開業届とは?書き方や提出方法、個人事業主におすすめのシステムも解説

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「開業届」とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。開業届を提出することで、青色申告が可能になる、オフィス契約がしやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、初めて開業する個人事業主は、開業届の書き方や提出方法が分からない人が多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、開業届とは何かを解説するとともに、書き方や提出方法を詳しく紹介します。個人事業主の確定申告を効率化するおすすめのシステムについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

開業届とは

「開業届」とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」ですが、開業届と呼ぶのが一般的。開業届を提出することで、税務署に開業したという事実と、税の開始を報告したことになります。

開業届の提出は義務化されており、開業した日から1ヵ月以内に提出することが推奨されています。ただし、提出しない、もしくは提出が遅れた場合の罰則がないため、急いで提出しない人もいます。ただし、以下で紹介する開業届提出のメリットを享受したい場合には、必ず開業から1ヵ月以内に申請するようにしましょう。

個人事業主が開業届を提出するメリット

個人事業主が開業届を提出するメリットは、下記の5つです。

  • 青色申告が可能になる
  • 屋号名義の銀行口座を開設できる
  • 小規模企業共済に加入できる
  • オフィスの契約や融資の審査を行いやすくなる
  • 就業証明になる  

青色申告が可能になる

青色申告を行うには、開業届と青色申告承認申請書の提出が必須です。開業届を出さない場合には青色申告ができず、白色申告を行うことになります。

両者にはいくつかの違いがありますが、特に青色申告では事業所得から最大65万円を控除できるため、事業を行う場合に大きな恩恵を受けられます。事業運営においてできる限り節税を図りたい場合には、開業届を確実に提出しておくとよいでしょう。

屋号名義の銀行口座を開設できる

開業届を提出することで、屋号名義の銀行口座が開設できます。個人名義ではなく、屋号名義の銀行口座を所有することで、プライベートと仕事用の口座を分けられます。また、屋号名義の銀行口座を所有することで事業の信頼度も増すでしょう。

やり方は非常に簡単で、開業届の屋号欄を記載し、提出後に受け取る開業届の控えを銀行に提出するだけです。屋号名義の銀行口座を開設したい方は必ず開業届を出すようにしましょう。

小規模企業共済に加入できる

開業届の控えを提出することで、個人事業主であっても小規模企業共済に加入できます。小規模企業共済とは、個人事業主や経営者が事業を廃止する際に積み立てた掛け金に応じた給付金を受け取れる仕組みで、独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されています。

将来の安心のために加入したい事業主も多いようです。もし小規模企業救済を利用したければ、開業届を提出するようにしましょう。

オフィスの契約や融資の審査を行いやすくなる

開業届を提出し、開業届の控えを所有することで、オフィスの契約や融資の審査が行いやすくなります。事業であれば、オフィスをレンタルしたり、事業に応じた融資を依頼することがありますが、審査の際に開業届の控えの提出を要求されることが多々あります。

逆にいえば開業届を出していない場合、必要なときにオフィスが借りられない、融資を得られないなどのデメリットがあるため、計画的に実施することをおすすめします。

就業証明になる

開業届の控えを就業証明として利用することが可能です。会社員であれば、社員証等で就業証明ができるのに対し、個人事業主にはそのような証明証やカードがありません。そのため、就業証明を行うために、開業届の控えを提出することがあります。

もし開業届の控えが提出できない場合、それが原因で事業が遅れたり、必要なサービスやサポートが受けられなかったりする場合があるため、注意が必要です。

開業届を出す際の注意点

開業届を出す際には、以下で紹介する4つの注意点について押さえておくようにしてください。

  • 失業給付が受けられない場合がある
  • 扶養に入れない場合がある
  • 帳簿付けに手間がかかるようになる
  • 提出は必須なので忘れないようにする  

失業給付が受けられない場合がある

会社を退職し、他の仕事に就いていない場合には、一定の手続きを行うことで失業給付が受けられます。しかし、失業給付の受け取り条件には「本人に再就職する意思と能力があること」という項目があるため、開業の意思を伝える、もしくは開業届を提出した後に、失業給付が受けられなくなる場合があります。

