スループット会計とは?利益を増やす方法や原価計算との違いも解説

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スループット会計は主に製造業向けの原価管理手法の1つで、「経営効率・利益を上げるのに特化している」のが大きな特徴です。しかし、言葉自体は耳にしたことがあるものの、詳しくはよくわからないという方もいるでしょう。

そこで本記事ではスループット会計の概要やメリット、具体的な活用例、利益を増やす方法などをわかりやすく解説します。

スループット会計とは

スループット会計とは、製造業向けの原価管理手法の1つです。「スループット」は実際の売上から資材費・外注費などの直接材料費(製品を作るためにかかった費用)を差し引いたものを意味し、「スループット=実際の売上-直接材料費」で算出されます。
従来の原価管理とスループット会計の大きな違いは、「利益の向上に特化しているか否か」で、スループット会計は経営効率と利益を上げていくことにフォーカスしているのが特徴です。また、「在庫」が重要な要素となることから、製造業をはじめとしたモノづくりの分野で特に重宝されています。

スループット会計と原価計算の違い

ここからは、スループット会計と従来の原価計算の違いを3つの視点から解説します。

計算の方法

利益を算出する場合の両者の計算式は以下のように異なります。

・スループット会計
利益=スループット(売上-直接材料費)-業務費用

・従来の原価計算
利益=生産-原価

従来の原価計算では「生産したものは販売できる」という考えのもと、生産されたものを資産として形状していました。一方でスループット会計は「販売されていない在庫は利益とみなさない」ため、製品が売れてから利益に含めるという考え方です。

在庫に対する考え方

従来の原価計算においては「作ったものは売れる」ことを前提としています。そのため在庫は資産として扱われますが、売れない在庫を抱えていても資産に計上されるため、計算上では利益となっていました。しかし、ものが溢れ競争が激化する昨今では「作ったものは売れる」という従来の考えは通用しない場面も増えています。
スループット会計は「売れていない在庫は利益として扱わない」という考えのもと、在庫は利益ではなく資材費として売り上げから差し引く対象としています。

業務費用

スループット会計と従来の原価計算では、業務費用の扱いも異なります。従来の原価計算では直接労務費、製造間接費などを細かく分類して費目ごとの金額を算出しますが、スループット会計ではこのように業務費用を細分化しません。
スループット会計は「利益の向上に特化している」ことから、「在庫以外の支出額をすべて業務費用に含める」という考え方を取り入れているため、利益に関わらない部分の厳密な計算は行わないのです。

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スループット会計が重要視される理由

つづいては、製造業を中心にスループット会計が重要視されている理由について解説していきます。

売り手市場から買い手市場への変化

戦後の日本は急速な立ち直りを果たしましたが、その核を担ったのは「国をあげたモノづくり」です。世界的にモノが不足する中で徹底的なモノづくりに取り組んだことで、日本製品が全世界で売れた結果としてのちの高度経済成長につながりました。
ところが時代の流れとともに世界的なモノ不足は解消され、さらにバブル経済の影響で売り手市場から買い手市場へと状況が大きく変わっています。そうした中で「在庫が売れるとは限らない」という考えを重視して生まれたのがスループット会計です。

とにかくキャッシュフローを重視する傾向

スループット会計は帳簿上(損益計算書)の利益ではなく、「売上をあげていかにキャッシュを回収できるか」を重視する考えをもとに構成されています。いくら帳簿上で資産として利益が計上されていたとしても、スループット会計では「多くの不良在庫を抱えている=よくない状況」という変え方になるのです。
とにかくキャッシュフローを重視し、「製造したモノをいかに効率よく売るのか」という点を重視した原価管理手法であることを覚えておきましょう。

利益を増やすための3つの方法

ここでは、スループット会計を用いて利益を高める上で押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

スループットを増加させる

そもそもスループットは販売によって得られるキャッシュ(売上)を意味しており、「実際の売上-直接材料費」で算出されます。直接材料費は製品を作るのにかかった資材費や外注費などのコストなので、れらのコストを抑えるとスループットが高まり利益向上につながります。ただし、「利益=スループット-業務費用」であることを考えると、スループットの増加だけでなく業務費用の低減も大きなポイントであるといえます。

在庫を少なくする

スループット会計では在庫を利益とみなさないため、在庫を抱え過ぎないことが利益を増加させる大きなポイントとなります。スループット会計においては製品の在庫だけでなく、加工途中の製品や資材も在庫として扱われます。
製品の在庫を抱えすぎないようにするのはもちろん、「資材を余分に仕入れすぎない」「溜め込みすぎない」ことも資材費の低減につながるので利益の増加に好影響を及ぼします。

業務費用を抑える

スループット会計では「利益=スループット-業務費用」で算出するため、業務費用が少ないほど利益は大きくなります。裏を返せばどんなにスループットを増やしたとしても、業務費用がかさめば利益は増えないことになります。
スループット会計における業務費用は「在庫以外の支出額すべて」なので、現状の無駄なコストを見直すだけでなく社内の資産やリソースを有効活用して新たな業務費用を増やさない努力を続けることも大切です。

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スループット会計の活用例

ここからは、スループット会計の具体的な活用例をいくつか紹介していきます。

収益性に優れた製品の見極め

複数の製品がある場合は種類ごとにスループットが異なるため、各製品の収益性を判断することが大切です。スループットが製品A1,000円、製品B1,200円なら製品Aに注力する方が収益性がいいように感じるかもしれません。しかし、製造に共通設備やリソースを用いており「両者の製造時間に差がある」場合は、時間あたりのスループットで立場が逆転するケースも。製品ごとのスループットだけでなく、時間効率なども加味して製品の収益性を判断しましょう。

製造方法の判断

スループット会計は、製造の内製・外製を判断する際にも役立つものです。この際には、コストの差だけではなく、外製した部品などを使って完成した製品のスループット(実際の売上-直接材料費)から考える必要があります。
ただし、1つの製品のスループットが低くなっても外製によって社内設備・リソースをほかの製品に活用できるようになれば、結果として全体のスループットが改善されることもあるので注意が必要です。

納期遅延に関する評価

顧客から提示された納期に遅れが生じた場合は、企業にとって損失となります。この納期遅延に対する正確な評価は困難とされていますが、こうした場面で役立つのがスループットを活用した計算式(スループットダラーデイズ)です。

・スループットダラーデイズ
遅れた注文のスループット×遅れた日数

この算出方法を用いれば、製品ごとのスループットの大きさや遅延日数を加味した上で納期遅れの影響度を測ることができます。

設備投資可否の判断

事業を続ける中では、さまざまな局面で設備投資の判断を求められることになりますが、その際にもスループット会計の考え方が役立ちます。判断基準はいたってシンプルで、確認すべきポイントは以下の2つです。

・当該の投資により全体的なスループットの上昇が見込めるか
・上昇したスループットで投資分を回収できるか

このときに大切なのは新たに設備投資の対象となる部分のスループットだけで判断するのではなく、工場全体・生産工程全体のスループットで考えることです。

【まとめ】原価管理システムの比較検討はPRONIアイミツで

スループット会計は、製造業をはじめとするモノづくりに取り組む企業と特に相性のいい原価管理方法です。しかし原価管理にはさまざまな方法・作業が存在しているため、すべてに手作業で対応するのは大きな負担をともないます。適切かつ効率的に原価管理を進めたい場合には、原価システムの導入がおすすめです。
「PRONIアイミツ」では、製造業向けの原価管理システムをはじめとする幅広いシステムの比較検討に役立つ情報を掲載しています。導入するシステムを選定する際にぜひご活用ください。

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