部門別原価計算とは?配賦のメリット・デメリットも解説【2024年最新版】
部門別原価計算は原価を部門別に配賦するための計算を指すものですが、「配賦についてよくわからず困っている」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、部門別原価計算の基礎知識や目的、具体的な計算の流れにくわえて、配賦のメリット・デメリットについてもわかりやすく解説します。
- 部門別原価計算とは
- そもそも原価計算とは何か
- 原価計算が行われる理由
- 原価計算が行われる流れ
- 配賦のメリット・デメリット
- 原価管理や配賦をスムーズにする方法とは
- 原価管理システムによる効果
- 【まとめ】原価管理システムの比較検討はPRONIアイミツで
部門別原価計算とは
部門別原価計算を含む原価計算は、以下の3段階に分けて作業を進めます。
1.費目別原価計算
2.部門別原価計算
3.製品別原価計算
まずは費目別原価計算で原価要素を把握し、原価部門別へ分類したら最後に製品ぼとの損益を明確にして原価を計算します。部門別原価計算は原価計算における1つの過程であり、2つ目の段階に該当するものです。原価には直接的・間接的なさまざまな要素が含まれるため、段階的な計算によって正確な数値を導き出すことができます。
そもそも原価計算とは何か
原価計算とは、商品の販売やサービスの提供までにかかった費用を計算する作業のことです。製造メーカーの場合は原料の仕入れや製造に関わる従業員の賃金、設備費などが主な原価となります。日本における原価計算は1962年に大蔵省企業会計審議会が発表した基準が用いられており、60年以上が経過した現在まで一度も修正されることなく実践ルールとして機能しています。
どんな業種であっても商品・サービスの販売や提供にいたるには何らかのコストがかかることから原価は重要な意味を持ち、さらに原価の把握は適切な販売価格の決定にも大きな影響力があります。
原価計算が行われる理由
原価計算には「財務会計目的」「管理会計目的」という明確な目的があります。ここでは、それぞれの目的について解説します。
財務会計のため
前提として、企業は貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を通じて株主をはじめとした利害関係者へ経営状態を報告する必要があります。融資を受けている金融機関や株主などは経営状況を判断材料とするため、財務諸表はその根拠になるものだと言えます。ここで重要な情報となる粗利(売上総利益)は「売上−売上原価」で求めるので、原価計算は財務会計においても重要な意味を持ちます。
管理会計のため
「何に・どの程度のコストがかかっているのか」を確認する作業は、現状把握はもちろん無駄なコストや工数の洗い出しにも役立ちます。その上で欠かせないのが管理会計を目的とする原価計算で、正しい原価を把握することによって自社の強みや問題点を明らかにできるメリットがあります。
定期的な原価の確認は「現実」の数値化とも言えるので、企業の意思決定や方針転換の際にも重要な要素でしょう。
原価計算が行われる流れ
ここからは、原価計算の流れを3つのステップに分けて解説します。
ステップ1:費目別原価計算
費目別原価計算では、費用を「材料費」「労務費」「経費」に分類して集計します。
・材料費
製品の製造にあたって消費する物品にかかった費用のことです。製造に直接関係する「直接材料費」や間接的にかかった「間接材料費」に分類されます。
・労務費
従業員の稼働に関する費用のことで、製造に直接関与した従業員の賃金を指す「直接労務費」とそれ以外の「関節労務費」に分類されます。
・経費
材料費と労務費に該当しない原価を指すもので、製造に直接関わる「直接経費」と、製造そのものには関わっていないが間接的にかかった「間接経費」に分類されます。
ステップ2:部門別原価計算
部門別原価計算とは、費目別原価計算で記録・集計された間接費を各部門へ分配する工程のことです。各部門がどれだけ間接費を使っているのかを算出し、コストを配賦していきます。配賦の方法としては「水道光熱費は部門別の占有面積」「材料は資料量」など費目に合わせて柔軟に対応するのが一般的です。
