移動平均原価とは?計算方法も解説【2024年最新版】
移動平均原価は仕入れ時に都度原価を計算して棚卸資産の最新原価を把握する方法ですが、中には「方法がよくわからない」とお困りの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、移動平均原価や移動平均法の基礎から計算方法、活用するメリット・デメリットなどを解説します。移動平均法の利用を考えている方はぜひ参考にしてください。
- 移動平均原価とは
- 移動平均法とは
- 移動平均法による平均原価の求め方
- 移動平均法のメリット
- 移動平均法のデメリット
- 総平均法とは
- 移動平均法と総平均法の違い
- 原価管理の重要性と目的について
- 移動平均原価の計算には原価管理システムがおすすめ
- 【まとめ】原価管理システムの比較検討はPRONIアイミツで
移動平均原価とは
「移動平均原価」とは、仕入れ(棚卸し資産の受け入れ)のたびに「移動平均法」で算出する原価のことです。主な目的な棚卸資産の払出単価や在庫資産価額の算定で、棚卸資産の受入原価+在庫棚卸資産の金額の合計をそれぞれの合計値で割って算出します。
仕入れのたびに払出単価を計算する平均移動原価には、期中であっても販売業績を比較的容易に把握できるというメリットがあります。また、実際の数値をもとに計算されるので、実態に近い原価の算出が可能です。しかし、移動平均原価では払出単価を計算する回数が増えてしまうため、原価計算の負担も膨らむことを理解しておきましょう。
移動平均法とは
「移動平均法」は、棚卸資産の受け入れ時点での平均単価を都度計算して払出単価(売上原価)とする方法です。棚卸資産は利益額を求めるのに重要ですが、通常は期末にまとめて計算されるため常に最新状況を把握するのは困難。一方で異動平均法なら棚卸資産の評価額を常に把握できるので、より正確な数値にもとづいた経営判断につながります。
仕入れのたびに計算が必要になるというデメリットはあるものの、現場の棚卸資産の評価額を把握できるのは大きなメリットだといえます。棚卸資産の変動の大きな企業や、常に最新状況を把握しておきたい企業には特におすすめの方法でしょう。
移動平均法による平均原価の求め方
移動平均法による平均原価は、以下の計算式で求めます。
平均原価=(受入棚卸資産の原価+在庫棚卸資産の金額)÷(受入棚卸資産の数量+在庫棚卸資産の数量)
具体例として、以下を例に平均原価を算出してみましょう。
2月1日:単価200円の繰越在庫200個
2月7日:単価220円の受入棚卸資産300個
平均原価=(受入棚卸資産300個×220+繰越在庫量200個×200)÷(仕入れ棚卸資産300個+繰り越し在庫量200個)=212円/個
このように棚卸資産に変化があったときに毎回計算することで、1個あたりの平均原価を正しく算出できます。
移動平均法のメリット
移動平均法では棚卸資産を受け入れるたびに計算するため、適切な評価額を算出できるというメリットがあります。標準原価計算の場合は原価額の変化が適用されず、過去の実績や体感から抱いた想定額と実際の価格に乖離が生まれる可能性があります。
しかし、移動平均法では常に最新の原価評価額を算出でき、想定額と実績に差が生まれにくくなります。たとえば、原材料費の高騰によって平均原価が2倍になったとしても、標準原価計算では加味されません。「気づいたときには利益が大幅に減少していた」ということも十分にありえます。
市場の変化や価格変動のスピードが速い材料を扱う場合には、移動平均法は大きな効果を発揮するでしょう。
移動平均法のデメリット
移動平均法のデメリットは、原価計算の回数が多くなるため担当者の負担が大きくなりやすいという点です。担当者が普段からスケジュールに余裕なく業務に取り組んでいる場合は、移動平均法を取り入れると業務量がさらに増加してストレスの原因になるおそれがあります。
