【2024年最新】PBXの導入にかかる費用と料金相場
複数の電話機をネットワークでつなげ、不在着信の転送、内線通話などを行えるようにするPBX(構内交換機)。近年主流となっているクラウド型のPBXや、よりセキュリティ面に優れているIP-PBXなどが提供されており、数多くの企業で導入されています。
実際、この記事を読んでいる方の中にも、「通販事業を展開するため、コールセンターの構築のためにPBXを導入したい」、「テレマーケティング事業を始めるにあたって、PBXについて調べている」という方が多いのではないでしょうか。
しかし気になるのが、導入にいくらかかるのかというポイント。コールセンターとなると規模もコール回数も多く、どれくらい費用が膨らむのか不安という方も少なくありません。
そこでこの記事では、営業・バックオフィス・情報システムなど、様々な分野の法人向けSaaSサービスを比較検討できるPRONIアイミツが、PBXの導入にかかる料金相場を解説していくと共に、導入の際の注意点などもあわせてご紹介していきます。
1.PBXとは何か
まずはじめに、PBXとはどういったことができるものなのかをチェックしておきましょう。
PBXにできること
PBXとは、Private Branch eXchanger(構内交換機)の略。より分かりやすく言えば、「電話交換機」です。外線からの着信を内線に振り分けるというのがメインの役割ですが、そのほかにもさまざまな便利な機能が搭載されています。
着信制御
オペレーターの人数分電話回線を契約してしまう場合、月額費用は非常に高額になってしまいます。しかしPBXを導入しておけば、契約している電話番号を親番号に設定し、親番号に紐づいた電話番号(子番号)ごとに着信させることが可能です。子番号に制御させることによって、月額料金を抑えることができます。
発信制御
LCR(Least Cost Routing)やACR(Automatic Carrier Routing)を用いて、外部への発信を制御することもできます。
LCRとは、電話番号を検知し、その電話番号に応じてもっともリーズナブルなプロバイダーを自動で選択し発信する機能のこと。待たされることも難しい操作もなく、通話料を抑えることが可能です。
ACRとは、あらかじめ設定されているプロバイダーに自動接続する機能です。LCRよりも通話料が削減できませんが、初期費用をLCRより抑えることができます。
代表番号着信機能
代表番号に着信があった場合、前もって設定しておいた電話機に繋げることができます。接続される電話機には優先順位を設けることも可能です。
転送機能
担当者が不在の場合や通話中の場合、他の電話機に転送することができます。不在転送や話中転送の他にも、設定しておいた呼び出し音の回数以内に対応できない際に転送する応答遅延転送、スマートフォンを内線化させており、圏外だった場合の圏外転送などを利用可能です。
パーク保留機能
通話中にパーク保留機能を使用した場合、他の電話機でも外線に対応することができます。「お客様からの問い合わせ内容に不明な点があるため、他の者に対応を任せたい」といった場合などに便利です。
つづいて、PBXとビジネスフォンの違いを説明します。
PBXとビジネスフォンの違い
1つの回線を複数の電話機で共有できる、内線同士で通話・転送が行えるなどという点はビジネスフォンと共通していることから、ビジネスフォンと何が違うの?と思っている方が多いかもしれません。
PBXの場合、IP-PBXやクラウドPBXであればスマートフォンの内製化も可能であるほか、離れた複数拠点での内線接続、パソコンとの接続などもできます。ビジネスフォンのようにアナログ接続ではないことから、数千台をまとめて接続させることもできるため、規模が大きい場合にはPBXの方が向いていると言えるでしょう。
【これだけは押さえておきたいポイント】
・PBXは、外線からの着信を内線に振り分ける以外にもさまざまな機能を利用できる
・スマートフォンの内線ができるかできないか、離れた複数拠点でも接続できるかどうかといった点でビジネスフォンとは異なる
・導入規模や多い場合や、複数拠点を同時接続させたいならPBXがおすすめ
2.PBXの種類
PBXと一口に言っても、種類は1つだけではありません。レガシーPBX・IP-PBX、クラウドPBXの3つに分けることができるため、それぞれどのような違いがあるのかチェックしていきましょう。
レガシーPBX
レガシーPBXはその名からも分かるように歴史が長く、1890年代頃から利用されてきました。オフィス内に主装置を設置してから、それぞれの電話線同士を接続し、電気信号を流すという通信スタイルをとっています。
