IT資産管理ツールとは?仕組みやメリットについて解説
「社内のパソコンやソフトウェアの管理が煩雑になっている」「資産台帳が更新されず、どれが最新情報かわからない」とお悩みの情シス担当者や管理部門の方は多いでしょう。 IT機器やライセンスは年々増え、テレワークの普及によって管理の難易度はさらに上昇しています。そんな課題を解決する手段として注目されているのが IT資産管理ツールです。
本記事では、 IT資産管理ツールの基本的な仕組みや導入するメリット、選び方までわかりやすく解説します。「IT資産管理を効率化したい」「属人化を解消し、正確な情報を把握したい」と考えている担当者の方はぜひ参考にしてください。
IT資産管理ツールとは
IT資産管理ツールとは、企業が保有するパソコンやサーバー、ソフトウェア、周辺機器などの「IT資産」を一元的に把握・管理するためのシステムです。機器の台数が増えたり、リモートワークが普及したりする中で、「どの端末がどこにあり、誰が使っていて、どのバージョンのソフトが入っているのか」を正確に把握することは、企業運営において欠かせません。
IT資産管理ツールでは、端末の基本情報やOSのバージョン、アプリやライセンスの使用状況、ネットワーク接続状況を自動で収集できます。そのため従来の手作業と比較してIT資産管理を効率化できます。また、セキュリティ対策やコンプライアンス遵守にも役立ち、不正ソフトの検知やサポート切れ端末の早期発見など、リスクの最小化にもつながります。
IT資産管理ツールの仕組み
IT資産管理ツールは、企業が持つ端末やソフトウェアの情報をどのように収集し、管理するかによって種類が分かれます。代表的なのが「エージェントベース」と「エージェントレスタイプ」の2つの方式です。ここでは、それぞれの仕組みと特徴を解説します。
エージェントベース
エージェントベースの仕組みとは、管理したい端末に専用プログラム(エージェント)をインストールし、端末の情報を継続的に収集する方式を指します。エージェントはバックグラウンドで動作し、OSやアプリのバージョン、インストール状況やハードウェア構成、ネットワーク情報を自動で取得します。
この方式のメリットは、取得できる情報の精度や範囲が広いことです。端末に常駐しているため、定期的かつ詳細なデータを収集でき、リアルタイムに近い管理が可能です。また、端末がオフラインでも次回オンライン時に情報を送信できる点も強みです。
一方で、エージェントのインストールやアップデートの作業が必要になるため、導入時の手間が増える可能性があります。大量の端末を管理する場合は、配布方法や運用手順を整えておくことが重要です。
エージェントレスタイプ
エージェントレスタイプとは、端末に専用プログラムをインストールせず、ネットワーク経由で情報を取得する方式です。ネットワークスキャンやOS標準の管理機能(例:WMI、SSH、SNMP)を活用して、端末の情報を収集します。
エージェントレスタイプの特徴は、導入や運用が比較的容易で、管理対象に負荷をかけないことです。エージェントを配布する手間がなく、すぐに管理を開始できるため、規模の大きい企業や多拠点環境でもスムーズに導入できます。
ただし、エージェントが常駐していない分、取得できる情報が限定的になる場合があります。また、ネットワークに接続されていない端末(オフライン端末)は情報取得が難しく、リアルタイム性もエージェント方式と比較して劣ることがあります。
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IT資産管理ツールの機能
IT資産管理ツールは、企業のIT運用を効率化し、セキュリティやコンプライアンスを強化できるさまざまな機能を搭載しています。
ここでは、IT資産管理ツールが提供する代表的な機能を順に紹介します。
ツールの機能
- ハードウェア・ソフトウェア管理機能
- 契約・ライセンス管理機能
- 配布・運用支援機能
- 運用監視・レポート機能
ハードウェア・ソフトウェア管理機能
ハードウェア・ソフトウェア管理機能は、社内に存在するすべての端末・アプリケーションの情報を一元的に把握するための機能です。PC・サーバー・スマートフォンの基本スペック、利用者や設置場所を可視化できるほか、インストールされているソフトウェアやOSのバージョンも自動で収集します。
