製造業の生産方式を製造形態・作業形態別に紹介:それぞれの特徴やメリット・デメリットも解説【2025年最新版】
製造業ではどの生産方式を用いるかによって生産量やコストが大きく変動します。生産方式決定後の変更は簡単ではないので、企画提案でしっかりと検討することが大切です。
この記事では、幅広い分野の法人向けSaaSを比較検討できる「PRONIアイミツ」が、製造形態別・作業形態別の生産方式や生産方式の選び方などを解説していきます。生産方式の選定でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
製造形態別にみた生産方式3種
製造形態別の生産方式は「ライン方式」と「ロット形式」「個別生産方式」の3種に分けられます。ここからは、それぞでの生産方式について解説します。
ライン方式
ライン方式は、ベルトコンベア上の製品に機械や人が流れ作業のように加工する方式のことで、主に自動車や薬品の製造に用いられています。
生産量の見通しを立てやすいのがメリットで、ラインの一部で問題が発生しない限りは予定どおりの生産が可能です。役割をステーションごとに区切るため、特定の業務を覚えれば作業に取り組めることから、従業員の教育コストが抑えられるのも特徴的だといえます。
一方で初期コストがかかる、変化に対応しにくい、従業員のモチベーション管理が求められるなどがデメリットとしてあげられます。生産物が明確な一定規模の工場であればメリットを得やすいかもしれません。
ロット方式
ロット方式とは、複数の製品を順番に生産する方式のことです。製品Aを50個生産したら次は製品Bを50個、製品Cを50個生産したら製品Aの生産に戻ります。家電製品や食品の製造に用いられることが多いようです。
製品の在庫が増えてきた際は該当製品の生産を停止し、ほかの製品の製造への移行を通じて在庫数の調整を図れるため、在庫過多を防止できます。くわえて、ロット番号の付与によって生産管理を効率化できるのもメリットでしょう。
一方でデメリットとしては、ライン方式と比較すると生産性が下がること、複数の製品を作る機械や材料を管理する必要があることなどがあげられます。
個別生産方式
個別生産方式は、受注後に内容にそった個数を生産するオーダーメイドのような方式のことです。製造したものが必ず売れるので、在庫を抱える必要がないのがメリットとしてあげられます。在庫保管用の倉庫も不要なのでコストダウンにつながるほか、独自性ある製品は販売価格を高額に設定しやすいことがメリットとしてあげられます。
しかし、一方では受注しなければ生産も行わないため利益が安定しにくい、販売数が限られるため利益最大化を図りにくいといったデメリットがあるのも事実です。また、独自性の高い製品の生産にあたっては職人の作業時間も長くなりがちなので、人件費が膨らんでしまうことも珍しくありません。
作業形態別にみた生産方式3種
作業形態別の生産方式は「ライン方式」と「機能別生産方式」「セル生産方式」の3種に分かれます。ここからは、作業形態別の生産方式についてそれぞれ解説していきます。
ライン方式
ライン方式は前章で説明したとおりです。1つの作業場に基本ラインを作り、機械や人が順番に作業に取り組みます。高い生産性が期待できる一方で、広い作業場と初期投資が必要です。
機能別生産方式
機能別生産方式は、加工対象となる部品などを機械加工やプレスといった機械別職場へ移動させて生産する方式です。ライン方式では1つの工場にすべての機械・人が集められますが、中規模の工場では困難なため対象品を機械の設置場所へ移動させることでその問題を解決します。
複数の作業場をうまく組み合わせて生産を進めるため、ライン方式と比べて大規模な作業場が不要なのがメリットです。しかし移動に時間やコストがかかることや、機械ごとの稼働時間が短くなること、ライン方式よりも生産性が劣るといったデメリットもあります。
セル生産方式
セル生産方式は、1人〜少人数で製品の組み立て・検査を実施する生産方式のことです。「U字ライン」や「二の字ライン」「直接ライン」を設けて効率的に作業を進めるのが特徴で、ライン方式と機能別生産方式の中間型ともいわれています。
製品に追加工程が発生した際でも対応しやすいことや、ライン方式と比較すると大規模な作業場が不要なことなどがセル生産方式のメリットです。一方では複数の業務を同じ作業場で行うため混乱が生まれやすく、ライン方式や機能別方式のように典型的なメリットがないという側面もあります。
独自の生産方式を採用する企業も
ここまで紹介した生産方式のほかにも、企業によっては独自に生み出した生産方式を採用していることも少なくありません。代表的な例としては「トヨタ生産方式」「ダイセル生産方式」があげられます。
生産方式で何よりも重要なのは「企業の実態や製品の特徴に合っているか」です。基本の生産方式の特徴やメリットを把握した上で、必要に応じてカスタマイズを検討してみることも大切だと言えます。
生産方式の選び方
生産方式を選ぶ際は、どんな要素を判断基準にすべきなのでしょうか。ここからは、生産量を選ぶ際のポイントを「生産量」「顧客の要望」「生産性・コスト」の3つに分けて解説します。
生産量によって選ぶ
必要な生産量から生産方式を検討します。作業形態別の生産方式なら、生産量が多い製品はライン方式、中量はセル生産方式、少量は機能別生産方式が適しているとされています。
生産量の最大化を図りたいのなら、ライン方式を取り入れる方法を模索するべきです。一方で生産量よりもコスト削減を重視する場合は、機能別生産方式が適しているかもしれません。
顧客の要望に応じて選ぶ
顧客の要望も生産方法を決定する際の要素です。たとえば、顧客から「継続的に製品を大量に購入したい」という要望が寄せられている場合はライン方式が適していると考えられます。顧客が独自性の高い製品を希望しているのなら、個別生産方式を採用すべきです。
主要顧客の声をしっかりと把握した上で生産方式を選べば、将来的な利益拡大にもつながるでしょう。
生産性やコストに応じて選ぶ
生産性やコストに応じて生産方法を選びます。ある程度の予算がある場合はライン方式を導入すれば、その後は安定的な生産が可能になります。一方で高額な予算確保が難しい場合は、個別生産方式や機能別生産方式でコストを抑えながら生産に取り組むべきだといえます。想定する生産性や予算に応じて生産方式を決めれば「初期投資が無駄になってしまった」といった事態も防止できるでしょう。
生産の最適化には生産管理システムがおすすめ
生産方式は生産量やコストを決める上で重要な要素ですが、きちんと運用・管理できなければ意味がありません。生産現場の最適化を図りたいのであれば、生産管理システムの導入を検討してみるのがおすすめです。
生産管理システムを導入すれば、各生産方式に対応した機能を活用できるため、生産性や業務効率の向上に役立てられます。導入にあたっては一定のコストがかかりますが、長期的な視点で考えれば業務効率化によるコスト削減も期待できます。
まとめ
本記事では、製造業における生産方式について解説してきました。採用する生産方式によって生産量や製造コストが変動するため、しっかりと検討することが大切です。また、製造に関する業務の効率化を図りたいのなら、生産管理システムの導入を検討してもよいでしょう。
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