OEMとODMの違いとは?それぞれの意味やメリットデメリットを解説【2024年最新版】
「OEM」「ODM」はともにビジネスシーンで頻繁に用いられる言葉ですが、具体的な違いについて理解できているか自信がないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、OEMとODMそれぞれの特徴やメリット・デメリット、両者の違いについて詳しく解説するとともに、生産管理システムを活用した事例も紹介します。
- OEMとは
- ODMとは
- OEMとODMの違いはどこまで受託者が行うか
- PBやEMSとの違いは?
- OEM・ODMの管理にはシステム活用がおすすめ
- OEM・ODMにおける生産管理システム活用事例
- まとめ
OEMとは
OEMは「Original Equipment Manufacturing(相手先ブランド製造)」の略称で、委託を受けた他社ブランド製品を製造すること、あるいはそれを製造する会社を指すものです。代表的なパターンとしては、以下があげられます。
・OEMメーカーが企画、提案した製品を発注者のブランド名で製造する
・ブランドを持つ会社がOEMメーカーに自社ブランド製品の製造を依頼する
・既製品を発注元のブランド名で製造する
このようにOEMにはさまざまなパターンがありますが、OEMメーカーは基本的に製造に関する部分を担うというのが大きな特徴です。自動車やアパレル、化粧品、家電などさまざまな業界でOEMによる製造が取り入れられています。
OEMの業務内容
OEMは委託元の他社ブランド製品を製造することを指しますが、業務内容は製造だけではありません。もちろん仕様書に従って正しく製品化するのがメインではありますが、製品の資材調達もOEMメーカーの業務範囲です。さらに、場合によっては納期に遅れが生じないよう工場ラインを押さえる必要もあります。
また、OEMでは委託元のブランド製品を企画・提案するケースも少なくありません。その場合は既存の取引先はもちろん、OEMの需要が見込める企業に対する営業活動も行います。
OEMのメリット
ここでは、OEMのメリットを受託(OEMメーカー)側と委託側に分けて解説します。
・受託側のメリット
OEMを受託するメーカー側の最大のメリットは、売り上げを伸ばせることです。製造した製品はすべて委託元に納めるため、在庫を抱えることもありません。工場の稼働率向上にもつながり、人件費や設備維持費などのムダを抑えられます。
・委託側のメリット
初期費用を抑えて新たな製品を開発できるのが、委託社側のメリットとしてあげられます。新たに企画した製品を既存の生産ラインで生産できない場合は設備投資が発生しますが、製造をOEMメーカーへ委託すれば機材を購入する必要はありません。
OEMのデメリット
続いては、受託側・委託側それぞれのOEMのデメリットについて解説します。
・受託側のデメリット
売り上げが不安定というのが、受託者側の大きなデメリットです。製造計画はブランドを持つ委託元が担うため、販売状況によっては発注数が急減する可能性があります。計画通りに売り上げがあげられなければ、契約を打ち切られることもあるでしょう。
また、OEMの受託にあたっては技術やノウハウを隠すのは難しく、技術の流出につながるおそれがあるのもデメリットと言えます。
・委託側のデメリット
ブランドを運営する委託社側のOEMのデメリットは、「自社に製造技術・ノウハウが蓄積されない」「製造による利益があげられない」という2点があげられます。OEMにはメリットがある一方で、デメリットも存在することを忘れないようにしましょう。
ODMとは
ODMは「Original Equipment Manufacturer」の略称で、製品の開発や製造を受託すること、もしくは受託する企業のことを指すものです。OEMは基本的に製品の製造部分を担いますが、ODMでは製品の企画から製品設計、製造までを受託者側が担当します。ODMでは生産方式も受託社に委ねられるのが一般的とされています。ODMの代表的なパターンは以下の通りです。
・製品の企画から製品設計、製造までを受託社が担当する
・製品の企画は委託元(ブランド)が、製品設計〜製造は受託社が担当する
具体的な例としては、電気機器メーカーが製品開発や設計・製造を担当し、ブランドを持つ企業が販売するスマートフォンがあげられます。
ODMの業務内容
ODMでは、製品の販売をのぞくすべての工程を担います。企画やデザイン案が委託元に通ったら、製品を製造する工程へ移ります。この際はまずはサンプルを製作するのが一般的なほか、製造工程ではOEMと同様に資材の調達や工場の確保も必要です。
また、既存の取引先や新規顧客へ向けて「こんな製品を発売しませんか」という営業活動に取り組むこともODMの業務に含まれます。
ODMのメリット
ここからは、ODMの受託側・委託側それぞれのメリットについて解説します。
・受託側のメリット
OEMと比較すると、ハンドリングできる範囲が広いのがメリットです。製品の企画やデザインの段階から担当するため、在庫超過のリスクを抱えずに製造したいものを造ることができます。工夫によってはより大きな利益を生み出せることや、委託元企業のニーズに応える過程で技術力向上が期待できることもメリットと言えるでしょう。
・委託側のメリット
販売以外のすべての工程を外注するOEMなら、業界に関する知識や経験がなくても新規参入できるのが大きなメリットです。人件費や設備投資など製品の製造にかかるコストの抑制が可能というのも魅力なポイントだと言えます。
ODMのデメリット
続いては、受託側・委託側それぞれのデメリットを解説します。
・受託側のデメリット
ODMメーカーが注意すべきなのは、納品した製品に不備があった場合です。業務領域が広いほど不備が発覚した際の責任が大きくなります。たとえば納期に間に合わなかった場合や不良品が発生した場合、数量が足りない場合などは瑕疵担保責任を問われることになるでしょう。
また、委託元の状況や市場同行によってはプロジェクトが頓挫する可能性もあります。
・委託側のデメリット
委託社側のデメリットは、OEMと同様に社内に技術やノウハウが蓄積されないという点です。ODMでは販売をのぞいたすべての工程を委託することになるため、製造に関する技術やノウハウを得るのは困難でしょう。
OEMとODMの違いはどこまで受託者が行うか
OEMとODMの違いは、「受託側(OEM・ODMメーカー)がどこまで業務を担当するか」にあります。OEMでは受託側は基本的に製造工程のみを担う一方で、ODMでは製品の企画・デザインから製造にいたるまで販売以外のすべての工程を担当します。中にはマーケティングや販売を担当するケースもあるようです。
しかし、近年ではOEMでの企画段階から担当することも少なくありません。そうした背景から、OEMとODMの境界線があいまいになってきているのも事実です。
PBやEMSとの違いは?
