給与計算アウトソーシングとは?代行のメリット・デメリットや費用相場を解説
「給与計算や年末調整の業務が負担になっている」「給与計算を代行してコア業務に集中したい」とお考えの経理担当者は多いでしょう。そんな方には給与計算のアウトソーシング・代行サービスがおすすめです。
本記事では、給与計算アウトソーシングの選び方やメリット・デメリット、費用相場を紹介します。給与計算以外の経理業務も一緒にアウトソーシング・代行できるサービスもあるので、「アウトソーシングで業務負担を減らしたい」という経理担当者はぜひご覧ください。
- 給与計算アウトソーシングとは
- アウトソーシングで代行できる業務例
- 給与計算アウトソーシングの費用相場
- 給与計算を代行するメリット
- アウトソーシングの利用時に注意すべきデメリット
- 給与計算アウトソーシングの比較方法・選び方
- まとめ:給与計算アウトソーシングで社内の業務を効率化
給与計算アウトソーシングとは
給与計算アウトソーシングとは、企業が自社内で行っている給与計算業務を外部の専門業者に委託することです。給与計算には基本給や残業手当、各種手当、控除項目(税金や社会保険料など)の計算が含まれ、法律や税制の変更にも対応する必要があります。給与計算アウトソーシングを利用することで、代行業者の担当者が最新の法規制に準拠して給与計算を行うため、人的ミス減少や法令遵守が期待できます。
さらに、給与計算アウトソーシングには、給与明細の発行、年末調整、社会保険手続きなどの関連業務を含むパッケージサービスもあります。面倒な処理を外部委託することで、企業はコアビジネスに専念し、業務の効率化とコスト削減を図ることができます。
中小企業から大企業まで、幅広い企業が給与計算アウトソーシングを導入。矢野経済研究所によると、アウトソーシング市場は拡大傾向にあります。2022年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場規模(主要14分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比7.0%増の11兆1,109億円と報告されています。
出典: 矢野経済研究所「人事・総務関連業務アウトソーシング市場規模推移」
人手不足や働き方改革の影響により、今後さらにアウトソーシング市場の規模は拡大していくと予想され、給与計算をアウトソーシングする企業は増えるでしょう。
アウトソーシングで代行できる業務例
給与計算アウトソーシング業者は、基本的な給与計算だけでなく、年末調整や住民税更新といった関連する代行サービスを提供している業者もあります。複雑な業務を代行してもらえば、更に時間と手間が省け、社内の人的リソースをコアビジネスへ集中できます。
給与計算代行
給与計算代行では、毎月の給与計算をはじめ、残業手当や控除項目の計算、給与明細の作成と発行までを外部に委託できます。これにより、企業は人的ミスを減らし、迅速かつ正確な給与支払いを実現できます。また、給与支払手続きもプロフェッショナルなサポートを受けられるため、業務の効率化が図れます。
年末調整代行
年末調整は複雑で時間がかかる業務ですが、アウトソーシングを活用することで手間を削減できます。各種申告書の管理や所得税の再計算、還付金や追加徴収額の算出などを代行してもらうことで、担当者の負担が大幅に軽減されます。加えて、法定調書や源泉徴収票の作成も代行されるため、企業は正確な年末調整をスムーズに行うことができます。
住民税更新代行
住民税の更新業務では、新年度の住民税額通知書の確認や社員ごとの給与への反映をアウトソーシングで対応できます。加えて、市区町村ごとの住民税納付手続きや異動時の変更手続きも代行されるため、複雑な業務をプロに任せることで、時間の節約と業務効率の向上が期待できます。
給与計算アウトソーシングの費用相場
代行サービスを社員50人で利用する場合 | 月額料金の相場 |
---|---|
給与計算代行のみ | 4万円~6万円 |
年末調整代行など他サービスを含む | 10万円~20万円 |
給与計算アウトソーシングの費用は、依頼する業務範囲によって異なります。給与計算代行のみの場合、社員50人程度の企業で月額料金4万円~6万円程度が一般的な相場です。給与計算のみなら年間を通じて業務が標準化されやすいため、代行会社にとっても負担が少なく、比較的安いコストで代行できます。
一方、年末調整代行や住民税更新代行を含む場合、社員50人程度の会社で月額料金10万円~20万円程度の料金が発生します。さらに、勤怠管理や社会保険の管理も含めると、月額料金はさらに高くなることがあります。このように、アウトソーシングのコストは業務の種類と範囲によって変動します。しかし、社内の人的コスト削減や業務負担軽減の効果が期待できるため、多くの企業にとって費用対効果が高いでしょう。
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給与計算を代行するメリット
給与計算のアウトソーシングは、企業にとって多くのメリットをもたらします。特に業務の効率化やコスト削減に加え、経営資源の最適な活用につながる点が魅力です。以下、給与計算を代行することで得られる具体的なメリットを解説します。
コストの削減が期待できる