そのため、どのタイミングで開業するのかについては、事前にしっかりと検討したうえで進めるとよいでしょう。

扶養に入れない場合がある

開業届を提出することで、扶養に関する調整が必要になる場合があります。税法上の扶養に関しては、被扶養者が開業していてもいなくても、給与所得が103万円以下であれば扶養でいられます。

一方で、健康保険上の扶養に関しては、加入している保険会社が個人事業主の扶養は不可としている場合があります。その場合、保険に関する扶養を変更する必要があるのに加え、これまでのサービスやサポートが受けられなくなる場合もあります。

帳簿付けに手間がかかるようになる

開業届を提出することで青色申告が行えますが、青色申告は白色申告と比べて複雑なため、帳簿付けや領収書の管理等に時間がかかるようになります。特に帳簿は複式簿記にしなければならないため、初心者であれば戸惑う部分も多いことでしょう。

開業届を出したのち、自身で帳簿をつけるか、もしくは税理士に依頼するかを事前に決めておくことも大切です。

提出は必須なので忘れないようにする

開業届の提出は、提出しないこと、もしくは遅れることに対する罰則がないため「提出しなくてもよい」という情報が出回っているようです。しかし、前述したように、開業届の提出は義務です。必ず提出するようにしましょう。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

開業届の書き方

開業届の書き方についてわかりやすく説明します。開業届の書き方で困っている方は参考にしてください。

  1. 開業届を準備する
  2. 納税地の税務署名と提出日を記入する
  3. 納税地/上記以外の住所地・事業所等を記入する
  4.  氏名/生年月日/個人番号を記入する
  5. 職業/屋号を記入
  6. 届出の区分と所得の種類を選択する
  7. 開業・廃業等日を記入
  8. 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無を選択する
  9. 事業の概要や給与支払い等について記入
  10. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無を選択
  11. 給与支払を開始する年月日を記入  

開業届を準備する

まずは開業届を取得してください。開業届は、最寄りの税務署の窓口もしくは国税庁のサイトから取得できます。また、開業届の記入で必要となる以下のような情報も同時に用意しておくとよいでしょう。

国税庁のサイト [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

・マイナンバー
・事業所の住所
・開業日  

納税地の税務署名と提出日を記入する

開業届を提出する所轄の税務署の名称を記入します。所轄の税務署がわからない場合には、国税庁の以下のサイトで調べられます。

<国税庁のサイト>
国税局・税務署を調べる

また、開業届を提出する日付も記載します。開業届は開業から1ヵ月以内に提出するようにしましょう。

納税地/上記以外の住所地・事業所等を記入する

まずは納税地の欄を埋めます。「住所地」「居所地」「事業所等」の中から該当する項目を選び、その住所を記入してください。それぞれの意味について下記のとおりです。

項目 意味
住所地 生活の拠点となる自宅
居所地 事業を営むためのお店や事務所 
事務所等 海外に住んでおり日本に住所はないが、活動場所は日本にある場合など

「上記以外の住所地・事業所等」の欄には、自宅と事務所が別の場合に記載します。例えば、納税地を事務所にしたい場合には、納税地の欄で事務所等を選ぶとともに事務所の住所を記載し、上記以外の住所地・事業所等に自宅の住所を記載します。

氏名/生年月日/個人番号を記入する

氏名と生年月日の欄に記入します。氏名はフルネームを記載してください。押印欄は、個人印もしくは屋号印のどちらかを利用してください。

生年月日の欄には、自身の生年月日を正しく記載しましょう。個人番号の欄には、マイナンバーカードもしくは通知カードに記載されているマイナンバーを記載してください。

職業/屋号を記入

職業欄には職業を記載します。客観的にみて判断できる名称であれば問題ありません。ただし、個人事業税の税率が異なる場合があるため、気になる場合には各都道府県の税金に関するページを確認するとよいでしょう。

屋号は、個人事業者が使用する商業上の名称です。記載しても記載しなくても構いません。

届出の区分と所得の種類を選択する

新規開業の場合には、届出の区分は「開業」を選んでください。それ以外は未記入で問題ありません。事業を引き継いだ場合は、住所と氏名についても記載する必要があります。
所得の区分の欄は、事業所得を選択してください。