主装置をそれぞれの拠点ごとに設置しなければならず、複数拠点の場合には非常にコストと手間がかかってしまうのがデメリット。また、電話線が届く範囲内でのみ内線を繋げられるため、物理的デメリットも大きいでしょう。
以前はPBXの主流といえばレガシーPBXでしたが、費用面や利便性をふまえて最近ではあまり導入されていません。
IP-PBX
インターネット回線(IPネットワーク)を用いて、外線をIP電話へと振りわけ内線通話システムを構築することができます。専用機器をオフィス内に設置するハードウェアタイプと、専用ソフトをインストールして用いるソフトウェアタイプの2つから選択可能です。
クラウドPBX
インターネット回線を用いるという点ではIP-PBXと同様ですが、クラウド上のPBXを用いるのがクラウドPBXです。インターネットに接続されていればどこでも内線通話を行うことができ、別途装置を置く必要や、ソフトウェアをインストールする必要もありません。導入時のコストをもっとも削減できるPBXとして、現在の主流となっています。
【これだけは押さえておきたいポイント】
・レガシーPBXは費用面や利便性の面で現在はあまり導入されていない
・IP-PBXはインターネット回線を用いているが、ハードウェアタイプ・ソフトウェアタイプの2つがある
・クラウドPBXも同じくインターネット回線を用いているが、装置の設置やソフトのインストールのどちらもいらず、導入時の費用を抑えられる。現在のPBXの主流となっている。
3.PBXの種類別で見る費用相場
ここからは、種類別にPBXの導入時にかかる費用相場をチェックしていきましょう。
現在もなお多くの企業に利用されているIP-PBX、新たな主流となりつつあるクラウドPBXの2つに絞って紹介します。
IP-PBXの導入にかかる費用
費目 | 相場 |
---|---|
IP-PBX本体 | 〜10万円ほど |
月額利用料 | 〜5万円ほど |
IP電話機 | 〜5万円ほど |
IP-PBX本体
例えばハードウェアタイプのIP-PBXを中小企業が導入する場合、基本的には廉価版のモデルを購入することとなります。なぜなら、国内の有名メーカーが提供している大手企業向けのPBXを購入した場合、リーズナブルなものであっても1台100万円以上してしまうからです。「コールセンターのオペレーターを数千規模に拡大したい」などという場合、よりスペックの高いものが求められ、1,000万円以上はかかってしまいます。
一方、内線数が100に満たない場合には、廉価版のものでも問題ないことが多く、3〜10万円ほどで購入することが可能です。
IP電話機本体の価格
IP-PBXを利用する場合、IP電話機が必要となります。新品のIP電話機を購入する場合、1台あたり〜5万円ほどで購入することが可能です。メーカーによる差はあまり大きくありません。従業員の人数が多ければ多いほど台数が必要になるため、仮に1台3万円で購入できたとしても、20台必要な場合には60万円です。それなりにまとまったお金が必要となってしまうので、費用を抑えたい場合には中古品も視野に入れて検討するといいでしょう。
月額利用料
IP-PBXを利用するには、ネットワーク利用料をはじめとする月額基本料が発生します。一般的な相場としては約2万円ほど。仮にPBXのハードウェアをリースで導入している場合、プラスでリース料金も払う必要があります。
見落としがちな費用
もちろん、上記の導入費用に加えて通話料金もかかることを忘れてはなりません。基本的には、一般電話への発信の場合3分で8円ほどかかります。
加えて、IVRなどのオプションを追加していくとさらに費用はかかってしまいます。1つのオプションあたり2,000円以上する場合が多いため、いつの間にか導入費用が膨らんで予算オーバーしているなんてことも。このようなミスを減らすためにも、必要な機能が標準装備されているものを選ぶのも1つの手段でしょう。
クラウドPBXの場合
費目 | 相場 |
---|---|
初期費用 | 〜5万円ほど |
月額利用料 | 〜2,500円ほど/1回線 |
IP電話機購入費用 | 〜5万円ほど |
初期費用
クラウドPBXの場合、回線工事やハードウェアやソフトウェアの購入などといった他のPBXで必要となるものはいりません。しかし、サーバー登録費や回線取得費、電話機を接続するためのシステム設定費などが別途必要となり、それらがまとめて初期費用とされています。
基本的には5万円以内で収まることが多く、最近では価格競争が進み、1万円ほどに設定している会社も少なくありません。
