製造原価報告書とは?作成のメリットや売上原価との違いも紹介【2025年最新版】
「製造原価報告書」は製造業の経営状況の把握に用いられるものですが、その内容や必要性について詳しくはわからないという方も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、原価管理システムをはじめとする幅広い法人向けSaaSを比較検討できる「PRONIアイミツ」が、製造原価報告書の概要や扱い、作成のメリットなどについて解説します。
- 製造原価報告書とは?
- 製造原価報告書を作成するメリット
- 製造原価報告書を作成するデメリット
- 製造原価報告書の主な記載項目
- 製造原価報告書作成にはテンプレートの利用がおすすめ
- 製造原価報告書を作成するそのほかの方法
- まとめ
製造原価報告書とは?
「製造原価報告書」は製造業に必要な財務諸表の一種です。ステークホルダーへ製造原価を共有することが目的で、製造原価明細書とも呼ばれています。製造原価報告書は売上原価を補完するものであり、損益計算書へ添付するのが一般的です。
製造原価報告書の扱いとは?
製造原価報告書は損益計算書に含まれる「売上原価」を補完するための資料であり、作成は義務ではありません。損益計算書への添付が求められるものの、連結財務諸表にセグメント情報を記している場合は添付は不要です。
とはいえ、損益計算書や賃借対照表のみで経営状況を正確に共有するのは容易ではありません。製造にかかった材料費や労務費、経費などが記載された製造原価報告書は経営状況を明らかにするのに役立つことから、製造原価報告書の作成が推奨されています。
製造原価と売上原価の違いとは?
「製造原価」は製品を造るのにかかった費用のことで、売れたか否かは問われません。一方「売上原価」は売り上げを得るために使った費用のことで、売れた製品にかかった費用のみが対象となります。
具体例としては、製品の製造に関する労務費は製造原価に該当しますが、その製品を販売する場所を確保するための諸費用は売上原価として扱います。
製造原価報告書を作成するメリット
製造原価報告書を作成すると、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここからは、製造原価報告書を作成するメリットについて解説します。
製造原価を正しく管理できる
製造業における費用には、製造原価のほかに「販売費及び一般管理費(販管費)」があります。販管費は文字どおり販売業務と管理業務にかかる費用のことで、製品の宣伝や販売、総務や経理に代表される関節部門の人件費が該当します。製造原価と販管費の区別の有無は税額には関係しませんが、経営状況の分析に大きく役立ちます。製造原価報告書を通じた製造原価の把握は、利益が伸び悩んでいる際の改善策の検討にあたっても重要だと言えます。
製造現場の生産性を見える化できる
製造原価報告書の作成は、製造現場における生産性の「見える化」にも役立ちます。製造原価報告書があれば、製造に関する人件費と販売・管理に関する人件費の区別が可能です。製造にかかった費用が不透明では、生産性を適切に把握・評価することはできません。しかし、製造原価の内訳を確認すれば、生産性を見える化することができます。
より多くの情報を共有できる
製造原価報告書と損益計算書が揃うと細かな経営状況を分析できるようになり、より多くの情報共有にもつながります。たとえば前年と同じ製品を造っているにも関わらず、現状の売上総利益率・収益性が低下している際には、前期・当期の製造原価報告書を比較すれば「製造原価のどの部分が・どの程度増えたのか」の把握が可能です。
経営が順調なときは製造原価報告書の必要性を感じられないかもしれませんが、業績が低下した際には内容の共有が状況打開策を検討する際のヒントとなるでしょう。
製造原価報告書を作成するデメリット
製造原価報告書の作成には専門性が求められる場面も多く、初心者には難易度の高い作業です。担当者に専門的な知識がない場合は、適切な作成は困難だと考えられます。
また、専門的な知識があったとしても、製造原価報告書の作成には相応の時間を要するものです。製造原価報告書作成の負担が大きい場合は、テンプレートの活用を視野に入れてもいいかもしれません。テンプレートがあれば、必要事項を入力するだけで製造原価報告書を作成することができます。
製造原価報告書の主な記載項目
製造原価報告書に記載する主な項目は以下のとおりです。
費目 | 内容 |
当期材料費 | 製品の製造に使った材料費 |
当期労務費 | 製造に関わった従業員の給与や賞与、社会保険料、福利厚生費など |
当期経費 | 工場の水道光熱費や消耗品費、減価償却費など |
仕掛品 | 完成していない製品の金額 |
当期製品製造原価 | 期内に製造した製品の製造原価 |
製造原価報告書作成にはテンプレートの利用がおすすめ
製造原価報告書の作成には専門知識が必要で、ゼロから作成するのは簡単ではありません。初心者が業務を担当する場合は、製造原価報告書のテンプレートを利用するのがおすすめです。テンプレートを使えば必要事項を記入するだけで製造原価報告書を完成させられます。ここからは、おすすめの製造原価報告書テンプレートを紹介します。
マネーフォワード クラウド会計の「製造原価報告書」
「マネーフォワード クラウド会計」は、マネーフォワード が提供するクラウド型会計システムです。会計に必要なさまざまな機能を実装しており、帳票テンプレートも豊富に用意されています。製造原価報告書テンプレートは、税理士による監修を受けているのが特徴で、サービスを契約していなくても無料でダウンロードが可能です。「専門知識がなく自分で製造原価報告書を作るのは不安」という場合にも重宝するのではないでしょうか。
bizoceanの「製造原価報告書」
「bizocean(ビズオーシャン)」は、トライベックの提供する国内最大規模の書式テンプレートサービスです。3万種以上のテンプレートを提供しており、エクセル形式の製造原価報告書テンプレートも用意されています。
テンプレートは無料・有料に分かれますが、製造原価報告書のテンプレートは無料でダウンロードが可能です。会員登録のみで気軽に使用できる点も魅力といえるでしょう。
製造原価報告書を作成するそのほかの方法
エクセルテンプレート以外の製造原価報告書作成方法としては、会計ソフトと原価管理システムの導入があげられます。会計ソフトや原価管理システムを活用すれば、最小限の負担で製造原価報告書を作成できます。
会計ソフトの中には製造原価報告書を手軽に作成できる製品も多く存在しています。また、原価管理システムには原価計算・管理に必要なさまざまな機能が実装されており、製造原価の計算・管理ももちろん可能です。これらを必要に応じて導入することで、製造原価の管理や製造原価報告書作成の効率化が叶うでしょう。
まとめ
製造原価報告書はステークホルダーへの製造原価の共有を目的としたものですが、製造原価の適切な管理や生産性の見える化、情報共有などにも役立ちます。しかし、製造原価報告書の作成には専門知識が求められるだけでなく、相応の時間を要するものです。初心者が業務を担当する場合には、テンプレートの活用やシステムの導入を検討してみてもいいかもしれません。
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