開業・廃業等日を記入

開業・廃業等日の欄には、開業した日の日付を記載します。開業日の基準は特にないため、自身が開業をしたと認識した日や、自身が決定した開業日を設定すればよいでしょう。開業届を提出した日を開業日にすることももちろん可能です。

ただし、開業届は開業日から1ヵ月以内に提出する必要があるため、ズレが生じないように調整するのが好ましいといえます。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無を選択する

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無の欄では、開業届と同時に提出する書類がある場合には選択してください。例えば、青色申告にまつわる書類を同時に提出する場合には、青色申告承認申請書の欄で「有」を選択します。

事業の概要や給与支払い等について記入

事業の概要の欄には、事業の詳細に関する説明を記載します。どのような事業を行っているのかを具体的に記載してください。

例えば、飲食店を開業する場合、単に飲食店と記載するのではなく、「肉料理を中心とする料理の調理と販売」「宅配弁当の調理および販売」などのように、具体的な記述が求められます。

給与等の支払いの状況の欄は、従業員を雇用する場合に記入します。専従人は家族の従業員、使用人は家族外の従業員です。それらの人数や給与の決め方、源泉徴収の有無などを記載します。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無を選択

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無の欄には、源泉所得税の納期の特例の承認に関する書類を提出するかどうかを選びます。通常源泉徴収税は、給与支払い日の翌月10日までですが、従業員が常時10人未満の場合、申請によって年2回にできます。その特例に関する届出書を提出するかどうかを選んでください。

給与支払を開始する年月日を記入

給与支払を開始する年月日の欄には、従業員に給与支払いを開始する日を記載してください。すでに支払っている場合には、支払いが開始された日を記載してください。まだ支払いを行っていない場合には、初回の支払い予定日を記載します。

上記で説明した源泉所得税の納期の特例を初回から受けたい場合には、初回の支払い開始日の前月までに開業届や申請書を提出しなければならないため、計画的に進める必要があります。

開業届の提出方法

開業届の提出方法は以下の3つです。

  1. 税務署の窓口に直接提出する
  2. 郵送で提出する
  3. オンラインサービス「e-Tax」を利用する

確実に届出を済ませたい場合には、税務署の窓口がおすすめ。ミスがあった場合にその場で指摘してもらえるため、確実に届出を完了できます。ただし、混んでいる場合には時間がかかります。

郵送での提出の場合には、納税地を管轄する税務署宛に必要書類を郵送します。時間をかけずに手軽に実施できる一方で、ミスがあった場合にはやり直しになる場合があるため、時間に余裕をもって利用するようにしてください。

国税庁のオンラインサービス「e-Tax」を利用して開業届を提出する方法もあります。ただし、ICカードリーダライタなど準備する必要があるため、追加のコストがかかることに加え、e-Taxの使い方も理解する必要があります。

※参照:国税庁『e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーについて』

開業届の提出は基本的には一度税務署に出向くことで完了します。また、税に関する困りごとを直接職員に質問できるため、初めての開業であれば税務署に直接出向く方法がよいでしょう。ただし、時間がなかなかとれない場合もあるため、それぞれの提出方法の特徴をしっかりと理解したうえで、適切な方法を選択するとよいでしょう。

開業後の確定申告にはシステムの活用がおすすめ

開業後の確定申告(青色申告)の書類作成には、確定申告ソフトや会計ソフトの活用がおすすめです。

会計ソフトでできること
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クレジットカードの明細や銀行取引の明細を自動取込でき、データを帳簿に手入力する必要がありません。また、個人事業主の確定申告(青色申告)に必要な書類を自動で作成できる機能があり、申告がスムーズに行えます

まとめ:開業届を正しく提出してから、事業を開始しよう

本記事では、開業届の詳細や記載方法、提出方法などについて詳しく説明しました。開業届によって得られるメリットは多くあるため、適切なタイミングで提出するとよいでしょう。

もし開業届で困りごとがあれば、アイミツまでお気軽にお問い合わせください。開業時の手続きなどに役立つ会計ソフトなど必要なサービスを無料でご提案します。

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