給与計算業務を社内で行う場合、専任の人材やシステムの導入・維持費用がかかります。比較して、給与計算アウトソーシングでは必要なタイミングで特定業務を代行するため、人件費などの固定費がかからず、無駄なコストを削減できる点がメリットです。また、給与計算における人的ミスや法令遵守の対応コストも抑えることが可能です。結果として、企業全体の運営費用が合理化され、経営効率が向上します。
毎月の必要業務が減りコア業務に集中できる
給与計算は法改正への対応や煩雑な手続きが多く、経理担当者の時間を大きく奪います。給与計算アウトソーシングを導入することで、これらの反復的な業務が外部に任され、社内リソースを本来の業務に集中させることができます。結果として、戦略的な事業活動やプロジェクトへの注力が可能となり、企業の競争力向上に寄与します。
従業員の勤務時間管理を正確に行える
給与計算のアウトソーシング業者は、勤怠管理ツールを駆使して従業員の勤務時間や残業時間を正確に記録します。また勤怠データは給与計算ソフトに取り込まれ、システムによって処理されることで不正確な計算や管理漏れが減少します。さらに、従業員の給与情報がレポートとして提供されることで社内データの透明性が維持され、会社への信頼性も向上します。
アウトソーシングの利用時に注意すべきデメリット
給与計算アウトソーシングには多くのメリットがある一方で、利用にあたって注意すべきデメリットも存在します。特に情報管理や業務の知識の社内保持などに関しては、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
社内担当者に代行業務のノウハウや知識が蓄積されない
給与計算アウトソーシングを利用することで、給与計算や関連業務の実務知識が社内に蓄積されにくくなります。そのため、アウトソーシングを中止したり、変更を決断した場合に内部の知識不足が露見し、迅速な対応が難しくなるリスクがあります。さらに、社内の人材が業務の実情を把握しにくくなることで、業務改善の機会が失われることもデメリットとして考えられます。
データ漏えいのリスクがある
アウトソーシングによって外部業者に情報を共有する際、給与情報を含む個人データが漏えいしたり、不正に利用されるリスクはゼロではありません。特に、適切なセキュリティ対策が施されていない代行業者を選ぶと、情報漏えい事故が発生する可能性が高まります。企業は実績があり信頼できる代行業者を選定し、厳密なセキュリティ基準を確認・監査することが必要です。
給与計算アウトソーシングの比較方法・選び方
給与計算アウトソーシングを導入する際には、企業のニーズに合った業者を選定することが重要です。さまざまな業者が存在しますが、比較・選定時には以下の点を重視することで、最適なパートナーを見つけることができます。
代行可能業務の範囲の広さを確認する
給与計算の代行業者によって、提供するサービスの範囲は異なります。給与計算のみならず、年末調整、住民税更新、社会保険の手続きなど、多様な業務に対応可能な代行業者なら、より包括的なサポートを受けられます。企業が外注したい業務内容とアウトソーシングサービスがズレないよう、サービス内容を詳細に比較検討することがポイントです。
自社の勤怠管理システムやERPシステムと連携可能か確認する
自社がすでに導入している勤怠管理システムやERPシステムと、データをスムーズに共有できるかという点もポイントです。代行業者が利用する給与計算ソフトと自社ツールを連携できれば、勤怠データや給与支払い金額などの連携をスムーズにでき、手作業でのデータ入力や変換の手間を削減できます。システム間での情報共有がシームレスに行われることで、業務全体の効率が向上し、データの正確性や一貫性も保たれます。
適切なセキュリティ対策が実施されているかを確認する
給与計算業務には個人情報や機密情報が含まれるため、セキュリティ対策は不可欠です。代行業者がISO/IEC 27001などの情報セキュリティ管理認証を取得しているか、どのようなデータ保護体制を整えているかを確認しましょう。定期的なセキュリティ監査を実施している代行業者は、情報漏えいリスクを最小限に抑えられるでしょう。
法改正への対応体制が整っているか確認する
給与計算業務では、法改正に迅速に対応することが求められます。労働法や税制の変更に対して、代行業者が迅速に対応できる体制を持っているかを確認することが重要です。最新の法規制に精通し、適切に対応できる代行業者を選ぶことで、コンプライアンス違反のリスクを避け、業務がスムーズに進められます。社労士・税理士を顧問につけている業者もあるため、法改正への対応を重視する場合は事前に確認しましょう。
導入実績を確認する
代行業者の信頼性を評価するために、導入実績や事例を確認することも有効です。似たような規模や業界の企業で成功事例があるかを調べることで、その代行業者が自社のニーズに適したサービスを提供できるか判断できます。口コミやレビューも併せて確認すると、業者の信頼性や対応力を客観的に評価する材料となります。
まとめ:給与計算アウトソーシングで社内の業務を効率化
給与計算アウトソーシングは、企業のバックオフィス業務を効率化し、コア業務に集中できる環境を整える有効な手段です。給与計算や年末調整、住民税更新といった煩雑な業務を専門の外部業者に委託することで、担当者の負担が軽減され、正確かつスムーズな業務運営が可能になります。また、コストの削減や法改正への対応、データ管理の安全性も向上し、総合的な経営効率の改善につながります。
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