これにより、台帳の更新漏れや情報のズレを防ぎ、資産の棚卸し作業を効率化できます。また、不要なソフトウェアの発見や老朽化機器の把握にも役立ち、コスト削減やセキュリティ対策にも貢献します。
契約・ライセンス管理機能
契約・ライセンス管理機能は、ソフトウェアライセンスの利用状況や、保守・サポート契約の期限を適切に管理する機能です。契約数に対して過剰インストールがないか、ライセンスが未使用のまま残っていないかを把握することで、無駄なコストを削減できます。
また、保守契約の更新時期を可視化し、期限切れによるトラブルを防ぐことも可能です。セキュリティリスクのある旧バージョンのソフトを洗い出すなど、コンプライアンス強化にも役立ちます。
配布・運用支援機能
配布・運用支援機能とは、ソフトウェアのインストールやアップデート、パッチ配布などを遠隔で実行できる機能です。複数の拠点やテレワーク環境でも、担当者が現地に行くことなく統一した設定やアップデートを適用でき、運用の効率化につながります。
さらに、新規PCセットアップの自動化やキッティングの簡略化など、情シス担当者の作業負担を削減できます。属人化しやすい運用業務を標準化する上でもメリットになります。
運用監視・レポート機能
運用監視・レポート機能は、端末の利用状況やセキュリティ状態を監視し、定期的なレポートとして可視化するための機能です。ログイン状況やソフトの利用頻度、ストレージ容量の推移やウイルス対策ソフトの状態など、IT資産に関わる重要情報を継続的に監視できます。
レポートはグラフやダッシュボードで表示されることが多く、経営層への説明資料としても活用できます。異常な挙動やリスクが検知された際のアラート通知により、迅速な対応が可能になる点も大きなメリットです。
IT資産管理ツールのメリット
IT資産管理ツールを導入することで、企業のIT運用を効率化でき、情報の正確性・安全性が向上します。従来の手作業による資産管理では起こりがちな「情報のズレ」や「管理漏れ」をなくし、IT担当者の負担を軽減できる点が大きな魅力です。ここでは、主な4つのメリットを詳しく解説します。
メリット
- 正確なIT資産把握ができる
- IT担当者の作業時間を削減
- 不要コストの削減
- セキュリティ強化
正確なIT資産把握ができる
IT資産管理ツールを利用するメリットは、企業内に存在するIT資産を正確に把握できることです。パソコン・スマートフォンのハードウェア情報から、インストールされているソフトウェアやOSのバージョン、利用者情報まで自動で収集するため、常に最新の状態で資産台帳を管理できます。
これにより、「どの端末がどこにあり、誰が使っているのか」「どのソフトが何台のPCに入っているのか」などの情報が一目でわかり、棚卸し作業をスムーズに行えます。
IT担当者の作業時間を削減
IT資産管理ツールは、情シス担当者の作業負担を大きく軽減する役割も果たします。従来は手作業で行っていた端末情報の収集や更新、ソフトウェアの配布やバージョン管理などの作業を自動化できます。、
また、複数拠点やリモートワーク環境でも遠隔で操作可能になるため、現地に赴く必要がなくなり、より少ない人数・工数で効率的なIT運用ができます。
不要コストの削減
IT資産管理ツールの導入によって、企業が気づかないまま発生している無駄なコストを削減できる点も大きなメリットです。ツールで資産の利用状況が可視化されることで、実際には使われていない端末やソフトウェアが浮き彫りになり、必要以上に購入していたライセンスや保守契約を見直すきっかけになります。また、利用実態を把握することで重複して導入しているアプリケーションを発見でき、これまで見逃されていたムダを確実に減らすことが可能です。
このように、現状に合わない契約や過剰購入を抑えられるため、ITコストの最適化が進み、長期的な経費削減につながります。
セキュリティ強化
IT資産管理ツールは、セキュリティリスクを早期に発見し対応するための重要な仕組みとしても機能します。OSやソフトウェアのバージョン、ウイルス対策ソフトの状態、パッチの適用状況を自動で把握できるため、脆弱性のある端末を見逃しにくくなります。