月額利用料
月額基本料金は1回線あたり〜2,500円ほどが相場で、リーズナブルなものの場合1,000円以下のことも。契約する内線数が多ければ多いほど料金は高くなりますが、ボリュームディスカウントを設けている会社が多いため、1回線あたりの費用は安くなっていきます。
IP電話機購入費用
新しくIP電話を導入するという場合には、購入費用がかかります。IP-PBXの場合と同様、新品のIP電話を購入する場合には〜5万円ほど、中古の場合には1〜2万円で購入可能です。
見落としがちな費用
クラウドPBXもIP-PBXと同様、さまざまなオプションを追加していくと月額料金がいつの間にかかさんでしまいます。
また通話料に関してもIP-PBXと変わらず、固定電話の場合3分で8円、携帯電話やスマートフォンの場合1分15円~16円ほどが相場ですが、中には通常より高めに設定している会社も。特に、初期費用や月額料金が異常にリーズナブルという場合には、通話料が他社より高いことがあるようです。基本料金などが安いからと言って安易に契約せず、通話料が割高に設定されていないかチェックしましょう。
【これだけは押さえておきたいポイント】
・IP-PBXの場合PBX本体を購入する費用がかかるため注意
・IP-PBX、クラウドPBX双方の場合において、オプション料金に注意
・IP-PBX、クラウドPBX双方の場合において、電話機本体の費用を抑えたいなら中古がおすすめ
4.PBX導入の実際の費用を調べてみた
この記事を作成するにあたって調査した、実際のPBXの料金についてご紹介します。
GoodLine クラウドPBX
プラン | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|
SOHOプラン(2内線) | 2万円 | 3,000円 |
3内線~ | 1万円 | 基本料5,000円+1,000円 / 内線 |
20内線パック | 5万円 | 2万円 |
40内線パック | 5万円 | 3万5,000円 |
60内線パック | 要問い合わせ | 5万5,000円 |
80内線パック | 要問い合わせ | 7万5,000円 |
料金体系|GoodLine
出典 https://good-line.jp/price/
ナイセンクラウド
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 内線端末台数 |
---|---|---|---|
ライト(1人用) | 1万円 | 2,000円 | 1内線 |
ペア(小規模) | 1万円 | 5,000円 | 2内線 |
プロ(中規模以上) | 1万円 | 1万円 | 5内線~ |
ご利用料金|ナイセンクラウド
出典 https://naisen.jp/charge.html
5.PBXを導入する際の注意点
最後に、PBXを導入する際に気をつけておきたいポイントについてです。
もっとも注意しておきたいのが、セキュリティ面。近年主流となってきているクラウドPBXの場合、他のPBXよりもサイバー攻撃の標的にされやすいと言われています。通話データの漏えいなどを防ぐために、セキュリティ面が強固であるものを選ばなければなりません。提供会社がプライバシーマークを取得しているかなどを含め、セキュリティ対策もチェックしておきましょう。
また、導入規模が見合っているのかも重要なポイント。PBXの中には、小規模事業者向けのものもあれば、大手企業向けのものもあるなど、それぞれのサービスによって対象としている事業規模が異なる場合もあります。もちろん月額料金などに差が生じてくるため、そのサービスが自社にマッチしているのか、きちんと整理してから導入を決めましょう。
6.まとめ
この記事では、PBXの導入にかかる費用についてご紹介してきました。
IP-PBXの料金相場は、
本体:~10万円ほど 月額利用料:~5万円ほど IP電話機:~2万円ほど
クラウドPBXの料金相場は、
初期費用:~5万円ほど 月額利用料:~2,500円ほど IP電話機:~5万円ほど
でした。
そのほか、通話料がかかります。費用を抑えるためには、新品ではなく中古の電話機を検討するといいでしょう。トータルコストと必要な機能が備わっているかを見極め、自社にあったPBXを選ぶことが大切です。
アイミツでは、おすすめのPBXをまとめてご紹介している記事も公開していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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