OEMやODMに似た手法に「PB」「EMS」がありますが、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。ここからは、OEMやODMとの違いについて解説します。
OEMとPBの違い
PBは「Private Brand(プライベートブランド)」の略称で、商品の企画・開発は小売業者が、製造は製造メーカーが担当することを指します。PBの最大の特徴は、広告・宣伝費をかけないことや人件費の安い海外の工場への大量発注によるコスト削減で低価格での提供を実現していること。そのほかにも、顧客のニーズやトレンドに合わせた商品を開発できること、ブランディング効果が見込めるといったメリットがあります。
商品の製造を他社メーカーへ委託するという意味ではOEMと同様のため、PBはOEMの1種とも言えます。しかし、メーカーとの共同開発も多いので、OEMとPBは分けて使われるのが一般的です。
OEM・ODMとEMSの違い
EMSは「Electronics Manufacturing Services」の略称で、日本語では「電子機器製造サービス」と訳されます。電子機器の製造の受託、あるいは受託する企業のことをEMSと呼びます。
OEMとEMSの違いは「委託元が生産量をコントロールできるか否か」です。OEMは委託元が生産量を調整できるのに対して、EMSは契約にもとづいたロット生産となるため委託元による生産量調整ができません。
OEMとEMDには受託企業(製造メーカー)の立場にも違いがあります。OEMでは受託企業と委託企業が相談しながら製造を進めますが、EMSは受託企業に「おまかせ」で製造されるのが一般的です。
OEM・ODMの管理にはシステム活用がおすすめ
OEMやODMの管理には、生産管理システムの活用がおすすめです。生産管理システムとは計画や生産、販売、在庫など製造ラインのあらゆる工程を一元管理できるもので、導入すると製品の生産から販売に関する工程の情報や進捗状況のリアルタイムでの把握が可能になります。常に最適な在庫状況を保つことができ、在庫超過や資材不足といった問題に直面するリスクを抑えられます。
生産ラインの工程を可視化することで、生産工程をコントロールできるようになり、結果として生産スピードや利益率の向上にもつなげられるでしょう。
OEM・ODMにおける生産管理システム活用事例
実際に生産管理システムを導入している企業では、どのようにOEMやODMの管理に活用しているのでしょうか。ここからは、OEM・ODMの管理に生産管理システムを活用している事例を紹介します。
株式会社希松の場合
希松は「肌満足コスメティック」にこだわりを持ち、ロングセラー製品を多く生み出している化粧品・医薬部外品のOEM製造メーカーです。企画から研究開発、製造、品質管理にいたるまで一貫体制で提供しており、業務プロセスの効率化や在庫情報の一元管理、管理体制の強化などを目的に生産管理システムを導入しました。
システム選定の際に重視したのは「化粧品業界に向いているシステムかどうか」という点で、化粧品業界向けに設計されているOEMメーカーへの実績が豊富なシステムを採用。まずは3拠点へシステムを導入したのち、翌年には北海道の工場でも運用を開始しました。今後はさらなる有効活用へ向けた取り組みに注力するそうです。
※ 出典:日本電子計算株式会社 導入事例 https://www.jipros.com/case/15/
三粧化研株式会社の場合
三粧化研は、300社以上の化粧品会社の製品製造を担うOEMメーカーです。早い段階から生産管理システムを活用していたものの、受注案件単位での管理のみに対応していたことから「生産計画にそった原料発注が困難」という課題を抱えていました。さらに、原価管理に未対応という点も課題視していたことから、ほかの生産管理システムへの移行を決定したといいます。
従来は納期の1週間前に原料を発注していましたが、システムの移行後は1ヵ月分を一括発注できるように。さらに、労務費などを含む原価管理が叶ったことで業務の標準化につながり、そのデータが営業活動や経営判断にも役立てられているそうです。
※ 出典:株式会社大塚商会 導入事例 https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/case/sanshokaken.html
まとめ
OEMとODMは、受託側・委託側それぞれに多くのメリットをもたらすものです。しかし、1社で製品の企画・デザインから開発、製造、販売までを担うケースと比較すると製造工程が複雑になるため、各工程での効率的かつ正確な生産管理が重要になります。
最小限の負担でOEMやODMの生産工程を管理したい場合は、生産管理システムの導入がおすすめです。
「PRONIアイミツ」では、生産管理システムの比較検討に役立つさまざまな情報を掲載しています。人気の生産管理システムを機能別に比較することもできるので、ぜひご活用ください。
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