また、不正ソフトウェアのインストールや異常な挙動を検知してアラートを出すことで、インシデントの未然防止にも役立ちます。結果として、企業全体のセキュリティレベルを高めることができます。
IT資産管理ツールの選び方
IT資産管理ツールは多くの製品が提供されており、機能や特徴もさまざまです。そのため、自社の運用体制や目的に合ったツールを選ばないと、うまく活用できない可能性があります。ここでは、IT資産管理ツールを導入する際に特に確認しておきたい主なポイントを解説します。
選び方
- 管理したい対象と目的を明確化する
- 自社環境との適合を確認する
- コストや運用負荷を確認する
- サポート体制を確認する
管理したい対象と目的を明確化する
IT資産管理ツールを選ぶ際にまず重要なのは、何を管理したいのか、どの課題を解決したいのかを明確にすることです。ハードウェアやソフトウェアの台帳管理を強化したいのか、セキュリティリスクの可視化をしたいのかなど、環境によって必要となる機能は大きく変わります。
例えば、リモートワーク環境の端末までしっかり管理したい場合は、詳細データを取得できるエージェントベースのツールが適しています。一方、導入や管理の手間を最小限にしたい企業であれば、エージェントレスのツールが向いている場合もあります。
自社環境との適合を確認する
ツールを導入する際は、自社のIT環境で正しく運用できるかを確認することが重要です。OSの種類やバージョン、端末の台数やネットワーク構成、クラウド利用の有無など、企業ごとに環境は大きく異なります。
とくに複数OS(Windows・Mac・Linuxなど)が混在している企業や、多拠点・リモートワークが一般化している企業では、対応範囲に差が出やすいため注意が必要です。実機テストやトライアルを活用し、問題なく情報収集・管理ができるかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
コストや運用負荷を確認する
IT資産管理ツールは、導入費用や月額料金だけでなく、運用負荷も含めてトータルでのコストを比較する必要があります。初期設定の手間やエージェント配布の負担、運用時に必要な人員や作業時間などを踏まえ、無理なく管理できるツールを選ぶことがポイントです。
また、機能が多いほど費用が高くなる傾向がありますが、機能を使いこなせなければ投資対効果は得られません。自社の運用規模に適したプランを選び、必要以上の機能にコストをかけないことが重要です。
サポート体制を確認する
導入後も安心して運用するためには、サポート体制がどれだけ充実しているかも重要な判断材料になります。トラブル発生時の問い合わせ窓口の対応速度や、専門スタッフのサポート品質、マニュアル・ナレッジの充実度をチェックしておくとよいでしょう。
また、初期設定のサポートや運用コンサルティング、社内展開の支援など、導入フェーズをバックアップするサービスが提供されている製品もあります。安心して長期的に運用するためにも、サポートの充実度は必ず事前に確認しましょう。
まとめ:ツールで自社のIT資産管理を効率化しよう
IT資産管理ツールを導入することで、企業が抱えがちな「情報の更新漏れ」や「運用の属人化」「セキュリティリスクの見落とし」を改善できます。ハードウェアやソフトウェアの情報を自動で収集・可視化できるため、日々の管理業務が効率化されるだけでなく、コスト最適化やセキュリティ強化にもつながります。
また、ツールにはエージェント方式やエージェントレス方式があり、自社の環境や目的に合わせて適切な機能を選ぶことが重要です。導入前に管理したい対象や目的を整理し、自社の運用体制にマッチしたツールを選定することで、高い効果を得られます。
しかし、数あるIT資産管理ツールを比較して自社のニーズに合ったものを選ぶのは大変です。「まず候補を絞りたい」という担当者はぜひPRONIアイミツを活用ください。PRONIアイミツでは、いくつかの質問に答えるだけで希望要件に合ったIT資産管理ツールが分かる診断(無料)ができます。
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