもつながります。会計に関する知識や経験の乏しい従業員が担当者になった場合は原価計算に多くの労働力が割かれることになりますが、原価管理システムを導入すれば初心者であっても比較的簡単に原価計算・管理が可能です。さらに、人的な計算ミスも抑えられるので、結果として労務コストの削減が叶うでしょう。
外部システムとの連携も可能
多くの原価管理システムは、外部システムとの連携が可能です。すでにERPを導入している場合は、既存のERPと原価管理システムを連携させることでさらなる業務効率化が実現するでしょう。
他システムと連携させれば同じ内容を複数回にわたって入力する必要もなくなるので、打ち間違えも減少すると考えられます。すでに導入しているシステムがある会社にも、原価管理システムはおすすめと言えます。
まとめ
本記事では、さまざまな場面で必要になる原価計算について解説してきました。原価計算はルールが複雑なだけでなく目的によって計算方法が異なるため、初心者では対応が難しい面があるものです。効率的に原価計算をしたいとお考えなら、原価管理システムの導入を検討することをおすすめします。
「PRONIアイミツ」では、人気の原価管理システムの比較検討に役立つさまざまな情報を掲載しています。業界別や企業規模別の導入実績、利用環境などから検索もできるので、ぜひ製品選びにご活用ください。
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