また、移動平均法は取り扱う商品数が増えるほどに複雑化が進むという特徴を持つものです。規模の大きな企業ですべての商品に移動平均法を取り入れるのは、相当な業務負担につながると考えられます。負担を抑えながら移動平均法を導入するためには、原価管理システムの活用や総平均法を取り入れるのがおすすめです。
総平均法とは
総平均法は平均原価法の一種で、移動平均法では仕入れのたびに計算するのに対して、総平均法は一定期間をまとめて計算する方法です。棚卸資産額の適切さは移動平均法にはおよばないものの、計算の手軽さや業務負担の軽減という面では強みがあるでしょう。なお、総平均法の計算式は以下のとおりです。
期末棚卸額 = (期首棚卸額+期中取得棚卸資産の評価額)÷(期首棚卸数量+期中取得棚卸資産数量)×期末棚卸数量
「標準原価計算では棚卸資産を適切に管理できないが、移動平均法は負担が大きすぎる」とお悩みの場合には、総平均法がおすすめかもしれません。
移動平均法と総平均法の違い
移動平均法と総平均表はいずれも棚卸資産を評価する方法ですが、計算の頻度が大きく異なります。移動平均法は在庫に変化が生まれた際につど計算が必要なので、短期間で何度も計算することになるケースも珍しくありません。一方総平均法では特定の期間をまとめて計算するので、1ヵ月に複数回在庫に変化があったとしても、作業が発生するのは1回です。これらの違いによって、移動平均法と総平均法にはそれぞれ以下のメリット・デメリットがあると言えます。
・移動平均法
メリット:常に正しい原価を把握でき、戦略への活用も可能
デメリット:計算の回数が多く、担当者の負担が大きい
・総平均法
メリット:計算頻度が少なく、担当者の負担を抑えられる
デメリット:移動平均法と比べると原価情報の更新が遅くなる
原価管理の重要性と目的について
原価管理は利益追求を図るのはもちろん、リスクを抑えるためにも重要です。昨今はさまざまな材料費が高騰し、数ヵ月前と比較して「原価が大きく異なる」という事例も多発しています。しかし、常に正しい原価を把握できれば、想定外のコスト増加や利益減少を防止できるでしょう。ここからは、原価管理の重要性と目的について解説します。
リスクを抑えるため
原価管理はリスク管理の面でも重要です。原価は社会情勢や需要と共有のバランスなどにおって大きく変化します。適切な原価の把握や変化に応じた対応ができなければ、さまざまなコストが増加して赤字に陥る可能性も否定できません。
常に正確な原価を把握して対策に取り組む基盤を構築しておくことは、リスクを抑えるのにも役立つと考えられます。
利益を確保するため
正しい原価の算出があるからこそ適切な価格設定が可能となるので、原価は企業が利益追求を図る上でも欠かせない情報です。原価を適切に把握できていない場合は、販売価格の設定もあいまいになり利益につなげられないこともありえます。企業が利益の拡大に取り組むためにも原価は不可欠な情報なので、正しく計算・管理できる体制づくりに注力することが大切でしょう。
移動平均原価の計算には原価管理システムがおすすめ
担当者の負担を最小限に抑えながら移動平均法のメリットを得たいのであれば、原価管理システムの導入がおすすめです。原価管理システムには原価計算機能や損益計算機能、配賦計算機能、原価差異分析機能などが実装されています。中には移動平均計算に対応しているシステムもあり、数値を入力するだけでスピーディーに原価計算が完了します。
「常に正しい原価を把握したい」「原価管理の効率化を図りたい」「原価管理に対応できる従業員がいない」という場合は、原価管理システムの導入を検討してみるとよいでしょう。
【まとめ】原価管理システムの比較検討はPRONIアイミツで
本記事では、移動平均原価・移動平均法の基礎や計算方法、移動平均法のメリット・デメリットなどを解説してきました。移動平均原価は常に最新の原価を把握できるメリットがある一方で、回数頻度が上がることから業務負担が膨らみやすいというデメリットがあります。負担を抑えながら移動平均原価を活用したいという場合は、原価管理システムの導入を検討することをおすすめします。
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