配賦の割合は場合によって一部も部門からの不満につながることもあるので、適正・公平な割合するためには適切かつ慎重な配布基準の設定が求められます。
ステップ3:製品別原価計算
最後のステップである製品別原価計算は、文字どおり製品別の原価を算出する工程です。費目別原価計算で明らかにした費用を部門別原価計算に基づいて各部門へ割り振り、最終的に製品ごとの損益を視覚化するのが製品別原価計算だと考えればイメージしやすいでしょう。
具体的には製品の製造にかかった直接材料費や直接労務費、直接経費にくわえて、間接材料費や関節労務費などを製品ごとに集計します。同一製品を大量生産する場合は「総合原価計算」が、複数の商品を個別生産する場合は「個別原価計算」が用いられます。
配賦のメリット・デメリット
部門別原価計算を行う上で重要となるのが「配賦」です。簡単にいえば「複数部門・製品を横断して発生した経費を各部門へ振り分けること」を指します。企業にはさまざまな経費がありますが、水道光熱費や施設の賃料、複数工程を担当する従業員の人件費など部門ごとに明確に区切られていない費用も数多く存在しています。
企業の規模が大きくなるほどに複数部門や製品を横断して発生する経費は増加するものの、そのままの状態では「どの部門・製品でどれだけの経費がかかっているのか」を正しく把握することができません。そこで各部門・部署の経費を分配するための仕組みが「配賦」で、部門・部署ごとのあらゆるコストが把握しやすくなる点や、コスト管理の効率化が図れるメリットがあります。
一方で配賦は「何を基準としてコストを分配するのか」という基準設定が難しく、場合によっては不公平感を生み出す原因になってしまうデメリットもはらんでいます。基準となる要素は「人員数」や「売上高」「稼働時間」などさまざまですが、配賦後に当該部門や店舗が赤字に転じるケースも珍しくないため注意が必要です。
原価管理や配賦をスムーズにする方法とは
原価計算の方法は複雑なことから専門知識が必要なだけでなく、相当な工数が発生する作業でもあります。複数の計算方法が存在するため、Excelによる管理も簡単ではありません。
そこでおすすめしたいのが原価管理システムの導入です。原価管理システムを使えば複雑な原価計算はもちろん、予算や実績の管理・比較、分析などを効率的に進めることができます。正確な原価の算出にくわえて原価データを活用した試算にも役立てられるため、経営状況の把握や経営判断への貢献も期待できる存在といえるでしょう。
原価管理システムによる効果
原価管理システムの導入効果としてまずあげられるのは、工数の削減でしょう。原価計算をはじめとする複雑な計算が自動で行われるため、必要な情報を入力するだけで作業が終わります。手作業による原価計算と比較して人件費削減に役立つだけでなく、浮いた工数をほかの業務へあてることもできるので生産性向上にもつながるでしょう。
また、多くの原価管理システムが外部システムとの連携に対応しているのも見逃せないポイントです。原価は会計処理や在庫管理、生産管理などさまざまなデータを深く関係しているので、「社内のシステム化を進めている」「システム化を検討している」という場合は原価管理システムの導入によって大幅な業務効率化が期待できます。
【まとめ】原価管理システムの比較検討はPRONIアイミツで
原価計算は財務状況の把握だけでなく、管理会計の面でも欠かせない作業です。しかし計算が複雑で専門的な知識が求められるため、手作業での対応は非効率だと言えます。効率的な原価計算や原価管理を叶えたいのなら、原価管理システムの導入を検討すべきでしょう。
「PRONIアイミツ」では、原価管理システムの比較検討に役立つ幅広い情報を掲載中です。気になるサービスの比較表作成や業界別・企業規模別導入実績の検索も可能なので、製品選びにぜひご活用ください。
探すのに時間がかかる
相場がわからない
複数を比較しづらい
プロが代わりに探して紹介します!